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○訪問介護員に関する省令について

(平成一二年三月二一日)

(老企第四六号)

(各都道府県介護保険主管部(局)長あて厚生省老人保健福祉局企画課長通知)

介護保険法(平成九年法律第一二三号)第七条第六項において、「訪問介護」は「介護福祉士その他政令で定める者」が行うこととされ、「その他政令で定める者」とは、介護保険法施行令(平成一〇年政令第四一二号。以下「政令」という。)第二条の二第一項各号に掲げる研修の課程を修了し、当該研修を修了した旨の証明書の交付を受けた者(以下「訪問介護員」という。)とされた。

今般、訪問介護員に関する省令(平成一二年厚生省令第二三号。以下「省令」という。)において、訪問介護員養成研修の課程その他訪問介護員に関して必要な事項が定められたところであるが、その取扱いは左記のとおりであるので、御了知の上、管下市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。

第一 訪問介護員について

1 訪問介護員の具体的範囲等(政令第二条の二関係)

(1) 訪問介護員は、政令第二条の二第一項各号に掲げる研修の課程を修了し、当該研修を修了した旨の証明書の交付を受けた者とされているが、政令附則第四条各号により、政令の施行の際現に訪問介護員養成研修に相当するものとして都道府県知事が認める研修の課程を修了した者であって、当該研修を修了した旨の証明書の交付を受けたものも政令に規定する研修を修了した者とみなされるものである。

(2) 特別養護老人ホーム等の介護職員等としての実務経験を有する者については、それぞれの職種により既に研修したと同等の知識等を有すると認められる場合は、研修課程の一部を免除することができるものとする。その具体的な免除科目については、各都道府県の判断により、職種、施設・事業所の種類、経験年数等を勘案して決定するものとすること。

(3) 看護婦等の資格を有する者については、看護婦等の養成課程における履修科目が、訪問介護員養成研修課程において履修すべき科目を包含すると認められることから、各都道府県の判断により、一級課程の研修の全科目を免除することができるものとする。

ただし、看護婦等の業務に従事していた時期から相当の期間を経ている者又は在宅福祉サービス若しくはこれに類似するサービスの従事経験のない者については、職場研修等を適切に行うことが望ましい。

なお、看護婦等の資格を有する者を訪問介護員として雇用する場合は、訪問介護員として雇用されるのであって、保健婦助産婦看護婦法に規定されている診療の補助及び療養上の世話の業務を行うものではないこと。

(4) 介護サービス技能審査に合格した者については、介護に関する一定の知識・技術を有する者として労働省が認定し、「介護アテンドサービス士」の称号が与えられるものであることにかんがみ、必要に応じ、訪問介護員養成研修課程の一部を免除することができるものとする。その具体的な免除科目については、別表を参考にして、各都道府県の判断により決定するものとすること。

(5) 前記(2)から(4)までの他、都道府県、市町村又は公的団体の実施する在宅介護サービスに係る研修事業を受講した者が訪問介護員養成研修を受講しようとする場合であって、当該研修において履修した科目が訪問介護員養成研修課程において履修すべき科目と重複すると認められるものについては、各都道府県の判断により、研修課程の一部を免除することができるものとすること。

(6) 看護婦等の資格を有する者等について、訪問介護員養成研修の課程の全科目を免除する場合には、当該看護婦等の資格を有する者等が訪問介護に従事する際の証明書として、省令に定める様式に準じた修了証明書を事前に発行することが望ましいが、当面の間は、各都道府県の判断により、看護婦等の免許証をもって替える取扱いとしても差し支えない。ただし、この場合においても、都道府県知事が行う研修を修了した者とみなすこと等により、できる限り早期に修了証明書を発行するよう努めること。

2 経過規定(政令附則第四条関係)

