(21) 口腔機能維持管理体制加算について
① 「口腔ケアに係る技術的助言及び指導」とは、当該施設における入所者の口腔内状態の評価方法、適切な口腔ケアの手技、口腔ケアに必要な物品整備の留意点、口腔ケアに伴うリスク管理、その他当該施設において日常的な口腔ケアの実施にあたり必要と思われる事項のうち、いずれかに係る技術的助言及び指導のことをいうものであって、個々の入所者の口腔ケア計画をいうものではない。
② 「入所者の口腔ケア・マネジメントに係る計画」には、以下の事項を記載すること。
イ 当該施設において入所者の口腔ケアを推進するための課題
ロ 当該施設における目標
ハ 具体的方策
ニ 留意事項
ホ 当該施設と歯科医療機関との連携の状況
ヘ 歯科医師からの指示内容の要点(当該計画の作成にあたっての技術的助言・指導を歯科衛生士が行った場合に限る。)
ト その他必要と思われる事項
③ 医療保険において歯科訪問診療料又は訪問歯科衛生指導料が算定された日の属する月であっても口腔機能維持管理体制加算を算定できるが、介護職員に対する口腔ケアに係る技術的助言及び指導又は入所者の口腔ケア・マネジメントに係る計画に関する技術的助言及び指導を行うにあたっては、歯科訪問診療又は訪問歯科衛生指導の実施時間以外の時間帯に行うこと。
(22) 口腔機能維持管理加算について
① 口腔機能維持管理加算は、歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が口腔機能管理体制加算を算定している施設の入所者に対して口腔ケアを実施した場合において、当該利用者ごとに算定するものである。
② 当該施設が口腔機能維持管理加算に係るサービスを提供する場合においては、当該サービスを実施する同一月内において医療保険による訪問歯科衛生指導の実施の有無を入所者又はその家族等に確認するとともに、当該サービスについて説明し、その提供に関する同意を得た上で行うこと。また、別紙様式3を参考として入所者ごとに口腔に関する問題点、歯科医師からの指示内容の要点、口腔ケアの方法及びその他必要と思われる事項に係る記録(以下「口腔機能維持管理に関する実施記録」という。)を作成し保管するとともに、その写しを当該入所者に対して提供すること。
③ 歯科医師の指示を受けて当該施設の入所者に対して口腔ケアを行う歯科衛生士は、口腔に関する問題点、歯科医師からの指示内容の要点、口腔ケアの方法及びその他必要と思われる事項を口腔機能維持管理に関する記録に記入すること。また、当該歯科衛生士は、入所者の口腔の状態により医療保険における対応が必要となる場合には、適切な歯科医療サービスが提供されるよう当該歯科医師及び当該施設の介護職員等への情報提供を的確に行うこと。
④ 医療保険において歯科訪問診療料が算定された日の属する月であっても口腔機能維持管理加算を算定できるが、訪問歯科衛生指導料が算定された日の属する月においては、口腔機能維持管理加算を算定しない。
(23) 療養食加算について
2の(11)を準用する。
(24) 看取り介護加算について
① 看取り介護加算は、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した入所者について、本人及び家族とともに、医師、看護職員、介護職員等が共同して、随時本人又はその家族に対して十分な説明を行い、合意をしながら、その人らしさを尊重した看取りができるよう支援することを主眼として設けたものである。
② 「二四時間連絡できる体制」については、(7)④を準用する。
③ 管理者を中心として、生活相談員、介護職員、看護職員、介護支援専門員等による協議の上、「看取りに関する指針」が定められていることが必要であり、同指針に盛り込むべき項目としては、例えば、当該施設の看取りに関する考え方、終末期の経過(時期、プロセス毎)の考え方、施設において看取りに際して行いうる医療行為の選択肢、医師や医療機関との連携体制、本人及び家族との話し合いや同意、意思確認の方法、職員の具体的対応等が考えられる。
④ 看取り介護加算は、九十五号告示第五十三号に定める基準に適合する看取り介護を受けた入所者が死亡した場合に、死亡日を含めて三〇日を上限として、施設において行った看取り介護を評価するものである。
死亡前に在宅へ戻ったり、医療機関へ入院したりした後、在宅や入院先で死亡した場合でも算定可能であるが、その際には、施設において看取り介護を直接行っていない退所した日の翌日から死亡日までの間は、算定することができない。(したがって、退所した日の翌日から死亡日までの期間が三〇日以上あった場合には、看取り介護加算を算定することはできない。)
⑤ 施設を退所等した月と死亡した月が異なる場合でも算定可能であるが、看取り介護加算は死亡月にまとめて算定することから、入所者側にとっては、施設に入所していない月についても自己負担を請求されることになるため、入所者が退所等する際、退所等の翌月に亡くなった場合に、前月分の看取り介護加算に係る一部負担の請求を行う場合があることを説明し、文書にて同意を得ておくことが必要である。
⑥ 施設は、施設退所等の後も、継続して入所者の家族指導や医療機関に対する情報提供等を行うことが必要であり、入所者の家族、入院先の医療機関等との継続的な関わりの中で、入所者の死亡を確認することが可能である。
なお、情報の共有を円滑に行う観点から、施設が入院する医療機関等に入所者の状態を尋ねたときに、当該医療機関等が施設に対して本人の状態を伝えることについて、施設退所等の際、本人又は家族に対して説明をし、文書にて同意を得ておくことが必要である。
⑦ 入所者が入退院をし、又は外泊した場合であって、当該入院又は外泊期間が死亡日以前三〇日の範囲内であれば、当該入院又は外泊期間を除いた期間について、看取り介護加算の算定が可能である。
⑧ 入院若しくは外泊又は退所の当日について看取り介護加算を算定できるかどうかは、当該日に所定単位数を算定するかどうかによる。
⑨ 本人又はその家族に対する随時の説明に係る同意については、口頭で同意を得た場合は、介護記録にその説明日時、内容等を記載するとともに、同意を得た旨を記載しておくことが必要である。
また、本人が十分に判断をできる状態になく、かつ、家族に連絡しても来てもらえないような場合も、医師、看護職員、介護職員等が入所者の状態等に応じて随時、入所者に対する看取り介護について相談し、共同して看取り介護を行っていると認められる場合には、看取り介護加算の算定は可能である。
この場合には、適切な看取り介護が行われていることが担保されるよう、介護記録に職員間の相談日時、内容等を記載するとともに、本人の状態や、家族と連絡を取ったにもかかわらず来てもらえなかった旨を記載しておくことが必要である。
なお、家族が入所者の看取りについてともに考えることは極めて重要であり、施設としては、一度連絡を取って来てくれなかったとしても、定期的に連絡を取り続け、可能な限り家族の意思を確認しながら介護を進めていくことが重要である。
⑩ 多床室を有する施設にあっては、看取りを行う際には個室又は静養室の利用により、プライバシー及び家族への配慮の確保が可能となるようにすることが必要である。
(25) 在宅復帰支援機能加算について
① 「入所者の家族との連絡調整」とは、入所者が在宅へ退所するに当たり、当該入所者及びその家族に対して次に掲げる支援を行うこと。
退所後の居宅サービスその他の保健医療サービス又は福祉サービスについて相談援助を行うこと。また必要に応じ、当該入所者の同意を得て退所後の居住地を管轄する市町村及び地域包括支援センター又は老人介護支援センターに対して当該入所者の介護状況を示す文書を添えて当該入所者に係る居宅サービスに必要な情報を提供すること。
② 本人家族に対する相談援助の内容は次のようなものであること。
イ 食事、入浴、健康管理等在宅における生活に関する相談援助
ロ 退所する者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う各種訓練等に関する相談助言
ハ 家屋の改善に関する相談援助
ニ 退所する者の介助方法に関する相談援助
③ 在宅復帰支援機能加算の算定を行った場合は、その算定根拠等の関係書類を整備しておくこと。
(26) 在宅・入所相互利用加算について
① 在宅・入所相互利用(ホームシェアリング)加算は、可能な限り対象者が在宅生活を継続できるようにすることを主眼として設けたものであり、施設の介護支援専門員は、入所期間終了に当たって、運動機能及び日常生活動作能力その他の当該対象者の心身の状況についての情報を在宅の介護支援専門員に提供しながら、在宅の介護支援専門員とともに、在宅での生活継続を支援する観点から介護に関する目標及び方針を定めることが必要である。
② 具体的には、
イ 在宅・入所相互利用を開始するに当たり、在宅期間と入所期間(入所期間については三月を限度とする)について、文書による同意を得ることが必要である。
