アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○精神科救急医療システム整備事業の実施について

(平成七年一〇月二七日)

(健医発第一、三二一号)

(各都道府県知事あて厚生省保健医療局長通知)

今般、精神障害者等の休日、夜間等における緊急時の精神医療の確保のために「精神科救急医療システム整備事業実施要綱」を別紙のとおり定め、平成七年七月一日より実施することにしたので通知する。

従来、救急医療対策の中で精神科の救急医療は必ずしも十分でなかったことから、本事業は精神科救急医療の充実を図るために創設するものであり、実施に当たっては一般の救急医療体制との十分な連携調整を図るものとする。各都道府県においては、この趣旨を踏まえ、地域の実情に応じた精神科救急医療システムを構築し、精神障害者等の緊急時における精神医療が確保されるよう積極的に対応されたい。

なお、本事業の実施により、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三三条の四の規定により都道府県知事が指定した応急入院指定病院に対する精神科救急医療施設運営費については、平成七年六月三〇日をもって廃止する。

別紙

精神科救急医療システム整備事業実施要綱

一 目的

精神科救急医療システム整備事業は、都道府県又は指定都市(以下「都道府県等」という。)が地域の実情に応じて病院群輪番制等による精神科救急医療施設を整備し、緊急な医療を必要とする精神障害者等のための精神科救急医療体制を確保することを目的とする。

二 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県等とする。ただし、事業の内容に応じて、その一部を都道府県等が適当と認める団体に委託できるものとする。

三 事業の内容

この事業は、一般の救急医療体制の中で実施することを原則とするが、精神科医療施設の分布状況等を勘案し、地域の実情に応じて実施できることとし、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成一一年法律第六五号)により創設された移送制度を盛り込むなど、概ね以下の内容を有するシステムを二四時間体制により構築するものとする。

なお、指定都市を有する道府県においては、当該市と有機的連携をもって本事業の実施に努めるものとする。

(一) 精神科救急医療システム連絡調整委員会

精神科救急医療システムの円滑な運営を図るための精神科救急医療システム連絡調整委員会を設けること。この委員会は、都道府県、指定都市、医師会、精神病院協会、消防機関等の関係者によって行われるものである。

なお、この委員会は、従来の救急医療対策における関係機関による連絡会議等との間で、移送制度を含め、十分な連携及び調整を図ること。

(二) 精神科救急情報センター

精神障害者又は保護者等からの相談窓口や精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二五年法律第一二三号。以下「法」という。)に基づく移送を適正かつ円滑に実施するための精神保健指定医、応急入院指定病院等との連絡調整機能等を、「精神科救急情報センター」として公立病院、精神保健福祉センター、保健所など精神科救急医療システムの中核となる機関に整備するものとし、当該機能を的確に実施するため、精神保健福祉士等の精神保健福祉施策に精通した者を置くものとする。

また、精神障害者の疾患の重篤化を軽減する観点から、別に定める二四時間精神医療相談事業を併せて実施するなど、相談体制の強化に努めること。

なお、当該機能の整備に当たっては、既に整備されている相談窓口等の活用を妨げるものではない。

(三) 精神科救急医療施設

精神科救急医療施設は、本事業が実施可能な精神病院の中から、地域の実情に応じて都道府県知事又は指定都市市長が指定し、病院群輪番制等により実施することとする。

精神科救急医療施設として指定された精神病院は、緊急受診者への対応ができる体制(精神保健指定医のオンコール等による。)を整えるものとし、入院を必要とする場合には入院させることができるよう空床を確保することとする。

なお、法第三三条の四の規定により都道府県知事又は指定都市市長が指定した応急入院指定病院については、本事業の趣旨に鑑み原則として精神科救急医療施設として指定を行い、本事業に積極的に参画することとする。

(四) 搬送体制

法第三四条に関する搬送体制の整備を図るとともに、消防機関又は精神科救急医療施設等の協力を得ながら、患者を速やかに搬送することが可能な体制を整備するものとする。

(五) 支援病院の確保

精神科救急医療システムの円滑な運営を図るため、救急医療を終了した者については転院させることができるよう、必要に応じ支援病院を指定するなどその確保に努めること。

四 経費の負担

都道府県等がこの実施要綱に基づき実施する事業に要する経費については、厚生労働大臣が別に定める「精神保健費等国庫負担(補助)交付要綱」に基づいて、予算の範囲内で国庫補助を行うものとする。