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○指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について

(平成一一年九月一七日)

(老企第二五号)

(各都道府県介護保険主管部(局)長あて厚生省老人保健福祉局企画課長通知)

介護保険法(平成九年法律第一二三号。以下「法」という。)第四二条第一項第二号並びに第七四条第一項及び第二項の規定に基づく「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(以下「基準」という。)については、平成一一年三月三一日厚生省令第三七号をもって公布され、平成一二年四月一日より施行されるところであるが、基準の趣旨及び内容は左記のとおりであるので、御了知の上、管下市町村、関係団体、関係機関等にその周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。

第一 基準の性格

1 基準は、指定居宅サービスの事業がその目的を達成するために必要な最低限度を定めたものであり、指定居宅サービス事業者は、常にその事業の運営の向上に努めなければならないこと。

2 指定居宅サービスの事業を行う者が満たすべき基準を満たさない場合には、指定居宅サービスの指定は受けられず、また、運営開始後、基準に違反することが明らかになった場合は、都道府県知事の指導等の対象となり、この指導等に従わない場合には、当該指定を取り消すことができるものであること。

3 運営に関する基準に従って事業の運営をすることができなくなったことを理由として指定が取り消された直後に再度当該事業者から当該事業所について指定の申請がなされた場合には、当該事業者が運営に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が確認されない限り指定を行わないものとすること。

第二 総論

1 事業者指定の単位について

事業者の指定は、原則としてサービス提供の拠点ごとに行うものとするが、例外的に、待機や道具の保管、着替え等を行う出張所等であって、次の要件を満たすものについては、一体的なサービス提供の単位として「事業所」に含めて指定することができる取扱いとする。

① 利用申込みに係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。

② 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。必要な場合に随時、主たる事業所や他の出張所等との間で相互支援が行える体制(例えば、当該出張所等の従業者が急病等でサービスの提供ができなくなった場合に、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。

③ 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。

④ 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められること。

⑤ 人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。

2 用語の定義

基準第二条において、一定の用語についてその定義を明らかにしているところであるが、以下は、同条に定義が置かれている用語について、その意味をより明確なものとするとともに、基準中に用いられている用語であって、定義規定が置かれていないものの意味を明らかにするものである。

(1) 「常勤換算方法」

当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(三二時間を下回る場合は三二時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該事業所が訪問介護と訪問看護の指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護婦等を兼務する場合、訪問介護員等の勤務延時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなるものであること。

(2) 「勤務延時間数」

勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者一人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。

(3) 「常勤」

当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(三二時間を下回る場合は三二時間を基本とする。)に達していることをいうものである。同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、一の事業者によって行われる指定訪問介護事業所と指定居宅介護支援事業所が併設されている場合、指定訪問介護事業所の管理者と指定居宅介護支援事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。

(4) 「専ら従事する」「専ら提供に当たる」

原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従事者の当該事業所における勤務時間「指定通所介護及び指定通所リハビリテーションについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。ただし、通所介護及び通所リハビリテーションについては、あらかじめ計画された勤務表に従って、サービス提供時間帯の途中で同一職種の従業者と交代する場合には、それぞれのサービス提供時間を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをもって足りるものである。

(5) 「前年度の平均値」

① 基準第一一一条第四項(介護老人保健施設である指定通所リハビリテーション事業所における医師、理学療法士若しくは作業療法士又は支援相談員の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第一二一条第三項(指定短期入所生活介護に係る生活相談員、介護職員又は看護職員の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)、第一四二条第二項(老人性痴呆疾患療養病棟を有する病院であって介護療養型医療施設でない指定短期入所療養介護事業所における看護職員又は介護職員の員数を算定する場合の入院患者の数の算定方法)、第一五七条第二項(指定痴呆対応型共同生活介護に係る共同生活住居における介護従業者の員数を算定する場合の利用者の数の算定方法)及び第一七五条第二項(指定特定施設における生活相談員、看護職員若しくは介護職員の人員並びに計画作成担当者の人員の標準を算定する場合の利用者の数の算定方法)における「前年度の平均値」は、当該年度の前年度(毎年四月一日に始まり翌年三月三一日をもって終わる年度とする。以下同じ。)の平均を用いる。この場合、利用者数等の平均は、前年度の全利用者等の延数を当該前年度の日数で除して得た数とする。この平均利用者数等の算定に当たっては、小数点第二位以下を切り上げるものとする。

