添付一覧
○介護保険施設等の指導監査について
(平成一二年五月一二日)
(老発第四七九号)
(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長・各保健所設置市市長・各特別区区長あて厚生省老人保健福祉局長通知)
介護保険の介護保険施設等に対する指導監査については、介護保険制度の健全かつ適正な運営の確保を図るため、法令等に基づく適正な事業実施に努めさせるとともに、別添一「介護保険施設等指導指針」及び別添二「介護保険施設等監査指針」を参考に指導監査に当たられるようお願いしたい。
なお、介護老人保健施設に対する指導監査の権限を有している指定都市、中核市、保健所設置市及び特別区は、都道府県との十分な連携に努められたい。
また、指定都市及び中核市は、老人福祉法上、特別養護老人ホームに対する指導監査の権限を有していることから、老人福祉法による権限行使に当たっては、指定介護老人福祉施設に対する都道府県の指導監査と十分な連携を図って実施に努められたい。
さらに、本通知による指導監査の実施に関しては、医療保険各法及び老人保健法に基づき地方社会保険事務局及び都道府県が行う指導監査の担当部署や、医療法に基づき都道府県、保健所設置市及び特別区が行う医療監視の担当部署とも連携の上、その円滑かつ効率的な実施に努められたい。
なお、昭和六三年六月六日健医老第八一号「老人保健法による老人保健施設の指導について」及び平成元年四月二〇日老企第八六号「厚生省が行う老人保健施設実地指導の実施について」は廃止する。
別添一
介護保険施設等指導指針
第一 目的
この指導指針は、厚生大臣又は都道府県知事(介護老人保健施設にあっては、指定都市市長、中核市市長、保健所設置市市長及び特別区区長を含む。以下同じ。)が、介護保険法(平成九年法律第一二三号。以下「法」という。)第五条の規定に基づき、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう、法第二四条又は第七六条、第八三条、第九〇条、第一〇〇条若しくは第一一二条の規定による質問など及びそれに基づく措置として、居宅サービス(これに相当するサービスを含む。)、居宅介護支援(これに相当するサービスを含む。)若しくは施設サービス(以下「居宅サービス等」という。)を行った者又はこれを使用する者(以下「居宅サービス実施者等」という。)並びに指定居宅サービス事業者若しくは当該指定に係る事業所の従業者又は指定居宅サービス事業者であった者若しくは当該指定に係る事業所の従業者であった者(以下「指定居宅サービス事業者等」という。)、指定居宅介護支援事業者若しくは当該指定に係る事業所の従事者又は指定居宅介護事業者であった者若しくは当該指定に係る事業所の従事者であった者(以下「指定居宅介護支援事業者等」という。)、指定介護老人福祉施設若しくは指定介護老人福祉施設の開設者若しくはその長その他の従業者又は指定介護老人福祉施設の開設者若しくはその長その他の従業者であった者(以下「指定介護老人福祉施設開設者等」という。)、介護老人保健施設の開設者、介護老人保健施設を管理する者又は医師その他の従業者(以下「介護老人保健施設開設者等」という。)及び指定介護療養型医療施設若しくは指定介護療養型医療施設の開設者若しくは管理者、医師その他の従業者又は指定介護療養型医療施設の開設者若しくは管理者、医師その他の従業者であった者(以下「指定介護療養型医療施設開設者等」という。)に対して行う保険給付及び予防給付(以下「介護給付等」という。)に係る居宅サービス等(以下「介護給付等対象サービス」という。)の内容並びに介護給付等に係る費用(以下「介護報酬」という。)の請求に関する指導について、基本的事項を定めることにより、介護給付等対象サービスの質の確保及び保険給付の適正化を図ることを目的とする。
第二 指導方針
