○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の大都市特例の施行に係る留意事項について
(平成八年三月二一日)
(事務連絡各都道府県・各指定都市精神保健福祉主管部局長あて厚生省保健医療局精神保健課長通知)
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の大都市特例の施行に係る事項については、平成八年三月二一日健医発第三二三号厚生省保健医療局長通知「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律における大都市特例の施行について」により通知されているところであるが、精神保健関係事務の行政区域をまたがる場合の取扱い及び越境措置入院の場合の道府県と指定都市との関係について、別紙一及び別紙二の表を送付するので、参考の上、適切な運用に留意願いたい。
(別紙1)
精神保健関係事務の行政区域をまたがる場合の取扱いについて
大都市特例の施行後、指定都市の区域と道府県の指定都市以外の区域とをまたがる場合の取り扱いについては、基本的には、都道府県間の区域をまたがる場合と同様であり、「精神障害者の現在地」を基本としつつ、精神障害者の継続的な相談指導等の観点から、通報側の行政庁の管轄区域内であれば、できるだけ居住地の保健所・自治体で通報等を受けるものである。
なお、以下の取扱いは、基本的な考え方であり、自治体間の連携を密にして実情に応じた対応をとることが可能である。
(1) 一般申請(23条)・・保健所長を経て都道府県知事(指定都市市長)へ
①在宅の精神障害者
─→精神障害者の居住地の管轄保健所
(指定都市外に居住地を有する家族から、指定都市内に居住地を有する精神障害者について、診察及び保護の申請を行う場合は、当該精神障害者の居住地の保健所を経て指定都市に申請する。)
②居住地を離れているか又は居住地不明の精神障害者
─→精神障害者の現在地の管轄保健所
(2) 警察官通報(24条)・・保健所長を経て都道府県知事(指定都市市長)へ
①精神障害者の居住地を管轄する警察署に保護された場合
─→精神障害者の居住地の管轄保健所
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② 居住地を管轄する警察署以外の警察署で保護された場合又は居住地不明の場合
─→精神障害者の現在地(警察署の施設に保護されている場合はその所在地、施設内に一時保護しない場合は保護地)の管轄保健所
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(3) 検察官通報(25条)・・直接に都道府県知事(指定都市市長)へ
①精神障害者の居住地を所管する検察庁の検察官の場合
─→精神障害者の居住地の管轄知事・市長へ
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② 精神障害者の居住地の所轄検察庁以外の検察庁の検察官の場合又は居住地不明の場合
─→精神障害者の現在地(検察庁の庁舎に保護されている場合はその所在地、警察署の施設に保護されている場合はその所在地)の管轄知事・市長へ
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(4) 保護観察所の長の通報(25条の2)・・直接に都道府県知事(指定都市市長)へ
検察官通報の場合と同様
(5) 矯正施設(拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院)の長の通報(26条)・・直接に都道府県知事(指定都市市長)へ
*①②の取扱いは法定
①帰住地がある場合
─→帰住地の知事・市長に通報
(なるべく釈放又は退院日の直前に帰住地の最寄りの矯正施設に移送し、その施設より釈放又は退院させる等の方法を講じる(昭和30年法務省矯正局長通知)
②帰住地が無い場合
─→当該矯正施設の所在地の知事・市長に通報
(指定都市の区域内にある矯正施設においては、指定都市の市長に通報)
(6) 精神病院の管理者の届出(26条の2)・・保健所長を経て都道府県知事(指定都市市長)
─→精神病院の所在地の保健所
(7) 申請、通報又は届出に基づき行われる調査及び指定医の診察(27条①)
─→申請、通報又は届出を受けた知事(指定都市市長)が行う。
(8) 申請等が無い場合に職権で行う指定医の診察(27条②)
─→精神障害者の居住地又は現在地を管轄する都道府県知事(指定都市市長)が行う。
(9) 入院の措置(29条①)
─→27条①又は②の診察を行った知事(指定都市市長)が行う。
(別紙2)
越境措置入院の場合の道府県と指定都市との関係について
措置入院は、これまでは、原則としてその都道府県の区域内の精神病院において行われてきたが、大都市特例の施行に伴い、その区域内に指定病院を十分有しない指定都市が、指定都市以外の区域の精神病院に措置することや、道府県が、指定都市の区域内の精神病院に措置するなど、いわゆる越境措置を行うことが必要となる。
この場合、措置症状消退届、定期病状報告、退院請求、処遇改善請求、精神医療審査会の審査、審査結果による措置解除、退院命令、処遇改善命令等は、入院措置に伴う一連のものであるので、措置を行った知事・市長の事務とする。
なお、報告徴収及び職権による改善命令は、病院に対する一般的な指導監督によるものであるから、病院所在地を管轄する知事・市長の事務とする。
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*読替規定(地法自治法施行令第174条の36の2第4項)(上の表の◎が読替条文)
『措置入院者について精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第29条の5、第38条の2第1項、第38条の4及び第40条の規定を適用するときは、これらの規定中「都道府県知事」とあるのは、「その入院措置を採つた都道府県知事又は指定都市の市長」と読み替えるものとする。』