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○精神衛生法の一部改正について

(昭和二六年四月一六日)

(発衛第六六号)

(各都道府県知事あて厚生事務次官通達)

精神衛生法の一部を改正する法律(昭和二六年法律第五五号)は、今第十国会を通過成立し、別紙のとおり、昭和二六年三月三○日から施行せられるに至つた。

今回の改正点は第一に、精神衛生審議会に臨時委員を設けることができるようにされたこと、第二に検察官の通報義務に関する規定につき誤解を生じないようその表現が改められたこと及び第三に市町村長が保護義務者となつた場合の医療保護に要する費用に関する特別規定が削除されたことの三点であるが、法施行にあたつては左記の事項に留意され万遺憾なきを期せられたい。

(一) 精神衛生審議会に臨時委員を設けることができるように改められたのは、精神衛生問題が極めて広汎な領域にわたることに鑑み、正式委員のみを以つては必ずしも審議をつくし難い場合のあることを考慮したものであること。

(二) 法第二五条の表現が改められたのは、従来の規定の表現によれば検察官は被疑者について精神障害があると認めたときは、必ず不起訴処分をしなければならない趣旨と誤つて解釈されるおそれがあることを考慮し、その表現を改めて同条が検察官の通報義務のみを規定するものであつて、検察官の不起訴処分についての裁量権を拘束するものと誤解されることのないようにしたものであること。

(三) 従前の規定たる精神衛生法第四九条第二項が削除されたのは、私人が保護義務者となつた場合も、市町村長が保護義務者となつた場合もその行つた医療保護の費用負担に関して特に異なる取扱をすべきいわれがないとの理由によるものであること。従つて、保護義務者たる市町村長が精神障害者に医療保護を行つたときの費用負担の関係については、

(一) 当該精神障害者又はその扶養義務者がその財産で費用を負担することができる場合は、従前通りこれらの者が自費を支弁すること。

(二) 当該精神障害者及びその扶養義務者が費用を負担することができない場合には、当該精神障害者が生活保護法の定めるところにより、医療扶助の適用を受けることのできるものであるときに限り同法の定めるところにより費用を支弁するものであること。