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○精神保健福祉センター運営要領について

(平成八年一月一九日)

(健医発第五七号)

(各都道府県知事、各指定都市市長あて厚生省保健医療局長通知)

精神保健法の一部を改正する法律(平成七年法律第九四号)により、精神保健法が「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」に改められ、精神障害者の福祉が法体系上に位置付けられ、精神保健センターは「精神保健福祉センター」に改められたところである。

精神保健センターの運営については、これまで、「精神保健センター運営要領」(昭和四四年三月二四日衛発第一九四号公衆衛生局長通知)により行われてきたが、今般の法律改正を踏まえて、これを廃止し、別紙のとおりの「精神保健福祉センター運営要領」を定めたので通知する。

なお、貴管下市町村及び関係機関に対する周知についてご配意願いたい。

別紙

精神保健福祉センター運営要領

精神保健福祉センター(以下「センター」という。)は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「法」という。)第六条に規定されているとおり、精神保健及び精神障害者の福祉に関する知識の普及を図り、調査研究を行い、並びに相談及び指導のうち複雑困難なものを行うとともに、精神医療審査会の事務並びに法第三二条第三項及び第四五条第一項の申請に関する事務のうち専門的な知識及び技術を必要とするものを行う施設であって、次により都道府県(指定都市を含む。以下同じ。)における精神保健及び精神障害者の福祉に関する総合的技術センターとして、地域精神保健福祉活動推進の中核となる機能を備えなければならない。

1 センターの目標

センターの目標は、地域住民の精神的健康の保持増進、精神障害の予防、適切な精神医療の推進から、社会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加の促進のための援助に至るまで、広範囲にわたっている。

この目標を達成するためには、保健所及び市町村が行う精神保健福祉業務が効果的に展開されるよう、積極的に技術指導及び技術援助を行うほか、その他の医療、福祉、労働、教育、産業等の精神保健福祉関係諸機関(以下「関係諸機関」という。)と緊密に連携を図ることが必要である。

2 センターの組織

センターの組織は、原則として総務部門、地域精神保健福祉部門、教育研修部門、調査研究部門、精神保健福祉相談部門、精神医療審査会事務部門及び精神障害者通院医療費公費負担・精神障害者保健福祉手帳判定部門等をもって構成する。

職員の構成については、所長のほか、次の職員を擁することとするが、業務に支障がないときは、職務の共通するものについて他の相談機関等と兼務することも差し支えないこと。

なお、ここで示す職員の構成は、標準的な考え方を示すものである。

医師(精神科の診療に十分な経験を有する者であること。)

精神保健福祉士

臨床心理技術者

保健師

看護師

作業療法士

その他センターの業務を行うために必要な職員

また、その職員のうちに精神保健福祉相談員の職を置くよう努めるとともに、所長には、精神保健福祉に造詣の深い医師を充てることが望ましいこと。

3 センターの業務

センターの業務は、企画立案、技術指導及び技術援助、教育研修、普及啓発、調査研究、資料の収集、分析及び提供、精神保健福祉相談、組織の育成、精神医療審査会の審査に関する事務並びに精神障害者通院公費負担及び精神障害者保健福祉手帳の判定などに大別されるが、それらは極めて密接な関係にあり、これらの業務の総合的な推進によって地域精神保健福祉活動の実践が行われなければならない。

(1) 企画立案

地域精神保健福祉を推進するため、都道府県の精神保健福祉主管部局及び関係諸機関に対し、専門的立場から、社会復帰の推進方策や、地域における精神保健福祉施策の計画的推進に関する事項等を含め、精神保健福祉に関する提案、意見具申等をする。

(2) 技術指導及び技術援助

地域精神保健福祉活動を推進するため、保健所、市町村及び関係諸機関に対し、専門的立場から、積極的な技術指導及び技術援助を行う。

(3) 教育研修

保健所、市町村、福祉事務所、社会復帰施設その他の関係諸機関等で精神保健福祉業務に従事する職員等に、専門的研修等の教育研修を行い、技術的水準の向上を図る。

(4) 普及啓発

都道府県規模で一般住民に対し精神保健福祉の知識、精神障害についての正しい知識、精神障害者の権利擁護等について普及啓発を行うとともに、保健所及び市町村が行う普及啓発活動に対して専門的立場から協力、指導及び援助を行う。

(5) 調査研究

地域精神保健福祉活動の推進並びに精神障害者の社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進等についての調査研究をするとともに、必要な統計及び資料を収集整備し、都道府県、保健所、市町村等が行う精神保健福祉活動が効果的に展開できるよう資料を提供する。

(6) 精神保健福祉相談

センターは、精神保健及び精神障害者福祉に関する相談及び指導のうち、複雑又は困難なものを行う。心の健康相談から、精神医療に係る相談、社会復帰相談をはじめ、アルコール、薬物、思春期、痴呆等の特定相談を含め、精神保健福祉全般の相談を実施する。センターは、これらの事例についての相談指導を行うためには、総合的技術センターとしての立場から適切な対応を行うとともに、必要に応じて関係諸機関の協力を求めるものとする。

(7) 組織育成

地域精神保健福祉の向上を図るためには、地域住民による組織的活動が必要である。このため、センターは、家族会、患者会、社会復帰事業団体など都道府県単位の組織の育成に努めるとともに、保健所、市町村並びに地区単位での組織の活動に協力する。

(8) 精神医療審査会の審査に関する事務

精神医療審査会の開催事務及び審査遂行上必要な調査その他当該審査会の審査に関する事務を行うものとする。

また、法第三八条の四の規定による請求等の受付についても、精神保健福祉センターにおいて行うなど審査の客観性、独立性を確保できる体制を整えるものとする。

(9) 精神障害者通院医療費公費負担及び精神障害者保健福祉手帳の判定

センターは、法第三二条第三項の規定による精神障害者通院医療費公費負担及び同法第四五条第一項の規定による精神障害者保健福祉手帳の申請に対する判定業務を行うものとする。

4 その他

(1) センターは、診療機能や、デイケア、社会復帰施設等のリハビリテーション機能をもつことが望ましい。

(2) 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成一五年法律第一一〇号)による地域社会における処遇については、保護観察所長が定める処遇の実施計画に基づき、地域精神保健福祉業務の一環として実施されるものであり、センターにおいても保護観察所等関係機関相互の連携により必要な対応を行うことが求められる。

(3) その他、センターは、地域の実情に応じ、精神保健福祉の分野における技術的中枢として、必要な業務を行う。