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○介護予防・地域支え合い事業の実施について

(平成13年5月25日)

(老発第213号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省老健局長通知)

標記については、介護保険制度の円滑な実施の観点から、高齢者が要介護状態に陥ったり、状態が悪化することがないようにする介護予防施策や自立した生活を確保するために必要な支援を行う生活支援施策の推進を図るため、今般、別紙のとおり「介護予防・地域支え合い事業実施要綱」を定め、平成13年4月1日から適用することとしたので通知する。

ついては、本事業の実施に努められるよう特段の御配慮をお願いするとともに、管内市町村に対して、周知徹底を図るなど、本事業の円滑な実施についてご協力を賜りたい。

別紙

介護予防・地域支え合い事業実施要綱

1 目的

介護予防・地域支え合い事業は、要援護高齢者及びひとり暮らし高齢者並びにその家族等に対し、要介護状態にならないための介護予防サービス、生活支援サービス又は家族介護支援サービスを提供することにより、これらの者の自立と生活の質の確保を図るとともに、在宅の高齢者に対する生きがいや健康づくり活動及び寝たきり予防のための知識の普及啓発等により、健やかで活力ある地域づくりを推進し、もって、要援護高齢者及びひとり暮らし高齢者並びにその家族等の総合的な保健福祉の向上に資することを目的とする。

2 事業内容

別記のとおり。

3 実施方法

(1) 介護予防・生活支援サービスについては、市町村が、高齢者の需要や生活実態に基づいて総合的な判断を行い、必要とされるサービスを調整・提供していく一連の仕組みが必要となる。例えば、要介護認定調査に併せて、認定調査とは別に必要な調査を行い、その結果に基づいて、在宅介護支援センター等を活用し、総合的なサービス計画を作成するなど、各市町村において、地域の実情に応じた取り組みを進めていくことが望まれる。

(2) 介護予防・生活支援サービスの提供にあたっては、市町村内の保健及び福祉担当者などの関係者が密接な連携を保ち、チームとして一体的な活動を行うことが重要である。市町村及び関係団体などにおいて全体的な調整を行う場として、基幹型在宅介護支援センターなどにおける「地域ケア会議」等を積極的に活用されたい。

別記

1 市町村事業

(1) 介護予防等事業

ア 事業内容

本事業は、高齢者の介護予防と生きがいの増進並びに地域での社会参加を促進するとともに、要介護状態等になるおそれのある高齢者並びに家に閉じこもりがちな高齢者等に対し、各種介護予防等サービスを提供することにより、要介護状態等になることの予防、自立生活の助長並びに社会的孤立感の解消を図る。

イ 実施主体

実施主体は、市町村(特別区、広域連合、一部事務組合等を含む。以下同じ)とし、その責任の下にサービスを提供するものとする。この場合においては、市町村は、地域の実情に応じ、利用者、サービス内容及び利用料の決定を除き、適切な事業運営が確保できると認められる市町村社会福祉協議会、社会福祉法人、医療法人、民間事業者、特定非営利活動法人、農業協同組合及び農業協同組合連合会等に委託することができるものとする。

ウ 利用料

市町村は、介護保険の対象サービスの利用料との均衡を考慮しつつ、食材料費等の実費等を定め、利用者がこれを負担するものとする。

エ 運営

① 市町村は、在宅介護支援センターの機能を有効に活用し、本事業による効果が期待される者を早期に発見し、利用に結びつけることができるよう努めなければならない。

② 市町村は、保健センター及び基幹型在宅介護支援センターを有効に活用し、保健担当部局と福祉担当部局とが一体となって本事業の運営に当たるものとする。

③ 市町村は、本事業の利用申請があったときは、本要綱に照らしてその必要性を検討した上で、本事業の利用決定をするものとする。

④ 市町村は、本事業の実施状況を記録する利用者台帳その他必要な帳簿を整備するものとする。

⑤ 市町村は、本事業の適正な実施を図るため、委託を受けた者が行う本事業の内容を定期的に調査し、必要な措置を講じるものとする。

⑥ 実施施設は、本事業に係る経理を他の事業に係る経理と明確に区分するとともに、提供したサービスの内容、利用回数等を市町村に報告するものとする。

⑦ 市町村は、地域住民に対し、広報等を通じ、本事業の周知を図るものとする。

オ 実施事業

(ア) 介護予防事業

高齢者ができる限り要介護状態になることなく健康で生き生きとした老後生活を送れるよう支援する観点から、介護予防教室等を開催する事業。

① 事業内容

a 転倒骨折予防教室(寝たきり防止事業)

○ 転倒骨折予防教室の開催(生活相談、健康診断、生活指導、運動機能訓練等)

○ 生活環境・習慣の改善(転倒骨折予防ケアのための生活支援)

b アクティビティ・認知症介護教室

○ アクティビティサービスの実施(音楽活動、絵画、書道、演劇等)

○ 認知症介護教室の開催

c IADL(日常生活関連動作)訓練事業

○ 自立支援教室の開催(炊事・洗濯等の家事訓練を中心とした教室)

○ 生活環境・習慣の改善

d 地域住民グループ支援事業

○ 住民の自主グループ活動育成支援(ボランティアで、介護予防に資する活動を行おうとする地域住民に対する場の提供等の支援)

○ 地域住民による認知症(認知症予防を含む)学習会支援

○ 地域住民による定期訪問活動

e 足指・爪のケアに関する事業

○ 足指・爪ケア教室等の開催(高齢者とその同居家族、保健福祉関係者及び施設従事職員等を対象として、足指・爪のケアの重要性と適切なケア方法の普及を図る教室等の開催)