ロ 在宅期間と入所期間を通じて一貫した方針の下に介護を進める観点から、施設の介護支援専門員、施設の介護職員等、在宅の介護支援専門員、在宅期間に対象者が利用する居宅サービス事業者等による支援チームをつくること。
ハ 当該支援チームは、必要に応じ随時(利用者が施設に入所する前及び施設から退所して在宅に戻る前においては必須とし、概ね一月に一回)カンファレンスを開くこと。
ニ ハのカンファレンスにおいては、それまでの在宅期間又は入所期間における対象者の心身の状況を報告し、目標及び方針に照らした介護の評価を行うとともに、次期の在宅期間又は入所期間における介護の目標及び方針をまとめ、記録すること。
ホ 施設の介護支援専門員及び在宅の介護支援専門員の機能及び役割分担については、支援チームの中で協議して適切な形態を定めること。
③ 在宅・入所相互利用加算は、②に適合する介護を行っている場合に、対象者の入所期間一日につき三〇単位を加算するものである。
④ 在宅・入所相互利用加算は、同一の個室を複数人で交互に利用するものであるが、この場合の「個室」とは、ユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室又は準ユニットケア加算を算定している個室的なしつらえを有している居室のいずれでもよいものとする。なお、平成十八年三月三十一日までに多床室を活用して在宅・入所相互利用加算の加算対象となりうる事業を試行的に行っている施設において、同年四月一日以降も多床室を利用して在宅・入所相互利用を行う場合については、当該加算を算定すること。
(27) 認知症専門ケア加算について
① 「日常生活に支障をきたすおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症の者」とは、日常生活自立度のランクⅢ、Ⅳ又はMに該当する入所者を指すものとする。
② 「認知症介護に係る専門的な研修」とは、「認知症介護実践者等養成事業の実施について」(平成十八年三月三十一日老発第〇三三一〇一〇号厚生労働省老健局長通知)及び「認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について」(平成十八年三月三十一日老計第〇三三一〇〇七号厚生労働省計画課長通知)に規定する「認知症介護実践リーダー研修」を指すものとする。
③ 「認知症介護の指導に係る専門的な研修」とは、「認知症介護実践者等養成事業の実施について」及び「認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について」に規定する「認知症介護指導者研修」を指すものとする。
(28) 認知症行動・心理症状緊急対応加算について
① 「認知症の行動・心理症状」とは、認知症による認知機能の障害に伴う、妄想・幻覚・興奮・暴言等の症状を指すものである。
② 本加算は、在宅で療養を行っている利用者に「認知症の行動・心理症状」が認められた際に、介護老人福祉施設に一時的に入所することにより、当該利用者の在宅での療養が継続されることを評価するものである。
③ 本加算は、在宅で療養を行っている要介護被保険者に「認知症の行動・心理症状」が認められ、緊急に介護老人福祉施設への入所が必要であると医師が判断した場合であって、介護支援専門員、受け入れ施設の職員と連携し、利用者又は家族の同意の上、当該施設に入所した場合に算定することができる。本加算は医師が判断した当該日又はその次の日に利用を開始した場合に限り算定できるものとする。この際、当該施設への入所ではなく、医療機関における対応が必要であると判断される場合にあっては、速やかに適当な医療機関の紹介、情報提供を行うことにより、適切な医療が受けられるように取り計らう必要がある。
④ 本加算は、当該利用者の在宅での療養が継続されることを評価するものであるため、入所後速やかに退所に向けた施設サービス計画を策定し、当該入所者の「認知症の行動・心理症状」が安定した際には速やかに在宅復帰が可能となるようにすること。
⑤ 次に掲げる者が、直接、当該施設へ入所した場合には、当該加算は算定できないものであること。
a 病院又は診療所に入院中の者
b 介護保険施設又は地域密着型介護老人福祉施設に入院中又は入所中の者
c 短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、短期利用特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、短期利用共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護及び地域密着型短期利用特定施設入居者生活介護を利用中の者
⑥ 判断を行った医師は診療録等に症状、判断の内容等を記録しておくこと。また、施設も判断を行った医師名、日付及び利用開始に当たっての留意事項等を介護サービス計画書に記録しておくこと。
⑦ 当該加算の算定にあたっては、個室等、認知症の行動・心理症状の増悪した者の療養に相応しい設備を整備すること。
⑧ 当該加算は、当該入所者が入所前一月の間に、当該介護老人福祉施設に入所したことがない場合及び過去一月の間に当該加算(他サービスを含む)を算定したことがない場合に限り算定できることとする。
(29) サービス提供体制強化加算について
① 2の(14)①から④まで及び⑥を準用する。
② 指定介護福祉施設サービスを入所者に直接提供する職員とは、生活相談員、介護職員、看護職員又は機能訓練指導員として勤務を行う職員を指すものとする。
(30) 介護職員処遇改善加算について
2の(15)を準用する。
6 介護保健施設サービス
(1) 所定単位数を算定するための施設基準について
介護保健施設サービス費の所定単位数を算定するためには、看護職員及び介護職員の員数が所定の員数以上配置されることのほか、医師、理学療法士、作業療法士及び介護支援専門員について、人員基準欠如の状態にないことが必要であること(施設基準第五十六号)。
(2) 介護保健施設サービス費(Ⅰ)の介護保健施設サービス費(ii)若しくは(iv)又はユニット型介護保健施設サービス費(Ⅰ)のユニット型介護保健施設サービス費(ii)若しくは(iv)を算定する介護老人保健施設における介護保健施設サービスについて
3(1)②を準用すること。
(3) 介護保健施設サービス費(Ⅱ)若しくは介護保健施設サービス費(Ⅲ)又はユニット型介護保健施設サービス費(Ⅱ)若しくはユニット型介護保健施設サービス費(Ⅲ)を算定する介護老人保健施設(以下この号において「介護療養型老人保健施設」という。)における介護保健施設サービスについて
① 3(1)③イ及びロを準用すること。
② 施設基準第五十六号イ(3)(二)について、「自宅等」とあるのは、自宅その他自宅に類する住まいをいうものであり、社会福祉施設等は含まないものであること。
また、当該基準については、当該施設が介護療養型老人保健施設への転換以後の新規入所者の実績が十二月に達した時点から適用するものとすること。
なお、同告示中「特段の事情」とは、以下のいずれかの場合を指すこと。
イ 半径四km以内に病床を有する医療機関がないこと。
ロ 病床数が一九以下であること。
③ 特別療養費について
3の(1)③ハを準用するものとすること。
④ 療養体制維持特別加算について
3の(1)③ニを準用するものとすること。
(4) 介護保健施設サービス費を算定するための基準について
① 介護保健施設サービス費は、施設基準第五十七号に規定する基準に従い、以下の通り、算定すること。
イ 施設基準第五十七号イに規定する介護保健施設サービス費
介護保健施設サービスが、ユニットに属さない居室(定員が一人のものに限る。)(「従来型個室」という。)の入所者に対して行われるものであること。
ロ 施設基準第五十七号ロに規定する介護保健施設サービス費
介護保健施設サービスが、ユニットに属さない居室(定員が二人以上のものに限る。)(「多床室」という。)の入所者に対して行われるものであること。
ハ 施設基準第五十七号ハに規定する介護保健施設サービス費
介護保健施設サービスが、ユニットに属する居室(介護老人保健施設基準第四十一条第二項第一号イ(3)(i)を満たすものに限る。)(「ユニット型個室」という。)の入居者に対して行われるものであること。
ニ 施設基準第五十七号ニに規定する介護保健施設サービス費
介護保健施設サービスが、ユニットに属する居室(介護老人保健施設基準第四十一条第二項第一号イ(3)(ii)(指定居宅サービス基準改正省令附則第五条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)を満たすものに限るものとし、同(i)を満たすものを除く。)(「ユニット型準個室」という。)の入居者に対して行われるものであること。
② ユニットに属する療養室であって、介護保健施設サービス費の注1による届出がなされているものについては、ユニット型介護保健施設サービス費を算定するものとすること。