② 新たに事業を開始し、若しくは再開し、又は増床した事業者又は施設においては、新設又は増床分のベッドに関しては、前年度において一年未満の実績しかない場合(前年度の実績が全くない場合を含む。)の利用者数等は、新設又は増床の時点から六月未満の間は、便宜上、ベッド数の九〇%を利用者数等とし、新設又は増床の時点から六月以上一年未満の間は、直近の六月における全利用者等の延数を六月間の日数で除して得た数とし、新設又は増床の時点から一年以上経過している場合は、直近一年間における全利用者等の延数を一年間の日数で除して得た数とする。また、減床の場合には、減床後の実績が三月以上あるときは、減床後の利用者数等の延数を延日数で除して得た数とする。ただし、短期入所生活介護及び特定施設入所者生活介護については、これらにより難い合理的な理由がある場合には、他の適切な方法により利用者数を推定するものとする。

第三 訪問介護に関する基準

1 人員に関する基準

(1) 訪問介護員等の員数(基準第五条第一項)

① 指定訪問介護事業所における訪問介護員等の員数については、常勤換算方法で二・五人以上と定められたが、これについては、職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものであり、各地域におけるサービス利用の状況や利用者数及び指定訪問介護の事業の業務量を考慮し、適切な員数の職員を確保するものとする。

② 勤務日及び勤務時間が不定期な訪問介護員等(以下「登録訪問介護員等」という。)についての勤務延時間数の算定については、次のとおりの取扱いとする。

イ 登録訪問介護員等によるサービス提供の実績がある事業所については、登録訪問介護員等一人当たりの勤務時間数は、当該事業所の登録訪問介護員等の前年度の週当たりの平均稼働時間(サービス提供時間及び移動時間をいう。)とすること。

ロ 登録訪問介護員等によるサービス提供の実績がない事業所又は極めて短期の実績しかない等のためイの方法によって勤務延時間数の算定を行うことが適当でないと認められる事業所については、当該登録訪問介護員等が確実に稼働できるものとして勤務表に明記されている時間のみを勤務延時間数に算入すること。なお、この場合においても、勤務表上の勤務時間数は、サービス提供の実績に即したものでなければならないため、勤務表上の勤務時間と実態が乖離していると認められる場合には、勤務表上の勤務時間の適正化の指導の対象となるものであること。

③ 出張所等があるときは、常勤換算を行う際の事業所の訪問介護員等の勤務延時間数には、出張所等における勤務延時間数も含めるものとする。

(2) サービス提供責任者(基準第五条第二項)

事業の規模に応じて一人以上の者をサービス提供責任者としなければならないこととされたが、その具体的取扱は次のとおりとする。

① 管理者がサービス提供責任者を兼務することは差し支えないこと。

② サービス提供責任者の配置の基準は、以下のいずれかに該当する員数を置くこととする。

イ 当該事業所の月間の延べサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く。)が概ね四五〇時間又はその端数を増すごとに一人以上

ロ 当該事業所の訪問介護員等の数が一〇人又はその端数を増すごとに一人以上

従って、例えば、常勤割合が比較的高いなど、訪問介護員等一人当たりのサービス提供時間が多い場合は、月間の延べサービス提供時間が四五〇時間を超えていても、訪問介護員等の人数が一〇人以下であれば、ロの基準によりサービス提供責任者は一人で足りることとなる(具体的には、例えば、常勤職員四人で、そのサービス提供時間が合わせて三二〇時間、非常勤職員が六人で、そのサービス提供時間が合わせて二〇〇時間である場合、当該事業所の延べサービス提供時間は五二〇時間となるが、ロの基準により、配置すべきサービス提供責任者は一人で足りることとなる)。

