添付一覧
○民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律による老人福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律及び知的障害者福祉法の一部改正について
(平成一二年三月三〇日)
(障障第一一号・障精第二一号・老計第一三号)
(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生省大臣官房障害保健福祉部障害福祉・精神保健福祉・老人保健福祉局老人福祉計画課長連名通知)
民法の一部を改正する法律(平成一一年法律第一四九号)、任意後見契約に関する法律(平成一一年法律第一五〇号)、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成一一年法律第一五一号。以下「整備法」という。)及び後見登記等に関する法律(平成一一年法律第一五二号)が平成一一年一二月八日に公布され、平成一二年四月一日より施行されることになるが、整備法において老人福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律及び知的障害者福祉法の一部が改正され、市町村による審判の請求に関する規定が設けられた。
今般、「成年後見制度の創設に伴う厚生省関係法令の改正等について」(平成一二年三月二七日付け障第一九三号、健政発第三二一号、健医発第五二〇号、生衛発第四六三号、医薬発第三〇七号、社援第六八八号、老発第二五五号、児発第一九四号、保発第四四号、年発第二〇七号、庁保発第九号大臣官房障害保健福祉部長、健康政策局長、保健医療局長、生活衛生局長、医薬安全局長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長、保険局長、年金局長、社会保険庁運営部長連名通知)において別途通知することとされていた市町村長の審判の請求における留意事項等について、左記のとおり定めたので、御了知の上、管下市町村にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。
記
1 市町村における成年後見開始の申立事務について
成年後見制度は、私法上の法律関係を規律するものであり、本人、配偶者、四親等内の親族等の当事者による申立に基づく利用に委ねることが基本となるが、判断能力が不十分な痴呆性高齢者、精神障害者及び知的障害者のうち、身寄りがない場合など当事者による申立が期待できない状況にあるものについて、当事者による審判の請求を補完し、成年後見制度の利用を確保するため、これらの者に対する相談、援助等のサービス提供の過程において、その実情を把握しうる立場にある市町村長に対し、審判の請求権を付与することとしたものである。
こうしたことを踏まえ、市町村長の審判の請求を行うか否かの判断に当たっては、別添1及び別添2を参考にされたい。
また、判断能力が不十分な痴呆性高齢者、精神障害者及び知的障害者のうち、身寄りがない場合など当事者による申立が期待できない状況にあるものについての権利擁護のための支援策としては、市町村長の審判の請求に基づく成年後見制度の活用のほか、地域福祉権利擁護事業の活用も考えられること、さらに、身寄りのない痴呆性高齢者等は、老人福祉法第一〇条の四又は第一一条に基づく市町村の措置等の対象になりうることを申し添える。(任意後見契約が登記されている場合には、原則として当該契約が優先することになる。(任意後見契約に関する法律第一〇条))
なお、成年後見制度と地域福祉権利擁護事業との関係については、「民法の一部を改正する法律等の施行に伴う地域福祉権利擁護事業の実施上の留意点について」(平成一二年三月三〇日社援地第一四号厚生省社会・援護局地域福祉課長通知)を参考にされたい。
2 市町村長の審判の請求における留意事項等について
(1) 申立書について
申立書について、家庭裁判所で用いられる書式例(別添3)を参考までに添付する。なお、実際の申立てに当たっては、その提出先が後見・保佐・補助の開始の審判を受ける者の住所地を管轄する家庭裁判所であることから、記載方法等については、管轄の家庭裁判所に確認されたい。
(2) 審判の請求に要する費用について
審判の請求にあたっては、印紙代(六〇〇円)、登記手数料(後見・保佐・補助の開始の審判の申立については、四〇〇〇円)、鑑定費用等の費用負担が必要となる。また、後見等の開始後には、後見等の事務を行うために必要な経費や成年後見人等の報酬等の費用負担が必要となるが、これらについては、本人が負担することになること。
(3) 成年後見人等の候補者について
申立てに当たっては、適当な成年後見人等の候補者がある場合には、これを申立書に記載することが望ましいが、家庭裁判所は、成年後見人等の選任に当たって、
・成年被後見人等の心身の状態並びに生活及び財産の状況
・成年後見人等となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人等との利害関係の有無
・成年後見人等となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人等との利害関係の有無
・成年被後見人等の意見
・その他一切の事情
を考慮しなければならないこととされている。(改正後の民法第八四三条第四項、第八七六条の二第二項及び第八七六条の七第二項)
市町村長の審判の請求の際に成年後見人等の候補者を申立書に記載する場合、例えば、痴呆性高齢者、精神障害者及び知的障害者のうち、社会福祉施設に入所しているものについては、当該施設の施設長や当該施設を経営する法人を成年後見人等とすることは本人にとって利益相反に当たる可能性があることに留意すること。
(4) 医師の診断書について
補助開始の審判の際に必要となる医師の診断書についても、最高裁判所事務総局家庭局作成の書式例(別添4)を参考までに添付する。
(別添1)
(別添2)
(別添3―1)
(別添3―2)
(別添3―3)
(別添4)