③ 分館型介護老人保健施設については、介護保健施設サービス費又はユニット型介護保健施設サービス費を算定するものとする。
(5) ユニットにおける職員に係る減算について
5の(4)を準用する。
(6) 身体拘束廃止未実施減算について
5の(5)を準用する。
(7) 夜勤職員配置加算について
① 3の(2)を準用する。
② 認知症ケア加算を算定している介護老人保健施設の場合にあっては、夜勤職員配置加算の基準は、認知症専門棟とそれ以外の部分のそれぞれで満たさなければならない。
(8) 短期集中リハビリテーション実施加算について
① 短期集中リハビリテーション実施加算における集中的なリハビリテーションとは、二〇分以上の個別リハビリテーションを、一週につき概ね三日以上実施する場合をいう。
② 当該加算は、当該入所者が過去三月間の間に、介護老人保健施設に入所したことがない場合に限り算定できることとする。ただし、以下の③及び④の場合はこの限りではない。
③ 短期集中リハビリテーション実施加算の算定途中又は算定終了後三月に満たない期間に四週間以上の入院後に介護老人保健施設に再入所した場合であって、短期集中リハビリテーションの必要性が認められる者に限り、当該加算を算定することができる。
④ 短期集中リハビリテーション実施加算の算定途中又は算定終了後三月に満たない期間に四週間未満の入院後に介護老人保健施設に再入所した場合であって、以下に定める状態である者は、当該加算を算定できる。
ア 脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳外傷、脳炎、急性脳症(低酸素脳症等)、髄膜炎等を急性発症した者
イ 上・下肢の複合損傷(骨、筋・腱・靭帯、神経、血管のうち三種類以上の複合損傷)、脊椎損傷による四肢麻痺(一肢以上)、体幹・上・下肢の外傷・骨折、切断・離断(義肢)、運動器の悪性腫瘍等を急性発症した運動器疾患又はその手術後の者
(9) 認知症短期集中リハビリテーション実施加算について
① 認知症短期集中リハビリテーションは、認知症入所者の在宅復帰を目的として行うものであり、記憶の訓練、日常生活活動の訓練等を組み合わせたプログラムを週三日、実施することを標準とする。
② 当該リハビリテーション加算は、精神科医師若しくは神経内科医師又は認知症に対するリハビリテーションに関する専門的な研修を修了した医師により、認知症の入所者であって生活機能の改善が見込まれると判断された者に対して、在宅復帰に向けた生活機能の改善を目的として、リハビリテーション実施計画に基づき、医師又は医師の指示を受けた理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下⑥において「理学療法士等」という。)が記憶の訓練、日常生活活動の訓練等を組み合わせたプログラムを実施した場合に算定できるものである。なお、記憶の訓練、日常生活活動の訓練等を組み合わせたプログラムは認知症に対して効果の期待できるものであること。
③ 当該リハビリテーションに関わる医師は精神科医師又は神経内科医師を除き、認知症に対するリハビリテーションに関する研修を修了していること。なお、認知症に対するリハビリテーションに関する研修は、認知症の概念、認知症の診断、及び記憶の訓練、日常生活活動の訓練等の効果的なリハビリテーションのプログラム等から構成されており、認知症に対するリハビリテーションを実施するためにふさわしいと認められるものであること。
④ 当該リハビリテーションにあっては、一人の医師又は理学療法士等が一人の利用者に対して行った場合にのみ算定する。
⑤ 当該リハビリテーション加算は、利用者に対して個別に二〇分以上当該リハビリテーションを実施した場合に算定するものであり、時間が二〇分に満たない場合は、介護保健施設サービス費に含まれる。
⑥ 当該リハビリテーションの対象となる入所者はMMSE(Mini Mental State Examination)又はHDS―R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)において概ね五点~二五点に相当する者とする。
⑦ 当該リハビリテーションに関する記録(実施時間、訓練内容、訓練評価、担当者等)は利用者毎に保管されること。
⑧ 注5の短期集中リハビリテーション実施加算を算定している場合であっても、別途当該リハビリテーションを実施した場合は当該リハビリテーション加算を算定することができる。
⑨ 当該リハビリテーション加算は、当該入所者が過去三月の間に、当該リハビリテーション加算を算定していない場合に限り算定できることとする。
(10) 認知症ケア加算について
① 注7において「日常生活に支障をきたすおそれのある症状又は行動が認められることから介護を必要とする認知症の入所者」とあるのは日常生活自立度のランクⅢ、Ⅳ又はMに該当し、認知症専門棟において認知症に対応した処遇を受けることが適当であると医師が認めた者をいうものであること。
② 認知症専門棟の従業者の勤務体制を定めるに当たっては、継続性を重視したサービスの提供に配慮しなければならない。これは、従業者が一人一人の入居者について個性、心身の状況、生活歴などを具体的に把握した上で、その日常生活上の活動を適切に援助するためにはいわゆる「馴染みの関係」が求められる。以上のことから認知症専門棟における介護職員等の配置については、次の配置を行うことを標準とする。
イ 日中については利用者一〇人に対し常時一人以上の介護職員又は看護職員を配置すること。
ロ 夜間及び深夜については、二〇人に一人以上の看護職員又は介護職員を夜間及び深夜の勤務に従事する職員として配置すること。
③ ユニット型介護老人保健施設サービス費を算定している場合は、認知症ケア加算は算定しない。
(11) 若年性認知症入所者受入加算について
2の(10)を準用する。
(12) 入所者が外泊したときの費用の算定について
5の(14)(④のニを除く。)を準用する。この場合において「入院又は外泊」とあるのは、「外泊」と読み替えるものとする。
(13) ターミナルケア加算について
イ ターミナルケア加算は、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した入所者について、本人及び家族とともに、医師、看護職員、介護職員等が共同して、随時本人又はその家族に対して十分な説明を行い、合意をしながら、その人らしさを尊重した看取りができるよう支援することを主眼として設けたものである。
ロ ターミナルケア加算は、九十五号告示第五十七号に定める基準に適合するターミナルケアを受けた入所者が死亡した場合に、死亡日を含めて三〇日を上限として、老人保健施設において行ったターミナルケアを評価するものである。
死亡前に他の医療機関等に移った場合又は自宅等に戻った場合には、当該施設においてターミナルケアを直接行っていない退所した日の翌日から死亡日までの間は、算定することができない。(したがって、退所した日の翌日から死亡日までの期間が三〇日以上あった場合には、ターミナルケア加算を算定することはできない。)
ハ 老人保健施設を退所した月と死亡した月が異なる場合でも算定可能であるが、ターミナルケア加算は死亡月にまとめて算定することから、入所者側にとっては、当該施設に入所していない月についても自己負担を請求されることになるため、入所者が退所する際、退所の翌月に亡くなった場合に、前月分のターミナルケア加算に係る一部負担の請求を行う場合があることを説明し、文書にて同意を得ておくことが必要である。
ニ 老人保健施設は、施設退所の後も、継続して入所者の家族指導等を行うことが必要であり、入所者の家族等との継続的な関わりの中で、入所者の死亡を確認することが可能である。
ホ 外泊又は退所の当日についてターミナルケア加算を算定できるかどうかは、当該日に所定単位数を算定するかどうかによる。したがって、入所者が外泊した場合(外泊加算を算定した場合を除く。)には、当該外泊期間が死亡日以前三〇日の範囲内であれば、当該外泊期間を除いた期間について、ターミナルケア加算の算定が可能である。
ヘ 本人又はその家族に対する随時の説明に係る同意については、口頭で同意を得た場合は、その説明日時、内容等を記録するとともに、同意を得た旨を記載しておくことが必要である。
また、本人が十分に判断をできる状態になく、かつ、家族に連絡しても来てもらえないような場合も、医師、看護職員、介護職員等が入所者の状態等に応じて随時、入所者に対するターミナルケアについて相談し、共同してターミナルケアを行っていると認められる場合には、ターミナルケア加算の算定は可能である。
この場合には、適切なターミナルケアが行われていることが担保されるよう、職員間の相談日時、内容等を記録するとともに、本人の状態や、家族と連絡を取ったにもかかわらず来てもらえなかった旨を記載しておくことが必要である。
