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○保健所及び市町村における精神保健福祉業務について

(平成一二年三月三一日)

(障第二五一号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省大臣官房障害保健福祉部長通知)

保健所及び市町村における精神保健福祉業務については、これまで、平成八年一月一九日健医発第五八号保健医療局長通知「保健所及び市町村における精神保健福祉業務について」の別紙「保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領」に基づき行われているところであるが、近年の精神病院における人権侵害事案の頻発、在宅の精神障害者の増加、精神障害者を支える家族の高齢化や単身の精神障害者の増加などの精神医療及び精神障害者の福祉をめぐる状況等を踏まえ、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二五年法律第一二三号)の一部が改正されたところである。

今般の精神保健及び精神障害者福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成一一年法律第六五号)の施行により緊急に入院が必要となる精神障害者の移送に関する事項、精神障害者の居宅生活支援に関する事項等、保健所及び市町村が関わることとなる事業が創設された。改正法の施行は平成一二年四月一日であるが、居宅生活支援に関する事項については平成一四年四月一日の施行となっている。

また、保健所のあり方については、地域保健法(昭和二二年法律第一〇一号)により、保健所と市町村による地域保健の基盤整備が進められ、さらに、「地域保健対策の推進に関する基本的な指針の一部を変更する件」(平成一二年厚生省告示第一四三号)により、地域保健対策の推進に関する基本的な指針(平成六年厚生省告示第三七四号)の一部が変更され、地域保健対策を推進するための中核としての保健所等の今後の取組の基本的方向が示されたところである。

さらに、うつ病患者の増加、自殺者の増加等にみられるような、最近の社会の複雑化に伴う心の健康づくり対策の重要性が再認識されているところであり、また、大規模災害や犯罪被害者に対する心の健康づくり対策が社会問題化している。

このような施策の進展に鑑み、今般、保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領を別紙のように定め、平成一二年四月一日より適用することとしたので、これに留意の上、精神保健福祉業務の運営の充実を図り、精神保健福祉施策の推進に万全を期されたい。

なお、平成八年一月一九日健医発第五八号各都道府県知事、指定都市市長あて厚生省保健医療局長通知「保健所及び市町村における精神保健福祉業務について」は廃止する。

おって、管下市町村及び関係機関に対する周知及び指導についてご配意願いたい。

別紙

○保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要領

第1部 保健所

第1 地域精神保健福祉における保健所の役割

保健所は、地域精神保健福祉業務(精神保健及び精神障害者福祉の業務をいう。以下同じ。)の中心的な行政機関として、精神保健福祉センター、福祉事務所、児童相談所、市町村、医療機関、障害福祉サービス事業所等の諸機関及び当事者団体、事業所、教育機関等を含めた地域社会との緊密な連絡協調のもとに、入院中心のケアから地域社会でのケアに福祉の理念を加えつつ、精神障害者の早期治療の促進並びに精神障害者の社会復帰及び自立と社会経済活動への参加の促進を図るとともに、地域住民の精神的健康の保持増進を図るための諸活動を行うものとする。

なお、平成11年の精神保健福祉法改正においては、緊急に入院を必要とするにもかかわらず、精神障害のため同意に基づいた入院を行う状態にないと判定された精神障害者を都道府県知事の責任により適切な病院に移送する移送制度の創設、精神科病院に対する指導監督の強化等の改正が行われ、保健所の積極的な関わりが期待されている。

さらに、地域で生活する精神障害者をより身近な地域できめ細かく支援していく体制を整備する観点から、地域の精神障害者に対する支援施策を市町村が実施することとしており、保健所においては、市町村がこれらの事務を円滑に実施できるよう、専門性や広域性が必要な事項について支援していくことが必要である。

また、平成17年には、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号。以下「医療観察法」という。)が施行されたが、医療観察法による地域社会における処遇は、保護観察所長が定める処遇の実施計画に基づき、精神保健福祉業務の一環として実施されるものであり、保健所においても保護観察所等関係機関相互の連携により必要な対応を行うことが求められる。

さらに、平成18年には、障害者自立支援法(平成17年法律第123号。以下「自立支援法」という。)が施行され、身体障害、知的障害及び精神障害に係る各種福祉サービス等の提供主体が市町村に一元化されたところであるが、保健所においても地域精神保健福祉の充実に向け、市町村への専門的、広域的支援など積極的な役割を果たしていくことが重要である。

