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(4) 指定短期入所生活介護の取扱方針

① 基準第一二八条第二項で定める「相当期間以上」とは、概ね四日以上連続して利用する場合を指すこととするが、四日未満の利用者にあっても、利用者を担当する居宅介護支援事業者等と連携をとること等により、利用者の心身の状況等を踏まえて、他の短期入所生活介護計画を作成した利用者に準じて、必要な介護及び機能訓練等の援助を行うものとする。

② 基準第一二八条第三項で定めるサービス提供方法等とは、短期入所生活介護計画の目標及び内容や利用期間内の行事及び日課等も含むものである。

③ 基準第一二八条第四項において、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければならないものとする。

(5) 短期入所生活介護計画の作成

① 基準第一二九条で定める短期入所生活介護計画については、介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある者や、介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者にそのとりまとめを行わせるものとし、当該事業所に介護支援専門員の資格を有する者がいる場合は、その者に当該計画のとりまとめを行わせることが望ましいものである。

② 短期入所生活介護計画の作成に当たっては、居宅サービス計画を考慮しつつ、利用者の希望を十分勘案し、利用者の日々の介護状況に合わせて作成するものとする。

(6) 介護

① 基準第一三〇条で定める介護サービスの提供に当たっては、在宅生活へ復帰することを念頭において行うことが基本であり、そのためには、利用者の家庭環境等を十分踏まえて、自立している機能の低下が起きないようにするとともに残存機能の維持向上が図られるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとすること。なお、介護サービス等の実施に当たっては、利用者の人格に十分に配慮して実施するものとする。

② 基準第一三〇条第二項で定める入浴の実施に当たっては利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、入浴の実施に当たっては、事前に健康管理を行い、入浴することが困難な場合は、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。

③ 基準第一三〇条第三項で定める排せつの介護に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などを基に自立支援を踏まえて、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。

④ 基準第一三〇条第四項で定める「おむつを使用せざるを得ない」場合には、利用者の心身及び活動状況に適したおむつを提供するとともに、おむつ交換に当たっては、頻繁に行えばよいということではなく、利用者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。

⑤ 基準第一三〇条第五項は、短期間の入所ではあるが、生活にメリハリをつけ、生活面での積極性を向上させる観点から、一日の生活の流れに沿って、離床、着替え、整容など利用者の心身の状況に応じた日常生活上の世話を適切に行うべきことを定めたものである。

⑥ 基準第一三〇条第六項で定める「常時一人以上の介護職員を介護に従事させ」るとは、夜間を含めて適切な介護を提供できるように介護職員の勤務体制を定めておくものである。なお、介護サービスの提供に当たっては、提供内容に応じて、職員体制を適切に行うものとする。

(7) 食事の提供

基準第一三一条に定める食事の提供に当たっては、次の点に留意して行うものとする。

① 利用者の年齢、身体的状況によって適切な栄養量及び内容の食事の提供を行うこと。

② 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくこと。

③ 病弱者に対する献立については、必要に応じ、医師の指導を受けること。

④ 利用者の食事は、適切な衛生管理がなされたものでなければならないこと。

⑤ 食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後六時以降とすることが望ましいが、早くても午後五時以降とすること。

(8) 機能訓練

基準第一三二条に定める機能訓練の提供に当たっては、利用者の家庭環境等を十分に踏まえて、日常生活の自立を助けるため、必要に応じて提供しなければならない。なお、日常生活及びレクリエーション、行事の実施等に当たっても、その効果を配慮するものとする。

(9) 健康管理

① 基準第一三三条第一項は、健康管理が、医師及び看護職員の業務であることを明確にしたものである。

② 基準第一三三条第二項で定める定期健康診断などの状況については、その利用者の老人保健法の健康手帳の所要の記入欄に必要な事項を記載するものとする。これらは、医療を受けた場合や在宅復帰後に指定短期入所生活介護事業所での利用者の健康管理状況を把握できるようにすることをねらいとしているものである。

(10) 相談及び援助

基準第一三四条に定める相談及び援助については、常時必要な相談及び援助を行い得る体制をとることにより、積極的に利用者の在宅生活の向上を図ることを趣旨とするものである。

(11) その他のサービスの提供

基準第一三五条に定めるレクリエーション行事については、(8)趣旨を踏まえて行うものとする。

(12) 緊急時等の対応

基準第一三六条は、短期入所生活介護従業者が現に指定短期入所生活介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治医又はあらかじめ当該指定短期入所生活介護事業者が定めた協力医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものであるが、協力医療機関については、次の点に留意するものとする。

① 協力医療機関は、緊急時等に速やかに対応できるよう、指定短期入所生活介護事業所から近距離にあることが望ましいものであること。

② 緊急時において円滑な協力を得るため、当該協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくこと。

(13) 運営規程

基準第一三七条は、指定短期入所生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定短期入所生活介護の提供を確保するため、同条第一号から第九号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定短期入所生活介護事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。

① 利用定員(第三号)

利用定員は、指定短期入所生活介護の事業の専用の居室のベッド数と同数とすること。

② 指定短期入所生活介護の内容(第四号)

「指定短期入所生活介護の内容」については、送迎の有無も含めたサービスの内容を指すものであること(基準第一五三条第三号についても同趣旨)。

③ 通常の送迎の実施地域(第五号)

通常の送迎の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の送迎の実施地域は、送迎に係る費用の徴収等の目安であり、当該地域以外の地域に居住する被保険者に対して送迎が行われることを妨げるものではないものであること(基準第一五三条第四号についても同趣旨)。

④ サービス利用に当たっての留意事項(第六号)

利用者が指定短期入所生活介護の提供を受ける際の、利用者側が留意すべき事項(入所生活上のルール、設備の利用上の留意事項等)を指すものであること(基準第一五三条第五号、第一六八条第五号、第一八九条第六号についても同趣旨)。

(14) 地域等との連携

基準第一三九条は、指定短期入所生活介護の事業が地域に開かれた事業として行われるよう、指定短期入所生活介護事業者は、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。

(15) 準用

基準第一四〇条の規定により、基準第九条から第一三条まで、第一五条、第一六条、第一九条、第二一条、第二六条、第三二条から第三九条まで、第五二条、第一〇一条、第一〇三条及び第一〇四条は、指定短期入所生活介護の事業について準用されるものであるため、第三の3の(2)から(6)まで、(9)、(11)、(14)及び(20)から(25)まで、第四の3の(4)並びに第八の3の(5)、(6)及び(7)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。

① 準用される基準第三九条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。

イ 指定短期入所生活介護に関する記録

a 短期入所生活介護計画書

b 提供した個々の指定短期入所生活介護に係る記録

c 緊急やむを得ない場合に行った身体的拘束等に関する記録

ロ 準用される基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

② 準用される基準第一〇一条については、

イ 指定短期入所生活介護事業所ごとに、短期入所生活介護従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、機能訓練指導員との兼務関係等を勤務表上明確にし、人員に関する基準が満たされていることを明らかにする必要があるものであること。併設の指定短期入所生活介護事業所については、本体施設の従業者と併せて勤務表を作成するものとすること。空きベッドを利用して指定短期入所生活介護の事業を行う特別養護老人ホームにあっては、当該特別養護老人ホームの従業者について勤務表が作成されていればよいものであること。