○ 普及啓発パンフレット等の配布

f その他事業

効果的な介護予防サービスの重点的な提供による、介護予防の効果の実証に資する事業等であって、厚生労働大臣が適当と認める事業

② 事業実施に当たっての留意点

本事業を指定認知症対応型共同生活介護事業を実施する者に委託する場合については、事業に要する経費のうち、初度設備費として、5,000千円を上限に補助できるものとする。(ただし、社会福祉施設等施設整備費又は保健衛生施設整備費など公的な補助を受けた者を除く。)

(イ) 高齢者筋力向上トレーニング事業

① 実施方法

転倒骨折の防止及び加齢に伴う運動機能の低下の防止の観点から、負荷量の微調整が可能な高齢者向けに改良されたトレーニング機器(以下「高齢者向けトレーニング機器」という。)を使用し、運動機能の向上に資する包括的なトレーニングを行う。

② 利用対象者

おおむね60歳以上の在宅の高齢者であって、事業実施により効果が期待できるものとする。

なお、要支援者のほか、要介護1又は2の者も対象として差し支えないが、介護保険サービスの通所リハビリテーション又は訪問リハビリテーションの利用者は、本事業の対象としない。

③ 事業内容

a 専門スタッフによるアセスメント

専門スタッフ(医師、理学療法士、健康運動指導士、保健師等)は、事業開始前に対象者の健康状態、生活習慣、体力などの個別の状況を把握する。

b 個別運動プログラムの作成

専門スタッフは、対象者の特性にあわせて個別プログラムを作成する。

個別プログラムとは、体力測定等により初期評価を行った上で、対象者の筋力を高め、柔軟性とバランス能力を向上させることを期待できる、包括的なトレーニングプログラムを言う。

(a) プログラム実施機関

おおむね3ヶ月程度とし、実施回数は、対象者の負担とならず、かつ、効果が期待できる回数を設定すること。

(b) プログラム内容

高齢者向けトレーニング機器を使用し、①トレーニングの基礎的な技能を修得する期間、②筋力を強化するトレーニングを行う期間、③生活動作の機能向上を目的としてトレーニングを行う期間等、一定の期間毎に一定の目標を定め、対象者の状況に応じて、過度の負担がかからないようにプログラムを設定する。

c トレーニング効果等のフォローアップ

トレーニング期間の終了時に、参加状況、生活改善状況、トレーニングの効果測定等の評価を行うとともに、利用者が継続してトレーニングを行えるよう配慮する。

④ 事業実施に当たっての留意点

a 市町村は、高齢者向けトレーニング機器を整備するとともに、専門スタッフに対して、筋力トレーニングの指導に必要な研修を行うものとする。

b 市町村は、関係団体および関係機関等と連携・調整し、事業の円滑な実施のための体制の整備を図るものとする。

c 専門スタッフによるアセスメントを行わない場合や、高齢者向けトレーニング機器を整備しない運動施設等での事業は、本事業の対象とはならないので留意すること。

d 事業が安全に行われるよう、主治医との連携の上で実施するものとする。

e 事故防止のため十分な注意を払うとともに、参加者の安全性を十分に考慮し、緊急時にも対応できるよう体制を整備すること。

(ウ) 高齢者食生活改善事業

① 事業目的

高齢者及びその家族を対象に、高齢者の食生活改善を支援することを目的とする。

② 事業内容

○ 高齢者及びその家族に対し、高齢者の食生活において必要な注意事項とその対策に関する指導を行う者(在宅栄養士、食生活改善推進員、ボランティア等)に対する研修の実施

○ 高齢者及びその家族を対象とする高齢者の食生活において必要な注意事項とその対策に関する教室等の開催

○ 食生活改善推進員等が高齢者宅を訪問して行う食生活改善の支援

○ 高齢者の食生活上の留意点等に関する普及・啓発

③ 事業実施に当たっての留意点

○ 保健・福祉・医療関係部局との連携を図り、事業の円滑な実施のための体制の整備を図るものとする。

○ 関係団体および関係機関等と連携・調整を図るものとする。

(エ) 運動指導事業

① 実施方法

生活習慣病予防のための運動指導を効果的に推進する。

② 利用対象者

40歳以上の者で基本健康診査や健康度評価等の結果から、運動指導を行うことにより、生活習慣病予防の効果が期待できると認められる者

③ 事業内容

○ 初期のアセスメント

指導担当者(医師、理学療法士、保健師、管理栄養士、健康運動指導士等)が対象者の健康状態、生活習慣、運動能力などを把握する。

○ 運動プログラムの作成

指導担当者は、対象者の特性にあわせて運動プログラムを作成する。

プログラムの内容は、ストレッチング、軽体操、ウォーキング、水中運動等の具体的な運動方法、運動開始時・終了時のセルフチェック方法等とする。

○ 運動指導

運動指導にあたっては、対象者が運動プログラムに従い適切に運動を行い、かつ継続できるよう指導する。実施回数は、週1回程度、実施期間はおおむね2か月程度とする。

④ 記録の整備

対象者ごとに、指導内容、指導日付、担当者、運動の内容・強度等の記録簿を作成する。

⑤ 効果の評価

実施期間終了時に、参加状況、種々の健康評価項目、生活改善状況などを評価する。

⑥ 事業の実施場所

市町村保健センター等とする。必要に応じ、健康増進施設、老人保健施設等に委託できるものとする。

⑦ 事業実施に当たっての留意点

○ 市町村は指導担当者に対して、生活習慣改善に必要な運動指導についての研修を、必要に応じて行うものとする。

○ 保健・福祉・医療関係部局との連携を図り、事業の円滑な実施のための体制の整備を図るものとする。

○ 関係団体および関係機関等と連携・調整を図るものとする。

○ 事業が安全に行われるよう、かかりつけ医等との連携の上で実施するものとする。

(オ) 生活管理指導事業

基本的生活習慣が欠如していたり、対人関係が成立しないなど、いわゆる社会適応が困難な高齢者に対して、訪問又は短期間の宿泊により日常生活に対する指導、支援を行い、要介護状態への進行を予防する事業。