第2 実施体制

1 体制

精神保健福祉に関する業務は、原則として,単一の課において取り扱うものとし、精神保健福祉課あるいは少なくとも精神保健福祉係を設ける等、その業務推進体制の確立を図るものとする。

2 職員の配置等

精神保健福祉業務を遂行するには、保健所全職員のチームワークが必要である。この業務を担当するため、医師(精神科嘱託医を含む。)、精神保健福祉士、保健師、看護師、臨床心理技術者、作業療法士、医療社会事業員、事務職等の必要な職員を、管内の人口や面積等を勘案して必要数置くとともに、その職務能力の向上と相互の協力体制の確保に努めること。

なお、精神保健福祉法第48条の規定に基づき、資格のある職員を精神保健福祉相談員として任命し、積極的にその職務に当たらせることが必要である。この場合、精神保健福祉士に加え、臨床心理技術者や保健師で精神保健福祉の知識経験を有する者を含めたチームアプローチにも配慮した配置が必要である。なお、精神保健福祉相談員は、精神保健福祉業務に専念できるよう、専任の相談員を複数置くとともに、その他の職員により、体制の充実を図るよう努めるものとする。

3 会議等

(1) 精神保健福祉企画会議など企画に関する所内の連絡調整

管内の精神保健福祉事業の推進計画,月別業務計画等の策定のため、所長及び精神保健福祉業務関係者により構成される所内精神保健福祉企画会議を開催する等の方法を講ずる。

(2) ケース会議など相談指導等に関する所内の連絡調整

相談指導業務等の適正かつ円滑な遂行を図るため精神保健福祉相談指導業務担当者会議又は関係者連絡会議を開催し、ケースの総合的な支援内容の検討及び役割の分担、相互連絡協力等について協議する。

(3) 市町村,関係機関,団体との連絡調整

管内の市町村、福祉事務所、児童相談所、社会福祉協議会、職業安定所、教育委員会、警察、消防等の関係機関や、病院、診療所、障害福祉サービス事業所、医療団体、家族会等の各種団体、あるいは、産業、報道関係等との連絡調整を図る。

精神保健相談、社会復帰、社会参加、就労援助、精神科救急、啓発普及等において、これらの機関等の協力を円滑に行うため、平常より、技術的援助、協力、助言、指導等を積極的に行うほか、精神保健福祉に関する資料等の提供や、打合会を行うなど連絡調整に努める。

(4) 地域精神保健福祉連絡協議会及び地域精神保健福祉担当者連絡会議等

地域精神保健福祉連絡協議会を設置する等により、関係機関、市町村、施設、団体の代表者による連絡会議を定期的に行う。また、これと併せて、地域精神保健福祉担当者連絡会議を設ける等により、関係機関、市町村、施設、団体の実務者による連絡会議を定期的に行う。

第3 業務の実施

1 企画調整

(1) 現状把握及び情報提供

住民の精神的健康に関する諸資料の収集、精神障害者の実態(有病率、分布状況、入退院の状況、在宅患者の受療状況、地域における生活状況、福祉ニーズ、就労状況等)及び医療機関、障害福祉サービス事業所、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「障害者総合支援法」という。)の障害福祉サービスや地域生活支援事業など、精神保健福祉に関係ある諸社会資源等についての基礎調査又は臨時特別調査を行い、地区の事情、問題等に関する資料を整備し、管内の精神保健福祉の実態を把握する。

また、これらの資料の活用を図り、精神保健福祉に関する事業の企画、実施、効果の判定を行うとともに、一般的な統計資料についての情報提供を行う。

(2) 保健医療福祉に係る計画の策定・実施・評価の推進

障害者基本法に基づく障害者計画や、医療法に基づく医療計画などの策定・実施の推進に当たっては、保健所は、地域における精神保健福祉業務の中心的な行政機関という立場から、その企画立案や、業務の実施、評価及び市町村への協力を積極的に行う。

2 普及啓発

(1) 心の健康づくりに関する知識の普及,啓発

地域住民が心の健康に関心を持ち、精神疾患やその初期症状や前兆に対処することができるよう、また、精神的健康の保持増進が保たれるよう、心の健康づくりに関する知識の普及、啓発を行う。

(2) 精神障害に対する正しい知識の普及

精神障害者に対する誤解や社会的偏見をなくし、精神障害者の社会復帰及びその自立と社会経済活動への参加に対する地域住民の関心と理解を深めるため、講演会、地域交流会等の開催や、各種広報媒体の作成、活用などにより、地域住民に対して精神障害についての正しい知識の普及を図る。