③ サービス提供責任者については、次のいずれかに該当する常勤の職員から選任するものとすること。

イ 介護福祉士

ロ 訪問介護員に関する省令(平成一二年厚生省令第二三号)第一条に規定する一級課程の研修を修了した者

ハ 同条に規定する二級課程の研修を修了した者であって、三年以上介護等の業務に従事したもの

④ ③のハに掲げる「二級課程の研修を修了した者であって、三年以上介護等の業務に従事したもの」とは、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和六二年法律第三〇号)第四〇条第二項第一号に規定する「三年以上介護等の業務に従事した者」と同様とし、その具体的取扱いについては、「指定施設における業務の範囲等及び介護福祉士試験の受験資格に係る介護等の業務の範囲等について」(昭和六三年二月一二日社庶第二九号厚生省社会局長、児童家庭局長連名通知)の別添2「介護福祉士試験の受験資格の認定に係る介護等の業務の範囲等」を参考とされたい。

なお、三年間の実務経験の要件が達成された時点と二級課程の研修修了時点との前後関係は問わないものであること。

また、介護等の業務に従事した期間には、ボランティアとして介護等を経験した期間は原則として含まれないものであるが、特定非営利活動法(平成一〇年法律第一号)に基づき設立された特定非営利活動法人が法第七〇条第一項の規定に基づき訪問介護に係る指定を受けている又は受けることが確実に見込まれる場合であって、当該法人が指定を受けて行うことを予定している訪問介護と、それ以前に行ってきた事業とに連続性が認められるものについては、例外的に、当該法人及び法人格を付与される前の当該団体に所属して当該事業を担当した経験を有する者の経験を、当該者の三年の実務経験に算入して差し支えないものとする。

なお、この場合において、介護福祉士国家試験の受験資格としても実務経験の算入を認められたものと解してはならないこと。

⑤ 二級課程の研修を修了した者であって、三年以上介護等の業務に従事したものをサービス提供責任者とする取扱いは暫定的なものであることから、指定訪問介護事業者は、できる限り早期に、これに該当するサービス提供責任者に一級課程の研修を受講させ、又は介護福祉士の資格を取得させるよう努めなければならないこと。

(3) 管理者(基準第六条)

指定訪問介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。なお、管理者は、訪問介護員等である必要はないものである。

① 当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等としての職務に従事する場合

② 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、施設における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があっても差し支えない。)

2 設備に関する基準(基準第七条)

(1) 指定訪問介護事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定訪問介護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。

(2) 事務室又は区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。

(3) 指定訪問介護事業者は、指定訪問介護に必要な設備及び備品等を確保するものとする。特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮すること。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問介護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。

なお、事務室・区画、又は設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。

3 運営に関する基準

(1) 内容及び手続の説明及び同意

基準第八条は、指定訪問介護事業者は、利用者に対し適切な指定訪問介護を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、当該指定訪問介護事業所の運営規程の概要、訪問介護員等の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定訪問介護の提供を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものである。なお、当該同意については、利用者及び指定訪問介護事業者双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。

(2) 提供拒否の禁止

基準第九条は、指定訪問介護事業者は、原則として、利用申込に対しては応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、①当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合、②利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合、その他利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難な場合である。

(3) サービス提供困難時の対応

指定訪問介護事業者は、基準第九条の正当な理由により、利用申込者に対し自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難であると認めた場合には、基準第十条の規定により、当該利用申込者に係る居宅介護支援事業者への連絡、適当な他の指定訪問介護事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないものである。

(4) 受給資格等の確認

① 基準第一一条第一項は、指定訪問介護の利用に係る費用につき保険給付を受けることができるのは、要介護認定又は要支援認定を受けている被保険者に限られるものであることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供の開始に際し、利用者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定等の有無及び要介護認定等の有効期間を確かめなければならないこととしたものである。