① 生活管理指導員派遣事業

日常生活に関する支援・指導(基本的生活習慣を習得させるための支援・指導)、家事に対する支援・指導、対人関係の構築のための支援・指導(近隣住民との関係修復等)、関係機関等との連絡調整等を行う。

② 生活管理指導短期宿泊事業

養護老人ホーム、生活支援ハウス(高齢者生活福祉センター)、軽費老人ホーム、特別養護老人ホーム等の空きベッドを活用して一時的に宿泊させ、生活習慣等の指導を行うとともに体調調整を図る。

(カ) 「食」の自立支援事業

在宅の高齢者等が健康で自立した生活を送ることができるよう、配食サービス等の「食」に関わるサービスを、「食」の自立の観点から十分なアセスメントを行った上で計画的・有機的につなげて提供する事業。

① 事業内容

a 食関連サービスの利用調整

対象者の心身の状況、その置かれている環境、対象者及びその家族等の希望等の情報を収集、分析するとともに、地域の実情に応じ、配食サービス等のほか、地域住民が主体となった活動などのインフォーマルサービスも含めた社会資源の状況を勘案して、「食」の自立の観点から、食関連サービスの利用調整を行う。また、定期的(おおむね3か月~6か月程度)にサービスの実施状況、利用者の状態等を確認し、必要に応じ、サービスの再調整を行う。

b 配食サービスの実施

aにより必要と認められた者に対し、配食サービスを実施する。

(a) 実施方法

調理が困難な高齢者等に対して、定期的に居宅に訪問して栄養のバランスのとれた食事を提供するとともに、当該利用者の安否確認を行う。

(b) 利用対象者

おおむね65歳以上の単身世帯、高齢者のみの世帯又はこれに準ずる世帯に属する高齢者並びに身体障害者であって、自立支援の観点からサービスを利用することが適切であると市町村が認めたものとする。

(c) サービス提供に当たっての留意点

・実施施設は、利用者の健康等を十分勘案するとともに、食品衛生管理に十分配慮し、保健所等関係機関と密接な連携を保つこと。

・市町村は、実施施設、民生委員、社会福祉協議会等の関係機関との連携を密にするとともに、食生活改善推進員、ボランティア等の協力が得られるよう配慮し、円滑な運営に努めること。

② 事業実施に当たっての留意点

a 食関連サービスの利用調整については、その記録を独立したプランとして作成するのではなく、既存の居宅介護サービス計画(ケアプラン)又は介護予防プランに反映させる形で作成するものとする。

b 市町村は、常にインフォーマルサービスを含めた地域の社会資源を把握し、サービスの利用調整等に適切に反映できるよう努めるものとする。

c 平成17年10月以降の配食サービスの実施に当たり、食材料費及び調理費相当分を利用者負担とすることが基本となるが、利用料の設定の際、低所得者への配慮をするものとする。

(キ) 「介護予防10カ年戦略」推進のための啓発等事業

① 事業目的

健康フロンティア戦略の中の「介護予防10カ年戦略」の推進及び平成18年度から実施予定の「総合的な介護予防システム」を円滑に導入し実施していくため、市町村が行う各種事業を重点的に支援することを目的とする。

② 実施主体

事業の実施主体は市町村とする。

市町村は、③a及び③cを除き、地域の実情に応じ、適切な事業運営が確保できると認められる団体に事業の一部又は全部を委託することができる。

③ 事業内容

市町村が「介護予防10カ年戦略」の推進及び介護保険制度改正後の施行を円滑に行うための各種事業。

a 「介護予防10カ年戦略」推進委員会等の設置及び運営。

b 介護予防の重要性をはじめとした、介護保険制度改正に関する情報についての地域への広報啓発・普及活動等。

c 地域包括支援センターの設置に関する準備委員会等の設置及び運営。

④ 事業実施に当たっての留意点

備品購入費については補助対象外とする。

(2) 在宅介護支援事業

ア 事業の趣旨

在宅の要援護高齢者又は要援護となるおそれのある高齢者の心身の状況及びその家族等の状況等の実態を把握するとともに、これらの者の介護等に関するニーズの評価を行った上、要介護状態のおそれのある高齢者等に対し、できる限り寝たきり等の要介護状態にならないよう介護予防サービス等の利用調整を行い、もって地域の高齢者等の福祉の向上を図ることを目的とするものである。

イ 実施主体

実施主体は市町村とし、その責任の下に事業を実施するものとする。この場合において、市町村は、在宅介護支援センター運営事業を実施する者に事業の全部又は一部を委託することができる。

ウ 実施事業

(ア) 高齢者実態把握事業

地域の要援護高齢者等の心身の状況及びその家族等の状況等の実態を把握するとともに、介護ニーズ等の評価を行う。

(イ) 介護予防プラン作成事業

要介護状態になる危険因子の高い者に対して、できる限り寝たきり等の要介護状態にならないための適切な介護予防サービス等を利用できるように支援する。

(3) 家族介護支援事業

ア 事業の趣旨

本事業は、高齢者(40歳以上65歳未満の者であって特定疾病に該当するものを含む。以下この事業において同じ。)を介護している家族等の様々なニーズに対応し、各種サービスを提供することにより、高齢者を介護している家族の身体的、精神的、経済的負担の軽減を図るとともに、要介護高齢者の在宅生活の継続、向上を図ることを目的とするものである。

イ 事業主体

実施主体は、市町村とし、その責任の下に事業を実施するものとする。この場合において、市町村は、地域の実情に応じ、利用者、サービス内容及び利用料の決定を除き、本事業の一部を適切な事業運営が確保できると認められる団体に委託することができるものとする。