(1) 「相当する研修」について

政令附則第四条にいう「相当する研修」とは、「ホームヘルパー養成研修事業の実施について」(平成七年七月三一日社援更第一九二号・老計第一一六号・児発第七二五号社会・援護局長、老人保健福祉局長及び児童家庭局長連名通知。以下「旧通知」という。)に基づく研修(都道府県又は指定都市が行う研修及び都道府県知事又は指定都市市長の指定を受けたホームヘルパー養成研修)のほか、旧通知に基づく指定を受けていないが、当該研修を修了した者が老人福祉法第五条の二第二項に規定する老人居宅介護等事業に現に従事している等の実績があるなど、旧通知に基づく指定を受けた研修と同等以上の内容を有すると認められる研修であって、原則として政令の規定に基づく都道府県知事の指定を受けることを予定しているものが含まれること。ただし、当該研修事業を既に廃止しているなど、都道府県知事の指定を受けることが困難な場合については旧通知に基づく指定を受けた研修と同等以上の内容を有すると都道府県が認めることで足りるものとすること。

なお、訪問介護に係る指定居宅サービス事業者の指定を受けようとする者は、当該訪問介護に従事させることとなる者が修了した研修が「相当する研修」に該当するかどうかについて疑義があるときは、当該指定の申請をするに当たっては、その旨を都道府県知事に申し出るものとすること。

(2) 旧通知の規定に基づく指定を受けていない研修の取扱い例

訪問介護に係る指定居宅サービス事業者の指定を受けた事業者が専らその従業者を養成するために行う研修(いわゆる「自社研修」)も、「相当する研修」に該当し得るものであること。

したがって、平成一二年度以降は、都道府県はいわゆる自社研修等であっても、基準を満たすものであれば、その申請に基づき指定を行う必要があること。

(3) 「老人居宅介護等事業に従事した経験を有する者」について

政令附則第四条第三項は、政令の施行の際現に改正前の老人福祉法第五条の二第二項に規定する老人居宅介護等事業であって、法第七〇条第一項の規定に基づく指定を受けている若しくは受けることが確実に見込まれる事業者が行うものの介護業務に従事した経験を有する者のうち、都道府県知事が必要な知識及び技術を有すると認めたものについては、訪問介護員養成研修課程を修了した者とみなすことを規定したものであるが、これは昭和五七年以前に家庭奉仕員として活動していた者等を想定したものであること。なお、これらの者に対しては、省令に定める様式に準じた修了証明書を交付すること。

第二 指定事務の取扱いについて(政令第二条の二第二項並びに省令第四条、第五条及び第六条関係)

1 複数の都道府県にわたる事業の指定事務の取扱いについて

(1) 訪問介護員養成研修事業者の指定はすべて都道府県において行うこととなることから、複数の都道府県にわたる事業であっても、各都道府県において指定する必要があること。

具体的には、通信課程による研修事業等同一の事業者が複数の都道府県にわたって一体的に研修事業を実施する場合には、本部、本校等主たる事業所の所在地の都道府県が指定するものとすること。ただし、その申請を受けた都道府県は、当該都道府県以外の実習施設の所在地の都道府県に対し、当該実習施設に対する指導監査等に関する情報の提供その他必要な協力を求めることができるものとすること。

(2) 同一の事業者が複数の都道府県にわたって研修事業を実施する場合であっても、その各々が独立して、研修実施場所、研修講師等を確保し、又は受講生の募集も各々の都道府県下において行うなど、事業として別個のものと認められる場合は、各事業所の所在地の都道府県において指定するものとすること。

2 平成一一年度以前に旧通知に基づいて行った指定の取扱いについて

(1) 都道府県指定による養成研修事業

平成一一年度以前に行った都道府県指定による養成研修事業については、改めて、政令に基づく指定を行う必要があるが、省令に基づく指定基準は、基本的に旧通知に基づく指定基準と内容を変更するものではないことから、事業内容等に変更が無い場合には、速やかに指定を行うこと。