(3) 家族や障害者本人に対する教室等

統合失調症、アルコール、薬物、思春期、青年期、認知症等について、その家族や障害者本人に対する教室等を行い、疾患等についての正しい知識や社会資源の活用等について学習する機会を設ける。

3 研修

市町村、関係機関、施設等の職員に対する研修を行う。

4 組織育成

患者会、家族会、断酒会等の自助グループや、職親会、ボランティア団体等の諸活動に対して必要な助言や支援等を行う。

5 相談

(1) 所内又は所外の面接相談あるいは電話相談の形で行い、相談は随時応じる。従事者としては、医師(精神科嘱託医を含む。)、精神保健福祉相談員、保健師、臨床心理技術者その他必要な職員を配置する。

(2) 相談の内容は、心の健康相談から、診療を受けるに当たっての相談、社会復帰相談、アルコール、思春期、青年期、認知症等の相談など、保健、医療、福祉の広範にわたる。相談の結果に基づき、病院、診療所、障害福祉サービス事業所や、自助グループ等への紹介、福祉事務所、児童相談所、職業安定所その他の関係機関への紹介、医学的指導、ケースワーク等を行う。また、複雑困難なケースについては、精神保健福祉センター等に紹介し、又はその協力を得て対応することができる。

なお、障害者総合支援法による障害福祉サービス等の利用を希望する者に対しては、市町村と密接に連携を図り、円滑な利用が行えるようにすること。

6 訪問指導

(1) 訪問指導は、本人の状況、家庭環境、社会環境等の実情を把握し、これらに適応した支援を行う。原則として本人、家族に対する十分な説明と同意の下に行うが、危機介入的な訪問など所長等が必要と認めた場合にも行うことができる。

(2) 訪問支援は、医療の継続又は受診についての相談援助や勧奨のほか、日常生活への支援、家庭内暴力、いわゆるひきこもりやその他の家族がかかえる問題等についての相談指導を行う。

7 社会復帰及び自立と社会参加への支援

(1) 保健所デイケアその他の支援の実施

レクリエーション活動、創作活動、生活指導等を行い社会復帰の促進、地域における自立と社会参加の促進のための支援を行う。

なお、この場合においては、医療機関のデイケアや障害福祉サービスの利用との関係に留意する。

(2) 関係機関の紹介

医療機関で行っている精神科デイケアや、障害福祉サービスなどの利用の紹介等を行う。

また、社会的自立をめざし訓練から雇用へつながるよう、公共職業安定所等における雇用施策との連携を図る。

(3) 各種社会資源の整備促進及び運営支援

障害福祉サービス事業所等の整備に当たって、地域住民の理解の促進や、整備運営のための技術支援などの協力を行い、保健所が中心となって、市町村、関連機関等との調整を図り、整備の促進を図るとともに、就労援助活動を行う。

(4) 精神障害者保健福祉手帳の普及

精神障害者保健福祉手帳関係の申請方法についての周知を図る。

また、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者をはじめとする精神障害者の福祉サービスの拡充のため、市町村、関係機関、事業者等に協力を求める。

8 入院等関係事務

(1) 関係事務の実施

精神保健福祉法では、保健所を地域における精神保健業務の中心的行政機関として、以下のような手続事務を委ねている。

ア 措置入院関係(一般人からの診察及び保護の申請、警察官通報、精神科病院の管理者からの届出の受理とその対応、申請等に基づき行われる指定医の診察等への立ち合い)

イ 医療保護入院等関係(医療保護入院届及び退院届の受理と進達,応急入院届の受理と進達)

ウ 定期病状報告等関係(医療保護入院,措置入院)

エ その他関係業務

(2) 移送に関する手続きへの参画

都道府県知事等は、移送を適切に行うため、事前調査、移送の立ち会い等の事務を行うが、これらの事務の実施に当たっては対象者の人権に十分配慮することが必要である。

特に、事前調査における対象者の状況の把握に当たっては、保健所の積極的な関与が求められることから、相談、訪問支援等日常の地域精神保健福祉活動の成果を活用し、迅速かつ的確に行う必要があること。

(3) 関係機関との連携

関係事務を処理するに当たっては、医師、精神保健福祉相談員、保健師等における連携を図ることはもとより、医療関係、社会福祉関係等の行政機関、医療機関、障害福祉サービス事業所等と密接な連携を保つ必要がある。