ウ 運営

市町村は、本事業の運営に当たっては、1の(1)のエに準じて行うものとする。

エ 実施事業

(ア) 家族介護教室

① 実施方法

利用対象者に対し、介護方法や介護に関する効果的な記録方法、介護予防、介護者の健康づくり等についての知識・技術を習得させるための教室を開催する。

② 利用対象者

高齢者を現に介護している家族や近隣の援助者等

③ 事業実施に当たっての留意点

a 家族介護者交流事業(元気回復事業)と一体的に実施することも可とする。

b 利用者は、教材費等の実費を負担するものとする。

(イ) 介護用品の支給

① 実施方法

支給対象者に対して、介護用品(紙おむつ、尿取りパット、使い捨て手袋、清拭剤、ドライシャンプーなど)を支給する。

② 支給対象者

要介護4又は5に相当する在宅の高齢者であって市町村民税非課税世帯に属するものを現に介護している家族

③ 事業実施に当たっての留意点

a 支給額は、年額1人当たり上限75,000円とする。

ただし、対象者が家族介護者交流事業(元気回復事業)のサービスを併せて受けることを希望しない場合に限り、年額1人当たりの上限を100,000円とすることができるものとする。

b 具体的な支給方法は市町村の判断によるものであり、地域の実情に応じて紙おむつ等の引き換えのためのクーポン券で支給することも可とする。ただし、現金(いわゆる償還払い方式を含む)でおむつ代等を支給することは不可とする。

(ウ) 家族介護者交流事業(元気回復事業)

① 実施方法

利用対象者に対して、介護から一時的に解放し、宿泊・日帰り旅行、施設見学などを活用した介護者相互の交流会に参加するなど心身の元気回復(リフレッシュ)を図る。

② 利用対象者

高齢者を現に介護している家族

③ 事業実施に当たっての留意点

a 助成額は、年額1人当たり上限25,000円とする。

b 家族介護教室と一体的に実施することも可とする。

(エ) 家族介護者ヘルパー受講支援事業

① 実施方法

利用対象者が家族介護の経験を活かしてホームヘルパーとして社会で活躍することを支援するため、訪問介護員に関する省令(平成12年厚生省令第23号)に規定する訪問介護員研修2級又は3級課程を受講した場合に受講料の一部を助成する。

② 利用対象者

高齢者を現に介護しているか又は介護していた家族

③ 事業実施に当たっての留意点

a 助成額は、年額1人当たり上限30,000円とする。

b 利用者は、教材費等の実費を負担するものとする。

(オ) 徘徊高齢者家族支援サービス事業

① 実施方法

認知症高齢者が徘徊した場合に、早期に発見できる仕組み(システム)を活用してその居場所を家族等に伝え、事故の防止を図るなど家族が安心して介護できる環境を整備する。

② 利用対象者

徘徊の見られる認知症の高齢者を介護している家族

③ 事業実施に当たっての留意点

利用者は、機器のリース料等の実費を負担するものとする。

(カ) 家族介護慰労事業

① 実施方法

支給対象者に対して、介護を行っていることの慰労として金品(年額100,000円まで)を贈呈した場合に、これに要する経費を助成する。

② 支給対象者

要介護4又は5に相当する市町村民税非課税世帯に属する在宅の高齢者であって過去1年間介護保険サービス(年間1週間程度のショートステイの利用を除く。)を受けなかったものを現に介護している家族。

③ 事業実施に当たっての留意点

a 要介護認定を受けていない高齢者については、市町村の判断で、正式な審査判定を経ないまでも、基本的には要介護認定と同じ方法を利用して、要介護4又は5に相当すると判断されるものを対象とする。

b 家族が高齢者と同居していない場合であっても、隣地に居住していて事実上同居に近い形で介護に当たっている場合などは、実情に応じて市町村が支給するかどうか判断するものとする。

c 過去1年間介護保険サービス(年間1週間程度のショートステイの利用を除く。)を受けなかった高齢者を介護する家族を支給対象者とすることから、支給を行う1年前に要介護4又は5に相当することが認められていることが必要である。したがって、市町村は、支給を行う1年前から順次対象予定者のリストアップを行った上で、それぞれの者について1年間のサービスの利用状況を見て支給を行うか否かの判断を行うものとする。

(キ) 認知症高齢者家族やすらぎ支援事業

認知症高齢者を介護する家族への支援の充実を図る観点から、対象となる認知症高齢者の近隣に居住する者、ボランティア等が認知症高齢者の居宅を訪問し、見守りや話し相手をする事業。

① 事業内容

a 「やすらぎ支援員」の養成事業

近隣者、ボランティア等を対象として認知症の基礎知識、接遇の基礎、緊急時の連絡等に関するオリエンテーションを実施し、当該オリエンテーションを受けた者(以下「やすらぎ支援員」という。)を登録する。登録の際には、やすらぎ支援員の訪問可能な日時等の活動に関する情報を記載した台帳を整備するとともに、定期的に記載内容の更新を行うものとする。

b 対象者とやすらぎ支援員とのなじみの関係づくり

コーディネーター(対象者とやすらぎ支援員との関係づくりを調整する者をいう。以下同じ。)は、やすらぎ支援員の中から訪問日時等の条件が合致する者を選定し、対象となる認知症高齢者に受け容れられやすいよう、対象者とやすらぎ支援員との顔合わせの場を設けたり、やすらぎ支援員による対象者への言葉かけが容易になるように対象者の趣味や関心事等を伝えたりするなど、「なじみの関係づくり」の支援を行う。

c やすらぎ訪問事業の実施

家族が外出することが必要な時間帯又は介護疲れで休息が必要な時間帯に、やすらぎ支援員が対象者の居宅を訪問する。原則として、直接身体に触れる介護は行わないが、トイレ誘導程度は必要に応じて実施する。

