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○栄養改善法の施行について

(昭和二七年九月一六日)

(発衛第一七四号)

(各都道府県知事・政令市長あて厚生事務次官通達)

栄養改善法(昭和二七年法律第二四八号)は、去る七月三一日に、栄養改善法施行規則(昭和二七年厚生省令第三七号)は八月三○日にそれぞれ公布施行されたのであるが、栄養の改善に関する指導は、既に多年に亘り行われて来たのであり、その結果国民の栄養状態は漸次向上して来ているが、全般的には未だ十分にその成果を挙げるに至つていない。これは国民全般が栄養の欠陥による損失を十分認識していないこと、それに対する指導を積極的に行うことに困難があつたこと等に基くものであるが、今般これらの障害を除き栄養改善行政を一段と推進させるために、本法が制定されるに至つたものである。即ち、この法は、国民栄養調査を実施することにより国民の栄養状態を明らかにし、栄養審議会を設置して関係行政機関の協力により綜合的対策を樹立し、栄養相談所及び栄養指導員を置いて栄養に関する相談を受け、且つ、栄養指導をなし、集団給食の管理によつて特定集団の栄養確保に努め、及び特殊栄養食品の標示を許可制にすることにより消費者が栄養食品を安心して入手できるようにする等、栄養改善の方途を講ずるようにしたものである。

これが施行に当つては右の趣旨を十分理解せられ、特に左記の点に留意し、本法の目的達成に遺憾のないよう格段の努力を致されたく命により通知する。

第一 一般的事項

一 この法律は国民の栄養状態を明らかにし、栄養思想を普及して国民の健康及び体力の維持向上を図ることを目的としているが、栄養の改善は、国民生活全般に関連を有するものであるから、栄養改善対策は本法に規定するところに止まらず、これを根幹として、より広汎な視野において有機的に適正な運営をはかることが必要であること。

二 この法律は労働基準法、教育委員会法、生活保護法、児童福祉法等と密接な関係があるので常に関係機関との連絡を密にして施行の円滑を期すること。

三 この法律の運用に当つては栄養の改善は国民の理解と協力によつてなされるものであるから取締よりも指導に重点を置き、法の目的を達するよう努めること。

第二 国民栄養調査に関する事項

一 調査世帯の選定にあたつては、全国の大、中、小都市及び郡部から無作為抽出法により抽出された国勢調査地区の半数の世帯を選び、同世帯を構成する者を被調査者とすること。

二 身体状況調査は医師を責任者とする医師、歯科医師、保健婦及び助手よりなる調査班を編成し、栄養摂取状況調査は栄養士を責任者とする栄養士及び助手よりなる調査班を編成して行うこと。

三 身体状況調査の調査場所の選定については、なるべく被調査者の利便を考慮すること。

四 法第四条に規定する国民栄養調査員はこの調査について知り得た個人の秘密を他人に漏らさないよう特に注意すること。なお身体状況調査に当る医師については刑法第一三四条第一項の規定の適用があることに留意されたいこと。

五 その他の細目については別途通知すること。

第三 栄養相談所に関する事項

栄養相談は、本来公衆衛生事業の一環として保健所の事業であるが、本事業をより強化し、利用者の認識を高め、その利用の活発化を図るために、この法律により保健所の附属機関として栄養相談所を設けることができるものとしたのであるから、栄養相談所の設置に当つては保健所の栄養室を整備し、栄養相談所としての機能及び活動ができるようにすること。

第四 栄養指導員に関する事項

一 都道府県及び保健所を設置する市にあつては、栄養指導員を保健所に一名以上配置するようにすること。

二 都道府県知事及び保健所を設置する市の市長はできるだけ速やかに医師又は栄養士たる技術吏員を栄養指導員に任命すること。但し当分の間、法附則第二項に規定する者を栄養指導員に任命することができること。

三 栄養指導員の業務要領に関しては、別途通知の予定であること。

第五 集団給食施設の栄養管理に関する事項

一 法第一○条にいう「食事」とは、副食と考えられるものをも含み、必ずしも米麦食を含むもののみを指すものではないこと。但し、間食(おやつを含む。)はここにいう食事の概念には入らないこと。

二 医療法及び労働基準法の定めるところにより病院、工場及び寄宿舎は、原則的に栄養士を置くことになつているが、その他の給食施設といえどもなるべく栄養士を置くように指導すること。

三 法第一○条及び法第一一条に規定する「管理」とは、その給食施設について、直接的責任を有することをいうものであること。したがつて病院は医師がこれを管理する建前になつているから法第一○条に規定する栄養指導員の指導をうける義務が除外されているものであること。

四 学校給食、病院給食及び一般集団給食の指導要領については別途通知すること。

第六 特殊栄養食品の標示許可に関する事項

一 特殊栄養食品の標示許可に関する規定の趣旨は、特に栄養的に優秀な食品についてそれが標示事項と間違いのないことを保証し、消費者が安心して入手できるように考慮したものであること。

二 法第一二条にいう「栄養成分の補給ができる旨の標示」とは、単なる客観的な栄養成分を含有する事実の標示ではなく、食品に特に栄養成分の補強を行い、その栄養成分が積極的に補給され得る旨の標示がなされているものをいうものであること。又「特別用途に適する旨の標示」とは、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用等として主として特定の対象の栄養補給に適する旨の標示をいうものであること。