なお、家族が入所者の看取りについてともに考えることは極めて重要であり、施設としては、一度連絡を取って来てくれなかったとしても、定期的に連絡を取り続け、可能な限り家族の意思を確認しながらターミナルケアを進めていくことが重要である。
ト ターミナルケア加算を算定するに当たっては、本人又はその家族が個室でのターミナルケアを希望する場合には、当該施設は、その意向に沿えるよう考慮すべきであること。なお、個室に移行した場合の入所者については、注11に規定する措置の対象とする。
(14) 在宅復帰・在宅療養支援機能加算について
① 在宅については、3の(1)の②のロのbを準用する。なお、当該施設から退所した入所者の総数には、短期入所療養介護の利用者は含まない。
② 三〇・四を当該施設の入所者の平均在所日数で除して得た数については、3の(1)の②のロのcを準用する。
③ 3の(1)の②のロのeからgまでを準用する。
(15) 初期加算について
① 当該施設における過去の入所及び短期入所療養介護との関係
初期加算は、当該入所者が過去三月間(ただし、日常生活自立度のランクⅢ、Ⅳ又はMに該当する者の場合は過去一月間とする。)の間に、当該介護老人保健施設に入所したことがない場合に限り算定できることとする。
なお、当該介護老人保健施設の短期入所療養介護を利用していた者が日を空けることなく引き続き当該施設に入所した場合については、初期加算は入所直前の短期入所療養介護の利用日数を三〇日から控除して得た日数に限り算定するものとする。
② 5の(15)の①及び②は、この場合に準用する。
(16) 入所前後訪問指導加算について
① 入所前後訪問指導加算は、入所期間が一月を超えると見込まれる入所予定者の入所予定日前三〇日から入所後七日までの間に、当該入所予定者が退所後生活する居宅を訪問して退所を目的とした施設サービス計画の策定及び診療の方針の決定を行った場合に、入所中に一回に限り加算を行うものである。
② 入所前に居宅を訪問した場合は入所日に算定し、入所後に訪問した場合は訪問日に算定すること。
③ 入所前後訪問指導加算は、次の場合には算定できないものであること。
イ 病院又は診療所のみを訪問し、居宅を訪問しない場合
ロ 他の介護保険施設のみを訪問し、居宅を訪問しない場合
ハ 予定の変更に伴い、入所しなかった場合
④ 入所前後訪問指導は、医師、看護職員、支援相談員、理学療法士又は作業療法上、栄養士、介護支援専門員等が協力して行うこと。
⑤ 入所前後訪問指導は、入所者及びその家族等のいずれにも行うこと。
⑥ 入所前後訪問指導を行った場合は、指導日及び指導内容の要点を診療録等に記載すること。
(17) 退所時指導等加算について
① 退所前訪問指導加算・退所後訪問指導加算
イ 退所前訪問指導加算については、入所期間が一月を超えると見込まれる入所者の退所に先立って、在宅療養に向けた最終調整を目的として入所者が退所後生活する居宅を訪問して退所後の療養上の指導を行った場合に、入所中一回に限り算定するものである。
なお、介護療養型老人保健施設においては、入所後早期に退所に向けた訪問指導の必要があると認められる場合については、二回の訪問指導について加算が行われるものであること。この場合にあっては、一回目の訪問指導は退所を念頭においた施設サービス計画の策定及び診療の方針の決定に当たって行われるものであり、二回目の訪問指導は在宅療養に向けた最終調整を目的として行われるものであること。
ロ 退所後訪問指導加算については、入所者の退所後三〇日以内に入所者の居宅を訪問して療養上の指導を行った場合に、一回に限り加算を行うものである。
ハ 退所前訪問指導加算は退所日に算定し、退所後訪問指導加算は訪問日に算定すること。
ニ 退所前訪問指導加算及び退所後訪問指導加算は、次の場合には算定できないものであること。
a 退所して病院又は診療所へ入院する場合
b 退所して他の介護保険施設へ入院又は入所する場合
c 死亡退所の場合
ホ 退所前訪問指導及び退所後訪問指導は、医師、看護職員、支援相談員、理学療法士又は作業療法士、栄養士、介護支援専門員等が協力して行うこと。
ヘ 退所前訪問指導及び退所後訪問指導は、入所者及びその家族等のいずれにも行うこと。
ト 退所前訪問指導及び退所後訪問指導を行った場合は、指導日及び指導内容の要点を診療録等に記載すること。
② 退所時指導加算
イ 退所時指導の内容は、次のようなものであること。
a 食事、入浴、健康管理等在宅療養に関する指導
b 退所する者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練の指導
c 家屋の改善の指導
d 退所する者の介助方法の指導
ロ 注3のロにより算定を行う場合には、以下の点に留意すること。
a 試行的退所を行うに当たっては、その病状及び身体の状況に照らし、退所して居宅において生活ができるかどうかについて医師、薬剤師(配置されている場合に限る。)、看護・介護職員、支援相談員、介護支援専門員等により、退所して、その居宅において療養を継続する可能性があるかどうか検討すること。
b 当該入所者又は家族に対し、趣旨を十分説明し、同意を得た上で実施すること。
c 試行的退所中の入所者の状況の把握を行っている場合にあっては、外泊時加算を併せて算定することが可能であること。
d 入所者の試行的退所期間中は、当該入所者の同意があり外泊時加算を算定していない場合は、そのベッドを短期入所療養介護に活用することが可能であること。
e 試行的退所期間中は、居宅サービス等の利用はできないこと。
f 試行的退所期間が終了してもその居宅に退所できない場合においては、介護老人保健施設で療養を続けることとなるが、居宅において療養が続けられない理由等を分析した上でその問題解決に向けたリハビリ等を行うため、施設サービス計画の変更を行うとともに適切な支援を行うこと。
ハ ①のニからトまでは、退所時指導加算について準用する。
③ 退所時情報提供加算
イ 退所後の主治の医師に対して入所者を紹介するに当たっては、事前に主治の医師と調整し、別紙様式2の文書に必要な事項を記載の上、入所者又は主治の医師に交付するとともに、交付した文書の写しを診療録に添付すること。また、当該文書に入所者の諸検査の結果、日常生活動作能力、心理状態などの心身機能の状態、薬歴、退所後の治療計画等を示す書類を添付すること。
ロ ①のニを準用する。
④ 退所前連携加算
イ 5の(16)の③イ及びロを準用する。
ロ ①のニ及びホを準用する。
⑤ 老人訪問看護指示加算
イ 介護老人保健施設から交付される訪問看護指示書(様式は別途通知するところによるものとする。)に指示期間の記載がない場合は、その指示期間は一月であるものとみなすこと。
ロ 訪問看護指示書は、診療に基づき速やかに作成・交付すること。
ハ 訪問看護指示書は、特に退所する者の求めに応じて、退所する者又はその家族等を介して訪問看護ステーション、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所又は複合型サービス事業所に交付しても差し支えないこと。
ニ 交付した訪問看護指示書の写しを診療録等に添付すること。
ホ 訪問看護の指示を行った介護老人保健施設は、訪問看護ステーション、定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所又は複合型サービス事業所からの訪問看護の対象者についての相談等に懇切丁寧に応じること。
(18) 従来型個室に入所していた者の取扱いについて
5の(17)を準用する。
(19) 栄養マネジメント加算について
5の(18)を準用する。
(20) 経口移行加算について
5の(19)を準用する。
(21) 経口維持加算について
5の(20)を準用する。
(22) 口腔機能維持管理体制加算について
5の(21)を準用する。
(23) 口腔機能維持管理加算について
5の(22)を準用する。
(24) 療養食加算について
2の(11)を準用する。
(25) 在宅復帰支援機能加算について
5の(25)を準用する。
(26) 緊急時施設療養費に関する事項
入所者の病状が著しく変化し、入院による治療が必要とされる場合には、速やかに協力病院等の病院へ入院させることが必要であるが、こうした場合であっても、介護老人保健施設において緊急その他やむを得ない事情により施設療養を行うときがあるので、緊急時施設療養費は、このような場合に行われる施設療養を評価するために設けられていること。
① 緊急時治療管理
イ 緊急時治療管理は、入所者の病状が重篤になり、救命救急医療が必要となる入所者に対し、応急的な治療管理として投薬、注射、検査、処置等が行われた場合に、一日につき五〇〇単位を算定すること。
ロ 緊急時治療管理は、一回に連続する三日を限度とし、月一回に限り算定するものであるので、例えば、一月に連続しない一日を三回算定することは認められないものであること。
ハ また、緊急時治療管理と特定治療とは同時に算定することはできないこと。
