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○民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律第二条に規定する特定民間施設の整備に関する基本方針について
(平成元年一一月二一日)
(老福第二〇二号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省大臣官房老人保健福祉部老人福祉課長通知)
「民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律第二条に規定する特定民間施設の整備に関する基本方針」は、平成元年一○月二三日付け官報で厚生省告示第一八八号として、公表された。
この基本方針は、民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律(平成元年法律第六四号。以下「法」という。)第三条第一項の規定に基づき、第二条に規定する特定民間施設(以下「特定民間施設」という。)について、その立地、規模、配置、備えるべき施設・設備、運営等の整備の具体的な基準を示すものであり、第四条第一項に基づき厚生大臣が特定民間施設の整備の事業に関する計画(以下「整備計画」という。)を認定する場合の基準となるものである。
ついては、左記により、この基本方針の趣旨を十分理解の上、衛生部局、企画部局等の関係部局、管下の市町村、関係団体等に周知徹底を図るとともに、関係の民間事業者に対する指導方よろしくお願いする。
記
第一 具体的内容
「二 特定民間施設の立地並びに規模及び配置に関する事項」について
1 立地に関する事項
(一) について
相当数とは、対象地域に、施設の規模等を勘案して、施設の需要との関係において、その利用者たる老人が相当程度居住し、又は居住することが見込まれることをいうものであること。
(二) について
基本的な事項で述べられているとおり、特定民間施設は、公的な施策を代替するものではないので、市町村が、老人保健事業、在宅福祉サービス等の公的保健福祉サービスを計画的に提供する地域であることを立地の条件としたものであること。ただし、対象地域における市町村に、特定民間施設の整備のために、公的保健福祉サービスの提供に関する計画、方針等の新たな作成、変更を義務付けるものではないこと。
(三) について
公共交通体系が整備されている場合のみならず、特定民間施設が送迎サービスを行う場合でも当該条件を満たすこと。
(四) について
特定民間施設の立地予定地に農地法(昭和二七年法律第二二五号)第四条(農地の転用の制限)若しくは第五条(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)の許可を要する農用地、森林法(昭和二六年法律第二四九号)第一二条の二(開発行為の許可)の許可を要する地域森林計画対象民有林、自然公園法(昭和三二年法律第一六一号)第一七条(特別地域)第三項の許可を要する特別地域又は鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律(大正七年法律第三二号)第八条ノ八第五項の許可を要する特別保護地区が含まれる場合においては、それぞれ農用地についての許可(当該立地予定地に二haを超える農地を含む場合にあつては農林水産大臣の事前審査の内示)、民有林についての開発行為の許可又は工作物の新築等の許可を得ておくこと。
特定民間施設が港湾法(昭和二五年法律第二一八号)第二条第三項に定める港湾区域内の公有水面の埋立てに係る埋立地又は港湾法第二条第四項に定める臨湾地区において整備される場合には、特定民間施設の整備の事業を行おうとする者は、法第四条第一項の申請に係る整備計画が港湾法第三条の三に定める港湾計画に定める土地利用計画と調和するものである旨の同意をあらかじめ港湾管理者から得ておくこと。
(五) について
特定民間施設を設置するに当たつては、その外壁又はこれに相当する工作物から、消防法(昭和二三年法律第一八六号)上の危険物の製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋外貯蔵所及び一般取扱所に対しては三○m、地上に設置されている消防法上の移送取扱所の配管及び石油パイプライン事業法(昭和四七年法律第一○五号)上の石油パイプラインの事業の事業用施設の導管に対しては四五mの距離を置くほか近隣の危険物施設の設置状況に十分配慮すること。なお、前記事項に関する事業者に対する指導に際しては、関係消防機関と連携をとること。
特定民間施設が新幹線鉄道沿線地域又は公共用飛行場周辺地域に立地される場合には、騒音の防止等良好な環境のもとに整備を行うこと。
特定民間施設の各構成施設の配置のため、利用者の各構成施設間の往来について、当該施設周辺の交通の安全と円滑が確保されない場合及び特定民間施設の利用者等の駐車需要を満たす駐車場が確保されないと見込まれる場合については、交通の安全と円滑が確保されるという要件を満たさないおそれがあるので、十分留意すること。