② 事業実施に当たっての留意点

a 市町村は、医療機関、指定居宅介護支援事業者、指定居宅サービス事業者等の関係機関との連携体制を確保すること。

b 市町村は、やすらぎ支援員の訪問可能な日時等の活動に関する情報、対象者の家族状況・生活状況・健康管理状況等に関する情報及び訪問活動の結果を記録する台帳等を整備すること。

c コーディネーターは、認知症高齢者の特性に関する知識を有し、かつ、対象者の状況を熟知している者とする。

d やすらぎ支援員は、対象者が訪問介護等の専門性の高いサービスを必要とする状態にあると判断した時は、適切に専門職との連絡調整を図るものとする。

(4) 住宅改修支援事業

ア 実施方法

高齢者向けに居室等の改良を希望する者に対して、住宅改修に関する相談・助言を行うとともに、介護保険制度の利用(住宅改修費)に関する助言を行う。

イ 事業内容

○ 住宅の改良に関し、保健師、理学療法士、作業療法士等が利用対象者の居宅を訪問等により、家屋の構造、高齢者の身体状況及び保健福祉サービスの活用状況等を踏まえて相談に応じ、助言。

○ 施工者の紹介及び改良内容についての業者への連絡、調整。

○ 施工後の評価及び利用対象者に対する指導。

○ その他、住宅改良が円滑に行われるよう関係機関との連絡調整。

ウ 留意事項

介護支援専門員又は作業療法士、福祉住環境コーディネーター検定試験2級以上その他これに準ずる資格等を有する者など、居宅介護住宅改修費又は居宅支援住宅改修費の支給の対象となる住宅改修について十分な専門性があると認められる者が、居宅介護支援の提供を受けていない要介護者又は要支援者に対し、居宅介護住宅改修費又は居宅支援住宅改修費の支給の申請に係る理由書を作成した場合について、これを市町村の委託事業又は市町村助成事業として、本メニューの対象事業とすることができる。

なお、その場合の単価は、1件当たり2,000円とする。

(5) 高齢者共同生活(グループリビング)支援事業

ア 実施方法

加齢による身体機能の低下を補うため、共同で生活している形態(グループリビング)に対し、次の支援を行う。

① グループリビングに対する支援プログラムの作成・調整

② 近隣住民、ボランティア団体による各般の支援体制の構築

イ 利用対象者

おおむね60歳以上の高齢者であって、同一家屋内で食事等、お互いに生活を共同で行うことができるもの。

ウ 利用定員

5人から9人。

エ 事業実施にあたっての留意点

当該居住形態が5年以上続くと見込まれること。また居住者について、所有権の共有や賃借権等居住に関する権利関係を明確にしておくこと。

(6) 高齢者の生きがいと健康づくり推進事業

ア 事業内容

本事業は、高齢者が家庭・地域・企業等社会の各分野で、豊かな経験と知識・技能を生かし、地域の各団体の参加と協力のもとに、高齢者の生きがいと社会参加を促進するとともに、家に閉じこもりがちなひとり暮らし高齢者等に対し、様々な施設を活用し、通所により各種サービスを提供することにより、社会的孤立感の解消及び自立生活の助長を図る。

イ 実施主体

実施主体は市町村とする。ただし、市町村は地域の実情に応じ、利用者、サービス内容及び利用料の決定を除き、適切な事業運営が確保できると認められる市町村老人クラブ連合会、市町村社会福祉協議会、社会福祉法人、民間事業者、特定非営利活動法人、農業協同組合及び農業協同組合連合会等に委託することができるものとする。

ウ 実施方法

① 本事業を実施する市町村には、市町村老人クラブ連合会、市町村社会福祉協議会等の団体に広く参加を呼びかけ、高齢者の生きがいと健康づくり推進会議(以下「推進会議」という。)を設置するものとする。

② 推進会議は、本事業についての総合的な企画、立案を行うとともに、事業間の連絡調整、事業の進行管理及び事業上の各段階における評価とそれに基づく事業の見直し、改善等を行うものとする。

エ 利用対象者

おおむね60歳以上の高齢者

オ 事業内容

① 高齢者の社会活動についての広報活動等

② 文化伝承活動、三世代交流活動等高齢者の地域活動の振興

③ スポーツ・娯楽活動、健康増進活動の推進、同好会等の育成及び関係団体等との連絡・調整

④ 木工・陶芸・手芸・園芸等の生産・創造活動の振興、市町村高齢者教養講座及び中高年者健康生きがい講座等の開催

⑤ 高齢指導者(シニアリーダー)の活用事業

⑥ その他、本事業として適当と認められる事業

カ 事業実施に当たっての留意点

① 本事業は老人クラブ連合会をはじめとする各種団体の協力のもと、地域の元気な高齢者が中心となり、かつ主体的に活動のできる事業となるよう配慮すること。

② 学校の空き教室、農林漁業関係施設、さらには地域の優れた人材等、既存の「人、物」を有効に活用しながら事業を推進すること。

③ 本事業と推進機構が実施する事業とは相互に密接に関連するものであることから、推進機構との連絡調整を密にするとともに、事業を共同で実施するなど、相互の協力・支援体制を整備すること。

(7) 成年後見制度利用支援事業

ア 事業の趣旨

介護保険サービス、障害者福祉サービスの利用等の観点から、認知症高齢者又は知的障害者にとって、成年後見制度の利用が有効と認められるにも関わらず、制度に対する理解が不十分であることや費用負担が困難なこと等から利用が進まないといった事態に陥らないために、市町村が行う成年後見制度の利用を支援する事業に対して補助を行うものである。