ニ 緊急時治療管理の対象となる入所者は、次のとおりであること。
a 意識障害又は昏睡
b 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪
c 急性心不全(心筋梗塞を含む。)
d ショック
e 重篤な代謝障害
f その他薬物中毒等で重篤なもの
② 特定治療
イ 特定治療は、介護老人保健施設においてやむを得ない事情により行われるリハビリテーション、処置、手術、麻酔又は放射線治療について、診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)別表第一医科診療報酬点数表により算定する点数に一〇円を乗じた額を算定すること。
ロ 算定できないものは、九十五号告示第五十九号に示されていること。
ハ ロの具体的取扱いは、診療報酬の算定方法(平成二十年厚生労働省告示第五十九号)別表第一医科診療報酬点数表の取扱いの例によること。
(27) 所定疾患施設療養費について
① 所定疾患施設療養費は、肺炎等により治療を必要とする状態となった入所者に対し、治療管理として投薬、検査、注射、処置等が行われた場合に、一回に連続する七日を限度とし、月一回に限り算定するものであるので、一月に連続しない一日を七回算定することは認められないものであること。
② 所定疾患施設療養費と緊急時施設療養費は同時に算定することはできないこと。
③ 所定疾患施設療養費の対象となる入所者の状態は次のとおりであること。
イ 肺炎
ロ 尿路感染症
ハ 帯状疱疹(抗ウイルス剤の点滴注射を必要とする場合に限る)
④ 算定する場合にあっては、診断名、診断を行った日、実施した投薬、検査、注射、処置の内容等を診療録に記載しておくこと。
⑤ 請求に際して、診断、行った検査、治療内容等を記載すること。
⑥ 当該加算の算定開始後は、治療の実施状況について公表することとする。公表に当たっては、介護サービス情報の公表制度を活用する等により、前年度の当該加算の算定状況を報告すること。
(28) 認知症専門ケア加算について
5の(27)を準用する。
(29) 認知症行動・心理症状緊急対応加算について
5の(28)を準用する。
(30) 認知症情報提供加算について
① 「認知症の原因疾患に関する確定診断」とは、脳血管疾患、アルツハイマー病等、認知症の原因疾患が特定されたことをいう。
② 「認知症のおそれがある」とは、MMSE(Mini Mental State Examination)において概ね二三点以下、又はHDS―R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)において概ね二〇点以下といった認知機能の低下を認め、これにより日常生活に支障が生じている状態をいう。
③ 「施設内での診断が困難」とは、介護老人保健施設の医師が、入所者の症状、施設の設備、医師の専門分野等の状況から、当該施設内での認知症の鑑別診断等が困難であると判断した場合を指すものである。
④ 「診療状況を示す文書」とは、入所者の症状経過、介護老人保健施設内で行った検査結果、現在の処方等を示す文書をいう。
⑤ 「これに類する保険医療機関」とは、認知症疾患医療センターが一定程度整備されるまでの間に限り、以下のいずれの要件も満たす保険医療機関をいう。
イ 認知症疾患の鑑別診断等を主たる業務とした経験(一〇年以上)を有する医師がいること。
ロ コンピューター断層撮影装置(CT)及び磁気共鳴画像検査(MRI)の両方を有する、又は認知症疾患医療センターの運営事業実施要綱に定める要件を満たしており、かつ認知症疾患医療センターに関する申請届出を都道府県若しくは政令指定都市にしている又は明らかに申請の意思を示しかつ何らかの具体的な手続きを行っていると都道府県若しくは政令指定都市が認めるもの。
ハ 併設の介護老人保健施設に認知症専門棟があること。
⑥ 「認知症の鑑別診断等に係る専門医療機関」とは、認知症の鑑別診断、専門医療相談、合併症対応、医療情報提供等を行うにつき必要な医師が配置され、十分な体制が整備されている保険医療機関である。ここでいう必要な医師の配置とは、専任の認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした一〇年以上の臨床経験を有する医師が一名以上配置されていることをいい、十分な体制とは、血液検査、尿一般検査、心電図検査、神経心理検査が実施できる体制を確保するとともに、神経画像検査の体制として、CT又はMRIを有していることをいう。
(31) 地域連携診療計画情報提供加算について
① 地域連携診療計画は、医科診療報酬点数表に掲げる地域連携診療計画管理料を算定する保険医療機関(以下「計画管理病院」という。)において作成され、当該計画管理病院からの転院後又は退院後の治療を担う複数の連携保険医療機関又は介護サービス事業所との間で共有して活用されるものであり、病名、入院時の症状、予定されている診療内容、標準的な転院までの期間、転院後の診療内容、連携する保険医療機関を退院するまでの標準的な期間(以下本区分において「総治療期間」という。)、退院に当たり予想される患者の状態に関する退院基準、その他必要な事項が記載されたものである。
② 当該加算は、医科診療報酬点数表に掲げる以下の疾患について、地域連携診療計画管理料及び地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)を算定して当該医療機関を退院した患者が、介護老人保健施設に入所した場合に限り算定するものである。
イ 大腿骨頸部骨折(大腿骨頸部骨折骨接合術、大腿骨頸部骨折人工骨頭置換術等を実施している場合に限る。)
ロ 脳卒中(急性発症又は急性増悪した脳梗塞、脳出血又はくも膜下出血の治療を実施している場合に限る。)
③ 当該加算は、計画管理病院又は計画管理病院からの転院後若しくは退院後の治療を担う保険医療機関からの退院後の療養を担う介護老人保健施設において、診療計画に基づく療養を提供するとともに、退院時の患者の状態や、在宅復帰後の患者の状況等について、退院の属する月又はその翌月までに計画管理病院に対して情報提供を行った場合に、算定する。
④ また、当該加算を算定する施設は、以下のいずれも満たすものであること。
イ あらかじめ計画管理病院において作成された疾患や患者の状態等に応じた地域連携診療計画が、当該施設および連携保険医療機関と共有されていること。
ロ イについて、内容、開催日等必要な事項について診療録等に記録されていること。
(32) サービス提供体制強化加算について
① 2の(14)①から④まで及び⑥を準用する。
② 介護保健施設サービスを利用者に直接提供する職員とは、看護職員、介護職員、支援相談員、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士として勤務を行う職員を指すものとする。
(33) 介護職員処遇改善加算について
2の(15)を準用する。
7 介護療養施設サービス
(1) 療養型介護療養施設サービス費、診療所型介護療養施設サービス費、認知症疾患型介護療養施設サービス費の対象となるサービスの範囲
① 療養型介護療養施設サービス費、診療所型介護療養施設サービス費については、医療保険の診療報酬点数表における入院基本料(入院診療計画、院内感染対策、褥瘡対策に係る費用分を除く。)、夜間勤務等看護加算及び療養病棟療養環境加算並びにおむつ代を含むものであること。
② 認知症疾患型介護療養施設サービス費については、医療保険の診療報酬点数表における特定入院料(入院診療計画、院内感染対策、褥瘡対策に係る費用分を除く。)及びおむつ代を含むものであること。
(2) 診療録への記載
介護療養型医療施設の入院患者に係る診療録について、医療保険の診療録の様式を用いる場合にあっては、「保険者番号」の欄には介護保険者の番号を、「被保険者証・被保険者手帳」の「記号・番号」の欄には介護保険の被保険者証の番号を、「有効期限」の欄には要介護認定の有効期限を、「被保険者氏名」の欄には要介護状態区分をそれぞれ記載し、「資格取得」、「事業所」及び「保険者」の欄は空白とし、「備考欄」に医療保険に係る保険者番号等の情報を記載すること。緊急時等で医療保険に請求する医療行為等を行った場合には、当該医療行為等に係る記載部分に下線を引くか枠で囲む等により明確に分けられるようにすること。なお、介護療養型医療施設の入院患者の診療録については、医療保険適用病床の患者と見分けられるようにすること。
(3) 所定単位数の算定単位について
介護療養型医療施設においては、各類型の介護療養施設サービス費のうち、介護保険適用病床の看護職員等の配置によって一種類を選定し届け出ることとする。病棟によって、複数の届出を行うことはできない。なお、一病棟において介護保険適用病床と医療保険適用病床が混在する場合には、当該病棟すべてが介護保険適用病床とみなして、必要な人員を確保していることが必要である。ただし、療養病床(医療法等の一部を改正する法律(平成十二年法律第百四十一号)附則第二条第三項第五号に規定する経過的旧療養型病床群を含む。)、老人性認知症疾患療養病棟が混在している場合には、それぞれの類型毎に一種類を選定して届け出ること。
