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○健康保険法等の一部を改正する法律等の施行について(抄)
(昭和五九年九月二九日)
(健医発第三八八号)
(各都道府県知事・各政令市長・各特別区あて厚生省保健医療局長通知長)
健康保険法等の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)、健康保険法施行令等の一部を改正する政令(以下「改正政令」という。)及び健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(以下「改正省令」という。)が、昭和五九年八月一四日法律第七七号、昭和五九年九月八日政令第二六八号及び昭和五九年九月二二日厚生省令第四九号としてそれぞれ公布され、一部を除き同年一○月一日から施行されることとされたところであるが、当局関係法令の改正の概要(老人保健法関係を除く。)及びその施行に当たつて留意すべき事項は左記のとおりであるので、その運用について遺憾なきを期されたく、通知する。
なお、当局所管の公費負担医療の対象者、医療機関等の関係者に対しても、関係事項の周知徹底方お取り計らい願いたい。
記
第一 当局関係法令の改正の概要
二 精神衛生法関係
(一) 精神衛生法(昭和二五年法律第一二三号)の一部改正(改正法附則第四〇条)
一の(一)のイと同様の改正が行われたこと。
(二) 精神衛生法施行令(昭和二五年政令第一五五号)の一部改正(改正政令第一八条)
ア 精神衛生法第三二条第一項の規定に基づく医療(以下「通院医療」という。)を担当する医療機関について、特定療養費制度の創設に伴い、健康保険法第四四条第一項に規定する特定承認保険医療機関及び国民健康保険法第五三条第一項に規定する特定承認療養取扱機関が追加されるとともに、日雇労働者健康保険法の廃止に伴う所要の規定の整理が行われたこと。
イ 一の(二)と同様の趣旨により、通院医療につき都道府県が負担する費用の請求についての審査に関する事務を委託することができる者として、改正後の国民健康保険法第四五条第六項に規定する厚生大臣が指定する法人(国保中央会)が追加されたこと。
(三) 精神衛生法施行規則(昭和二五年厚生省令第三一号)の一部改正(改正省令第一一条)
ア 特定療養費制度の創設に伴い、国若しくは都道府県の設置する病院若しくは指定病院又は通院医療を担当する医療機関が、当該医療機関等が行つた医療に係る診療報酬の請求に際し、国民健康保険法による特定療養費に係る費用の請求を併せて行う場合には、国保請求省令の定める手続きによることとされたいこと。
イ 日雇労働者健康保険法の廃止に伴う規定の整理その他所要の改正が行われたこと。
三 結核予防法関係
(一) 結核予防法(昭和二六年法律第九六号)の一部改正(改正法附則第四○条)
一の(一)のイと同様の改正が行われたこと。
(二) 結核予防法施行令(昭和二六年政令第一四二号)の一部改正(改正政令第一五条)
結核予防法第三四条第三項の規定により指定医療機関が請求することのできる診療報酬の額を決定するに当たつて都道府県知事が意見を聴かなければならない医療に関する審査機関について、一の(二)と同様の改正が行われたこと。
(三) 結核予防法施行規則(昭和二六年厚生省令第二六号)の一部改正(改正省令第一二条)
ア 指定医療機関が、当該指定医療機関が行つた医療に係る診療報酬の請求に際し、国民健康保険法による特定療養費に係る費用の請求を併せて行う場合には、国保請求省令の定める手続きによることとされたこと。
イ 日雇労働者健康保険法の廃止に伴う規定の整理その他所要の改正が行われたこと。
四 予防接種法関係
(一) 予防接種法施行令(昭和二三年政令第一九七号)の一部改正(改正政令第一六条)
ア 被用者保険本人に係る定率の一部負担金制度の導入に伴い、予防接種法第一六条第一項の規定による認定を受けた者であつて、被用者保険各法の規定による被保険者等であるものが、被用者保険各法の規定による療養の給付を受け、又は受けることができたときは、当該療養の給付に関する一部負担金に相当する額の限度において、予防接種法第一七条第一号の規定に基づく医療費を支給することとされたこと。
イ 日雇労働者健康保険法の廃止に伴う所要の規定の整理が行われたこと。
第二 施行上の留意事項
一 高額療養費制度の改正に伴う当局所管の公費負担医療の取扱いについて
(一) 同一月において、被用者保険各法の規定による被保険者等及びその被扶養者の支払つた一部負担金等の額のうち、三万円以上のものを合算した額が五万一千円を超える場合、並びに同一月において国民健康保険の被保険者の支払つた一部負担金等の額のうち、三万円以上のものを同一世帯について合算した額が五万一千円を超える場合には、それぞれ当該合算額から五万一千円を控除した額が支給されることとされたが、次に掲げる医療に関する給付(以下「保険優先の公費負担医療」という。)が行われるべき療養を受けた場合には、合算の対象とはならないものとされたこと。