指導は、居宅サービス実施者等、指定居宅サービス事業者等、指定居宅介護支援事業者等、指定介護老人福祉施設開設者等、介護老人保健施設開設者等及び指定介護療養型医療施設開設者等(以下「サービス事業者等」という。)に対し「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成一一年三月厚生省令第三七号)、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」(平成一一年三月厚生省令第三八号)、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」(平成一一年三月厚生省令第三九号)、「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成一一年三月厚生省令第四〇号)、「指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準」(平成一一年三月厚生省令第四一号)、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成一二年二月厚生省告示第一九号)、「指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準」(平成一二年二月厚生省告示第二〇号)、「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準」(平成一二年二月厚生省告示第二一号)、「厚生大臣が定める一単位の単価」(平成一二年二月厚生省告示第二二号)等に定める介護給付等対象サービスの取扱い、介護報酬の請求等に関する事項について周知徹底させることを方針とする。
第三~第六(略)
第七 指導の拒否への対応
一 正当な理由がなく書面指導を拒否した場合は、実地指導を行う。
二 正当な理由がなく実地指導を拒否した場合は、監査を行う。
第八 その他
一 都道府県は、指導結果の通知及び改善報告書の内容について、そのサービス事業者等の事業活動区域に所在する市町村(保険者)へ情報の提供を行うとともに、出来る限り利用者保護の観点から開示を行う。
二 都道府県は、指導の実施状況について、別に定めるところにより、厚生省老人保健福祉局企画課に報告を行う。
別添二
介護保険施設等監査指針
第一 目的
この監査指針は、都道府県知事(介護老人保健施設にあっては、指定都市市長、中核市市長、保健所設置市市長及び特別区区長を含む。ただし、第五の一「行政上の措置」を除く。以下同じ。)が、介護保険法(平成九年法律第一二三号。以下「法」という。)第二四条の規定に基づき、居宅サービス(これに相当するサービスを含む。)、居宅介護支援(これに相当するサービスを含む。)若しくは施設サービス(以下「居宅サービス等」という。)を行った者又はこれを使用する者(以下「居宅サービス実施者等」という。)に対し、並びに都道府県知事が、法第七六条、第八三条、第九〇条、第一〇〇条及び第一一二条の規定に基づき、指定居宅サービス事業者若しくは当該指定に係る事業所の従業者又は指定居宅サービス事業者であった者若しくは当該指定に係る事業所の従業者であった者(以下「指定居宅サービス事業者等」という。)、指定居宅介護支援事業者若しくは当該指定に係る事業所の従業者又は指定居宅介護支援事業者であった者若しくは当該指定に係る事業所の従業者であった者(以下「指定居宅介護支援事業者等」という。)、指定介護老人福祉施設若しくは指定介護老人福祉施設の開設者若しくはその長その他の従業者又は指定介護老人福祉施設の開設者若しくはその長その他の従業者であった者(以下「指定介護老人福祉施設開設者等」という。)、介護老人保健施設の開設者、介護老人保健施設を管理する者又は医師その他の従業者(以下「介護老人保健施設開設者等」という。)及び指定介護療養型医療施設若しくは指定介護療養型医療施設の開設者若しくは管理者、医師その他の従業者又は指定介護療養型医療施設の開設者若しくは管理者、医師その他の従業者であった者(以下「指定介護療養型医療施設開設者等」という。)に対して行う保険給付又は予防給付(以下「介護給付等」という。)に係る居宅サービス等(以下「介護給付等対象サービス」という。)の内容並びに介護給付等に係る費用(以下「介護報酬」という。)の請求に関して行う監査に関する基本的事項を定めることにより、介護給付等対象サービスの質の確保及び保険給付の適正化を図ることを目的とする。
第二 監査方針
監査は、居宅サービス実施者等、指定居宅サービス事業者等、指定居宅介護支援事業者等、指定介護老人福祉施設開設者等、介護老人保健施設開設者等及び指定介護療養型医療施設開設者等(以下「サービス事業者等」という。)の介護給付等対象サービスの内容又は介護報酬の請求について、不正又は著しい不当が疑われる場合等において、事実関係を的確に把握し、公正かつ適切な措置を採ることを主眼とする。
第三 監査対象となるサービス事業者等の選定基準
監査は、次のいずれかに該当する場合に行うものとする。