(4) 「病棟」について
① 病棟の概念は、病院である医療機関の各病棟における看護体制の一単位をもって病棟として取り扱うものとする。なお、高層建築等の場合であって、複数階(原則として二つの階)を一病棟として認めることは差し支えないが、三つ以上の階を一病棟とすることは、④の要件を満たしている場合に限り、特例として認められるものであること。
② 一病棟当たりの病床数については、効率的な看護管理、夜間における適正な看護の確保、当該病棟に係る建物等の構造の観点から、総合的に判断した上で決定されるものであり、原則として六〇床以下を標準とする。
③ ②の病床数の標準を上回っている場合については、二以上の病棟に分割した場合には、片方について一病棟として成り立たない、建物構造上の事情で標準を満たすことが困難である、近く建物の改築がなされることが確実である等、やむを得ない理由がある場合に限り、認められるものであること。
④ 複数階で一病棟を構成する場合についても前記②及び③と同様であるが、いわゆるサブナース・ステーションの設置や看護職員の配置を工夫すること。
(5) 一〇〇床未満の病院の人員基準欠如等による減算の特例について
① 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)上の許可病床数(感染症病床を除く。)が一〇〇床未満の病院においては、やむを得ない事情により配置されていた職員数が一割の範囲内で減少した場合の人員基準欠如による所定単位数の減算については、当分の間、次のとおり取り扱うものとする。
イ 看護・介護職員の人員基準欠如については、
a 人員基準上必要とされる員数から一割を超えて減少した場合には、その翌月から人員基準欠如が解消されるに至った月まで、利用者等の全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って減算され、
b 一割の範囲内で減少した場合には、その三月後から人員基準欠如が解消されるに至った月まで、利用者等の全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って減算される(ただし、翌々月の末日において人員基準を満たすに至っている場合を除く。)。
ロ 看護・介護職員以外の人員基準欠如については、その三月後から人員基準欠如が解消されるに至った月まで、利用者等の全員について所定単位数が通所介護費等の算定方法に規定する算定方法に従って減算される(ただし、翌々月の末日において人員基準を満たすに至っている場合を除く。)。
② 医療法上の許可病床数(感染症病床を除く。)が一〇〇床未満の病院において、届け出ていた看護職員・介護職員の職員配置を満たせなくなった場合のより低い所定単位数の適用(人員基準欠如の場合を除く。)については、①の例によるものとすること。
(6) 看護職員の数の算定について
看護職員の数は、病棟において実際に入院患者の看護に当たっている看護職員の数であり、その算定にあたっては、看護部長等(専ら、病院全体の看護管理に従事する者をいう。)、当該医療機関附属の看護師養成所等の専任教員、外来勤務、手術室勤務又は中央材料室勤務等の看護職員の数は算入しない。ただし、病棟勤務と外来勤務、手術室勤務、中央材料室勤務、集中治療室勤務、褥瘡対策に係る専任の看護師等を兼務する場合は、勤務計画表による病棟勤務の時間を比例計算のうえ、看護職員の数に算入することができる。なお、兼務者の時間割比例計算による算入は、兼務者の病棟勤務延時間数を所定労働時間で除して得た数をもって看護職員の人員とすること。
(7) 夜勤体制による減算及び加算の特例について
療養型介護療養施設サービス費については、所定単位数及び夜間勤務等看護(Ⅰ)から(Ⅲ)までを算定するための基準を夜勤職員基準において定めている(第七号イにおいて準用する第二号ロ(1))ところであるが、その取扱いについては、以下のとおりとすること。
① 夜勤を行う職員の勤務体制については、施設単位ではなく、病棟単位で職員数を届け出ること。
② 夜勤を行う職員の数は、一日平均夜勤職員数とする。一日平均夜勤職員数は、暦月ごとに夜勤時間帯(午後十時から翌日の午前五時までの時間を含めた連続する一六時間をいう。)における延夜勤時間数を、当該月の日数に一六を乗じて得た数で除することによって算定し、小数点第三位以下は切り捨てるものとする。
③ 月平均夜勤時間数は、各病棟ごとに届出前一月又は四週間の夜勤時間帯における看護職員及び介護職員の延夜勤時間数を夜勤時間帯に従事した実人員で除して得た数とし、当該月当たりの平均夜勤時間数の直近一月又は直近四週間の実績の平均値によって判断する。なお、届出直後においては、当該病棟の直近三月間又は一二週間の実績の平均値が要件を満たしていれば差し支えない。
④ 専ら夜間勤務時間帯に従事する者(以下「夜勤専従者」という。)については、それぞれの夜勤時間数は基準の概ね二倍以内であること。月平均夜勤時間数の計算に含まれる実人員及び延夜勤時間数には、夜勤専従者及び月当たりの夜勤時間数が一六時間以下の者は除く。ただし、一日平均夜勤職員数の算定においては、全ての夜勤従事者の夜勤時間数が含まれる。
⑤ 一日平均夜勤職員数又は月平均夜勤時間数が以下のいずれかに該当する月においては、入院患者の全員について、所定単位数が減算される。夜間勤務等看護加算を算定している病院において、届け出ていた夜勤を行う職員数を満たせなくなった場合も同様に取り扱うものとする。
イ 前月において一日平均夜勤職員数が、夜勤職員基準により確保されるべき員数から一割を超えて不足していたこと。
ロ 一日平均夜勤職員数が、夜勤職員基準により確保されるべき員数から一割の範囲内で不足している状況が過去三月間(暦月)継続していたこと。
ハ 前月において月平均夜勤時間数が、夜勤職員基準上の基準時間を一割以上上回っていたこと。
ニ 月平均夜勤時間数の過去三月間(暦月)の平均が、夜勤職員基準上の基準時間を超えていたこと。
⑥ 夜勤体制による減算が適用された場合は夜勤体制による加算は算定しないものとする。
⑦ 当該施設ユニット部分又はユニット部分以外について所定の員数を置いていない場合について施設利用者全員に対して行われるものであること。具体的には、ユニット部分について夜勤体制による要件を満たさずユニット以外の部分について夜勤体制の要件を満たす場合であっても施設利用者全員に対し減算が行われること。
(8) 人員基準欠如による所定単位数の減算について
病院である介護療養型医療施設の人員基準欠如による所定単位数の減算の基準は、通所介護費等の算定方法第十四号イ(2)において規定しているところであるが、具体的な取扱いは以下のとおりであること。
① 介護療養施設サービスを行う病棟における看護職員又は介護職員の員数が、指定介護療養型医療施設基準に定める員数を満たさない場合は、他の職種の配置数とは関係なく、
イ 療養型介護療養施設サービス費、療養型経過型介護療養施設サービス費、認知症疾患型介護療養施設サービス費又は認知症疾患型経過型介護療養施設サービス費については、療養型介護療養施設サービス費の(Ⅲ)若しくは療養型経過型介護療養施設サービス費の(Ⅱ)又は認知症疾患型介護療養施設サービス費の(Ⅰ)、(Ⅳ)若しくは(Ⅴ)若しくは認知症疾患型経過型介護療養施設サービス費の所定単位数に一〇〇分の七〇を乗じて得た単位数が算定される。
ロ ユニット型療養型介護療養施設サービス費、ユニット型療養型経過型介護療養施設サービス費又はユニット型認知症疾患型介護療養施設サービス費については、所定単位数に一〇〇分の七〇を乗じて得た単位数が算定される。
② 介護支援専門員の員数が、指定介護療養型医療施設基準に定める員数を満たさない場合は、他の職種の配置数とは関係なく、各類型の介護療養施設サービス費のうち、看護・介護職員の配置に応じた所定単位数に一〇〇分の七〇を乗じて得た単位数が算定される。
③ 介護支援専門員及び介護療養施設サービスを行う病棟における看護・介護職員の員数については指定介護療養型医療施設基準に定める員数を満たすが、看護師の員数の看護職員の必要数に対する割合(以下「正看比率」という。)が二割未満である場合は、
イ 療養型介護療養施設サービス費、療養型経過型介護療養施設サービス費、認知症疾患型介護療養施設サービス費又は認知症疾患型経過型介護療養施設サービス費については、療養型介護療養施設サービス費の(Ⅲ)若しくは療養型経過型介護療養施設サービス費の(Ⅱ)又は認知症疾患型介護療養施設サービス費の(Ⅰ)、(Ⅳ)若しくは(Ⅴ)若しくは認知症疾患型経過型介護療養施設サービス費の所定単位数に一〇〇分の九〇を乗じて得た単位数が算定される。