ロ 職員の職務体制を定めるもののうち、介護職員の勤務形態については、指定短期入所生活介護が短期間の利用とはいえ、そのサービスの内容は、指定介護老人福祉施設である特別養護老人ホームと基本的に同様であることから、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について(昭和六二年九月一八日社施第一〇七号)」に定める特別養護老人ホームの夜間における勤務形態の取り扱いに準じてその体制を確保すること。

また、夜間の介護職員数については、介護老人福祉施設における配置を参考に適切に配置すること。ただし、併設事業所及び基準第一二一条第二項の適用を受ける特別養護老人ホームについては、本体の事業所等と一体でその取り扱いを行って差し支えないこと。

ハ 指定短期入所生活介護事業所の夜間の安全、防災上の管理の観点から、介護職員のほかに宿直員を配置することが望ましいこと。ただし、併設事業所及び基準第一二一条第二項の適用を受ける特別養護老人ホームについては、本体の事業所等と一体でその取り扱いを行って差し支えないこと。

4 基準該当短期入所生活介護に関する基準

(1) 指定通所介護事業所等との併設(基準第一四〇条の二)

基準該当短期入所生活介護事業所は、指定通所介護事業所又は社会福祉施設に併設しなければならないこととされているが、ここにいう社会福祉施設とは、社会福祉事業法第五七条にいう社会福祉施設を指すものであること。

(2) 従業者の員数及び管理者(基準第一四〇条の三及び第一四〇条の四)

基準第一四〇条の三第四項にいう従業者の員数の確保を除けば、いわゆる単独型の指定短期入所生活介護事業所の基準と同様であり、第一〇の1の(2)から(6)までを参照されたい。

(3) 設備に関する基準(基準第一四〇条の六)

① 併設の指定通所介護事業所等の施設との設備の兼用が居室を除き可能であること、廊下は車椅子での円滑な移動が可能な廊下幅であればよいこと等、指定短期入所生活介護の基準との相違点に留意すること。

② この省令の施行の際現に存する老人短期入所事業を行っている施設若しくは老人短期入所施設(基本的な設備が完成されているものを含み、この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)又は老人短期入所事業に相当する事業の用に供する施設若しくは老人短期入所施設に相当する施設(この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、設備基準のうち一の居室の定員に関する基準(四人以下)、利用者一人当たりの床面積に関する基準(一〇・六五平方メートル以上)、食堂及び機能訓練室の面積に関する基準(三平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上)を適用しないものである。(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令(平成一二年厚生省令第三七号)附則第二項による経過措置)

(4) 運営に関する基準

基準第一四〇条の八の規定により、基準第九条から第一三条まで、第一六条、第一九条、第二一条、第二六条、第三二条から第三五条まで、第三六条第一項及び第二項、第三七条から第三九条まで、第五二条、第一〇一条、第一〇三条、第一〇四条、第一二〇条並びに第四節(第一二七条第一項及び第一四〇条を除く。)の規定は、基準該当短期入所生活介護の事業に準用されるものであるため、第三の3の(2)から(5)まで、(9)、(11)、(14)、(20)から(25)まで、第四の3の(4)、第八の3の(5)、(6)及び(7)並びに第一〇の3を参照されたい。この場合において、準用される基準第一二七条第二項の規定は、基準該当短期入所生活介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(一〇〇分の九〇を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。

なお、当該事業所による短期入所生活介護が複数の市町村において基準該当短期入所生活介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。

第一一 短期入所療養介護

1 人員に関する基準・設備に関する基準(基準第一四二条及び第一四三条)

(1) 本則

いわゆる本体施設となる介護老人保健施設、介護療養型医療施設、療養病床を有する病院若しくは診療所又は老人性痴呆疾患療養病棟を有する病院が、それぞれの施設として満たすべき人員・施設基準を満たしていれば足りるものとする。

(2) 経過措置

① 経過措置として、次に掲げる施設においても指定短期入所療養介護を行うことができるものとする。

イ 介護療養型医療施設である介護力強化病院(基準第一四二条第一項第二号・第一四三条第二号)

介護療養型医療施設の指定基準の経過措置により、平成一五年三月三一日までの間、介護力強化病院を指定することが認められているため、その間は指定短期入所療養介護の事業も行うことができるものとなること。

ロ 介護療養型医療施設でない介護力強化病院(基準附則第四条)

平成一五年三月三一日までの間、指定短期入所療養介護の事業を行うことができるものとしたこと。

ハ 厚生大臣が定める基準に適合している診療所(基準附則第五条)

当分の間、指定短期入所療養介護の事業を行うことができるものとしたこと。

② 老人性痴呆疾患療養病棟の人員・設備基準の経過措置

イ 当分の間、介護職員の員数は、常勤換算方法で、入院患者の数が八又はその端数を増すごとに一以上でよいこととされたこと(基準附則第六条)。

ロ 当分の間、老人性痴呆疾患患者の作業療法の経験を有する看護婦又は看護士が一人以上勤務する老人性痴呆疾患療養病棟においては、作業療法士が週一回以上当該老人性痴呆疾患療養病棟において患者の作業療法についての評価を行う場合には、常勤の作業療法士を置かないことができるものとしたこと(基準附則第七条)。

ハ 病床転換による老人性痴呆疾患療養病棟に係る一の病室の病床数は六床以下であればよいこととされたこと(基準附則第八条)。

ニ 病床転換による老人性痴呆疾患療養病棟に係る病室に隣接する廊下の幅は、内法による測定で、一・二メートル以上(ただし、両側に居室がある廊下の幅は、内法による測定で、一・六メートル以上)であればよいこととされたこと(基準附則第九条)。

2 運営に関する基準

(1) 利用料等の受領

① 基準第一四五条第一項、第二項及び第四項の規定は、指定訪問介護に係る第二〇条第一項、第二項及び第四項の規定と同趣旨であるため、第三の3の(10)の①、②及び④を参照されたい。

② 基準第一四五条第三項は、指定短期入所療養介護事業者は、指定短期入所療養介護の提供に関して、

イ 厚生大臣の定める基準に基づき利用者が選定する特別な療養室等の提供を行ったことに伴い必要となる費用

ロ 送迎に要する費用(厚生大臣が別に定める場合を除く。)

ハ 食材料費

ニ 理美容代

ホ 前各号に掲げるもののほか、指定短期入所療養介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの

については、前二項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、ホの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。

(2) 指定短期入所療養介護の取扱方針(基準第一四六条)

① 基準第一四六条第二項に定める「相当期間以上」とは、概ね四日以上連続して利用する場合を指すこととするが、四日未満の利用者にあっても、利用者を担当する居宅介護支援事業者等と連携をとること等により、利用者の心身の状況を踏まえて必要な療養を提供するものとする。

② 基準第一四六条第四項において、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、主治医は、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を診療録に記録しなければならないものとする。

③ その他の経過措置については、「医療法等の一部を改正する法律の施行に伴う介護保険関係法令の一部改正等について」(平成一三年二月二二日老計発第九号・老振発第八号・老老発第四号通知)を参照されたい。

(3) 短期入所療養介護計画の作成について(基準第一四七条)

① 指定短期入所療養介護事業者は、施設に介護支援専門員がいる場合には、介護支援専門員に短期入所療養介護計画作成のとりまとめを行わせること。介護支援専門員がいない場合には、療養介護計画作成の経験を有する者に作成をさせることが望ましい。

