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○社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について〔老人福祉法〕

(平成13年7月23日)

(/雇児発第488号/社援発第1275号/老発第274号/)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長・厚生労働省社会・援護局長・厚生労働省老健局長通知)

社会福祉法人(以下「法人」という。)及び社会福祉施設(以下「施設」という。)に対する指導監督については、厚生省内に設置した「施設整備業務等の再点検のための調査委員会」において、法人及び施設の指導監督等に係る業務の適正化を図るための改善措置等について検討した結果に基づいて、「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について」(平成9年3月28日社援企第68号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知。以下「旧通知」という。)により改善策等をお示ししてきたところであります。

今般、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)の施行、社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律(平成12年法律第111号)の公布・施行、「社会福祉法人の認可について」(平成12年12月1日障第890号・社援第2618号・老発第794号・児発第908号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)等関係通知の改正等を踏まえ、旧通知を廃止し、新たに下記のとおり定めることといたしましたので、当該通知を踏まえ、社会福祉法人及び社会福祉施設の指導監督を行っていただきますようお願い申し上げます。

なお、本通知は、2、4及び5(3)~(5)を除き地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定に基づく都道府県及び市(特別区を含む。以下同じ。)が法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準として発出することを申し添えます。

1 法人認可に係る審査について

(1) 法人の認可申請の審査に当たっては、「社会福祉法人の認可について」(平成12年12月1日障第890号・社援第2618号・老発第794号・児発第908号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)等に基づき、特に資金計画、理事会の構成等について厳格な審査を行われたいこと。

特に、同一人物が複数の法人を設立しようとする場合には、新たに法人を設立する必要性、資金計画の妥当性等につき、十分な審査を行われたいこと。

(2) 法人の審査に当たっては、施設整備を優先するあまり法人認可の審査がおろそかになることはあってはならず、施設整備の必要性から離れて独自の判断による審査を行うよう留意されたいこと。このため、施設整備担当以外の関係課、部局を加えた庁内審査会を設置するなど、内部けん制機能を確保した合議制による審査体制により、的確な審査を行われたいこと。

なお、施設整備に係る国庫補助協議(厚生労働省雇用均等・児童家庭局及び老健局が所管する交付金に係る協議を含む。以下同じ。)に当たっては、当該審査を経ていることを条件とするものであること。

(3) 国庫補助金(厚生労働省雇用均等・児童家庭局及び老健局が所管する交付金を含む。以下同じ。)及び(独)福祉医療機構の融資を受けて施設を設置する場合の法人の設立認可の審査は、当該国庫補助金及び融資の審査と相互に連携を図り、行われたいこと。

このため、従来、(独)福祉医療機構の融資については国庫補助金内示後に融資申込を受け付け、審査を実施していたが、今後は、法人を新設して施設整備を行うものであって、毎年1月末日までに国庫補助協議申請と併せ、都道府県市の意見書を添えて機構融資の申込を行った案件については、国庫補助協議と並行して融資審査を実施し、都道府県市における法人の認可及び国における補助事業の決定との連携を図ることとしていること。この並行審査の実効を期すため、国庫補助協議を行うことが確実に見込まれる案件については、前年の10月以降順次融資申込を行うこと(この場合、意見書の提出は1月末日までに行うこと)。

なお、厚生労働省雇用均等・児童家庭局及び老健局が所管する交付金の対象施設のうち、法人を新設して施設整備を行うものについては、都道府県市において、(独)福祉医療機構及び市区町村(市区町村の整備計画に基づく交付金の場合に限る。以下同じ。)と連携を図ること。

(4) (1)~(3)については、民間公益補助事業による施設整備についても、原則として同様の取扱いとすることが適当であること。

2 施設整備に係る審査等について

(1) 施設整備に係る国庫補助協議に際しては、毎年国が示す協議基準にのっとり、十分な審査を経て行われたいこと。

(2) 国庫補助協議の対象施設の選定に当たっては、協議対象施設の妥当性、協議基準との整合性等について、施設整備の担当課や部局のみの審査によらず、関係他課、他部局の参加、地方社会福祉審議会の活用等合議制による審査を実施されたいこと。

なお、国庫補助協議については、当該審査を経ていることを条件とするものであること。

(3) 協議対象施設の選定が偏っていないか、既存の施設に比べ新設の法人が不当に有利な扱いになっていないか、行政関係者が関わっている施設が優先されているのではないか等の疑惑を招くことがないよう、適正かつ公平な審査の実施に努められたいこと。