イ 事業内容

(ア) 成年後見制度利用促進のための広報・普及活動の実施

① 在宅介護支援センター、居宅介護支援事業者等を通じた、成年後見制度のわかりやすいパンフレットの作成・配布

② 高齢者、知的障害者やその家族に対する説明会の開催

③ 高齢者、知的障害者やその家族に対する相談会の開催

④ 後見事務等を廉価で実施する団体等の紹介

⑤ その他成年後見制度の利用促進に資する事業

(イ) 成年後見制度の利用に係る経費に対する助成

① 利用対象者

次のいずれにも該当する者

a 介護保険サービス又は障害者福祉サービスを利用し、又は利用しようとする身寄りのない重度の認知症高齢者、知的障害者

b 市町村が、老人福祉法(昭和38年法律第133号)第32条又は知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第27条の3の規定に基づき、民法(明治29年法律第89号)第7条(後見開始の審判)、第11条(保佐開始の審判)、第14条第1項(補助開始の審判)等に規定する審判の請求を行うことが必要と認める者

c 後見人等の報酬等必要となる経費の一部について、助成を受けなければ成年後見制度の利用が困難と認められる者

② 助成対象経費

成年後見制度の申立てに要する経費(登記手数料、鑑定費用等)及び後見人等の報酬の全部又は一部

(8) 高齢者住宅等安心確保事業

ア 事業内容

本事業は、高齢者の生活面・健康面での不安に対応するため、地域の実情に応じて、高齢者の安否確認や生活相談等を実施するための計画づくりを行い、生活援助員の派遣や関係機関の連携及び各種資源を活用することにより、高齢者の安心を確保するための体制づくりを図る。

イ 実施主体

実施主体は、市町村とする。

ウ 実施方法

地域の状況に応じて、地域の資源や他事業の活用を図るとともに、以下の(ア)~(ウ)の事業を行う。

(ア) 高齢者住宅等安心確保計画の策定

① 高齢者の安否確認や生活相談等の支援を適切に行うための基本となる計画づくりを行う。

② 計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

a 当該市町村の区域における安否確認や生活相談等の訪問活動が必要な高齢者の人数、その居住実態その他の事情を勘案した事業の量の見込み

b 生活援助員のほか、民生委員、老人クラブ、市町村社会福祉協議会、特定非営利活動法人等の訪問活動に従事する者の確保又は資質の向上に資する事業に関する事項

c 地域の関係機関との連携の確保に関する事項

d その他本事業の円滑な実施を図るために市町村が必要と認める事項

(イ) 高齢者住宅等安心確保連絡協議会の設置

生活援助員等の訪問活動に従事する者や市町村等からなる協議会を設置し、地域の関係機関の連携体制の整備を行う。

(ウ) 生活援助員の派遣

(ア)の計画に基づき、高齢者世話付住宅(シルバーハウジング)や高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)による高齢者向け優良賃貸住宅及び高齢者円滑入居賃貸住宅(登録住宅)等を対象に、安否確認や生活相談等を行う生活援助員を派遣することができる。

なお、生活援助員の派遣については、(ア)及び(イ)を踏まえた上で、必要性が認められる範囲で行うものとする。

① 生活援助員の行うサービスの内容

生活援助員の行うサービスは、次に掲げるものとし、必要に応じ提供するものとする。

a 生活指導・相談

b 安否の確認

c 一時的な家事援助

d 緊急時の対応

e 関係機関等との連絡

f その他日常生活上必要な援助

② 生活援助員の身分

生活援助員は、在宅介護支援センター、介護保険施設又は通所介護等事業所の職員であって市町村が適当と認めた者とする。

③ 生活援助員の研修

生活援助員に対し、採用時及びその後適宜、業務に必要な基礎的な知識及び技術に関する研修を実施するものとする。

④ 関連事業との連携

市町村は、生活援助員の派遣に当たり、必要に応じ、訪問介護員の派遣、通所介護事業等を活用するなど高齢者に係る保健医療及び福祉の増進に関する諸事業との連携を図るものとする。

エ 事業実施に当たっての留意点

(ア) 市町村は、生活援助員の派遣に要する費用について入居者負担額を定め、入居者の負担能力に応じて、これを徴収することができるものとする。

(イ) 本事業の実施に当たっては、原則として、ウの(ア)及び(イ)の事業の実施を必須とする。

(9) 寝たきり予防対策事業(寝たきり予防対策普及啓発事業)

ア 事業の趣旨

高齢者の寝たきり状態を予防するための保健事業を始めとする各種施策をより効果的に展開するために、地域の高齢者やその家族等に対して、「寝たきりゼロへの10か条」の広報など積極的な普及啓発活動等を行うことにより、寝たきり予防対策の一層の推進を図るものである。

イ 事業内容

市町村は、地域の実情に応じて次のうちから適宜必要な事業を実施するものとする。

(ア) 市町村の実情を十分把握し、寝たきり予防対策に向けた推進方策の企画、立案及び事業の実施効果の分析

(イ) 寝たきり予防推進のための広報紙、パンフレット、ポスターその他の広報媒体を通じた寝たきり予防推進対策の普及・啓発

(ウ) 寝たきり予防推進対策のための住民大会、講演会、シンポジウム等、各種行事を通じた寝たきり予防推進対策の普及・啓発

(エ) その他寝たきり予防対策の推進に必要な普及・啓発事業

ウ 委員会の設置

(ア) 市町村は、保健所、福祉事務所、教育委員会、医師会、歯科医師会、地域住民組織、老人クラブ等の代表者、保健師、看護師その他本事業の推進に必要と認められる者を構成員とする「寝たきり予防推進委員会」(以下「委員会」という。)を設置するものとする。

(イ) 委員会は、市町村に対しイに掲げる事業の効果的な実施に向けての助言その他の支援を行うものとする。

(ウ) 委員会は、本事業の推進を図るため、年4回程度開催するものとする。

エ 事業実施に当たっての留意点

事業の実施に当たっては、地域の医療機関、社会福祉施設等関係団体等との連携を図るものとする。

(10) 健やかで活力あるまちづくり基本計画策定・普及啓発推進事業

ア 事業内容

この事業は、高齢者が生きがいを持ち、健康で安らかな生活を営むことができる地域社会の形成を促進するため、市町村がそれぞれの地域の特性に応じて、公民の協力の下に地域住民の老後における健康や福祉をはじめとする高齢化に対応するための様々な機能の総合的、計画的な整備を図るための基本となる計画(以下「基本計画」という。)を策定し、併せて基本計画の広報啓発活動を実施することにより、管内の地域住民に対して広く普及啓発を図ることとする。