② 短期入所療養介護計画の作成に当たっては、居宅におけるケアプランを考慮しつつ、利用者の日々の療養状況に合わせて作成するものとする。

(4) 診療の方針について(基準第一四八条)

短期入所療養介護事業所の医師は、常に利用者の病床や心身の状態の把握に努めること。特に、診療に当たっては、的確な診断をもととし、入所者に対して必要な検査、投薬、処置等を妥当適切に行うものとする。

(5) 機能訓練について(基準第一四九条)

リハビリテーションの提供に当たっては、利用者の心身の状況及び家庭環境等を十分に踏まえて、日常生活の自立を助けるため、必要に応じて提供しなければならないものとする。

(6) 看護及び医学的管理の下における介護(基準第一五〇条)

① 入浴の実施に当たっては、利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、利用者の心身の状況から入浴が困難である場合には、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。

② 排せつの介護に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などをもとに自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。おむつを使用せざるを得ない場合には、利用者の心身及び活動状況に適したおむつを提供し、適切におむつを交換するものとする。

(7) 食事の提供について(基準第一五一条)

① 調理は、あらかじめ作成された献立に従って行うとともに、その実施状況を明らかにしておくものとする。

② 利用者の食事は、適切な衛生管理がなされたものでなければならない。

③ 食事時間は適切なものとし、夕食時間は午後六時以降とすることが望ましいが、早くても午後五時以降とすること。

④ 転換型の療養病床等であって食堂がない場合には、できるだけ離床して食事が食べられるよう努力をしなければならないものとする。

(8) 定員の遵守

基準第一五四条は、利用者に対する適切な指定短期入所療養介護の提供を確保するため、介護老人保健施設についてはその療養室の全部が指定短期入所療養介護の提供のために利用できること、病院及び診療所についてはその療養病床等の病床において指定短期入所療養介護の提供を行わなければならないことを踏まえて、指定短期入所療養介護事業者は、次に掲げる利用者数以上の利用者に対して同時に指定短期入所療養介護を行ってはならないことを明記したものである。ただし、災害その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。

① 介護老人保健施設である指定短期入所療養介護事業所にあっては、利用者を当該介護老人保健施設の入所者とみなした場合において入所定員及び療養室の定員を超えることとなる利用者数

② 療養病床を有する病院若しくは診療所又は老人性痴呆疾患療養病棟を有する病院である指定短期入所療養介護事業所にあっては、療養病床又は老人性痴呆疾患療養病棟に係る病床数及び療養病床又は老人性痴呆疾患療養病棟に係る病室の定員を超えることとなる利用者数

(9) 準用

基準第一五五条の規定により、基準第九条から第一三条まで、第一五条、第一六条、第一九条、第二一条、第二六条、第三二条、第三三条、第三五条から第三九条まで、第五二条、第六五条、第一〇一条、第一〇三条、第一一八条、第一二五条、第一二六条第二項及び第一三九条の規定は、指定短期入所療養介護の事業について準用されるものであるため、第三の3の(2)から(6)まで、(9)、(11)、(14)及び(20)から(25)まで、第四の3の(4)、第五の3の(2)、第八の3の(5)及び(6)、第九の3の(3)の①及び③並びに第一〇の3の(1)、(2)及び(14)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。

① 準用される基準第三九条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。

イ 指定短期入所療養介護に関する記録

a 短期入所療養介護計画書

b 診療録その他の提供した指定短期入所療養介護に係る記録

ロ 準用される基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

② 準用される基準第一〇一条第一項については、当該病院、診療所又は介護老人保健施設の従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別等を勤務表上明確にし、人員に関する基準が満たされていることを明らかにする必要があることとしたものであること。

第一二 痴呆対応型共同生活介護

1 基本方針

痴呆に伴って著しい精神症状、又は著しい行動異常を持ち、極端な暴力行為や自傷行為を行う恐れがある者及び痴呆の原因となる疾患が集中的な医療を必要とする状態の者は、共同生活住居において共同生活を送ることに支障があると考えられることから、基準第一五六条において、指定痴呆対応型共同生活介護の対象から除いたものである。

2 人員に関する基準(基準第一五七条~第一五八条)

(1) 従業者の員数

介護従業者については、利用者が痴呆を有する者であることから、介護等に対する知識、経験を有する者であることを原則とする。なお、これ以外の介護従業者にあっても研修の機会を確保することなどにより質の向上を図るものとする。

宿直時間帯は、それぞれの事業所ごとに、利用者の生活サイクルに応じて、一日の活動の終了時刻から開始時刻までを基本として設定するものとし、これに対応して、宿直時間帯以外の指定痴呆対応型共同生活介護の提供に必要な介護従業者、宿直勤務を行わせるために必要な介護従業者を確保するものとする。

例えば、利用者を八人とし、常勤の勤務時間を一日八時間とし、午後九時から午前六時までを宿直時間帯とした場合、午前六時から午後九時までの一五時間の間に、八時間×三人=延べ二四時間分の指定痴呆対応型共同生活介護が提供され、かつ、当該時間帯においては、常に介護従業者が一人以上確保されていることが必要となる。また、午後九時から午前六時までは、宿直業務を行う介護従業者が一人以上確保されていることが必要となる。

なお、宿直時間帯の設定に当たっては、「社会福祉施設における宿直勤務の取扱いについて」(昭和四九年八月二〇日社施第一六〇号社会局施設課長、児童家庭局企画課長連名通知)に準じて適切に行うこと。

(2) 計画作成担当者

計画作成担当者は、介護支援専門員をもって充てることが望ましいが、特別養護老人ホームの生活相談員や老人保健施設の支援相談員等として痴呆性高齢者の介護サービスに係る計画の作成に関し実務経験を有すると認められる者をもって充てることができるものとする。なお、利用者の処遇に支障がない場合は、管理者との兼務もできるものとする。また、計画作成担当者としての資質を確保するために別に定める研修を受講するものとする。

(3) 管理者

短期入所生活介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第一〇の1の(5)参照されたい。なお、一の事業所に複数の共同生活住居を設ける場合、それぞれの共同生活住居の管理上支障がない場合は、同一事業所の他の共同生活住居との兼務もできるものとする。また、管理者は、特別養護老人ホーム、老人デイサービスセンター、老人保健施設等の職員又は訪問介護員等として、三年以上痴呆性高齢者の介護に従事した経験を有する者等適切な指定痴呆対応型共同生活介護を提供するために必要な知識及び経験を有する者であることが必要である。さらに、管理者としての資質を確保するために別に定める研修を受講するものとする。

3 設備に関する基準(基準第一五九条)

(1) 事業所

一の事業所に複数の共同生活住居を設ける場合であっても、居間、食堂及び台所については、それぞれ共同生活住居ごとの専用の設備でなければならない。また、併設の事業所において行われる他のサービスの利用者がこれらの設備を共用することも原則として不可とする。

ただし、併設の事業所において行われる通所介護が、指定痴呆対応型共同生活介護の利用者が日常的に利用するものであって、かつ、家庭的な環境を維持できるよう一八名程度までの利用者に対して行われるものであれば、指定痴呆対応型共同生活介護を地域に開かれたものとするために有効であると考えられることから、共同生活住居における利用者の生活に支障のない範囲で通所介護の利用者が共用することができるものとする。

なお、それぞれの共同生活住居に対し、緊急時に速やかに対処できる距離、位置関係にあるなど、管理上特に支障がないと認められる場合は、事務室、宿直室については兼用であっても差し支えない。

