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○民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律の施行について
(平成元年八月八日)
(厚生省発老第五一号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生事務次官通知)
民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律は、平成元年六月三〇日法律第六四号をもつて公布され、同日施行された。また、これに伴い、民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律施行令(平成元年六月三〇日政令第二〇五号)、民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備の促進に関する法律施行規則(平成元年六月三〇日厚生省令第三四号)も同日公布、施行された。
この法律は、高齢化に対応した様々な機能を地域に総合的、計画的に整備する事業の一環として、公的保健・福祉施策の一層の推進とあわせ、これとの連携の下で行われる民間事業者による健康や福祉の機能の総合的な整備を金融、税制上の優遇措置等を講ずることにより促進しようとするものである。
ついては、左記により、この法律制定の趣旨及びその内容を十分御理解の上、貴管下市町村、関係団体、関係機関、関係民間事業者等に対し、その周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、本法律に基づく事業の推進に格別の協力を頂きたい。
以上、命によつて通知する。
記
第一 法律制定の趣旨及び背景
我が国においては、急速な高齢化の進展、地域及び家庭を取り巻く環境の変化等に伴い、国民の老後に係る多様な保健サービス及び福祉サービスに対する需要が増大している。高齢化の進展等に伴うこのような国民の多様な需要にこたえ、老人が生涯を通じ、生きがいを持ち健康で安らかな生活を営むことができる地域社会を形成していくためには、病気になつたり寝たきりになつたときに適切に対応できる医療及び福祉の機能とあわせて、老後も健康で生きがいをもつて暮せるよう健康の保持及び生きがいを高めることに資する機能を地域の中に総合的に整備していくことが必要である。このため、厚生省では、平成元年度より地方公共団体が、こうした考え方に基づき基本計画を策定し、各種の支援措置によりそれぞれの地域の特性に応じて健康や福祉をはじめとする高齢化に対応した様々な機能の総合的、計画的な整備を図ることを内容とする「健康長寿のまちづくり事業」を創設することとしたところである。こうした機能を整備するには、公的保健福祉サービスの充実はもとより、民間事業者が公的保健福祉サービスとの連携の下に保健サービス及び福祉サービスを総合的に提供することを促進していくことが必要である。
この法律は、民間事業者が地域においてこれらのサービスを総合的に提供する施設の整備を行う場合について、整備に関する基本方針の策定、整備計画の認定等について定めるとともに所要の支援措置を講じ、その促進を図ろうとするものである。
なお、この法律は、平成元年四月一○日第一一四回国会に提出され、同国会で、平成元年六月一九日参議院で、六月二二日衆議院でそれぞれ可決され、成立したものである。
第二 一般的事項
1 法律の目的
この法律は、我が国における急速な高齢化の進展等に伴い、国民の老後に係る多様な保健サービス及び福祉サービスへの需要が増大していることにかんがみ、民間事業者が公的な保健サービス及び福祉サービスとの連携の下に地域において保健サービス及び福祉サービスを総合的に提供する一群の施設の整備を行うことを促進する措置を講じ、もつて老後における健康の保持及び老人の福祉の増進を図り、あわせて老人が生きがいを持ち健康で安らかな生活を営むことができる地域社会の形成に資することを目的とするものであること。
2 特定民間施設に関する事項
この法律において、「特定民間施設」として整備の対象としているのは、公的保健福祉サービスとの連携の下に地域において保健サービス及び福祉サービスを総合的に提供する一群の施設であつて、民間事業者が整備する次の四つの施設から構成されるものであること。
(1) 疾病予防のための適切な運動及び機能訓練を行う施設
(2) 生活、健康等の相談に応じ、教養の向上及びレクリエーションのための事業を行う施設
(3) 入浴、給食、介護方法の指導等の介護サービスを総合的に提供する施設
(4) 給食、介護、健康管理等のサービスを受けながら快適に生活できる住いを提供する施設
第三 整備計画の認定等に関する事項
1 基本方針
厚生大臣は、関係行政機関の長と協議して特定民間施設の整備に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を策定すること。
なお、この基本方針は厚生省告示として公表するものであること。
2 整備計画の認定等
(1) 特定民間施設の整備の事業を行おうとする民間事業者は、当該特定民間施設の整備の事業に関する計画(以下「整備計画」という。)を作成し、厚生大臣に計画が適当である旨の認定を受けることができること。
(2) 厚生大臣は、整備計画について認定の申請があつた場合には、関係都道府県等の意見を聴取し、当該整備計画が基本方針に照らし適切であること等の要件に適合する場合に認定を行うものであること。
第四 報告徴収等に関する事項
厚生大臣は、認定を受けた整備計画(以下「認定計画」という。)に係る特定民間施設の整備の事業を行う者(以下「認定事業者」という。)に対し、その事業の実施状況に関する報告徴収、改善命令及び認定の取消しができるものとしていること。
第五 支援措置に関する事項
認定計画に従つて特定民間施設の整備の事業を行う認定事業者に対し、課税の特例、事業の実施に必要な資金の確保等の支援措置を講ずることとし、また、整備の事業の実施に必要な指導及び助言を行うこととしていること。
第六 施行期日
この法律は、公布の日から施行することとしていること。