② 同条第二項は、利用者の被保険者証に、指定居宅サービスの適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項に係る認定審査会意見が記載されているときは、指定訪問介護事業者は、これに配慮して指定訪問介護を提供するように努めるべきことを規定したものである。

(5) 要介護認定等の申請に係る援助

① 基準第一二条第一項は、要介護認定等の申請がなされていれば、要介護認定等の効力が申請時に遡ることにより、指定訪問介護の利用に係る費用が保険給付の対象となりうることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、利用申込者が要介護認定等を受けていないことを確認した場合には、要介護認定等の申請が既に行われているか否かを確認し、申請が行われていない場合は、当該利用申込者の意向を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

② 同条第二項は、要介護認定等の有効期間が原則として六か月ごとに終了し、継続して保険給付を受けるためには要介護更新認定又は要支援更新認定を受ける必要があること及び当該認定が申請の日から三〇日以内に行われることとされていることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、居宅介護支援(これに相当するサービスを含む。)が利用者に対して行われていない等の場合であって必要と認めるときは、要介護認定等の更新の申請が、遅くとも当該利用者が受けている要介護認定等の有効期間が終了する三〇日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

(6) 法定代理受領サービスの提供を受けるための援助

基準第一五条は、介護保険法施行規則(平成一一年厚生省令第三六号。以下「施行規則」という。)第六四条第一号イからロまでのいずれかに該当する利用者は、指定訪問介護の提供を法定代理受領サービスとして受けることができることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、施行規則第六四条第一号イからロまでのいずれにも該当しない利用申込者又はその家族に対し、指定訪問介護の提供を法定代理受領サービスとして受けるための要件の説明、居宅介護支援事業者に関する情報提供その他の法定代理受領サービスを行うために必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

(7) 居宅サービス計画等の変更の援助

基準第一七条は、指定訪問介護を法定代理受領サービスとして提供するためには当該指定訪問介護が居宅サービス計画に位置付けられている必要があることを踏まえ、指定訪問介護事業者は、利用者が居宅サービス計画の変更を希望する場合(利用者の状態の変化等により追加的なサービスが必要となり、当該サービスを法定代理受領サービスとして行う等のために居宅サービス計画の変更が必要となった場合で、指定訪問介護事業者からの当該変更の必要性の説明に対し利用者が同意する場合を含む。)は、当該利用者に係る居宅介護支援事業者への連絡、サービスを追加する場合に当該サービスを法定代理受領サービスとして利用する場合には支給限度額の範囲内で居宅サービス計画を変更する必要がある旨の説明その他の必要な援助を行わなければならないこととしたものである。

(8) 身分を証する書類の携行

基準第一八条は、利用者が安心して指定訪問介護の提供を受けられるよう、指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないこととしたものである。この証書等には、当該指定訪問介護事業所の名称、当該訪問介護員等の氏名を記載するものとし、当該訪問介護員等の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。

(9) サービスの提供の記録

基準第一九条は、利用者及びサービス事業者が、その時点での支給限度額の残額やサービスの利用状況を把握できるようにするために、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護を提供した際には、当該指定訪問介護の提供日、内容(例えば身体介護と家事援助の別)、保険給付の額その他必要な事項を、利用者の居宅サービス計画の書面又はサービス利用票等に記載しなければならないこととしたものである。

(10) 利用料等の受領

① 基準第二〇条第一項は、指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスとして提供される指定訪問介護についての利用者負担として、居宅介護サービス費用基準額又は居宅支援サービス費用基準額の一割(法第五〇条若しくは第六〇条又は第六九条第三項の規定の適用により保険給付の率が九割でない場合については、それに応じた割合)の支払を受けなければならないことを規定したものである。

② 基準第二〇条第二項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定訪問介護を提供した際に、その利用者から支払を受ける利用料の額と、法定代理受領サービスである指定訪問介護に係る費用の額の間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けてはならないこととしたものである。