ロ ユニット型療養型介護療養施設サービス費、ユニット型療養型経過型介護療養施設サービス費又はユニット型認知症疾患型介護療養施設サービス費については、所定単位数に一〇〇分の九〇を乗じて得た単位数が算定される。
④ 僻地に所在する病院であって、介護支援専門員及び介護療養施設サービスを行う病棟における看護・介護職員の員数については指定介護療養型医療施設基準に定める員数を満たし、正看比率も二割以上であるが、医師の員数が指定介護療養型医療施設基準に定める員数の六割未満であるもの(医師の確保に関する計画を都道府県知事に届け出たものに限る。)においては、各類型の介護療養施設サービス費のうち、看護・介護職員の配置に応じた所定単位数から一二単位を控除して得た単位数が算定される。
⑤ 僻地に所在する病院であって医師の確保に関する計画を都道府県知事に届け出ていない病院又は僻地以外に所在する病院であって、介護支援専門員及び介護療養施設サービスを行う病棟における看護・介護職員の員数については指定介護療養型医療施設基準に定める員数を満たしているが、医師の員数が指定介護療養型医療施設基準に定める員数の六割未満であるもの(正看比率は問わない)においては、療養型介護療養施設サービス費の(Ⅲ)若しくは療養型経過型介護療養施設サービス費の(Ⅱ)又は認知症疾患型介護療養施設サービス費の(Ⅰ)、(Ⅳ)若しくは(Ⅴ)若しくは認知症疾患型経過型介護療養施設サービス費の所定単位数に一〇〇分の九〇を乗じて得た単位数が算定される。
⑥ なお、医師の配置について、人員基準欠如による所定単位数の減算が適用される場合は、医療法施行規則(昭和二十三年厚生省令第五十号)第四十九条の規定が適用される病院に係る減算は適用されない。
(9) 所定単位数を算定するための施設基準について
療養型介護療養施設サービス費、診療所型介護療養施設サービス費又は認知症疾患型介護療養施設サービス費のそれぞれ所定単位数を算定するためには、看護職員及び介護職員の員数が所定の員数以上配置されることのほか、次に掲げる基準を満たす必要があること。
① 療養型介護療養施設サービス費、療養型経過型介護療養施設サービス費、ユニット療養型介護療養施設サービス費又はユニット型療養型経過型介護療養施設サービス費(施設基準第六十三号において準用する施設基準第十七号ニからヘまで)
イ 看護職員の最少必要数の二割以上が看護師であること。
ロ 医師及び介護支援専門員の員数が、いわゆる人員基準欠如になっていないこと。
ハ 療養病棟の病室が、次の基準を満たすこと。
a ユニット型でない場合
(a) 一の病室の病床数が四床以下であること。
(b) 入院患者一人当たりの病室の床面積が六・四平方メートル以上であること。
(c) 隣接する廊下の幅が内法による測定で一・八メートル(両側に居室がある廊下については、二・七メートル)以上であること。ただし、療養型経過型介護療養施設サービス費を算定する介護療養型医療施設に係る病室に隣接する廊下については、一・二メートル(両側に居室がある廊下については、一・六メートル)以上とする。
b ユニット型の場合
(a) 一の病院の定員は、一人とすること。ただし、入院患者への介護療養施設サービスの提供上必要と認められる場合は、二人とすることができること。
(b) 病室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設けること。ただし、一のユニットの入院患者の定員は、概ね一〇人以下としなければならないこと。
(c) 一の病室の床面積等は、次のいずれかを満たすこと。
(i) 一〇・六五平方メートル以上とすること。ただし、(a)ただし書の場合にあっては、二一・三平方メートル以上とすること。
(ii) ユニットに属さない病室を改修したものについては、入院患者同士の視線の遮断の確保を前提とした上で、病室を隔てる壁について、天井との間に一定の隙間が生じていても差し支えないこと。
(d) ブザー又はこれに代わる設備を設けること。
ニ 機能訓練室が内法による測定で四〇平方メートル以上の床面積を有すること。
ホ 入院患者一人につき一平方メートル以上の広さを有する食堂、及び浴室を有すること(ユニット型個室及びユニット型準個室を除く。)。
② 診療所型介護療養施設サービス費又はユニット型診療所型介護療養施設サービス費(施設基準第六十三号において準用する施設基準第十七号チ及びリ)
イ 療養病室が、次の基準を満たすこと。
a ユニット型でない場合
(a) 一の病室の病床数が四床以下であること。
(b) 入院患者一人当たりの病室の床面積が六・四平方メートル以上であること。
(c) 隣接する廊下の幅が内法による測定で一・八メートル(両側に居室がある廊下については、二・七メートル)以上であること。
b ユニット型の場合
(a) 一の病院の定員は、一人とすること。ただし、入院患者への介護療養施設サービスの提供上必要と認められる場合は、二人とすることができること。
(b) 病室は、いずれかのユニットに属するものとし、当該ユニットの共同生活室に近接して一体的に設けること。ただし、一のユニットの入院患者の定員は、概ね一〇人以下としなければならないこと。
(c) 一の病室の床面積等は、次のいずれかを満たすこと。
(i) 一〇・六五平方メートル以上とすること。ただし、(a)ただし書の場合にあっては、二一・三平方メートル以上とすること。
(ii) ユニットに属さない病室を改修したものについては、入院患者同士の視線の遮断の確保を前提とした上で、病室を隔てる壁について、天井との間に一定の隙間が生じていても差し支えないこと。
(d) ブザー又はこれに代わる設備を設けること。
ロ 入院患者一人につき、一平方メートル以上の広さを有する食堂、及び浴室を有すること(ユニット型個室、ユニット型準個室を除く。)。
③ 認知症疾患型介護療養施設サービス費、認知症疾患型経過型介護療養施設サービス費又はユニット型認知症疾患型介護療養施設サービス費(施設基準第六十三号において準用する施設基準第十七号ルからワまで)
イ 看護職員の最少必要数の二割以上が看護師であること。
ロ 医師及び介護支援専門員の員数が、いわゆる人員基準欠如になっていないこと。
ハ 老人性認知症疾患療養病棟の病室が次の基準を満たすこと。
a 一の病室の病床数が四床以下であること。
b 入院患者一人当たりの病室の床面積が六・四平方メートル以上であること。
c 隣接する廊下の幅が内法による測定で一・八メートル(両側に居室がある廊下については、二・七メートル)以上であること。ただし、認知症疾患型経過型介護療養施設サービス費を算定する介護療養型医療施設に係る病室に隣接する廊下については、一・二メートル(両側に居室がある廊下については、一・六メートル)以上とする。
(10) 介護療養施設サービス費を算定するための基準について
① 介護療養施設サービス費は、施設基準第六十七号に規定する基準に従い、以下の通り、算定すること。
イ 施設基準第六十七号イに規定する介護療養施設サービス費
介護療養施設サービスが、ユニットに属さない居室(定員が一人のものに限る。)(「従来型個室」という。)の入院患者に対して行われるものであること。
ロ 施設基準第六十七号ロに規定する介護療養施設サービス費
介護療養施設サービスが、ユニットに属さない居室(定員が二人以上のものに限る。)(「多床室」という。)の入院患者に対して行われるものであること。
ハ 施設基準第六十七号ハに規定する介護療養施設サービス費
介護療養施設サービスが、ユニットに属する居室(健康保険法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第八十三号)附則第百三十条の二第一項の規定によりなおその効力を有するものとされた指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成十二年厚生省令第四十一号。以下「指定介護療養型医療施設基準」という。)第三十九条第二項第一号イ(3)(i)、第四十条第二項第一号イ(3)(i)又は第四十一条第二項第一号イ(3)(i)を満たすものに限る。)(「ユニット型個室」という。)の入院患者に対して行われるものであること。
ニ 施設基準第六十七号ニに規定する介護療養施設サービス費
介護療養施設サービスが、ユニットに属する居室(指定介護療養型医療施設基準第三十九条第二項第一号イ(3)(ii)、第四十条第二項第一号イ(3)(ii)又は第四十一条第二項第一号イ(3)(ii)を満たすものに限るものとし、指定介護療養型医療施設基準介護老人保健施設基準第三十九条第二項第一号イ(3)(i)、第四十条第二項第一号イ(3)(i)又は第四十一条第二項第一号イ(3)(i)(指定居宅サービス基準改正省令附則第七条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)を満たすものを除く。)(「ユニット型準個室」という。)の入院患者に対して行われるものであること。
