添付一覧
○移動保健所の実施について
(昭和四四年五月六日)
(衛発第三一三号)
(各都道府県知事・各政令市長あて厚生省公衆衛生局長通達)
標記については、従来その推進について格段の御配意を煩わしてきたところであるが、今般本事業については、地域における実情に即応させながら実施するために、本年度以降別紙のとおり「移動保健所実施要領」を定めたので、これが実施につき遺漏なきを期されたい。
別紙
移動保健所実施要領
第一 基本的事項
一 移動保健所の目的
移動保健所は、管内の公衆衛生上特に問題のある地区に保健所活動を浸透させ、地区住民の健康の保持及び増進を図ることを目的とする。
二 移動保健所の実施主体及び対象地区
移動保健所は、保健所が実施主体となり、関係機関、団体の協力をえて公衆衛生上問題のある地区を対象として実施する。
三 事業の内容
移動保健所は、次に掲げる事業を実施する。
(一) 健康相談(個別健康診断及び保健指導)及びこれに伴う試験検査
(二) 衛生教育
(三) 栄養改善指導
(四) 食品衛生相談及び環境衛生相談並びにこれらに伴う試験検査
(五) その他生活環境、健康状況のは握等の地区における公衆衛生上の向上及び増進を図るために必要な事業
第二 都道府県・政令市の指導及び監督
都道府県・政令市は、移動保健所の実施を適正かつ円滑にするため、必要に応じて保健所の事業実施計画及び効果、分析等について指導及び監督を行なう。
第三 保健所における移動保健所の企画及び実施
一 実施対象地区の選定及び決定
保健所長は、栄養水準、乳児死亡率、妊産婦死亡率、伝染病発生状況等の地区住民の健康水準及び上・下水道普及率、し尿・じん芥の処理状況等の生活環境条件、さらには、医療施設の整備状況等について公衆衛生の問題があると思われる地区を事業の対象地区として選定し、それらの地区のうちから事業の実施対象地区を決定する。
なお、対象地区の選定にあたつては、なるべく保健所運営協議会の審議を経るものとする。
二 事業内容の選定
(一) 保健所長は、実施対象地区の実情に応じ、事業内容を選定する。
なお、事業内容の選定にあたつては、当該対象地区の市町村長の意見を聴取するほか、なるべく福祉事務所長、医療関係団体の代表者等関係機関、団体の代表者の意見を参考として選定する。
(二) 移動保健所事業は、この事業以外の結核予防法にもとづく定期の健康診断、老人福祉法にもとづく老人の健康診査等の各種事業とあわせて実施することはさしつかえない。
なお、これらの事業の実施にあたつては、保健所経理事務合理化特別措置法関係の補助対象事業とこれ以外の事業との経理区分を明確にしておくものとする。
三 移動保健所実施班の編成
移動保健所の事業に従事する職員は、事業内容に応じて編成する。
なお、必要に応じて保健所職員のほか市町村、関係機関及び団体等の職員の参加を求めるものとする。
四 実施の期日及び場所
本事業を行なうに最も適切で、かつ、多くの実施対象地区住民が利用し易い期日及び場所を選定する。
五 広報
関係機関、団体の協力を得て、本事業の実施期日、場所、事業内容等につき、地区住民はあらかじめ十分周知させる。
六 記録票の整備
本事業の運営にかなつた記録票を整備する。
七 事後の指導等
事業の実施に伴い発見された問題例については、精密検診又は再検診の指示、医療機関の紹介、事後調査並びに保健婦及び医療社会事業員等による家庭訪問指導の徹底等を図る。
八 結果の整理及び分析
記録票にもとづいて事業の実績を整理し、その結果について分析及び評価を行なう。
九 報告
保健所長は、事業終了後すみやかに本庁の衛生主管部(局)長に対して事業実績に関する報告を行なう。