(2) 厚生省指定及び指定都市指定による養成研修事業

平成一一年度以前に行った厚生省指定及び指定都市指定による養成研修事業並びに指定都市が実施していた養成研修事業についても、同様に、政令に基づき、改めて都道府県が指定する必要があるが、都道府県、指定申請者の双方の事務の負担軽減の観点から、厚生省又は指定都市が指定した際に提出した申請書等の内容に変更がなければ、これを都道府県宛に再提出することで足りるものとし、特に都道府県が再度審査する必要はないこと。ただし、指定都市の審査基準と都道府県の審査基準が異なること等により、都道府県が指定する事業者間に著しい不均衡が生じると認められる場合については、事前に都道府県と指定都市との間で調整を行うこと。

3 研修の内容について

省令別表第一、第二及び第三に定める一級課程、二級課程及び三級課程のそれぞれの研修の内容は、旧通知別紙1に定める「ホームヘルパー養成研修事業カリキュラム」と同様の内容を想定し、最低基準を定めたものであるが、各都道府県の判断により、科目や時間数について、より詳細な基準を定めることは差し支えないこと。なお、その場合には、旧通知に基づく取扱いを参考にされたい。

4 名簿の取扱いについて

(1) 訪問介護養成研修事業者が提出する訪問介護員の名簿については、各都道府県が自ら行う研修を修了した訪問介護員の名簿とあわせて一体として管理すること。

(2) 旧通知に基づく研修修了者等政令附則第四条の対象となる者についても、名簿を作成し、一体として管理すること。

5 指定に関する経過措置

(5) 平成一二年度以降実施する研修の指定については、できる限り早期に行うことが望ましいが、各都道府県において指定基準の作成等に時間を要すると考えられることから、当面の間は旧通知に基づく基準により指定を行う(旧通知に基づく指定を既に受けている研修については、その指定をもって替える)取扱いとして差し支えないこと。

ただし、平成一二年度中には指定を終えるよう努めること。

また、この間の研修修了者については、旧通知に基づく修了証書の様式に準じた証明書を発行すること。

(別表) (旧通知に基づく研修の内容を基にしたもの)

1 受験資格ごとの免除科目

ア 三級課程

① 向上コース修了者

・サービス提供の基本視点(三時間)のうち一時間

・介護概論(三時間)

・家事援助の方法(四時間)のうち二時間

・医療の基礎知識(三時間)のうち二時間

② 短期課程(七〇〇時間)

・サービス提供の基本視点(三時間)

・老人福祉の制度とサービス(二時間)

・障害者(児)福祉の制度とサービス(二時間)

・ホームヘルプサービス概論(三時間)

・サービス利用者の理解(三時間)

・介護概論(三時間)

・家事援助の方法(四時間)

・医療の基礎知識(三時間)

・心理面への援助方法(二時間)

イ 二級課程

① 向上コース修了者

・サービス提供の基本視点(三時間)のうち一時間

・介護概論(三時間)

・家事援助の方法(四時間)のうち二時間

・医療の基礎知識(三時間)のうち二時間

② 短期課程(七〇〇時間)

・相談援助とケア計画の方法(四時間)を除き免除可

2 在宅介護サービスの実務経験一年以上の者(注)

ア 三級課程

全科目免除可

イ 二級課程

・サービス提供の基本視点(三時間)

・老人福祉の制度とサービス(三時間)

・障害者(児)福祉の制度とサービス(三時間)

・ホームヘルプサービス概論(三時間)

・障害・疾病の理解(八時間)のうち五時間

・介護概論(三時間)

・家事援助の方法(四時間)

・医学の基礎知識Ⅰ(三時間)

・共感的理解と基本態度の形成(四時間)

・基本介護技術(三〇時間)

・レクリエーション体験学習(三時間)

・介護実習(一六時間)

・ホームヘルプサービス同行訪問(八時間)

・在宅サービス提供現場見学(六時間)

(注) 実務経験と資格取得の前後関係は問わない。