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○大学入学者選抜時における健康診断の実施方法の改正について

(昭和四九年四月一〇日)

(衛発第二一五号)

(各都道府県知事・各政令市市長あて厚生省公衆衛生局長通知)

大学入学者選抜時における健康診断については、従来主として保健所において実施されてきたところであるが、その性質上一時期に集中し、しかも大学進学率の上昇に伴って業務量が年々厖大にのぼるため、地域住民の健康管理等保健所の本来業務に支障を生じるなど種々の問題点が見受けられるに至っている。

このため、その抜本的な改善方についてかねて関係方面と折衝してきたところであるが、文部省に設けられた「大学入学者選抜方法の改善に関する会議」において具体的な検討が進められ、先般、別添のとおり健康診断の実施方法の改善について報告書が提出された。

この報告を受けて、昭和四九年四月五日文大大第二三五号をもって文部省大学学術局長から各国公私立大学長あて昭和五〇年度大学入学者選抜実施要領について通知が行われたが、これにより昭和五〇年度から大学入学者選抜時の健康診断の実施方法については、左記のとおり改正されることとなったので、御了知の上、管下保健所に対して周知徹底を図られたい。

1 入学志願者の健康状況のはあくについては、従来大学の責任において実施する方法と医師が作成した診断書を提出させる方法が行われてきたが、昭和五〇年度からは、出身学校長から大学へ提出される調査書の「健康の状況」の記載によることを原則とし、特定の学部、学科等が必要とする特別の事項に関する検査、異常所見者に関する精密検査等を、必要に応じて大学が実施することとされたこと。

2 調査書の「健康の状況」欄は次のとおりとされたこと。

6健康の状況

視力

・  ( ・ )

担当学校医所見

・  ( ・ )

 

色覚

 

聴力

 

 

結核

 

担当教員所見

その他の疾病及び異常

 

 

なお、「健康の状況」欄の記入方法については、別添の「大学入学者選抜時の健康診断の改善について」の記の3を参照されたいこと。

3 前々年度以前の高等学校卒業者及び大学入学資格検定の合格者等調査書を提出できない者については、原則として調査書の「健康の状況」欄の記載事項とされている視力、色覚、聴力、結核及びその他の疾病、異常等についての医師が作成した健康診断書を提出させるものとされたこと。従って、これらの者については、従来どおり、保健所においても健康診断証明書を作成する場合が考えられること。

(別添)

大学入学者選抜時の健康診断の改善について(報告)

(昭和四九年三月一九日        )

(大学入学者選抜方法の改善に関する会議)

これまで健康診断は、学力検査及び出身学校長から提出される調査書とともに、入学者選抜において合否判定の要素とされてきたが、教育上の見地からは、健康診断の結果から不合格とすることは最小限にとどめることが望ましく、実情から見ても、健康診断の結果不合格となるものは極めて少数である。

現在健康診断の実情は、医師が作成した健康診断書を提出させている大学が大多数であるが、近年の大学受験者の著しい増大に伴い健康診断書の作成業務は増大し、保健所あるいは医療機関の本来の業務に支障を生じていることも見逃せない事実である。

一方、従来健康診断において重要視されてきた結核は逐年減少しており、また、X線被爆の身体への影響を考慮すると、X線検査は最小必要限度にとどめることが適当である。

以上のような見地から、この際、大学入学者選抜時の健康診断に関して左記のとおり改善を図る必要がある。

1 従来、健康診断は、入学適否の判定の資料とするとともに、併せて入学後の保健指導の参考資料を得ることが目的とされてきたが、この考え方を基本的に改める必要は認められない。しかしながら、能力・適性に応じて広く進学を確保するという観点からは、入学適否の判定において、不合格の判定を行うについては疾病など心身の異常のため志望学部・学科等の教育の履修に耐えないこと、又は伝染性疾患などにより集団生活に適しないことが明白な場合に限定する必要がある。また、入学後の治療、観察等の措置により履修が可能と認められる場合には、入学後保健指導を行うなど適切な配慮を行うこととして不合格としないようにすることが望ましい。

2 現在、大多数の大学で行われている志願者全員から医師が作成した健康診断書を提出させる方式を改め、志願者全員の健康の状況については出身学校長から提出される調査書を改正して原則としてその記載によって判定することとし、特定の学部・学科が必要とする特別の事項に関する検査、異常所見者に対する精密検査等については必要に応じて大学が実施するものとする。

3 出身学校長から提出される調査書の様式のうち、現行の「健康の記録」欄を「健康の状況」の欄のように改正し、その記入の方法は、次のようにする。

(1) 「視力」、「色覚」、「聴力」及び「担当学校医所見」の欄には、それぞれについて高等学校生徒健康診断票の該当欄の最も新しい記載事項を転記する。

(2) 「結核」及び「その他の疾病及び異常」の欄には、生徒健康診断票の該当欄の記載事項を転記するほか、前項以外の疾病、異常等についての記載事項で、特に教育上又は保健指導上必要と認められる事項があれば記入する。

(3) 「担任教員所見」欄には、高等学校在学中に教育・指導上特に支障のあった疾病又は異常についてホーム・ルーム担任教員の所見を記入する。

なお、前々年度以前の高等学校卒業者及び大学入学資格検定の合格者等調査書を提出できない者については、原則として調査書の「健康の状況」欄の記載事項とされている視力、色覚、聴力、結核及びその他の疾病、異常等についての医師が作成した健康診断書を提出させるものとする。