なお、そもそも介護保険給付の対象となる指定訪問介護のサービスと明確に区分されるサービスについては、次のような方法により別の料金設定をして差し支えない。

イ 利用者に、当該事業が指定訪問介護の事業とは別事業であり、当該サービスが介護保険給付の対象とならないサービスであることを説明し、理解を得ること。

ロ 当該事業の目的、運営方針、利用料等が、指定訪問介護事業所の運営規程とは別に定められていること。

ハ 会計が指定訪問介護の事業の会計と区分されていること。

③ 同条第三項は、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護の提供に関して、前二項の利用料のほかに、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問介護を行う場合の交通費(移動に要する実費)の支払を利用者から受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。

④ 同条第四項は、指定訪問介護事業者は、前項の交通費の支払を受けるに当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対してその額等に関して説明を行い、利用者の同意を得なければならないこととしたものである。

(11) 保険給付の請求のための証明書の交付

基準第二一条は、利用者が市町村に対する保険給付の請求を容易に行えるよう、指定訪問介護事業者は、法定代理受領サービスでない指定訪問介護に係る利用料の支払を受けた場合は、提供した指定訪問介護の内容、費用の額その他利用者が保険給付を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に対して交付しなければならないこととしたものである。

(12) 指定訪問介護の基本的取扱方針及び具体的取扱方針

基準第二二条及び第二三条にいう指定訪問介護の取扱方針について、特に留意すべきことは、次のとおりである。

① 提供された介護サービスについては、目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うとともに、訪問介護計画の修正を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。

② 指定訪問介護の提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであること。

(13) 訪問介護計画の作成(基準第二四条)

① サービス提供責任者は、訪問介護計画の目標や内容等については、利用者及びその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。

② 訪問介護計画書の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、訪問介護の提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、援助の方向性や目標を明確にし、担当する訪問介護員等の氏名、訪問介護員等が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、訪問介護計画書の様式については、各事業所毎に定めるもので差し支えない。

③ サービス提供責任者は、他の訪問介護員等の行うサービスが訪問介護計画に沿って実施されているかについて把握するとともに、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。

(14) 利用者に関する市町村への通知

基準第二六条は、偽りその他不正な行為によって保険給付を受けた者及び自己の故意の犯罪行為又は重大な過失等により、要介護状態等又はその原因となった事故を生じさせるなどした者については、市町村が、法第二二条第一項に基づく既に支払った保険給付の徴収又は法第六四条に基づく保険給付の制限を行うことができることに鑑み、指定訪問介護事業者が、その利用者に関し、保険給付の適正化の観点から市町村に通知しなければならない事由を列記したものである。

(15) 緊急時等の対応

基準第二七条は、訪問介護員等が現に指定訪問介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治の医師(以下「主治医」という。)への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。

(16) 管理者及びサービス提供責任者の責務

基準第二八条は、指定訪問介護事業所の管理者とサービス提供責任者の役割分担について規定したものであり、管理者は、従業者及び業務の一元的管理並びに従業者に基準第二章第四節(運営に関する基準)を遵守させるための指揮命令を、サービス提供責任者は、指定訪問介護の利用の申込みに係る調整、訪問介護員等に対する技術指導等のサービスの内容の管理を行うものである。

(17) 運営規程

基準第二九条は、指定訪問介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定訪問介護の提供を確保するため、同条第一号から第七号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定訪問介護事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。なお、同一事業者が同一敷地内にある事業所において、複数のサービス種類について事業者指定を受け、それらの事業を一体的に行う場合においては、運営規程を一体的に作成することも差し支えない(この点については他のサービス種類についても同様とする。)。

① 指定訪問介護の内容(第四号)

「指定訪問介護の内容」とは、身体介護、家事援助等のサービスの内容を指すものであること。

② 利用料その他の費用の額(第四号)

「利用料」としては、法定代理受領サービスである指定訪問介護に係る利用料(一割負担)及び法定代理受領サービスでない指定訪問介護の利用料を、「その他の費用の額」としては、基準第二〇条第三項により徴収が認められている交通費の額及び必要に応じてその他のサービスに係る費用の額を規定するものであること(以下、他のサービス種類についても同趣旨。)。