(2) 居室

一の居室の面積は、七・四三平方メートル(和室であれば四・五畳)以上とされているが、生活の場であることを基本に、収納設備は別途確保することなど利用者の私物等も置くことができる充分な広さを有するものとすること。また、居室とは、廊下、居間等につながる出入口があり、他の居室と明確に区分されているものをいい、単にカーテンや簡易なパネル等で室内を区分しただけと認められるものは含まれないこと。ただし、一般の住宅を改修している場合など、建物の構造上、各居室間がふすま等で仕切られている場合は、この限りでない。

また、居室を二人部屋とすることができる場合とは、例えば、夫婦で居室を利用する場合などであって、事業者の都合により一方的に二人部屋とするべきではない。なお、二人部屋については、特に居室面積の最低基準は示していないが、前記と同様に充分な広さを確保しなければならないものとする。

(3) 居間及び食堂

居間及び食堂は同一の室内とする場合であっても、居間、食堂のそれぞれの機能が独立していることが望ましい。また、その広さについても原則として利用者及び介護従業者が一堂に会するのに充分な広さを確保するものとする。

(4) 経過措置

この省令の施行の際現に存する痴呆対応型共同生活介護の事業に相当する事業の用に供する共同生活住居(基本的な設備が完成されているものを含み、この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)であって指定痴呆対応型共同生活介護の提供に支障がないと認められるものについては、一の居室の床面積に関する基準(七・四三平方メートル以上)の規定は適用しない。

4 運営に関する基準

(1) 入退居

① 基準第一六〇条第三項の「自ら必要なサービスを提供することが困難であると認めた場合」とは、入居申込者が第一二の1により利用対象者に該当しない者である場合のほか、入居申込者が入院治療を要する者である場合、当該指定痴呆対応型共同生活介護事業所の入居者数が既に定員に達している場合等であり、これらの場合には、基準第一六〇条第三項の規定により、適切な他の指定痴呆対応型共同生活介護事業者、介護保険施設、病院又は診療所を紹介する等の適切な措置を速やかに講じなければならない。

② 基準第一六〇条第四項は、入居申込者の入居に際し、その者の心身の状況、生活歴、病歴等の把握に努めることとしているが、入居申込者が家族による入居契約締結の代理や援助が必要であると認められながら、これらが期待できない場合については、市町村とも連携し、成年後見制度や地域福祉権利擁護事業等の活用を可能な限り図ることとする。

(2) 入退居の記録

基準第一六一条は、指定痴呆対応型共同生活介護の提供を受けている者が居宅療養管理指導以外の居宅サービス及び施設サービスについて保険給付を受けることができないことを踏まえ、他の居宅サービス事業者等が当該利用者が指定痴呆対応型共同生活介護の提供を受けていることを確認できるよう、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、入居に際しては入居の年月日及び入居している共同生活住居の名称を、退居に際しては退居の年月日を、利用者の被保険者証に記載しなければならないこととしたものである。

(3) 利用料等の受領

① 基準第一六二条第一項、第二項及び第四項の規定は、指定訪問介護に係る第二〇条第一項、第二項及び第四項の規定と同趣旨であるため、第三の3の(10)の①、②及び④を参照されたい。

② 基準第一六二条第三項は、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、指定痴呆対応型共同生活介護の提供に関して、

イ 食材料費

ロ 理美容代

ハ おむつ代

ニ 前三号に掲げるもののほか、指定痴呆対応型共同生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの

については、前二項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、ニの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。

(4) 指定痴呆対応型共同生活介護の取扱方針

① 基準第一六三条第二項は、利用者が共同生活を送る上で自らの役割を持つことにより、達成感や満足感を得、自信を回復するなどの効果が期待されるとともに、利用者にとって当該共同生活住居が自らの生活の場であると実感できるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。また、家庭的な環境の下で日常生活を送ることができるよう配慮する観点から、複数の共同生活住居を設置する場合については、一か所に共同生活住居数が三つを超えるような形態は望ましくないものである。

② 基準第一六三条第四項で定めるサービス提供方法等とは、痴呆対応型共同生活介護計画の目標及び内容や行事及び日課等も含むものである。

③ 基準第一六三条第五項において、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければならないものとする。

④ 基準第一六三条第六項の「指定痴呆対応型共同生活介護の質の評価」とは、各都道府県の定める基準に基づく自己評価をいうものである。

(5) 痴呆対応型共同生活介護計画の作成

① 当該計画の作成及びその実施に当たっては、いたずらにこれを利用者に強制することとならないように留意するものとする。

② 基準第一六四条第三項でいう通所介護の活用とは、介護保険給付の対象となる通所介護ではなく、当該指定痴呆対応型共同生活介護事業者と通所介護事業者との間の契約により、利用者に介護保険給付の対象となる通所介護に準ずるサービスを提供するものである。また、その他の多様な活動とは、地域の特性や利用者の生活環境に応じたレクリエーション、行事、園芸、農作業などの利用者の趣味又は嗜好に応じた活動等をいうものである。

③ 基準第一六四条第四項は、痴呆対応型共同生活介護計画には、当該共同生活住居内で提供するサービスだけでなく、当該共同生活住居外において入居者が利用する他の居宅サービス等も位置づけられることから、計画作成担当者は、当該共同生活住居の他の介護従業者及び他の居宅サービス等を行う者と連携して当該計画に基づいたサービスの実施状況を把握し、また、必要に応じて計画の変更を行うものとする。

(6) 介護等

① 基準第一六五条第一項で定める介護サービスの提供に当たっては、痴呆の状態にある利用者の心身の状況に応じ、利用者がその自主性を保ち、意欲的に日々の生活を送ることが出来るようにすることを念頭に、利用者の精神的な安定、問題行動の減少及び痴呆の進行緩和が図られるように介護サービスを提供し又は必要な支援を行うものとする。なお、介護サービス等の提供に当たっては、利用者の人格に十分に配慮して実施するものとする。

② 基準第一六五条第二項は、指定痴呆対応型共同生活介護事業所で提供されるサービスは施設サービスに準じ、当該共同生活住居内で完結する内容であることを踏まえ、当該事業所の従業者でないいわゆる付添者による介護や、居宅療養管理指導を除く他の居宅サービスを、入居者にその負担によって利用させることができないこととしたものである。ただし、指定痴呆対応型共同生活介護事業者の負担により、通所介護等のサービスを受けさせることは差し支えない。

③ 基準第一六五条第三項は、利用者が介護従業者と食事や清掃、洗濯、買物、園芸、農作業、レクリエーション、行事等を共同で行うことによって良好な人間関係に基づく家庭的な生活環境の中で日常生活が送れるようにすることに配慮したものである。

(7) 社会生活上の便宜の提供等

① 基準第一六六条第一項は事業者が画一的なサービスを提供するのではなく、利用者が自らの趣味又は嗜好に応じた活動を行うことができるよう必要な支援を行うことにより、利用者が充実した日常生活を送り、利用者の精神的な安定、問題行動の減少及び痴呆の症状の進行を緩和するよう努めることとしたものである。

② 基準第一六六条第二項は、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、郵便、証明書等の交付申請等、利用者が必要とする手続等について、利用者又はその家族が行うことが困難な場合は、原則としてその都度、その者の同意を得た上で代行しなければならないこととするものである。特に金銭にかかるものについては書面等をもって事前に同意を得るとともに、代行した後はその都度本人に確認を得るものとする。