② ユニットに属する病室であって、各類型の介護療養施設サービス費の注1による届出がなされているものについては、ユニット型介護療養施設サービス費を算定するものとすること。
(11) ユニットにおける職員に係る減算について
5の(4)を準用する。
(12) 身体拘束廃止未実施減算について
5の(5)を準用する。
(13) 療養環境減算の適用について
① 病院療養病床療養環境減算の基準
病院療養病床療養環境減算は、指定介護療養型医療施設基準附則第七条に規定する病床転換による旧療養型病床群又は医療法施行規則の一部を改正する省令(平成十三年厚生労働省令第八号。以下「平成十三年医療法施行規則等改正省令」という。)附則第四十一条の規定の適用を受ける療養病床に係る病室であって、隣接する廊下の幅が内法による測定で一・八メートル(両側に居室がある廊下については、二・七メートル)未満である場合に適用されること。(施設基準第六十五号において準用する施設基準第二十一号)
② 診療所療養病床設備基準減算の基準
診療所療養病床設備基準減算は、指定介護療養型医療施設基準附則第十二条に規定する病床転換による診療所旧療養型病床群又は平成十三年医療法施行規則等改正省令附則第四十一条の規定の適用を受ける療養病床に係る病室にあっては、隣接する廊下の幅が内法による測定で一・八メートル(両側に居室がある廊下については、二・七メートル)未満であること。(施設基準第六十六号において準用する施設基準第二十二号)
③ 特別の療養環境の提供により特別の料金を徴収している場合
特別の療養環境の提供により特別の料金を徴収している場合(ユニット型個室・二人室、ユニット型準個室・二人室、ユニット型個室・ユニット型準個室以外の個室、二人室を除く。)にあっては、当該病室に入院している患者について、病院療養病床療養環境減算(Ⅲ)又は診療所療養病床療養環境減算(Ⅱ)を適用するものとすること。
④ 病棟ごとの適用の原則
療養環境減算については、各病棟を単位として評価を行うものであり、設備基準を満たす病棟とそうでない病棟とがある場合には、同一施設であっても異なる療養環境減算の適用を受けることとなること。
(14) 若年性認知症患者受入加算について
2の(10)を準用する。
(15) 入院患者が外泊したときの費用の算定について
6の(12)を準用する。
(16) 入院患者が試行的退院したときの費用の算定について
① 試行的退院サービスの提供を行うに当たっては、その病状及び身体の状況に照らし、退院して居宅において生活ができるかどうかについて医師、薬剤師(配置されている場合に限る。)、看護・介護職員、支援相談員、介護支援専門員等により、退院して、その居宅において療養を継続する可能性があるかどうか検討すること。
② 当該入院患者又は家族に対し、この加算の趣旨を十分説明し、同意を得た上で実施すること。
③ 試行的退院サービスによる居宅サービスの提供に当たっては、介護療養型医療施設の介護支援専門員が、試行的退院サービスに係る居宅サービスの計画を作成するとともに、従業者又は指定居宅サービス事業者等との連絡調整を行い、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるように配慮した計画を作成すること。
④ 家族等に対し次の指導を事前に行うことが望ましいこと。
イ 食事、入浴、健康管理等在宅療養に関する指導
ロ 当該入院患者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練の指導
ハ 家屋の改善の指導
ニ 当該入院患者の介助方法の指導
⑤ 試行的退院サービス費の算定期間中は、施設の従業者又は指定居宅サービス事業者等により、計画に基づく適切な居宅サービスを提供することとし、居宅サービスの提供を行わない場合はこの加算は対象とならないこと。
⑥ 加算の算定期間は、一月につき六日以内とする。また、算定方法は、5の(14)の①及び②を準用する。一回の試行的退院サービス費が月をまたがる場合であっても、連続して算定できるのは六日以内とする。
⑦ 利用者の試行的退院期間中は、当該利用者の同意があれば、そのベッドを短期入所療養介護に活用することは可能であること。この場合において試行的退院サービス費を併せて算定することは可能であること。
⑧ 試行的退院期間が終了してもその居宅に退院できない場合においては、介護療養型医療施設で療養を続けることとなるが、居宅において療養が続けられない理由等を分析した上でその問題解決に向けたリハビリ等を行うため、施設サービス計画の変更を行うとともに適切な支援を行うこと。
(17) 従来型個室に入所していた者の取扱いについて
5の(17)を準用する。
(18) 栄養マネジメント加算について
5の(18)を準用する。
(19) 経口移行加算について
5の(19)を準用する。
(20) 経口維持加算について
5の(20)を準用する。
(21) 口腔機能維持管理体制加算について
5の(21)を準用する。
(22) 口腔機能維持管理加算について
5の(22)を準用する。
(23) 療養食加算について
2の(11)を準用する。
(24) 認知症専門ケア加算について
5の(27)を準用する。
(25) 認知症行動・心理症状緊急対応加算について
5の(28)を準用する。
(26) サービス提供体制強化加算について
① 2の(14)①から④まで及び⑥を準用する。
② 介護療養施設サービスを利用者に直接提供する職員とは、看護職員、介護職員、理学療法士又は作業療法士として勤務を行う職員を指すものとする。
(27) 入院患者が他医療機関へ受診したときの費用の算定について
① 介護療養型医療施設に入院中の患者が、当該入院の原因となった傷病以外の傷病に罹患し、当該介護療養型医療施設以外での診療の必要が生じた場合は、他医療機関へ転医又は対診を求めることを原則とする。
② 介護療養施設サービス費を算定している患者について、当該介護療養施設サービス費に含まれる診療を他医療機関で行った場合には、当該他医療機関は当該費用を算定できない。
③ ②にかかわらず、介護療養施設サービス費を算定する患者に対し眼科等の専門的な診療が必要となった場合(当該介護療養型医療施設に当該診療に係る診療科がない場合に限る。)であって、当該患者に対し当該診療が行われた場合(当該診療に係る専門的な診療科を標榜する他医療機関(特別の関係にあるものを除く。)において、別途定める診療行為が行われた場合に限る。)は、当該他医療機関において診療が行われた日に係る介護療養施設サービス費は、一月に四日を限度として所定単位数に代えて一日につき三六二単位を算定するものとする。
当該所定単位数を算定した日においては、特定診療費に限り別途算定できる。
④ 他医療機関において③の規定により費用を算定することのできる診療が行われた場合には、当該患者が入院している介護療養型医療施設において、当該他医療機関に対し、当該診療に必要な情報(当該介護療養型医療施設での介護療養施設サービス費及び必要な診療科を含む。)を文書により提供する(これらに要する費用は患者の入院している介護療養型医療施設が負担する。)とともに、診療録にその写しを添付する。
⑤ ③にいう「特別の関係」とは、次に掲げる関係をいう。
ア 当該医療機関と当該他の医療機関の関係が以下のいずれかに該当する場合に、当該医療機関と当該他の医療機関は特別の関係にあると認められる。
(イ) 当該医療機関の開設者が、当該他の医療機関の開設者と同一の場合
(ロ) 当該医療機関の代表者が、当該他の医療機関の代表者と同一の場合
(ハ) 当該医療機関の代表者が、当該他の医療機関の代表者の親族等の場合
(ニ) 当該医療機関の理事・監事・評議員その他の役員等のうち、当該他の医療機関の役員等の親族等の占める割合が一〇分の三を超える場合
(ホ) (イ)から(ニ)までに掲げる場合に準ずる場合(人事、資金等の関係を通じて、当該医療機関が、当該他の医療機関の経営方針に対して重要な影響を与えることができると認められる場合に限る。)
イ 「医療機関」とは、病院又は診療所をいう。
ウ 「親族等」とは、親族関係を有する者及び以下に掲げる者をいう。
(イ) 事実上婚姻関係と同様の事情にある者
(ロ) 使用人及び使用人以外の者で当該役員等から受ける金銭その他の財産によって生計を維持しているもの
(ハ) (イ)又は(ロ)に掲げる者の親族でこれらの者と生計を一にしているもの
(28) 初期加算について
6の(15)を準用する。
(29) 退院時指導等加算について
6の(17)(⑤のイの訪問看護指示書の様式に係る部分を除く。)を準用する。この場合において、①のイ中「介護療養型老人保健施設」とあるのは、「介護療養型医療施設」と読み替えるものとする。
(30) 在宅復帰支援機能加算について
5の(25)を準用する。
(31) 特定診療費について
別途通知するところによるものとする。
(32) 介護職員処遇改善加算について
2の(15)を準用する。
別紙様式1
別紙様式2
別紙様式3