(4) 国庫補助協議を行う施設については、各都道府県及び市区町村において、設置主体の名称及び事業計画(施設名称、施設種別、定員、工事区分)の公表を行われたいこと。

また、新たに法人を設立して整備する施設については、設立準備委員会の名称に加え、役員就任予定者も公表すること。また、設置主体と運営主体が異なる場合には、運営主体の名称も公表すること。

(5) (1)~(4)については、民間公益補助事業による施設整備についても同様の取扱いとすることが適当であること。

3 法人に対する指導監督の徹底について

(1) 指導監査は、施設又は事業(以下「施設等」という。)の指導監査と並行して実施するよう努められたいこと。

(2) 指導監査は、一般監査と特別監査とし、その実施方法は、「社会福祉法人の指導監査要綱の制定について」(平成13年7月23日雇児発第487号・社援発第1274号・老発第273号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)によること。

なお、当該年度における指導監査の実施計画については、年度当初に策定するものとし、少なくとも対象法人、重点事項、実施時期及び具体的方法について明らかにすること。

(3) 指導監査の所管が複数の課にまたがる場合は、総合調整部門を設け、統一された方針の下に指導監査を実施されたいこと。

(4) 指導監査担当職員の確保及び当該職員の研修の充実等人的体制の強化について格別の配慮をされたいこと。

(5) 法令等の規定に基づき、法人から提出された報告書等については、厳正に審査を行われたいこと。

特に、「現況報告書」に添付される財務諸表については、各会計単位ごとの審査はもちろんのこと、各会計単位間及び経年の整合性についても審査を徹底されたいこと。

(6) 一般監査の結果是正改善を必要とする場合は、個別的にその事実の発生原因の究明を行うとともに、是正改善すべき内容を文書により指導し、その是正改善状況を確実に確認されたいこと。

なお、いわゆる不祥事案が発生した場合には、速やかに特別監査を実施し、当省(地方厚生局を含む。)との連絡を密にし、迅速に善後策を講じられたいこと。

(7) 指導監査に係る指摘事項について、改善措置が講じられない場合は、個々の事例に応じ、次に掲げる制裁措置のうち効果的かつ実施可能な方法により措置されたいこと。

ア 利用者の処遇等に影響を及ぼすような悪質なケース及び放漫な経営態度が見られる場合には、措置権者等の協力を得て、新規入所の停止又は利用者の他の施設への措置替え等を行うこと。

イ 運営費の不当支出、職員の未充足等の事態に対しては、改善措置が講じられるまでの間で貴職が必要と認める期間、民間施設給与等改善費の管理費加算分若しくは人件費加算分又はその両者を減ずること。

ただし、遡及適用は行わないこと。

ウ 「社会福祉法人が経営する社会福祉施設における運営費の運用及び指導について」(平成16年3月12日雇児発第0312001号・社援発第0312001号・老発第0312001号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、社会・援護局長、老健局長連名通知)及び「保育所運営費の経理等について」(平成12年3月30日児発第299号厚生省児童家庭局長通知)による運営費の弾力運用については、これを一切認めないこと。

(8) 社会的に許容されない不祥事が発生した場合は、(7)による制裁措置のほか、当該不祥事の関係者はもちろんのこと法人の責任者、施設管理者等の責任を明確にし、場合によっては法人組織の再検討を行うとともに、関係者の社会的責任を明確にするため、氏名の公表等も検討されたいこと。

(9) 法人の理事長等に対する研修会等の機会をも積極的に活用して、指導の強化を図られたいこと。

4 施設等に対する指導監督の徹底について

(1) 施設等の指導監査は、適正な施設等の運営を確保する見地から、利用者の処遇面、経営面、施設設備等事業運営の全般にわたって行うことを目的とするものであり、単なる経理の指導監査や形式的な指示指摘にとどまる指導監査であってはならないものであること。

特に、経理及び利用者の処遇等に関する指導に当たっては、個々の事業者の経営努力、特殊事情等をも勘案し、機械的、画一的指導に陥ることなく円滑な運営の確保を図ることに意を用いること。