③ 基準第一六六条第三項は、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、利用者の家族に対し、当該共同生活住居の会報の送付、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。また、利用者と家族の面会の場所や時間等についても、利用者やその家族の利便を図るものとする。さらに、家族との交流の機会の確保や地域住民との交流を図る観点から、特別養護老人ホーム等の併設したものではない単独型の共同生活住居については、次の地域のいずれかの中にあることが市町村により確認されていることとする。

ア 都市計画法(昭和四三年法律第一〇〇号)第八条第一項第一号の用途地域が定められた地域(工業地域及び工業専用地域が定められた地域を除く。)

イ 用途地域が定められていない地域の中で、幹線道路沿いや駅前、又は農山村等の集落地域内である場合等、地域の住宅地の中にあるのと同程度に家族や地域との交流が確保されていると認められる地域

(8) 運営規程

基準第一六八条は、指定痴呆対応型共同生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定痴呆対応型共同生活介護の提供を確保するため、同条第一号から第七号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを共同生活住居ごとに義務づけたものであるが、第四号の「指定痴呆対応型共同生活介護の内容」については、通所介護等を利用する場合については当該サービスを含めたサービスの内容を指すものであることに留意するものとする。

(9) 勤務体制の確保等

基準第一六九条は、利用者に対する適切な指定痴呆対応型共同生活介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等を規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。

① 共同生活住居ごとに、介護従業者の日々の勤務体制、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、宿直担当者等を明確にすること。

② 同条第二項は、指定痴呆対応型共同生活介護の利用者の精神の安定を図る観点から、担当の介護従業者を固定する等の継続性を重視したサービス提供に配慮すべきこととしたものであること。

③ 宿直時間帯を定めるに当たっては、それぞれの事業所ごとに、利用者の生活サイクルに応じて設定するものとし、これに対応して、宿直勤務を行わせるために必要な介護従業者を確保するとともに、宿直時間帯以外の指定痴呆対応型共同生活介護の提供に必要な介護従業者を確保すること。なお、常時介護従業者が一人以上確保されていることが必要であること。

④ 同条第3項は、当該指定痴呆対応型共同生活介護事業所の介護従業者の質の向上を図るため、研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであるが、当該介護従業者は要介護者であって痴呆の状態にあるものの介護を専ら担当することにかんがみ、特に痴呆介護に関する知識及び技術の修得を主たる目的とする研修を受講する機会を確保するよう努めること。

(10) 協力医療機関等

① 基準第一七一条第一項及び第二項の協力医療機関及び協力歯科医療機関は、共同生活住居から近距離にあることが望ましい。

② 同条第三項は、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、サービスの提供体制の確保、夜間における緊急時の対応等のため、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、病院等のバックアップ施設との間の連携及び支援の体制を整えなければならない旨を規定したものである。これらの協力医療機関やバックアップ施設から、利用者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、当該協力医療機関等との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくものとする。

(11) 居宅介護支援事業者に対する利益供与等の禁止

① 基準第一七二条第一項は、居宅介護支援事業者による共同生活住居の紹介が公正中立に行われるよう、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、要介護被保険者に対して当該共同生活住居を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。

② 同条第二項は、共同生活住居の退居後において利用者による居宅介護支援事業者の選択が公正中立に行われるよう、指定痴呆対応型共同生活介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者から、当該共同生活住居からの退居者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。

(12) 調査への協力等

基準第一七二条の二は、利用者が痴呆性高齢者であることや痴呆対応型共同生活介護の事業が小規模であること等から、利用者からの苦情がない場合にも、市町村が定期的又は随時に調査を行うこととし、事業者は、市町村の行う調査に協力し、市町村の指導又は助言に従って必要な改善を行わなければならないこととしたものである。

市町村は、妥当適切な指定痴呆対応型共同生活介護が行われているか確認するために定期的又は随時に調査を行い、基準を満たさない点などを把握した場合には、適宜都道府県に連絡をとるなど適切にまた、市町村は、都道府県知事が法第七〇条第一項に基づく指定を行う上で確認すべき事項については、意見書を提出するものとする。(意見書の様式等については別に定める。)

さらに、事業者は、市町村に対し、当該事業所の運営規程の概要や勤務体制、管理者等の資格や研修の履修状況等の情報について提出するとともに、自ら一般に公表するよう努めるものとする。(具体的な情報公開の項目については、別に定める。)

なお、市町村に対して提出する情報公開の項目は、指定の申請の際に都道府県知事に提出するとともに、第一三一条第一項第一〇号に該当する事項に変更があった場合には一〇日以内に届け出る必要があるほか、届出の対象にならない事項も含め、少なくとも一年のうち一定の時期に一度(例えば各年度末)情報を更新し、都道府県知事に提出するものとする。

(13) 準用

基準第一七三条の規定により、基準第八条、第九条、第一一条、第一二条、第二一条、第二六条、第三二条から第三四条まで、第三六条から第三九条まで、第五一条、第五二条、第一〇三条、第一〇四条及び第一三九条の規定は、指定痴呆対応型共同生活介護の事業に準用されるものであるため、第三の3の(1)、(2)、(4)、(5)、(11)、(14)、(20)及び(22)から(25)まで、第四の3の(3)及び(4)、第八の3の(6)及び(7)並びに第一〇の3の(14)を参照されたい。なお、この場合において、準用される基準第八条及び第三二条により、(12)において市町村に提出する情報公開項目については、利用申込者又はその家族に対し、文書を交付して説明を行うとともに、共同生活住居内の見やすい場所に掲示するものとする。また、準用される基準第三九条により、整備すべき記録は以下のとおりである。

イ 指定痴呆対応型共同生活介護に関する記録

a 痴呆対応型共同生活介護計画書

b 提供した指定痴呆対応型共同生活介護に係る記録

c 緊急やむを得ない場合に行った身体的拘束等に関する記録

ロ 準用される基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

第一三 特定施設入所者生活介護

1 人員に関する基準

(1) 看護職員及び介護職員

① 基準第一七五条第一項第二号イの「看護職員及び介護職員の合計数」について、要介護者及び要支援者の両方が当該指定特定施設の利用者である場合は、要介護者の利用者の数に、要支援者一人を要介護者〇・三人と換算して合計した利用者数をもとに、三又はその端数を増すごとに一以上と算出するものとする。

② 基準第一七五条第一項第二号ハの「常に一以上の指定特定施設入所者生活介護の提供に当たる介護職員の確保」とは、介護サービスの提供内容に応じて介護職員の勤務体制を適切に定めることであり、宿直時間帯を含めて適切な介護を提供できるようにするものとする。なお、宿直時間帯は、それぞれの事業所ごとに利用者の状況等に応じて、例えば午後九時から午前六時までなどと設定するものとし、当該時間帯においては、一名でも要介護者である利用者がいる場合は常に介護職員が一人以上確保されていることが必要である。

(2) 主として指定特定施設入所者生活介護の提供に当たる看護職員又は介護職員

基準第一七五条第四項の「主として指定特定施設入所者生活介護の提供に当たる看護職員又は介護職員」とは、要介護者等に対するサービス提供に従事することを基本とするものである。ただし、要介護者等のサービス利用に支障のないときに、要介護者等以外の当該特定施設の入所者に対するサービス提供を行うことは差し支えない。