③ 通常の事業の実施地域(第五号)

通常の事業の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の事業の実施地域は、利用申込に係る調整等の観点からの目安であり、当該地域を越えてサービスが行われることを妨げるものではないものであること(以下、基準第五三条第五号、第七三条第五号、第八二条第五号、第一〇〇条第六号、第一一七条第六号及び第二〇〇条第五号についても同趣旨。)。

(18) 介護等の総合的な提供

基準第二九条の二は、基準第四条の基本方針等を踏まえ、指定訪問介護の事業運営に当たっては、多種多様な訪問介護サービスの提供を行うべき旨を明確化したものである。指定訪問介護事業は、生活全般にわたる援助を行うものであることから、指定訪問介護事業者は、入浴、排せつ、食事等の介護(身体介護)又は調理、洗濯、掃除等の家事(家事援助)を総合的に提供しなければならず、また、指定訪問介護事業所により提供しているサービスの内容が、身体介護のうち特定のサービス行為に偏ったり、家事援助のうち特定のサービス行為に偏ったりしてはならないこととしたものである。また、サービス提供の実績から特定のサービス行為に偏っていることが明らかな場合に限らず、事業運営の方針、広告、従業者の勤務体制、当該事業者の行う他の事業との関係等の事業運営全般から判断して、特定のサービス行為に偏ることが明らかであれば、本条に抵触することとなる。

なお、「偏っている」とは、特定のサービス行為のみを専ら行うことはもちろん、特定のサービス行為に係るサービス提供時間が月単位等一定期間中のサービス提供時間の大半を占めていれば、これに該当するものである。

また、基準第二九条の二は、基準該当訪問介護事業者には適用されない。

(19) 勤務体制の確保等

基準第三〇条は、利用者に対する適切な指定訪問介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。

① 指定訪問介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、訪問介護員等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、サービス提供責任者である旨等を明確にすること。

② 同条第二項は、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等によって指定訪問介護を提供するべきことを規定したものであるが、指定訪問介護事業所の訪問介護員等とは、雇用契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある訪問介護員等を指すものであること。

③ 同条第三項は、当該指定訪問介護事業所の従業者たる訪問介護員等の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。特に、訪問介護員のうち、三級課程の研修を修了した者について、身体介護を担当することは、暫定的な措置であることにかんがみ、できる限り早期に二級課程の研修を受講させ、又は介護福祉士の資格を取得させるよう努めなければならないこと。

(20) 衛生管理等

基準第三一条は、指定訪問介護事業者は、訪問介護員等の清潔の保持及び健康状態の管理並びに指定訪問介護事業所の設備及び備品等の衛生的な管理に努めるべきことを規定したものである。特に、指定訪問介護事業者は、訪問介護員等が感染源となることを予防し、また訪問介護員等を感染の危険から守るため、使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じる必要がある。

(21) 秘密保持等

① 基準第三三条第一項は、指定訪問介護事業所の訪問介護員等その他の従業者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものである。

② 同条第二項は、指定訪問介護事業者に対して、過去に当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等その他の従業者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、指定訪問介護事業者は、当該指定訪問介護事業所の訪問介護員等その他の従業者が、従業者でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めをおくなどの措置を講ずべきこととするものである。

③ 同条第三項は、訪問介護員等がサービス担当者会議等において、課題分析情報等を通じて利用者の有する問題点や解決すべき課題等の個人情報を、介護支援専門員や他のサービスの担当者と共有するためには、指定訪問介護事業者は、あらかじめ、文書により利用者又はその家族から同意を得る必要があることを規定したものであるが、この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。

(22) 居宅介護支援事業者に対する利益供与の禁止

基準第三五条は、居宅介護支援の公正中立性を確保するために、指定訪問介護事業者は、居宅介護支援事業者又はその従業者に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならないこととしたものである。

(23) 苦情処理

① 基準第三六条第一項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等当該事業所における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、利用申込者にサービスの内容を説明する文書に苦情に対する措置の概要についても併せて記載するとともに、事業所に掲示すること等である。