(ア) 原爆医療法による一般疾病医療費の支給
(イ) 予防接種法第一七条第一号の医療費の支給
(ウ) 沖縄特例政令第三条又は第四条の医療費の支給
(エ) 昭和四八年四月一七日衛発第二四二号厚生省公衆衛生局長通知「特定疾患治療研究事業について」による治療研究に係る医療の給付
(オ) 昭和五九年四月一○日衛発第二六六号厚生省公衆衛生局長通知「毒ガス障害者救済対策事業の実施について」による医療費の支給
(二) 高額療養費の支給を受ける場合において、当該高額療養費に係る療養があつた月以前一二カ月間に既に四回以上高額療養費が支給されているか、又は当該高額療養費を含めて四回支給されることとなるときは、一部負担金等の額から三万円を控除した額を支給することとされたが、保険優先の公費負担医療が行われるべき療養を受けた場合は、「高額療養費の支給を受ける場合」には当たらないこととされたこと。
(三) なお、高額療養費制度において保険優先の公費負担医療が行われるべき療養について低所得者についての特例の適用がないこと及び高額療養費について現物給付的な取扱いがなされること(予防接種法第一七条第一号の医療費の給付を除く。)は、従来の被用者保険各法の規定による家族高額療養費及び従来の国民健康保険の高額療養費と同様であること。
二 特定療養費制度の創設に伴う当局所管の公費負担医療の取扱いについて
(一) 特定療養費制度の創設に伴い、厚生省発保第八七号「健康保険法等の一部を改正する法律等の施行について(依命通知)」昭和五九年九月二二日都道府県知事宛厚生事務次官通知に示されたとおり、当局所管の公費負担医療においても健康保険の特定療養費と同様の取扱いを行うこととされたこと。この場合の具体的取扱いは次のとおりであること。
ア 特定承認保険医療機関又は特定承認療養取扱機関において、当該公費負担医療が行われた場合並びに当該公費負担医療として「特別の病室の提供」又は「前歯部の鋳造歯冠修復又は歯冠継続歯に使用する金合金又は白金加金の支給」が行われた場合には、医療機関は当該医療に要した費用の額の範囲内において、(二)により算定した費用の額を超える金額(いわゆる差額)について患者から支払を受けることができること。
イ 医療機関は、アの差額を徴収しようとする場合は、
(ア) その病院又は診療所の見やすい場所に、当該医療の内容及び費用に関する事項を掲示するものとすること。
(イ) 当該医療を行うに当たり、あらかじめ、患者に対しその内容及び費用に関して説明を行い、その同意を得るものとすること。
(ウ) 当該医療に係る一部負担金額といわゆる差額徴収分とを区分して記載した領収証を交付するものとすること。
(二) (一)のアに係る公費負担医療の診療報酬又はこれに要する費用の額の算定方法については、「健康保険法第四四条第一項に規定する療養についての費用の額の算定方法」(昭和五九年厚生省告示第一四八号)に基づき算定されるものであること。
(三) 精神衛生法の規定に基づく措置入院及び結核予防法の規定に基づく命令入所については、強制的入院であるので、これらの医療の対象者を、自ら選定する場合を除き、特別の病室に収容することのないように、都道府県知事は都道府県の設置する病院における一般病室の十分な確保に努めるとともに、指定病院及び指定医療機関に対しても一般病室の十分な確保を図るよう指導されたいこと。
三 その他
(一) 第一の一の(一)のアに述べたとおり、被用者保険各法の規定による被保険者等である被爆者についても一般疾病医療費を支給することとされたが、この場合に当該被爆者が一般疾病医療費の支給について現物給付的な取扱いを受けるためには、一般疾病医療機関の窓口において、保険証とともに、被爆者健康手帳を呈示しなければならないものであること。
また、昭和四八年四月一七日衛発第二四二号厚生省公衆衛生局長通知「特定疾患治療研究事業について」による治療研究に係る医療の給付及び昭和五九年四月一○日衛発第二六六号厚生省公衆衛生局長通知「毒ガス障害者救済対策事業の実施について」による医療費の支給についても、同様の取扱いであること。
(二) 第一の三の(二)に述べたとおり、都道府県知事が、適正医療又は命令入所に係る診療報酬の額を決定するに当たり、意見を聴かなければならない医療に関する審査機関として、国保中央会に設置される特別審査委員会が追加されたが、その意見聴取の前提となる審査の委託については、国民健康保険団体連合会(以下「国保連」という。)から国保中央会への再委託としてなされる。また、第一の二の(二)のイに述べたとおり、通院医療につき都道府県が負担する費用の請求についての審査に関する事務を委託することができる者として国保中央会が追加されたが、当該委託も、国保連から国保中央会への再委託としてなされる。従つて、現在、都道府県知事が国保連と締結している委託契約について改定等の手続は必要ないこと。