指定時においては、これらの従業者が要介護者等に対してサービスを提供する者として、それぞれ他の従業者と明確に区分するための措置が講じられており、この措置及び前記の趣旨が運営規程において明示されていることを確認する必要がある。

(3) 機能訓練指導員(基準第一七五条第五項)

機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。

(4) 計画作成担当者(基準第一七五条第六項)

計画作成担当者は、介護支援専門員をもって充てることが望ましいが、有料老人ホームや特別養護老人ホームの生活相談員等として高齢者等の介護サービスに係る計画の作成に関し実務経験を有すると認められる者をもって充てることができるものである。

(5) 管理者(基準第一七六条)

短期入所生活介護の場合と同趣旨であるため、第一〇の1の(5)を参照されたい。

2 設備に関する基準(基準第一七七条)

(1) 基準第一七七条第三項において、介護居室、一時介護室、食堂及び機能訓練室についていう「適当な広さ」については、面積による基準を定めることはせず、利用者の選択に委ねることとする。このため、具体的な広さについては、利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項であり、利用申込者に対する文書を交付しての説明及び掲示が必要となる。また、機能訓練室については、他に適当な場所が確保されている場合に設けないことができることとしたが、この場合には、同一敷地内にある若しくは道路を隔てて隣接する又は当該特定施設入所者生活介護事業所の付近にある等機能訓練の実施に支障のない範囲内にある施設の設備を利用する場合も含まれるものである。

(2) 基準第一七七条第四項の「利用者が車椅子で円滑に移動することが可能な空間と構造」とは、段差の解消、廊下の幅の確保等の配慮がなされていることをいうものである。

(3) 基準附則第一〇条は、既存の特定有料老人ホーム(社会福祉・医療事業団業務方法書に規定する特定有料老人ホームをいう。)について、浴室及び食堂を設けないことができるものとする趣旨で設けられたものである。ただし、利用者が当該有料老人ホームに併設する養護老人ホーム等の浴室及び食堂を利用することができること等が要件であることに留意するものとする。

3 運営に関する基準

(1) 内容及び手続の説明及び契約の締結等

基準第一七八条第一項は、利用者に対し適切な特定施設入所者介護を提供するため、入所申込者又はその家族に対し、入所申込者のサービス選択に資すると認めらる重要事項ついて、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、同意を得なければならないこととしたものである。

「入所申込者のサービス選択に資すると認められる重要事項」とは、運営規程の概要、従業者の勤務の体制、介護居室、一時介護室、浴室、食堂及び機能訓練室の概要、要介護状態区分又は要支援の区分に応じて当該事業者が提供する標準的な介護サービスの内容、利用料の額及びその改定の方法並びに事故発生時の対応等である。

また、契約書においては、少なくとも、介護サービスの内容及び利用料その他費用の額、契約解除の条件を記載するものとする。

(2) 指定特定施設入所者生活介護の提供の開始等

基準第一七九条第二項は、入所者が当該指定特定施設入所者生活介護事業者から指定特定施設入所者生活介護を受けることに同意できない場合もあること等から設けたものである。

(3) 法定代理受領サービスを受けるための利用者の同意

基準第一八〇条は、有料老人ホーム等において、介護保険制度の施行前に既に入居し、介護費用を一時金等により前払いで支払った場合に、介護保険の給付対象部分との調整が必要であること等から、利用者の同意をもって法定代理受領サービスの利用が可能となることとしたものである。

また、介護保険法施行規則第六四条第三号の規定に基づき、指定特定施設入所者生活介護事業者は、市町村(又は国民健康保険団体連合会)に対して、法定代理受領サービスの利用について利用者の同意を得た旨及びその者の氏名等が記載された書類を提出することが必要であるが、これについては別途通知するものである。

(4) サービス提供の記録

基準第一八一条は、指定特定施設入所者生活介護の提供を受けている者が居宅療養管理指導以外の居宅サービス及び施設サービスについて保険給付を受けることができないことを踏まえ、他の居宅サービス事業者等が当該利用者が指定特定施設入所者生活介護の提供を受けていることを確認できるよう、指定特定施設入所者生活介護事業者は、指定特定施設入所者生活介護の開始に際しては当該開始の年月日及び入所している指定特定施設の名称を、指定特定施設入所者生活介護の終了に際しては当該終了の年月日を、利用者の被保険者証に記載しなければならないこととしたものである。

(5) 利用料等の受領

① 基準第一八二条第一項、第二項及び第四項の規定は、指定訪問介護に係る第二〇条第一項、第二項及び第四項の規定と同趣旨であるため、第三の3の(10)の①、②及び④を参照されたい。

② 基準第一八二条第三項は、指定特定施設入所者生活介護事業者は、指定特定施設入所者生活介護の提供に関して、

イ 利用者の選定により提供される介護その他の日常生活上の便宜に要する費用

ロ おむつ代

ハ 前二号に掲げるもののほか、指定特定施設入所者生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの

については、前二項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、ハの費用の具体的な範囲については、別途通知するところによるものである。

(6) 特定施設サービス計画の作成

基準第一八三条は、特定施設サービス計画の作成及び変更の留意点及び方法について定めたものであるが、利用者に対するサービスが総合的に提供されるよう、当該計画は、介護保険給付の対象とならない介護サービスに関する事項をも含めたものとする。なお、当該計画の作成及び実施に当たっては、利用者の希望を十分勘案するものとする。

(7) 指定特定施設入所者生活介護の提供の取扱方針

基準第一八四条第四項において、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為を行ってはならない旨を定めたところであるが、緊急やむを得ず身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければならないものとする。

(8) 介護

① 基準第一八五条の規定による介護サービスの提供に当たっては、当該指定特定施設においてその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、適切な技術をもって介護サービスを提供し、又は必要な支援を行うものとする。なお、介護サービス等の実施に当たっては、利用者の人格を十分に配慮して実施するものとする。

② 基準第一八五条第二項の規定による入浴の実施に当たっては、自ら入浴が困難な利用者の心身の状況や自立支援を踏まえて、特別浴槽を用いた入浴や介助浴等適切な方法により実施するものとする。なお、健康上の理由等で入浴の困難な利用者については、清しきを実施するなど利用者の清潔保持に努めるものとする。

③ 基準第一八五条第三項の規定による排せつの介助に当たっては、利用者の心身の状況や排せつ状況などを基に自立支援を踏まえて、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。

④ 基準第一八五条第四項は、特定施設入所者生活介護事業者は、入所者の心身の状況や要望に応じて、一日の生活の流れに沿って、食事、離床、着替え、整容などの日常生活上の世話を適切に行うべきことを定めたものである。

(9) 相談及び援助

基準第一八七条の規定による相談及び援助については、常時必要な相談及び社会生活に必要な支援を行いうる体制をとることにより、積極的に入所者の生活の向上を図ることを趣旨とするものである。なお、社会生活に必要な支援とは、入所者自らの趣味又は嗜好に応じた生きがい活動、各種の公共サービス及び必要とする行政機関に対する手続き等に関する情報提供又は相談である。

(10) 利用者の家族との連携等

基準第一八八条は、指定特定施設入所者生活介護事業者は、利用者の生活及び健康の状況並びにサービスの提供状況を家族に定期的に報告する等常に利用者と家族の連携を図るとともに、当該事業者が実施する行事への参加の呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととするものである。

