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○精神保健福祉法第一九条の八に基づく指定病院の指定について

(平成八年三月二一日)

(健医発第三二五号)

(各都道府県知事、各指定都市市長あて厚生省保健医療局長通知)

精神保健法の一部を改正する法律(平成七年法律第九四号)による改正後の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第一九条の八に基づく指定病院については、都道府県知事は、厚生大臣の定める基準に適合する精神病院の中から指定することとされたところであり、その基準については、平成八年三月二一日厚生省告示第九〇号「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第一九条の八の規定に基づき、厚生大臣の定める指定病院の基準を定める件」(以下「指定基準」という。)により定められ、平成八年四月一日より適用することとされたところである。

指定病院の指定基準については、これまで、昭和四〇年九月一五日衛発第六四六号厚生省公衆衛生局長通知「精神衛生法第五条に基づく指定病院の取扱いについて」により定めていたが、以後三〇年以上の期間の経過にもかかわらず、この指定基準を下回る指定病院が三割を占める現状にあり、一方、措置入院者の数は近年では大幅に減少しているところであり、指定病院を措置入院医療にふさわしいものとしていくことが是非とも必要となっている。このため、この基準の施行に当たっては、左記に掲げる事項に留意の上、適切な運用を図られたい。

なお、前記の昭和四〇年九月一五日衛発第六四六号通知は廃止する。

一 指定基準の第一号柱書(基本的事項)関係

第一号柱書中「都道府県知事又は指定都市の市長の求めに応じて措置入院者を入院させて適切な治療を行える診療応需の態勢を整えていること」については、措置入院者に対し適切な治療を行うための熱意と診療態勢により判断することとし、精神保健行政及び地域精神医療に対する協力と貢献、措置入院者の積極的な受け入れ、精神科救急や精神障害者の社会復帰の促進についての熱意、医師や看護職員の充実や作業療法士、精神科ソーシャルワーカー、臨床心理技術者などのコメディカル職種の充実についての努力、入院患者の人権保護や療養環境の向上についての努力などを考慮して、優先的な指定を行うこと。

このため、医療法等各種法令を遵守していない精神病院は、この基準に適合しないものであること。従って、医療法の人員配置基準を下回っている病院及び超過収容など医療法による使用許可を受けた病床以外の病床に患者を入院させている精神病院については、指定病院の指定を行わないものであること。

また、三年間にわたり新規又は継続の措置入院者を受け入れていない精神病院は、この基準に適合しないものであること。

二 指定基準の第一号一及び三(医師及び看護職員の配置)関係

第一号一及び三の医師及び看護職員の配置基準は、医療法施行規則等の一部を改正する省令(平成一三年厚生労働省令第八号)第一四条及び第一五条に規定する主として精神病の患者を入院させるための病室を有するものとして医療法等の一部を改正する法律(平成一二年法律第一四一号)による改正前の医療法(昭和二三年法律第二〇五号)第二一条第一項ただし書の許可を受けている病院に係る経過措置による基準と同一のものであること。

なお、措置入院者に対する医療を行う指定病院の基準としては、本来はより高いものが必要であることから、これよりも高い人員配置の精神病院を優先して指定することが必要であり、第一号三の基準については、応急入院指定病院の指定基準と同様に、基準看護の基本一類に相当する配置(看護婦、准看護婦及び看護補助者の数が入院患者数に対し四対一)以上であることが望ましく、第一号一の基準についても、より高い配置であることが望ましいこと。また、指定基準を満たすものとして指定した場合においても、指定病院は、人員配置の充実に努力することが必要であること。

また、第一号一及び三中、「入院患者の数」及び「外来患者の数」は、前年一年間の平均の精神病床入院数及び精神科外来数とする。また、「医師の数」及び「看護婦及び准看護婦の数」については、非常勤の者は医療法の例により常勤換算し、精神病床と精神病床以外の病床を有する病院にあっては、精神病床及び精神科の外来に従事する人員(兼務の場合は業務割合に応じて按分)とする。

三 指定基準の第一号二(常勤指定医の配置)関係

第一号二中「常時勤務する精神保健指定医」については、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律施行規則第四条の三によること。

四 指定基準の第三号(設備要件)関係

第三号中「必要な設備」については、措置入院者を入院させるのに適切な病床、デイルーム、食堂、作業療法用施設等のほか、保護室(隔離室)を適宜の数有すること。

五 基準の特例

指定基準の特例として、地域(おおむね二次医療圏)において指定基準の各号の全てに適合する複数の精神病院が無い場合にあっては、措置入院者に対する医療及び保護のために特に指定する必要がある精神病院については、第一号の基準を適用しないことができる。

これは、二次医療圏を単位とした地域において、基準の本則に適合する指定病院の数と国立又は都道府県立の精神病院の数との合計が、二病院に満たない場合に、その数が二病院になるまで基準の第一号の基準を満たさない精神病院の中から指定を行えることとしたものであること。

また、この場合においても、第一号一及び三の基準は、医療法の人員配置基準であるから、これを満たしていない病院の指定は特に慎重に行うこととし、やむを得ず指定した場合においては、指定の期限の間に基準を遵守できるよう改善を指導すること。

六 指定病院数及び指定病床数

指定病院数については、地域における精神病院数に比べて多すぎる地域や、少なすぎる地域があるが、措置入院者数の状況や精神病院の配置等の実情、精神科救急医療システムの整備に当たっての必要性等に応じ、過不足のない数とすること。

指定病院ごとの指定病床数については、各病院における措置入院者数の実情に比べて多すぎる地域があるが、これは、特定の病棟や病室を指定するものではなく、当該病院に措置しうる患者数を定めるものであることから、地域における措置入院者の状況及び当該病院の実情に応じ、過不足のない数(一病院当たりおおむね一〇床から三〇床程度)とすること。

七 指定期限及び更新

指定病院の指定は、原則として三年の期限を付して指定し、三年ごとに見直しを行い、更新すること。この場合、更新時期は、平成八年四月一日以後の三年度ごととし、既指定のものや新規指定のものについては、指定期限を調整して、更新時期を合わせること。