(2) 道府県所管法人が指定都市又は中核市において施設等を経営している場合における施設等の指導監査にあっては、法人の指導監査を行う道府県と十分連携を行い実施すること。また、市(指定都市及び中核市を除く。)所管法人が施設等を経営している場合も、都道府県における施設等の指導監査にあっては、法人の指導監査を行う市(指定都市及び中核市を除く。)と十分連携を行い実施すること。

なお、厚生労働省所管法人の場合においても同様に十分連携を行われたい。

(3) 指導監査を行う施設等が衛生部(局)等の他部(局)の監督下にある場合には、当該部(局)との緊密な連携の保持に配慮されたいこと。

(4) 3(3)~(4)、及び(6)~(8)については、施設等の指導監査についても同様の取扱いとされたいこと。

5 指導監督上の留意事項について

(1) 法人の役員等

ア 法人の理事会はその運営の適否を左右する最も重要な機関であることから、定款の定めに従って適正な運営がなされ、議決事項について実質的な審議が行われるよう指導の徹底を図られたいこと。

イ 法人の公共性を確保するとともに、その適正な運営がなされるよう、法人の役員の選任に際し、各役員について親族等の特殊の関係にある者が関係法令等に定める数を超えて就任しないよう指導の徹底を図られたいこと。

ウ 法人の監事は監査機関として法人の業務執行及び会計の適正を確保すべき機関であることから、関係法令等に定める要件を満たす者から選任され、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第40条に定める職務を行うに当たってその独立性が確保されるよう指導の徹底を図られたいこと。

(2) 施設整備関係

ア 無理な資金計画が不祥事案につながるケースが多いので、施設整備計画を認める際に十分に審査を行うことはもとより、整備後においても資金計画の履行状況を常に把握し、不十分な点がある場合には、改善されるまで施設設置の認可を保留するなどその都度強力な指導を行われたいこと。

特に寄附金に係る資金計画については、その履行状況を十分点検する必要があること。また、指定寄附金の適正な審査が行われるよう、各都道府県共同募金会に対し必要な指導及び協力を行われたいこと。

イ 建設業者からのリベートや二重契約は絶対に避けなければならないことはいうまでもない。したがって、施設建設工事に係る契約手続については、都道府県市が行う公共事業の扱いに準じて適切に行うとともに、あらかじめ都道府県市に入札参加業者を届け出るよう指導し、届出のあった業者について工事実績等に不適切な点があれば法人に適切な助言を行われたいこと。

なお、社会福祉施設の整備を行う法人が、国庫補助事業を行うために契約を締結した相手方(以下「建設請負業者等」という。)から多額の寄附を受けることについては、共同募金会を通じた受配者を指定した寄附金を除いて禁止されているのでこの点に留意すること。

また、法人が建設工事契約を締結した場合には、その内容について報告を求め、不正の点がないか確認されたいこと。

さらに、施設建設工事に係る契約において、一括下請負契約は妥当ではなく、国庫補助の対象としないこととしているので、特に留意すること。

ウ 入札を行う場合には、監事や、複数の理事(理事長を除く)及び評議員(理事長の6親等以内の血族、配偶者等租税特別措置法施行令の規定による「特殊の関係のある者」を除く。)を立ち会わせるよう指導されたいこと。

この場合、地元市町村職員の立ち会いを求めることも適当であること。

入札後は、入札が適正に行われた旨の立会人全員の署名とともに、入札結果(入札業者名、落札業者名、入札金額及び落札金額)を都道府県市に届け出るよう指導し、都道府県市において当該入札結果(入札金額を除く)を一般の閲覧に供されたいこと。また、法人においても入札結果を一般の閲覧に供するよう指導されたいこと。

エ 施設建設に当たり、当初計画に従った建設が進行しているか否かの実情を確認するため、建設工事中間時点及び工事完了時点において、工事監理者及び請負業者立会いのもとで、可能な限り公共事業担当部局との連携を図りつつ、市区町村と現地調査を行われたいこと。

また、併せて、工事の一部を下請業者が行う場合には、法人に対し、当該下請業者の商号又は名称その他必要な事項を確認するよう指導するとともに、都道府県及び市区町村においても、現地調査においてこれらを確認されたいこと。

オ アからエまでに規定する取扱いは、民間公益補助事業による施設整備についても同様であること。

カ 事業規模の縮小(整備費等の減額)等(独)福祉医療機構借入金の限度額に変更が生じる場合があるので、事業完了時点における当初計画との突合等により事実把握に努めるとともに、あらゆる機会を通じて所要の届出を行うよう周知徹底を図られたいこと。