(11) 運営規程

基準第一八九条は、指定特定施設入所者生活介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定特定施設入所者生活介護の提供を確保するため、同条第一号から第九号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定特定施設ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。

① 指定特定施設入所者生活介護の内容

「指定特定施設入所者生活介護の内容」については、入浴の介護の一週間における回数等のサービスの内容を指すものであること。

② その他運営に関する重要事項

基準第一七五条第一項第二号の看護職員又は介護職員を、それぞれ他の従業者と明確に区分するための措置等を指すものであること。

(12) 勤務体制の確保等

基準第一九〇条は、利用者に対する適切な指定特定施設入所者生活介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等を規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。

① 特定施設従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、機能訓練指導員との兼務関係、計画作成担当者との兼務関係等を勤務表上明確にすること。

② 同条第二項の規定により、指定特定施設入所者生活介護に係る業務の全部又は一部を他の事業者(以下「受託者」という。)に行わせる指定特定施設入所者生活介護事業者(以下「委託者」という。)は、当該受託者に対する当該業務の管理及び指揮命令の確実な実施を確保するため、当該委託契約において次に掲げる事項を文書により取り決めなければならない。この場合において、委託者は受託者に委託した業務の全部又は一部を再委託させてはならない。なお、給食、警備等の特定施設入所者生活介護に含まれない業務については、この限りでない。

イ 当該委託の範囲

ロ 当該委託に係る業務(以下「委託業務」という。)の実施に当たり遵守すべき条件

ハ 受託者の従業者により当該委託業務が基準第一二章第四節の運営基準に従って適切に行われていることを委託者が定期的に確認する旨

ニ 委託者が当該委託業務に関し受託者に対し指示を行い得る旨

ホ 委託者が当該委託業務に関し改善の必要を認め、所要の措置を講じるよう前号の指示を行った場合において、当該措置が講じられたことを委託者が確認する旨

ヘ 受託者が実施した当該委託業務により入所者に賠償すべき事故が発生した場合における責任の所在

ト その他当該委託業務の適切な実施を確保するために必要な事項

③ 指定特定施設入所者生活介護事業者は②のハ及びホの確認の結果の記録を作成しなければならないこと。

④ 指定特定施設入所者生活介護事業者が行う②のニの指示は、文書により行わなければならないこと。

(13) 協力医療機関等

① 基準第一九一条第一項及び第二項は、第一七一条第一項及び第二項と同趣旨であるので、第一二の4の(10)の①を参照されたい。

② 指定特定施設入所者生活介護事業者は、利用者の入院や休日夜間等における対応について円滑な協力を得るため、協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくものとする。

(14) 準用

基準第一九二条の規定により、基準第一一条、第一二条、第二一条、第二六条、第三二条から第三九条まで、第五一条、第五二条、第一〇三条、第一〇四条、第一三二条及び第一三九条の規定は、指定特定施設入所者生活介護の事業に準用されるものであるため、第三の3の(4)、(5)、(11)、(14)及び(20)から(25)まで、第四の3の(3)及び(4)、第八の3の(6)及び(7)並びに第一〇の3の(8)及び(14)を参照されたい。この場合において、準用される基準第三九条により、整備すべき記録は以下のとおりである。

イ 指定特定施設入所者生活介護に関する記録

a 特定施設サービス計画

b 提供した指定特定施設入所者生活介護に係る記録

c 緊急やむを得ない場合に行った身体的拘束等に関する記録

d 介護保険法施行規則第六四条第三号に規定する同意に関する記録

ロ 準用される基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

ハ 3の(12)の③の確認の結果の記録及び④の指示の文書

第一四 福祉用具貸与

1 人員に関する基準

(1) 専門相談員に関する事項

① 指定講習会

基準第一九四条の「厚生大臣が指定した講習会」とは、平成一一年六月九日老発第四三七号老人保健福祉局長通知「福祉用具専門相談員指定講習会の指定について」に定める「福祉用具専門相談員指定講習会指定要綱」(以下「指定要綱」という。)により厚生大臣が指定した講習会(以下「指定講習会」という。)をいう。

② 指定講習会と同程度以上の講習

第一九四条に定める「これと同程度以上の講習」とは、次のものをいう。

イ 平成七年七月三一日社援更第一九二号・老計第一一六号・児発第七二五号連名通知による「ホームヘルパー養成研修事業実施要綱」にいうホームヘルパー養成研修一級課程及びホームヘルパー養成研修二級課程

ロ 指定講習会を実施する者が、当該指定を受ける前に実施した講習又は当該指定を受けた際に実施している講習であって、指定要綱の別紙2に定める講習カリキュラムと同程度以上の講習カリキュラムによるもの

ハ その他指定講習会と同程度以上の講習

③ 福祉用具貸与に係る指定居宅サービス事業者の指定を受けようとする者は、当該福祉用具貸与に従事させることとなる者が修了した講習が「指定講習会と同程度以上の講習」に該当するかどうかについて疑義があるときは、当該指定の申請をするに当たっては、その旨を都道府県知事に申し出るものとする。

(2) 管理者(基準第一九五条)

訪問介護の場合と同趣旨であるため、第三の1の(3)を参照されたい。

2 設備に関する基準

(1) 基準第一九六条第一項に規定する必要な広さの区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。

(2) 指定福祉用具貸与事業者は、指定福祉用具貸与に必要な設備及び備品等を確保するものとする。ただし、他の事業所又は施設等と同一敷地内にある場合であって、指定福祉用具貸与の事業及び当該他の事業所又は施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所又は施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。

(3) 基準第一九六条第二項第一号ロは、既に消毒又は補修がなされている福祉用具とそれ以外の福祉用具の区分について、保管室を別にするほか、つい立ての設置等両者を保管する区域を明確に区分するための措置が講じられていることをいうものである。

(4) 基準第一九六条第二項第二号に定める福祉用具の消毒のために必要な器材とは、基準第二〇三条第二項の規定による消毒の方法により消毒を行うために必要な器材をいう。

3 運営に関する基準

(1) 利用料の受領

① 基準第一九七条第一項、第二項及び第四項は、指定訪問介護に係る基準第二〇条第一項、第二項及び第四項と同趣旨であるため、第三の3の(10)の①、②及び④を参照されたい。なお、指定福祉用具貸与は継続的な契約であるとともに利用者と対面する機会が少ないことから、指定福祉用具貸与事業者は、利用者から前払いにより数箇月分の利用料を徴収することも可能とするが、この場合であっても、要介護者等の要介護認定の有効期間を超える分について前払いにより利用料を徴収してはならない。

② 基準第一九七条第三項は、指定福祉用具貸与事業者は、指定福祉用具貸与の提供に関し、

イ 通常の事業の実施地域以外の地域において指定福祉用具貸与を行う場合の交通費

ロ 福祉用具の搬出入に通常必要となる人数以上の従事者やクレーン車が必要になる場合等特別な措置が必要な場合の当該措置に要する費用

については、前二項の利用料のほかに、利用者から支払を受けることができるものとし、介護保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。

③ 基準第一九七条第五項は、利用者がその負担すべき利用料を支払わずに、福祉用具を使用し続ける事態を防止するため、そのような場合には指定福祉用具貸与事業者が福祉用具を回収すること等により、当該指定福祉用具貸与の提供を中止できる旨を定めたものである。

