添付一覧
○成年後見制度の創設に伴う厚生省関係法令の改正等について
(平成一二年三月二七日)
(障第一九三号・健政発第三二一号・健医発第五二〇号・生衛発第四六三号・医薬発第三〇七号・社援第六八八号・老発第二五五号・児発第一九四号・保発第四四号・年発第二〇七号・庁保発第九号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生省大臣官房障害保健福祉部長・厚生省健康政策局長・厚生省保健医療局長・厚生省生活衛生局長・厚生省医薬安全局長・厚生省社会・援護局長・厚生省老人保健福祉局長・厚生省児童家庭局長・厚生省保険局長・厚生省年金局長・社会保険庁運営部長通知)
高齢社会への対応及び障害者福祉の充実の観点から、痴呆性高齢者、精神障害者、知的障害者等の判断能力の不十分な者の保護を図るため、民法の一部を改正する法律(平成一一年法律第一四九号)、任意後見契約に関する法律(平成一一年法律第一五〇号)及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成一一年法律第一五一号。以下「整備法」という。)により、後見・保佐・補助制度の導入等による禁治産・準禁治産制度の改正及び任意後見制度の創設等が行われたところである。また、これに併い、後見登記等に関する法律(平成一一年法律第一五二号)により、禁治産及び準禁治産の宣告を戸籍に記載する公示方法に代わる新たな登記制度の創設等が行われた。なお、これらの法律は平成一一年一二月八日に公布され、平成一二年四月一日に施行されるところである。
厚生省の所管する法律については、整備法において、高齢者、障害者等の福祉に資するため、関係法律の整備を行うとともに、今回の民法の一部改正により後見人等の用語の改正が行われたことに伴う用語の整備等を行った。
また、前記整備法の成立を受けて、民法の一部を改正する法律及び民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成一二年政令第三七号。以下「整備政令」という。)が平成一二年二月一六日に公布され、厚生省の所管する政令についても、民法の一部改正に伴う用語の整備を行った。
さらに、厚生省令については、前記整備法等を受けて、平成一二年三月二七日に民法の一部を改正する法律等の施行に伴う厚生省関係省令の整備に関する省令(平成一二年厚生省令第三九号。以下「整備省令」という。)が公布され、同様に民法の一部改正に伴う用語の整備を行うとともに、各種申請書への登記事項証明書の添付等、所要の見直しを行ったところである。
今回の改正における厚生省関係法令の改正の趣旨及び内容を左記のとおり通知するので、本件についてご理解いただくとともに、管内市町村にご周知いただき、成年後見制度が適切かつ十分に活用されるようご配意いただきたい。
記
第一 老人福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律及び知的障害者福祉法の一部改正
一 趣旨
(一) 後見・保佐・補助制度の導入等による禁治産・準禁治産制度の改正及び任意後見制度の創設等に伴い、成年後見制度を柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度とすることを目的として、整備法において、老人福祉法(昭和三八年法律第一三三号)、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二五年法律第一二三号)及び知的障害者福祉法(昭和三五年法律第三七号)の一部が改正され、判断能力が不十分な痴呆性高齢者、精神障害者及び知的障害者について、市町村長が、これらの者の福祉を図るため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所に対し、後見・保佐・補助の開始等の審判を請求することができる旨の規定が設けられた。(改正後の老人福祉法第三二条、改正後の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五一条の一一の二、改正後の知的障害者福祉法第二七条の三)
(二) 成年後見制度は、私法上の法律関係を規律するものであり、本人、配偶者、四親等内の親族等の当事者による申立に基づく利用に委ねることが基本となるが、判断能力が不十分な痴呆性高齢者、精神障害者及び知的障害者のうち、身寄りがない場合など当事者による申立が期待できない状況にあるものについて、当事者による審判の請求を補完し、成年後見制度の利用を確保するため、これらの者に対する相談、援助等のサービス提供の過程において、その実情を把握しうる立場にある市町村長に対し、審判の請求権を付与することとしたものである。
二 内容
老人福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律及び知的障害者福祉法の規定により、市町村長は、以下の審判の請求を行うことができることとされている。
① 後見開始の審判(改正後の民法第七条)
② 保佐開始の審判(改正後の民法の第一一条)
③ 保佐人の同意を要する行為の範囲の拡張の審判(改正後の民法第一二条第二項)
④ 補助開始の審判(改正後の民法第一四条第一項)
⑤ 補助人の同意権の付与の審判(改正後の民法第一六条第一項)
⑥ 保佐人の代理権の付与の審判(改正後の民法第八七六条の四第一項)
⑦ 補助人の代理権の付与の審判(改正後の民法第八七六条の九第一項)
なお、市町村長による審判の請求における留意事項等については、別途通知するところによるものとする。
第二 その他の関係法令の改正
一 法律上の用語の整備等
(一) 次の各法について、「禁治産者」を「成年被後見人」に、「準禁治産者」を「被保佐人」に改める。
○ 水道法(昭和三二年法律第一七七号)(整備法第八条第一〇号)
○ 薬剤師法(昭和三五年法律第一四六号)(整備法第八条第一一号)
○ 外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修練に係る医師法第一七条及び歯科医師法第一七条の特例等に関する法律(昭和六二年法律第二九号)(整備法第八条第二三号)
○ 社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六二年法律第三〇号)(整備法第八条第二四号)
○ 精神保健福祉士法(平成九年法律第一三一号)(整備法第八条第三四号)
