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○精神保健福祉法の公費負担医療の保険優先化に伴う取扱いについて
(平成七年六月一六日)
(健医精発第三〇号)
(各都道府県精神保健主管部局長あて厚生省保健医療局精神保健課長通知)
精神保健法の一部を改正する法律(平成七年法律第九四号)による精神障害者の公費負担制度の公費優先の仕組みから保険優先の仕組みへの改正は、平成七年七月診療分から適用されるが、左記の点に留意の上、各医療機関及び関係機関との連絡を図りつつ、円滑な施行に努められるよう、特段の配慮をお願いする。
なお、左記の取扱いについては、厚生省保険局及び社会保険庁と調整済みであることを申し添える。
記
一 措置入院患者の医療費の公費負担制度に関する事項
(一) 医療保険未適用者の取扱いの基本的考え方
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)では、措置入院の医療に要する費用は、まず全額を公費で負担するとした上で、精神保健福祉法第三〇条の二の調整規定において、医療保険又は老人保健により医療に関する給付を受けることができる者であるときは、その限度において公費負担をすることを要しないとしている。
ここで、「医療に関する給付を受けることができる者であるとき」とは、現に医療保険の被保険者証等を有し、現に医療保険の給付を受けることができる者をいい、例えば、国民健康保険法第五条及び第六条の要件を満たし、同法第七条の定めるところにより、法律的には被保険者資格を取得しているが、同法第九条の届出を行っていないために被保険者証等の交付を受けていない者は、これに該当しないものであること。
従って、このような医療保険未適用者については、精神保健福祉法の公費負担医療の側で一〇割給付を行うものであること。
(二) 措置入院患者の加入医療保険の把握について
このため、措置入院患者が医療保険制度の届出等を行っていない者である場合には、精神保健主管課としても、早急に医療保健制度の届出等を行わせ、被用者保険又は国民健康保険の被保険者証等の取得をさせることが必要である。
そこで、新たに入院措置を行う都度、加入医療保険の把握を行い、加入手続きを行っていない場合には、保護者等に対して手続きを促すとともに、被用者保険の加入者となる場合や、生活保護の医療扶助の対象となっている場合を除き、市町村の国民健康保険主管課に連絡し、国民健康保険の適用手続きが行われるようにすること。
なお、今般の保険優先化の実施に先だって、各都道府県においては、既に措置している措置患者の全数について、加入医療保険の確認を行い、前記の取扱いを講じること。
(三) 医療保険加入手続が遅れた場合の取扱い
措置入院後遅滞なく医療保険加入手続が行われれば、遡及して措置入院時から医療保険が適用されるため、保険優先の取扱いを行うことができるが、医療保険加入手続きが遅れ、翌月に至った場合には、医療機関においては、その月の医療に要した費用については、一〇割を公費負担として請求できること。
なお、この場合においても、医療保険が遡及して適用され、療養費払いにより被保険者が保険者から給付を受けることができた場合には、都道府県は、当該被保険者に対して求償することもできること。
二 通院医療費の公費負担制度に関する事項
(一) 医療保険未適用者の取扱いについて
通院医療費の公費負担制度についての取扱いも、前記一(一)(二)(三)と同様であり、医療保険未適用者にも、医療費の九五%を公費で負担することができること。
従って、今後、通院医療費の患者票の発行の前に、申請の審査の段階で医療保険加入状況の確認を行い、医療保険未適用者である場合は、一(二)と同様、保険適用手続きが行われるような取扱いを講じ、支障が生じないよう努められたいこと。
(二) 通院医療費の医療機関の窓口における自己負担額の端数処理について
通院医療費の公費負担制度により、医療費の九五%を公費負担するため、五%の部分が患者の自己負担となるが、この部分は、性格上、医療保険制度における一部自己負担であるから、健康保険法第四三条の八の二に規定する一部負担金の端数処理の規定が適用され、医療機関においては、一〇円未満の金額は、四捨五入して、自己負担額を徴収するものであること。また、国民健康保険等についても同様の取扱いをするものであること。