(3) 施設運営関係

ア いわゆる二重帳簿を作成し、又は証ひょう書類を改ざんするなどにより運営費を不正に使用するような事案が生ずることのないよう、会計諸帳簿と証ひょう書類を照合するとともに、必要な場合は取引先の確認を行われたいこと。特に、その際、職員給与と給与台帳との突合、購入物品との突合等に配意すること。

また、会計責任者と出納職員との兼務を避け、内部けん制組織を確立するとともに、必要に応じ適宜監事に諸帳簿等を検査させるなどの内部体制の整備について指導を徹底されたいこと。

イ 運営費の管理については、銀行、郵便局等への預貯金等安全確実な方法により行うことが望ましく、価値変動の激しい財産、客観的な評価が困難な財産等が財産の相当部分を占めることのないよう指導されたいこと。

ウ 運営費の当該法人内の各施設経理区分、本部経理区分又は収益事業等の特別会計への資金の貸借(保育所運営費については、「『保育所運営費の経理について』の運用等について」(平成12年6月16日児保第21号厚生省児童家庭局保育課長通知)の問14の(答)により認められることとされているものに限る。)については、当該年度内に限って認められるものである旨指導されたいこと。

なお、当該法人内の各施設経理区分、本部経理区分又は収益事業等の特別会計以外への貸付は一切認められないこと。

エ 物品の購入等については、競争入札や複数業者からの見積合わせ、市場価格調査等により適正に行われているかを確認されたいこと。不適正な契約が行われている場合には、その是正について指導を徹底されたいこと。

オ 施設長等施設の幹部職員の給与が、当該施設の給与水準に比較して極めて多額であるような場合は、長期的に安定した施設運営を確保する上で問題が大きいと思料されるので、財源等の実態をよく把握し、その指導に万全を期されたいこと。

(4) 施設利用者等の処遇

ア 施設利用者の処遇は、利用者のおかれる個別的、客観的事情を十分考慮し、その特性に応じた個々の処遇方針の下に、適切、かつ、効果的に行われるよう指導すること。

イ 施設利用者の処遇は、利用者と施設職員との信頼関係を基調とするものであるから、相互の円滑な人間関係を確保するよう指導すること。

ウ 施設利用者の日常生活の指導等に当たっては、食事の内容、被服、保健衛生等への配慮はもとより、教養の向上、機能回復訓練、施設内作業、レクリエーション、その他余暇の善用等、豊かな生活を送らせるための配慮をさせるよう指導すること。

特に、給食を実施する場合については、栄養、カロリーの確保に留意し、特に栄養士の設置されていない施設については、所要カロリーが摂取されるよう指導すること。

エ 施設利用者又は利用者の家族等に寄附金を強要し、これを不正に使用するなどの事案が生ずることのないよう厳に指導されたいこと。

また、施設利用者からの預り金の適正な保管及び処理について十分点検されたいこと。

オ 障害者支援施設等施設利用者に作業指導、機能訓練等を行う施設にあっては、対象者の身体的機能及び能力、作業意欲等に応じた科目を選定し、効果ある指導、訓練が行われるよう配意すること。

また、この場合、作業設備の機械化に伴って作業中の事故が多くなっていることに鑑み、これが事故防止対策についても十分配意すること。

(5) 安全対策

火災等に対する災害事故防止については、施設利用者の特殊性に鑑み、その対策には特段の配慮が必要であるので、防災設備の点検整備はもとより、平素から所轄消防機関との連携を密にするとともに、火災の予防、避難訓練等を十分に行い、非常災害の際の利用者の安全対策に万全を期すよう指導すること。

(6) その他

ア 社会福祉法人会計基準制定の趣旨を徹底させるとともに、会計諸帳簿を整備し、適正かつ明確な会計事務処理が行われるよう繰り返し指導されたいこと。

イ 法人の理事長等が医療事業等他の事業を経営している場合、資金の混同等を生じるおそれがあるので、特に留意されたいこと。

ウ 資産管理の状態及び借入金の有無については、極力登記簿謄本による確認も行われたいこと。

エ 法人印及び代表者印の管理について、管理者が定められているなど管理が厳正に行われているかどうか十分に点検されたいこと。