一 介護給付等対象サービスの内容に不正又は著しい不当があったことを疑うに足りる理由があるとき。
二 介護報酬の請求に不正又は著しい不当があったことを疑うに足りる理由があるとき。
三 法第七四条、第八一条、第八八条、第九七条又は第一一〇条に規定する基準(以下「指定等の基準」という。)に重大な違反があると疑うに足りる理由があるとき。
四 度重なる一般指導、合同指導及び特別合同指導(「介護保険施設等指導指針」に定める「一般指導、合同指導及び特別合同指導」をいう。以下同じ。)によっても介護給付等対象サービスの内容又は介護報酬の請求に改善がみられないとき。
五 正当な理由がなく一般指導、合同指導及び特別合同指導を拒否したとき。
第四 監査方法等
一 事前調査
監査担当者は、原則として監査を実施する前に介護給付費請求書による書面調査を行うとともに、必要と認められる場合には、介護給付等を受けた要介護者及び要支援者(以下「要介護者等」という。)等に対する実地調査を行う。
二 監査実施通知
都道府県(介護老人保健施設にあっては、指定都市、中核市、保健所設置市及び特別区を含む。以下同じ。)は、監査対象となるサービス事業者等を決定したときは、あらかじめ次に掲げる事項を文書により、当該サービス事業者等に通知する。
(一) 監査の根拠規定
(二) 監査の日時及び場所
(三) 監査担当者
(四) 出席者
(五) 準備すべき書類等
三 出席者
監査に当たっては、監査対象となるサービス事業者等の開設者(又はこれに代わる者)及び管理者の出席を求めるほか、必要に応じて介護給付等対象サービスの担当者、介護報酬請求の担当者又は関係者の出席を求める。
四 監査調書の作成
監査担当者は、監査後、監査調書を作成する。
第五 監査後の措置
一 行政上の措置
(一) 内容
行政上の措置は、法第七七条、第八四条、第九二条及び第一一四条の規定に基づく指定の取消し、法第一〇一条の規定に基づく設備の使用制限等、法第一〇二条の規定に基づく変更命令、法第一〇三条の規定に基づく業務運営の改善命令等並びに法第一〇四条に規定する許可の取消し(以下「取消処分等」という。)とする。
(二) 聴聞等
都道府県知事は、監査の結果、当該サービス事業者等が取消処分等に該当すると認められる場合は、監査後、取消処分等の予定者に対して、行政手続法(平成五年法律第八八号)の規定に基づき聴聞又は弁明の機会の付与を行わなければならない。
(三) 行政上の措置の通知
都道府県知事は、取消処分等を行ったときは、当該サービス事業者等に対し措置の種類、根拠規定、その原因となる事実、不服申立に関する事項等について文書により通知を行う。
なお、取消処分等にいたらないと認められる場合には、介護保険施設等指導指針の実地指導に準じた指導を行う。
二 経済上の措置
(一) 都道府県は、監査の結果、介護給付等サービスの内容又は介護報酬の請求に関し不正又は不当の事実が認められ、これに係る返還金が生じた場合には、保険者に対し、サービス事業者等の名称、返還金額等必要な事項を通知するとともに、当該保険者から国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)に連絡させ、当該サービス事業者等に支払うべき介護報酬からこれを控除させるよう措置する。
これにより難いときは、連合会から当該保険者に連絡するものとし、当該保険者は返還金相当額を当該サービス事業者等から直接、当該保険者に返還させるよう措置する。
(二) 都道府県は、返還の対象となった介護報酬に係る要介護者等が支払った自己負担額に過払いが生じている場合には、監査対象となったサービス事業者等に対して、当該自己負担額を要介護者等に返還するよう指導する。
また、該当する保険者に対しては、当該要介護者等あてにその旨通知するよう指導する。
(三) 監査の結果、介護給付等対象サービスの内容又は介護報酬の請求に関し不正又は不当の事実が認められた場合における当該事項に係る返還期間は、原則として五年間とする。
三 行政上の措置の公表等
都道府県知事は、監査の結果、取消処分等を行ったときは、法第七八条、第八五条、第九三条及び第一一五条の規定に基づき速やかにその旨を公示するとともに、そのサービス事業者等の事業活動区域に所在する市町村(保険者)及び連合会に対し連絡する。
第六 その他
都道府県は、監査及び行政措置の実施状況について、別に定めるところにより、厚生省老人保健福祉局企画課に報告を行う。