2 規模に関する事項
各構成施設の総延床面積の算定に当たつては、各構成施設間の共用部分については、各構成施設の専用部分の延床面積の比率、各構成施設による利用の比率等により按分する等合理的な方法により各施設の部分の面積を算出すること。
構成施設のうち一の施設について認められる相当程度の増改築とは当該増改築に係る床面積がそれぞれ構成施設の規模要件の概ね二割(有料老人ホームについては概ね三割)以上に及ぶものをいうものであること。
有料老人ホームのうち入居時から常時介護を必要とする者を相当数入居させることを予定している施設とは、これらの者を入居定員の概ね二割以上入居させることを予定している施設をいうものであること。
「四 特定民間施設の施設及び設備に関する事項」について
各構成施設間で共用することができる具体的な共用の施設及び設備の例としては、在宅介護サービスセンターの食堂と有料老人ホームの食堂、在宅介護サービスセンターの特殊浴槽と有料老人ホームの特殊浴槽等が挙げられること。
1 法第二条第一号に掲げる施設
(一) について
法第二条第一号に掲げる施設は、労働安全衛生法(昭和四七年法律第五七号)第六九条(健康教育等)第一項の規定に基づき、事業者が労働者に対して行う労働者の健康の保持増進を図るために必要な措置を行うものではなく、同項の措置の対象となる者は自己の判断で自主的に施設を利用する場合を除き、当該施設の利用者から除かれるものであること。
2 法第二条第二号に掲げる施設
(三) について
法第二条第二号に掲げる施設は、対象地域に居住する老人による利用を目的とするものであるが、これ以外に、対象地域外に居住する者、これらの老人の子、孫等の同伴者の利用を排除するものではないこと。
4 法第二条第四号に掲げる施設
(二) について
有料老人ホームの施設及び設備が「有料老人ホーム設置運営指導指針」(昭和四九年一一月五日付け社老第九○号厚生省社会局長通知)に適合するものであること。
「五 特定民間施設の運営に関する事項」について
1 全体の運営
(一) について
各構成施設が有機的に連携し、特定民間施設全体としての機能が効果的に発揮されるようにするため、原則として単一の事業者により運営されることを運営の条件としたものであり、できる限り単一の事業者が運営するよう指導されたい。
単一の事業者により運営されるとは、各施設の運営に係る収支が単一の事業者に一本化され、経営主体として単一であることをいうものであり、各施設の運営の委託を妨げる趣旨ではない。
各構成施設の機能が効果的に発揮されるよう、各構成施設の運営に関連する知識経験を有する事業者に運営を委託する等積極的な提携を図るよう指導されたい。
特定民間施設の整備の事業を行おうとする者であつて、複数の事業者間で連携すること等を予定しているものから、相談等があつた場合には、当職宛に連絡相談願いたい。
2 各構成施設の運営
各構成施設に配置する職員に関して掲げられている健康運動指導士、理学療法士、社会福祉士及び介護福祉士については、例示であり、当該名称を有する者の必置を義務付けるものではないこと。
(三) について
「保健婦又は看護婦」は、地方公共団体に雇用されている保健婦及び看護婦は含まれないこと。
(四) について
施設の管理、職員の配置、サービス内容等が入居者に十分配慮されたものとなるよう、これらの内容が「有料老人ホーム設置運営指導指針」に適合しているものであること。
「六 他の医療施設又は社会福祉施設との連携に関する事項」について
医療施設、老人福祉施設等との連携を確保するため、これらの施設の運営を行う者と定期的な協議の場を設ける等具体的な連携の方法を定めているものであること。
「七 公的保健福祉サービスとの連携に関する事項」について
個々の老人の状態に則したサービスの提供が図られるよう公的保健福祉サービスを実施する福祉事務所、保健所、民生部局、衛生部局等の関係機関と密接な連携を図るため、個々の老人に対するサービス内容を検討する際にこれらの機関が参加する市町村の高齢者サービス調整チームと連絡調整を行う等の具体的な連携の方法を定めているものであること。
「八 その他特定民間施設の整備に際し配慮すべき重要事項」について
事業者は、職員の業務の内容に応じて、その資質の向上を図るため、教育、訓練のプログラムの概要を定めているものであること。
第二 その他
特定民間施設は、基本方針七に掲げるとおり、公的保健福祉サービスとの連携を図ることを要件としていること、地域の需要、特性に則したものを整備する必要があること、また、特定民間施設の整備事業に対する支援措置も第三セクターに手厚いこと等から、特定民間施設の整備を行おうとする民間事業者から相談等があつた場合には、関係市町村と十分相談するよう指導されたい。
法第六条第一項に基づき、厚生大臣が関係都道府県の意見を聴いた場合において、意見を述べるに当たつては、特定民間施設周辺の交通の安全と円滑を確保する観点から、あらかじめ十分な時間的余裕をもつて関係都道府県警察の担当部局の意見を聴くこととされたい。