(2) 指定福祉用具貸与の基本取扱方針

基準第一九八条第二項は、指定福祉用具貸与においては、福祉用具が様々な利用者に利用されることから、その衛生と安全性に十分留意することとしたものである。

(3) 指定福祉用具貸与の具体的取扱方針

① 基準第一九九条は、新たに設けられた専門相談員の業務の方針、手続を明確にしたものであり、専門相談員は原則としてこれらの手続を自ら行う必要がある。なお、第四号の福祉用具の修理については、専門的な技術を有する者に行わせても差し支えないが、この場合にあっても、専門相談員が責任をもって修理後の点検を行うものとする。

② 第三号は、指定福祉用具貸与の提供に当たっての調整、説明及び使用方法の指導について規定したものであるが、特に、電動車いす、移動用リフト等の使用に際し安全性の面から注意が必要な福祉用具については、訓練操作の必要性等利用に際しての注意事項について十分説明するものとする。なお、同号の「福祉用具の使用方法、使用上の留意事項、故障時の対応等を記載した文書」は、当該福祉用具の製造事業者、指定福祉用具貸与事業者等の作成した取扱説明書をいうものである。

(4) 運営規程

基準第二〇〇条は、指定福祉用具貸与の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定福祉用具貸与の提供を確保するため、同条第一号から第六号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定福祉用具貸与事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。

① 指定福祉用具貸与の提供方法、取り扱う種目及び利用料その他の費用の額(第四号)

「指定福祉用具貸与の提供方法」は、福祉用具の選定の援助、納品及び使用方法の指導の方法等を指すものであること。「利用料」としては、法定代理受領サービスである指定福祉用具貸与に係る利用料(一割負担)、法定代理受領サービスでない指定福祉用具貸与の利用料を、「その他の費用の額」としては、基準第一九七条第三項により徴収が認められている費用の額並びに必要に応じてその他のサービスに係る費用の額を規定するものであるが、個々の福祉用具の利用料については、その額の設定の方式(利用期間に暦月による一月に満たない端数がある場合の算定方法等)及び目録(基準第二〇四条第二項に規定する目録をいう。)に記載されている旨を記載すれば足りるものとし、運営規程には必ずしも額自体の記載を要しないものであること。

② その他運営に関する重要事項(第七号)

(6)①の標準作業書に記載された福祉用具の消毒の方法について規定すること。

(5) 適切な研修の機会の確保(基準第二〇一条)

福祉用具の種類が多種多様であり、かつ、常に新しい機能を有するものが開発されるとともに、要介護者等の要望は多様であるため、専門相談員は常に最新の専門的知識に基づいた情報提供、選定の相談等を行うことが求められる。このため、指定福祉用具貸与事業者は、専門相談員に福祉用具の構造、使用方法等についての継続的な研修を定期的かつ計画的に受けさせなければならないこととしたものである。

(6) 衛生管理等(基準第二〇三条)

① 福祉用具の種類ごとに、消毒の具体的方法及び消毒器材の保守点検の方法を記載した標準作業書を作成し、これに従い熱湯による消毒、消毒液を用いた拭清等、その種類、材質等からみて適切な消毒効果を有する方法により消毒を行うものとする。

② 第三項の規定により、福祉用具の保管又は消毒の業務の全部又は一部を他の事業者(当該指定福祉用具貸与事業者が運営する他の事業所及び指定福祉用具貸与事業者に福祉用具を貸与する事業者を含む。以下「受託者等」という。)に行わせる指定福祉用具貸与事業者(以下この項において「指定事業者」という。)は、当該保管又は消毒の業務が適切な方法により行われることを担保するため、当該保管又は消毒の業務に係る委託契約(当該指定福祉用具貸与事業者が運営する他の事業所に当該保管又は消毒の業務を行わせる場合にあっては、業務規程等)において次に掲げる事項を文書により取り決めなければならない。

イ 当該委託等の範囲

ロ 当該委託等に係る業務の実施に当たり遵守すべき条件

ハ 受託者等の従業者により当該委託等がなされた業務(以下「委託業務」という。)が基準第一三章第四節の運営基準に従って適切に行われていることを指定事業者が定期的に確認する旨

ニ 指定事業者が当該委託等業務に関し受託者等に対し指示を行い得る旨

ホ 指定事業者が当該委託等業務に関し改善の必要を認め、所要の措置を講じるよう前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたことを指定事業者に確認する旨

ヘ 受託者等が実施した当該委託等業務により利用者に賠償すべき事故が発生した場合における責任の所在

ト その他当該委託等業務の適切な実施を確保するために必要な事項

③ 指定事業者は②のハ及びホの確認の結果の記録を作成しなければならない。

④ 指定事業者が行う②のニの指示は、文書により行わなければならない。

(7) 準用

基準第二〇五条の規定により、基準第八条から第一九条まで、第二一条、第二六条、第三三条から第三九条まで、第五二条並びに第一〇一条第一項及び第二項の規定は、指定福祉用具貸与の事業について準用されるため、第三の3の(1)から(9)まで、(11)、(14)及び(20)から(25)まで、第四の3の(4)並びに第八の3の(5)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。

① 基準第一〇条中「以下同じ。)」とあるのは「以下同じ。)、取り扱う福祉用具の種目」と、第一四条第二項中「適切な指導」とあるのは「適切な相談又は助言」と、第一八条中「初回訪問時及び利用者」とあるのは「利用者」と、第一九条中「提供日及び内容」とあるのは「提供の開始日及び終了日並びに種目及び品名」と、第二一条中「内容」とあるのは「種目、品名」と、第百一条第二項中「処遇」とあるのは「サービス利用」と読み替えられるものであること。

② 準用される基準第三九条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。

イ 提供した個々の指定福祉用具貸与に関する記録

ロ 準用される基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

ハ 3の(6)の③の確認の結果の記録及び④の指示の文書

③ 準用される基準第一〇一条第一項及び第二項については、次の点に留意すること。

イ 指定福祉用具貸与事業所ごとに、専門相談員の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を勤務表上明確にすること。

ロ 福祉用具の選定の援助、機能等の点検、使用方法の指導等については、当該指定福祉用具貸与事業所の従業者たる専門相談員が行うべきであるが、福祉用具の運搬、回収、修理、保管、消毒等の利用者のサービスの利用に直接影響を及ぼさない業務については、専門相談員以外の者又は第三者に行わせることが認められるものとしたものであること。なお、保管又は消毒を第三者に委託等する場合は、基準第二〇三条第三項の規定に留意すること。

4 基準該当福祉用具貸与に関する基準

基準第二〇六条の規定により、基準第八条から第一四条まで、第一六条から第一九条まで、第二一条、第二六条、第三三条から第三五条まで、第三六条第一項及び第二項、第三七条から第三九条まで、第五二条、第一〇一条第一項及び第二項、第一九三条から第一九六条まで並びに第四節(第一九七条第一項及び第二〇五条を除く。)の規定は、基準該当福祉用具貸与の事業に準用されるものであるため、第三の3の(1)から(5)まで、(7)から(9)まで、(11)、(14)及び(20)から(25)まで、第四の3の(4)、第八の3の(5)並びに第一四の1から3までを参照されたい。なお、この場合において、準用される基準第一九七条第二項の規定は、基準該当福祉用具貸与事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(一〇〇分の九〇を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による福祉用具貸与が複数の市町村において基準該当福祉用具貸与と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。