イ まちづくりにおける基本的考え方

(ア) 地域住民が生涯を通じて住みやすい地域社会の形成を図るものであり、特に、高齢者が住み慣れた地域社会から孤立することなく、多世代の交流が図られるものであること。

(イ) 高齢者が「健康」、「生きがい」及び「安心」を享受するために必要な健康及び福祉に関する機能が、高齢者の日常生活圏のなかに総合的に備わっているものであること。

(ウ) 健康や福祉をはじめとする高齢化に対応した様々な機能が各々有機的に連携を図ることができるよう計画的に整備されているものであること。

(エ) 高齢者の多様な需要に対応するため、公的な施策の一層の推進と併せ、これとの適切な連携の下に民間事業者の積極的な事業参画が図られるものであること。

(オ) 計画策定内容を広く地域住民に普及させる観点から、計画地域における住民に対して広報啓発活動を積極的に実施するものであること。

ウ 基本計画の策定主体

基本計画の策定主体は、市町村とする。

エ 基本計画の策定内容

基本計画の策定は、計画地域内の特定地域における保健福祉関連施設の整備に関するものだけにとどまらず、計画地域全体にわたる保健、福祉サービスについて行うことを基本とし、あわせて高齢化への対応に関連する各般の分野を含めできる限り総合的な視点に立って行うものとし、これを実現するための現実的かつ具体的施策について検討を行うこと。

なお、既に策定済の基本計画との整合性を図りつつ、その実施・具体化に向けての計画(面的施設整備計画)づくりを行う場合は、次の事項によらず当該計画の目的等に照らし必要な事項について行うものとする。

(ア) 計画の背景及び目的

(イ) 計画の地域及び期間

(ウ) 計画地域の人口の高齢化、地域開発の状況、高齢者の居住実態、地域住民の保健福祉活動の状況等高齢者の保健・福祉の需要に影響を与える事項の現状及び今後の見通し

(エ) 計画地域における高齢者のための保健福祉及び関連分野に係る公的事業及び民間事業の現況

(オ) 計画地域における高齢者のための保健福祉及び関連分野に係る公的事業及び民間事業の今後の整備目標

(カ) 整備目標達成のための計画地域における保健福祉関連施設の整備計画(事業主体、種類、規模、利用範囲・人員、既存関連施設との連携方策)

(キ) 整備目標達成のための計画地域における施設整備以外の保健福祉に係る事業の実施計画

(ク) 整備目標達成のための関連分野に係る事業の推進に関すること

(ケ) (カ)~(ク)における公民の役割分担及び連携の考え方

(コ) 民間事業者による特定民間施設の整備を行う場合にあっては、その具体的な内容

(サ) その他

オ 基本計画策定上の留意事項

基本計画の策定に当たっては、当該都道府県と密接な連携を図るとともに、地域における地域団体の代表、保健、医療、福祉、建築の関係者等をその構成員とする委員会の設置や地域住民の意向の把握等により、関係者の意見を広く聴取するとともに、各地域の特性を十分に生かせるよう配慮すること。

カ 広報啓発活動

本事業の目的及びまちづくりにおける基本的考え方に基づいて、本計画策定主体が、地域住民への本計画策定事業の趣旨の普及促進を一層図ることを目的とし、おおむね次の事項など計画地域の住民に対して計画策定段階から広報啓発をすること。

(ア) イベント開催等広報啓発に関すること。

(イ) パンフレット、ビデオ作成等啓発資料作成に関すること。

(11) 高齢者地域支援体制整備・評価事業

ア 事業の趣旨

介護予防・生活支援サービスにおける取組みを支援し、サービスの充実・強化を図ることにより、地域における高齢者支援の体制整備等を図ることを目的とする。

イ 実施主体

実施主体は、市町村とする。この場合において市町村は、適切な事業運営が確保できると認められる市区町村社会福祉協議会等に事業を委託することができるものとする。

ウ 事業内容

(ア) ニーズ把握

地域における高齢者の介護予防・生活支援サービスに関するニーズを把握する。

(イ) 研修

把握された高齢者の新たなニーズに対応できる介護予防・生活支援サービスに関する研修を実施する。

(ウ) 評価・改善指導

介護予防・生活支援サービスを行う団体の活動に関する評価を行うとともに、活動上の問題点や課題等について、助言・提言による指導を行う。

(エ) ネットワーク形成

介護予防・生活支援サービスを行う団体が必要とする協力関係を構築できるよう、関係団体間の連絡会議の開催等によりネットワークの形成を図る。

(オ) 高齢者等に対する身近な相談支援体制の確立

高齢者等が気軽に来所できる場所に相談窓口を設置し、高齢者等の様々な相談に応じ、その問題の解決に努める。

(カ) その他、本事業として適当と認められる事業

エ 事業実施にあたっての留意点

(ア) 介護予防・生活支援サービスを行う団体の活動に関する評価については、地域住民、関係団体等が幅広く参加した会議を開催して行うこと。

(イ) 高齢者のニーズに関する情報やネットワーク等に関する情報を適宜都道府県や市町村へ提供すること。

(ウ) (オ)の事業については、特に以下の点に留意すること。

① 相談に当たる者は、高齢者等に身近な存在である民生委員、高齢者等の支援に熱意のあるボランティア等とし、相談の内容や地域の実情に応じて社会福祉の専門家等を加えること。