特に医療機関から精神保健福祉法に基づく地域援助事業者の紹介のための照会先となる事業者に係る問い合わせがあった場合には、問い合わせ元の医療機関と照会先となる事業者との間の調整等を積極的に行うこと。また、要請があった場合には、必要に応じて医療保護入院者退院支援委員会への出席も検討すること。

(4) 人権保護の推進

医療及び保護の関連事務は、精神障害者の人権に配慮されたよりよい医療を確保するために重要な事務であるから、適切確実に行うことが必要である。

(5) 精神科病院に対する指導監督

精神障害者の人権に配意した適正な精神医療の確保や社会復帰の一層の促進を図るため、精神科病院に対する指導監督の徹底を図る。都道府県知事、指定都市市長が精神科病院に対する指導監督を行う際には、保健所においても、都道府県知事、指定都市市長の行う指導監査に必要に応じて参画すること。

9 ケース記録の整理及び秘密の保持等

(1) ケース対応に当たっては、対象者ごとの記録を整理保管し、継続的な支援のために活用する。

本人が管轄区域外に移転した場合は、必要に応じ、移転先を管轄する保健所に当該資料等を送付して、支援の継続性を確保する。

また、主治医からの訪問支援の依頼に対し、訪問先が当該保健所の管轄区域外であるときは、必要に応じて住所地の保健所に連絡するなど、適切な支援が確保されるよう配慮する。

(2) ケースの対応については、患者及び家族の秘密に関する事項の取扱いに十分注意する。

(3) なお、相談に当たっては、市町村、関係機関その他の関係者との連携に留意する。

10 市町村への協力及び連携

地域で生活する精神障害者をより身近な地域できめ細かく支援していく体制を整備する観点から、在宅の精神障害者に対する支援施策を市町村が実施することとしている。保健所においては、市町村がこれらの事務を円滑にできるよう、専門性や広域性が必要な事項について支援していくことが必要である。

平成20年度より、精神障害者の地域移行に必要な体制の総合調整役を担う地域体制整備コーディネーターや利用対象者の個別指導等に当たる地域移行推進員の配置を柱とした精神障害者地域移行支援特別対策事業を実施し、平成22年度からは、精神障害者地域移行・地域定着支援事業として、未受診・受療中断等の精神障害者に対する支援体制の構築と精神疾患への早期対応を行うための事業内容を加え、ピアサポーターの活動費用を計上するなど、精神障害者の地域移行のための取組を進めているところであるが、平成22年の障害者自立支援法の改正により、地域移行支援・地域定着支援の個別給付化が行われた。また、平成23年度からは精神障害者アウトリーチ推進事業が開始され、在宅精神障害者の生活を、医療を含む多職種チームによる訪問で支える取組が行われているところであり、精神障害者に対する障害福祉サービスや相談支援事業の実施に当たり、保健所は、市町村への情報提供、技術的協力、支援を行うことが必要である。

なお、保健所の管轄区域が広い場合に、保健所から遠隔な区域で市町村の役割分担を充実させる等の連携方策をとることも考慮する。

第2部 市町村

第1 地域精神保健福祉における市町村の役割

これまでの精神保健福祉行政は、都道府県及び保健所を中心に行われてきたが、入院医療中心の施策から、社会復帰や福祉施策にその幅が広がるにつれて、身近な市町村の役割が大きい。

市町村における精神保健福祉業務の実施方法については、保健所の協力と連携の下で、その地域の実情に応じて第1部の第2及び第3に準じてその業務を行うよう努めるものとする。

なお、保健所を設置する市及び特別区においては第1部によるものとする。

平成17年には、医療観察法が施行されたが、医療観察法による地域社会における処遇は、保護観察所長が定める処遇の実施計画に基づき、精神保健福祉業務の一環として実施されるものであり、市町村においても保護観察所や保健所等関係機関相互の連携により必要な対応を行うことが求められる。

平成18年には障害の種類によって異なっていた各種福祉サービスについて市町村を実施主体として一元化し、障害者が地域で自立して安心して生活できる体制を整備することを目的とする障害者自立支援法が施行された。

平成22年度には、障害者自立支援法の改正法案が成立し、平成24年度からは、相談支援の充実として、地域移行・地域定着支援の個別給付化等が加わった。

第2 実施体制

1 体制

市町村においては、その実情に応じて、精神保健福祉業務の推進体制を確保する。身体障害者など他の障害者行政との連携や、社会福祉及び保健衛生行政の総合的推進等を勘案し、市町村の特性を活かした体制に配慮する。

