○応急入院指定病院の指定等について
(平成一二年三月三〇日)
(障精第二三号)
(各都道府県各指定都市精神保健福祉主管部(局)長あて厚生省大臣官房障害障害保健福祉部精神保健福祉課長通知)
応急入院指定病院の指定等については、これまで昭和六三年五月一三日健医精発第一六号厚生省保健医療局精神保健課長通知「精神衛生法等の一部を改正する法律による改正後の精神保健法の運用上の留意事項について」中の第五「入院制度に関する事項」の四の(三)「応急入院について」に基づき行われてきたところである。
今般、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成一一年法律第六五号)により、緊急に入院が必要となる精神障害者を移送する規定が設けられ、また、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二五年法律第一二三号)第三三条の四第一項の規定に基づき、厚生大臣の定める基準を定める件の一部を改正する件(平成一二年三月厚生省告示第一〇六号)により、応急入院指定病院の指定基準が改正され、平成一二年四月一日から施行されること等に伴い、別添のとおり新たに要領を定めたので、適切な運用に努められるとともに、応急入院指定病院の指定の促進に向けた関係団体、関係機関に対しての周知徹底及び精力的な助言指導をお願いしたい。
なお、平成八年三月二一日健医精第二二号「応急入院指定病院の指定の促進について」は廃止する。
別添
応急入院指定病院の指定等に係る事務取扱要領
一 応急入院指定病院の指定について
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二五年法律第一二三号。以下「法」という。)第三三条の四第一項の規定による都道府県知事(指定都市にあってはその長。以下同じ。)の指定(以下「応急入院指定病院の指定」という。)は、法第三三条の四第一項の規定に基づき厚生労働大臣の定める基準(昭和六三年四月厚生省告示第一二七号。以下「指定基準」という。)に適合する精神病院について行うこととされているところであるが、応急入院指定病院の指定に当たっては、特に次の事項について十分留意されたいこと。
(一) 指定基準の考え方について
ア 診療応需の体制について
指定基準の第一号中、法第一八条第一項の規定により指定された精神保健指定医(以下「指定医」という。)一名以上及び看護婦等三名以上が法第三三条の四第一項第一号に掲げる者及び法第三四条第一項から第三項までの規定により移送される者(以下「応急入院者等」という。)に対して「診療応需の態勢を整えていること」とは、当該精神病院の医療従事者のうち指定医一名以上及び看護婦等三名以上が応急入院者等の医療及び保護を行う体制(オンコールを含む。)にあり、かつ、それぞれの医療従事者が応急入院者等の診療に当たることが、他の入院患者の医療及び保護に支障をきたすようなことがないものをいうこと。
なお、看護婦等とは、看護婦、看護士、精神保健福祉士を指すこととしていること。
イ 例外規定について
指定基準の第二号ただし書中「やむを得ない事情」については、当該地域(おおむね二次医療圏)において同号の基準の本則を満たす精神病院がなく、かつ、応急入院制度及び移送制度を適用する必要性が高いと認められる場合をいうものであること。
ウ 空床の確保について
指定基準の第三号中「第一号に規定する日」については、都道府県における精神科救急医療システム及び法第三四条による移送が円滑に行われる圏域において、複数の応急入院指定病院が指定されている場合、当該圏域において、年間を通じて終日、患者が受け入れられるよう体制を整備するための規定であること。なお、このことは当該圏域において同日に複数の病院が患者を受け入れられる体制の整備を妨げるものではないこと。
エ 必要な検査について
指定基準の第四号中「必要な検査」とは、頭部コンピューター断層撮影(CT)、脳波検査、基礎的な血液検査等をいうものであること。なお、これら検査については、必要に応じて他の医療機関の協力が得られていて速やかに検査が行われる体制がある場合には、当該精神病院において整備することを要しないものであること。
(二) 指定基準の運用等について
ア 人員配置の基準について
医療法(昭和二三年法律第二〇五号)第二一条第一項第一号の規定に基づく人員配置基準を下回っている精神病院については、指定基準の第二号ただし書中「やむを得ない事情」に拘わらず、応急入院指定病院の指定を行わないものであること。
イ 指定医の数
指定医二名以上が常勤で勤務している病院を指定すること。ただし、地域における応急入院者等に係る医療及び保護を提供する体制の確保を図る上で、やむを得ない事情があるような場合には、この限りではない。
ウ 精神科救急医療システムとの関連について
応急入院制度は、精神科救急医療システムを有効に運用することが必要となる入院形態であるから、「精神科救急医療システム整備事業実施要綱」(平成七年一〇月二七日健医発第一三二一号厚生省保健医療局長通知の別紙)による精神科救急医療施設であって、指定基準の本則を満たしている病院に対しては、応急入院指定病院の指定を行うことが望ましいこと。
エ 計画的な指定について
応急入院指定病院の指定に当たっては、応急入院者等の受入れ及び法第三四条による移送が円滑に行われるために、都道府県ごとに必要な圏域で計画的に指定を行うこと。
オ 応急病院指定病院の指定に係る報告について
都道府県知事は、応急入院指定病院の指定を行った場合においては、別添様式一により本職に報告を行われたいこと。また、指定後については、当該精神病院の名称及び所在地を都道府県公報等により公告し、併せて関係機関に連絡するなど応急入院制度の適正かつ円滑な運営に必要な措置を講じられたいこと。
なお、指定基準の第二号ただし書の特例を適用して指定を行った場合は、その旨を別添様式一の特記事項の欄に記載されたいこと。
カ 応急入院指定病院の指定の見直しについて
応急入院指定病院の指定は、原則として三年の期限を付して指定し、三年ごとに見直しを行い、更新すること。
二 指定の取消しについて
都道府県知事は、指定の取消しを行った場合においては、別添様式二により本職に報告を行われたいこと。また、取消し後については、当該精神病院の名称及び所在地を都道府県公報等により公告し、併せて関係機関に連絡するなど応急入院制度の適正かつ円滑な運営に必要な措置を講じられたいこと。
三 その他について
応急入院制度については厳に適正な運用が要請されることにかんがみ、都道府県知事は、各応急入院指定病院からの法第三三条の四第二項の規定による届出の状況に十分留意し、応急入院の実態の把握に努められたいこと。
(様式1)
(様式2)