② 相談は、無料とすること。

③ あらゆる相談に対応すること。

④ 在宅介護支援センター等の公的相談機関と常に連携を密にし、問題解決が困難なケースについては当該機関へ連絡を行うなど適切に対応すること。

⑤ 相談に当たる者及び当たった者は、相談者のプライバシーの尊重に万全を期すものとし、正当な理由なく知り得た秘密を漏らしてはならないこと。

(12) 認知症にやさしい地域づくりネットワーク形成事業

ア 事業の趣旨

認知症高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるようにするためには、認知症に対する家族や地域住民の偏見・無理解を取り除き、更には見守りや支援の体制を作ることが重要である。

このため、在宅介護支援センターや地域の多彩な協力団体が参画し、認知症高齢者とその家族に対するきめ細かな対応と継続的なアフターケアを行うための「認知症にやさしい地域づくりネットワーク」を構築することを目的とする。

イ 実施主体

実施主体は市町村とし、その責任の下に事業を実施するものとする。この場合において、市町村は、在宅介護支援センター運営事業を実施する者に事業の全部又は一部を委託することができる。

ウ 事業内容

(ア) 運営委員会等ネットワーク体制の整備

① 運営委員会の設置

市町村は、保健福祉担当課、在宅介護支援センターのほか、地域の実情に応じて、市町村の関係課、保健所・保健センター、社会福祉協議会、保健福祉施設、医療機関、居宅介護支援事業所、警察・消防、民生委員、家族会、住民自治組織、郵便局、鉄道・バス・タクシー等の交通関係、ガソリンスタンド、商店、報道機関など、地域の関係者の参加を求め、ネットワークを作るための運営委員会等を設置すること。

② 運営委員会の開催

運営委員会においては、次の「(イ) ネットワーク活動」に示す事業を展開していくための具体的な検討を行うとともに、ネットワークの見直しや拡大等を図るため、適宜、会議を開催すること。

(イ) ネットワーク活動

① 地域住民への広報・啓発活動

家族や住民に対して認知症高齢者に関する正しい理解のための広報・啓発を行うことにより、認知症にやさしい地域を作る。

(例)

・パンフレット等の作成・配布

・認知症高齢者等の家族に対する説明会、相談会の開催

・一般住民向けの説明会、模擬訓練の開催等

② 徘徊高齢者の捜索活動への協力、保護・引き取りにおけるきめ細かな対応の実施

徘徊等の行動障害のある高齢者の所在が不明となった場合には、警察との所要の連携の下で、早期発見への協力を行う。

また、認知症高齢者への正しい接し方(声かけ等)について熟知しておくとともに、ネットワークの中で、徘徊高齢者の発見から、保護・引き取りに至るまでの取り決めを行っておくなど、きめ細かな対応を行う。

③ 再発防止のためのフォローアップ対策

徘徊等の行動障害の要因に家族が気付かないで徘徊等による所在不明が再発するケースも見られることから、在宅介護支援センター等を中心としたケースカンファレンスの開催などネットワークの点検・見直しなどを行う。

(13) 認知症高齢者をかかえる家族に対する地域支援事業

ア 事業の趣旨

認知症高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるようにするためには、認知症に対する家族に対する支援体制を作ることが重要である。

このため、本事業は、身内が認知症になった初期の段階から、同じような経験を持つ地域の経験者が、交流集会や電話相談など、認知症の知識や技術の面だけでなく精神面も含め、家族を支えることにより、認知症高齢者の行動障害の緩和や認知症症状の進行を抑え、在宅生活を続けていくことができるよう、地域支援事業を実施することを目的とする。

イ 実施主体

実施主体は、市町村とする。

ただし、事業の全部又は一部をこの事業を適切に実施することができると認められる団体等に委託することができる。

ウ 事業内容

(ア) 交流集会(月1回程度)

認知症の知識や技術の面だけでなく精神面も含め、家族を支えることを目的とし、交流集会等を開催する。

(イ) 電話相談

定期的に相互に電話相談、アドバイスを行い、家族を技術面・精神面から支援する。

(ウ) その他

・認知症の人のためのケアマネジメント普及事業

・認知症高齢者をかかえる家族の支援に資する事業

(14) サービス事業者振興事業

ア 事業の趣旨

介護サービス事業者に対する研修等を通じて、制度の趣旨、良質な事業を展開するうえでの必要な各種情報を伝えるとともに、連絡協議会の開催等により事業者間の相互の連携を推進することにより、利用者に適切なサービスを提供できる環境を整備することを目的とする。

イ 実施主体

事業の実施主体は市町村とする。

事業の全部又は一部を在宅介護支援センター等、事業を適切に行うことができる団体に委託して実施することができる。

ウ 事業内容

① 介護サービス事業者に対する不適正事例等に関する研修

② 管内における効果的な情報提供体制(事業者団体の育成等)の構築

③ 介護サービスの利用状況等の調査・情報提供等

(15) 福祉用具・住宅改修研修事業

ア 目的

本事業は、介護支援専門員(ケアマネジャー)等に対して、福祉用具及び住宅改修に関する知識の付与を目的とした研修を行うことにより、利用者に対する適切な居宅サービス計画(ケアプラン)の作成促進を図るとともに、福祉用具や住宅改修による導入効果等についてパンフレット等を作成し、情報提供することによって、介護保険の円滑な実施を図ることを目的とする。

イ 実施主体

事業の実施主体は、市町村とする。

この場合において、市町村は、事業の全部又は一部を適当な団体に委託して実施できる。

ウ 事業内容

(ア) 介護支援専門員等研修事業

① 受講対象者

介護支援専門員、福祉用具専門相談員等を対象とする。

② 研修内容

実習を含めた福祉用具に関する知識や住宅改修工事に関する知識及び事業者との連携方法とする。

ただし、受講者の希望等を考慮して、必要な科目を追加することは差し支えない。

③ 費用負担

研修会開催費用のうち、教材代等については、受講者の実費負担とすることができる。

④ 講習課程の内容例(時間数や内容については、例を参考に独自に設定しても差し支えない。)