2 職員の配置等

精神保健福祉業務を担当する職員については、都道府県等が行う相談支援従事者養成研修を受講した者が望ましい。また、職員が研修を受講できるような配慮が必要である。

なお、精神保健福祉法第48条の規定に基づき、資格のある職員を精神保健福祉相談員として任命し、積極的にその職務に当たらせることが必要である。この場合、精神保健福祉士に加え、保健師や臨床心理技術者で精神保健福祉の知識経験を有する者を含めたチームアプローチにも配慮した配置が必要である。なお、精神保健福祉相談員は、精神保健福祉業務に専念できるよう、専任の相談員を複数置くとともに、その他の職員により、体制の充実を図るよう努めるものとする。

3 会議等

企画、相談指導等に関する所内の会議や、市町村内の連絡会議の実施など、市町村の特性を活かした体制に配慮する。

第3 業務の実施

1 企画調整

地域の実態把握に当たっては、保健所に協力して調査等を行うとともに、保健所の有する資料の提供を受ける。地域の実態に合わせて精神保健福祉業務の推進を図る。

2 普及啓発

普及啓発については、他の地域保健施策の中における精神保健福祉的配慮を含め、関係部局との連携により、きめ細かな対応を図る。

3 相談指導

障害者総合支援法の障害福祉サービスの利用に関する相談を中心に、精神保健福祉に関する基本的な相談を行う。

4 社会復帰及び自立と社会参加への支援

(1) 障害者総合支援法の障害福祉サービスの実施

障害者総合支援法の障害福祉サービス等は、地域における精神障害者の日常生活を支援することにより、精神障害者の自立と社会参加を促進する観点から実施する。市町村においては、事業を円滑に実施するため、利用者のニーズに十分に対応できるよう、サービス提供体制を構築する。

(2) 障害福祉サービス等の利用の調整等

精神障害者の希望に応じ、その精神障害の状態、社会復帰の促進及び自立と社会経済活動への参加の促進のために必要な指導及び訓練その他の援助の内容等を勘案し、当該精神障害者が最も適切な障害者総合支援法の障害福祉サービス等の利用ができるよう、相談に応じて、必要な助言を行う。

また、市町村は、助言を受けた精神障害者から求めがあった場合や、医療機関から地域援助事業者の紹介に係る問い合わせがあった場合には、必要に応じて障害者総合支援法による障害福祉サービス等の利用についてのあっせん又は、調整を行うとともに、必要に応じて、障害者総合支援法による障害福祉サービス事業者に対し、当該精神障害者の利用の要請等を行う。

(3) 市町村障害福祉計画の策定

障害者総合支援法第88条に基づく市町村障害福祉計画については、都道府県、精神保健福祉センター、保健所及び地域の医療機関、その他の関係機関の協力を得て、その策定及び推進を図る。

(4) 各種社会資源の整備

社会復帰の促進や生活支援のための施設や事業の整備のためには地域住民の理解と協力が重要であることから、市町村が積極的にその推進を図るとともに、自ら主体的にその整備を図る。

(5) 精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳関係の申請方法の周知を図るとともに、申請の受理と手帳の交付などの事務処理の手続を円滑に実施する。

また、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者をはじめとする精神障害者の福祉サービスの拡充のため、関係機関、事業者等に協力を求めるなど積極的支援を行い、諸福祉サービスの充実を図る。

5 入院及び自立支援医療費(精神通院医療)関係事務

(1) 障害者総合支援法の自立支援医療費(精神通院医療)の支給認定の申請の受理と進達を行う。

(2) 医療保護入院が必要な精神障害者に家族等がないとき等においては、精神障害者の居住地の市町村長が医療保護入院の同意を行い、また、家族等がないとき等における医療保護入院者の退院請求等の権利者となるが、医療保護入院の同意を市町村長が行う際には、人権保護上の十分な配慮が必要である。

6 ケース記録の整理及び秘密の保持

(1) 相談支援その他のケース対応に当たっては、対象者ごとに、相談等の記録を整理保管し、継続的な支援のために活用する。

(2) 精神障害者やその家族のプライバシーの保護については、市町村が地域に密着した行政主体であるがゆえに一層の配慮が必要である。

(3) なお、相談に際しては、保健所、関係機関その他の関係者との連携に留意する。

7 その他

(1) 障害者基本法第11条第3項に基づく市町村障害者計画については、都道府県、精神保健福祉センター、保健所及び地域の医療機関、障害福祉サービス事業所その他の関係機関の協力を得て、その策定及び推進に努める。

(2) その他、地域の実情に応じて、創意工夫により施策の推進を図る。