○ 予防接種法(昭和二三年法律第六八号)(整備法第一一条第三号)
○ 薬事法(昭和三五年法律第一四五号)(整備法第一一条第五号)
○ 食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律(平成二年法律第七〇号)(整備法第一一条第九号)
(二) 次の各法について、「後見人」を「未成年後見人」に改めるほか、所要の整備を行う。
○ 児童福祉法(昭和二二年法律第一六四号)(整備法第二二条)
○ 母子保健法(昭和四〇年法律第一四一号)(整備法第九二条)
(三) 次の各法について、「禁治産者」を「成年被後見人」に、「準禁治産者」を「被保佐人」に改めるほか、所要の整備を行う。
○ 大麻取締法(昭和二三年法律第一二四号)(整備法第二五条)
○ 医師法(昭和二三年法律第二〇一号)(整備法第二九条)
○ 歯科医師法(昭和二三年法律第二〇二号)(整備法第二九条)
○ 医療法(昭和二三年法律第二〇五号)(整備法第三〇条第一号)
○ あへん法(昭和二九年法律第七一号)(整備法第三〇条第二号)
○ 社会保険労務士法(昭和四三年法律第八九号)(整備法第三〇条第四号)
○ 社会福祉事業法(昭和二六年法律第四五号)(整備法第六〇条)
○ 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)(整備法第九八条)
(四) 次の法律について、「後見人」を「未成年後見人」に、「禁治産者」を「成年被後見人」に改めるほか、所要の整備を行う。
○ 生活保護法(昭和二五年法律第一四四号)(整備法第四六条)
(五) 次の各法について、「禁治産者」を「成年被後見人」に改めるほか、所要の整備を行う。
○ 結核予防法(昭和二六年法律第九六号)(整備法第六二条)
○ 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二八年法律第一四号)(整備法第七四条)
○ 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和四八年法律第一一七号)(整備法第九九条)
(六) 次の法律について、罷免要件から禁治産者及び準禁治産者を削るほか、所要の整備を行う。
○ 社会保険審査官及び社会保険審査会法(昭和二八年法律第二〇六号)(整備法第七〇条第三号)
(七) 次の各法について、所要の整備を行う。
○ クリーニング業法(昭和二五年法律第二〇七号)(整備法第五三条)
○ 厚生年金保険法(昭和二九年法律第一一五号)(整備法第七七条第一号)
○ 国民年金法(昭和三四年法律第一四一号)(整備法第七七条第二号)
二 関係政令、省令及び告示上の用語の整備等
(一) 政令
次の各政令について、「禁治産者若しくは準禁治産者」を「成年被後見人若しくは被保佐人」に改める。
○ 容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律施行令(平成七年政令第四一一号)(整備令第一四条第一号)
○ 特定家庭用機器再商品化法施行令(平成一〇年政令第三七八号)(整備令第一四条第二号)
(二) 省令
① 次の省令について、「後見人」を「未成年後見人」に改める。
○ 児童福祉法施行規則(昭和二三年厚生省令第一一号)(整備省令第一条関係)
② 次の各省令について、免許の申請書に添えなければならない書類に「後見登記等に関する法律第一〇条第一項の規定による後見登記等ファイルに自己を成年被後見人又は被保佐人とする登記記録がない旨を証明した書面」を加え、「禁治産者又は準禁治産者」を「成年被後見人又は被保佐人」に改める。
○ 医師法施行規則(昭和二三年厚生省令第四七号)(整備省令第二条関係)
○ 歯科医師法施行規則(昭和二三年厚生省令第四八号)(整備省令第三条関係)
○ 薬剤師法施行規則(昭和三六年厚生省令第五号)(整備省令第八条関係)
③ 次の各省令について、「親権者」を「親権者等」に、「後見人」を「成年後見人等」に改める。この際、「親権者等」とは、未成年者のために親権を行う方及び未成年後見人であり、「成年後見人等」とは成年後見人、保佐人、補助人及び任意後見人をいう。
○ 戦傷病者戦没者遺族等援護法施行規則(昭和二七年厚生省令第一六号)(整備省令第四条関係)
○ 引揚者給付金等支給法施行規則(昭和三二年厚生省令第二五号)(整備省令第六条関係)
○ 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法施行規則(昭和三八年厚生省令第一三号)(整備省令第九条関係)
○ 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法施行規則(昭和四〇年厚生省令第二七号)(整備省令第一〇条関係)
○ 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法施行規則(昭和四一年厚生省令第二二号)(整備省令第一一条関係)
○ 戦没者の父母等に対する特別給付金支給法施行規則(昭和四二年厚生省令第二二号)(整備省令第一二条関係)
④ 次の省令について、「禁治産の宣告」及び「禁治産者の宣告」をそれぞれ「後見開始の審判」に改める。
○ 麻薬及び向精神薬取締法施行規則(昭和二八年厚生省令第一四号)(整備省令第五条関係)
⑤ 次の省令について、「禁治産者」を「成年被後見人」に、「禁治産の宣告」を「後見開始の審判」に改める。
○ 薬事法施行規則(昭和三六年厚生省令第一号)(整備省令第七条関係)
⑥ 次の省令について、「禁治産者」を「成年被後見人」に、「準禁治産者」を「被保佐人」に改める。
○ 外国医師又は外国歯科医師が行う臨床修練に係る医師法第一七条及び歯科医師法第一七条の特例等に関する法律施行規則(昭和六二年厚生省令第四七号)(整備省令第一三条関係)
⑦ 次の省令について「後見人」を「成年後見人等」に改める。
この際「成年後見人等」とは成年後見人、保佐人、補助人及び任意後見人をいう。
○ 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行規則(平成七年厚生省令第三三号)(整備省令第一四条関係)
(三) 告示
次の各告示について、「後見人」を「未成年後見人」に改める。
○ 指定育成医療機関医療担当規程(昭和三三年厚生省告示第二八一号第六条、第七条)
○ 指定療育機関医療担当規程(昭和三六年厚生省告示第二五二号第八条)