② 同条第二項は、介護保険法上、苦情処理に関する業務を行うことが位置付けられている国民健康保険団体連合会のみならず、住民に最も身近な行政庁であり、かつ、保険者である市町村が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村についても国民健康保険団体連合会と同様に、指定訪問介護事業者に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを運営基準上、明確にしたものである。

(24) 事故発生時の対応

基準第三七条は、利用者が安心して指定訪問介護の提供を受けられるよう、指定訪問介護事業者は、利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合は、市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る居宅介護支援事業者等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、利用者に対する指定訪問介護の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。

このほか、以下の点に留意するものとする。

① 利用者に対する指定訪問介護の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定訪問介護事業者が定めておくことが望ましいこと。

② 指定訪問介護事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくか、又は賠償資力を有することが望ましいこと。

③ 指定訪問介護事業者は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。

(25) 会計の区分

基準第三八条は、指定訪問介護事業者は、指定訪問介護事業所ごとに経理を区分するとともに、指定訪問介護の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものであるが、具体的な会計処理の方法等については、別に通知するところによるものであること。

(26) 記録の整備

基準第三九条第二項により、指定訪問介護事業者は、少なくとも次に掲げる記録をその完結の日から二年間備えておかなければならないこととしたものであること。

① 指定訪問介護に関する記録

イ 訪問介護計画書

ロ 提供した個々の指定訪問介護に係る記録

② 基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

4 基準該当訪問介護に関する基準

(1) 訪問介護員等の員数(基準第四〇条)

基準該当訪問介護事業所における訪問介護員等の員数については、三人以上と定められたが、これについては、訪問介護員等の勤務時間の多寡にかかわらず員数として三人以上確保すれば足りるものである。ただし、各地域におけるサービス利用の状況や利用者数等を考慮し、適切な員数の職員を確保するものとする。その他については、指定訪問介護事業所の場合と同趣旨であるため第三の1の(1)及び(2)に準じて取り扱うべきものである。

なお、サービス提供責任者については、常勤である必要はないが、指定訪問介護における配置に準じて配置することが望ましい。

(2) 管理者(基準第四一条)

指定訪問介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第三の1の(3)を参照されたい。ただし、管理者は常勤である必要はないことに留意するものとする。

(3) 設備及び備品等

基準第四二条は、基準該当訪問介護事業所の設備及び備品等についての規定であるが、指定訪問介護事業所の場合と基本的に同趣旨であるため、第三の2を参照されたい。

(4) 同居家族に対するサービス提供の制限

基準第四二条の二は、同条第一項各号に定める場合に限り、同居家族である利用者に対するサービス提供を例外的に認めることを定めたものである。

特に、同条第一項第一号にあるとおり、離島、山間のへき地その他の地域であって、指定訪問介護による訪問介護だけでは必要な訪問介護の見込量を確保することが困難であると市町村が認めた地域において認められるものであり、市町村は、その運用に際して次に掲げる点に留意するとともに、当該地域における指定訪問介護の確保に努めることとする。

① 市町村は、同居家族に対する訪問介護を行おうとする訪問介護員等が所属する訪問介護事業所から、居宅サービス計画の写し等、同居家族に対する訪問介護が認められるための要件に満たされていることを確認できる書類を届け出させ、これに基づき基準該当居宅サービスとしての実施を認めるものとする。

② 市町村は、いったん認めた同居家族に対する訪問介護について、事後的にその要件を満たしていないと認めるときは、保険給付を行わず、又は既に行った保険給付の返還を求めるものとする。

③ 市町村は、基準第四二条の二第一項各号に規定する要件に反した訪問介護が行われている場合の是正の指導のほか、当該同居家族に対して行われている居宅サービスとして、当該訪問介護員等による訪問介護のほか、他の居宅サービスが適切に組み合わされているかどうか等を点検し、状況に応じて必要な助言を当該同居家族及び基準該当訪問介護事業者に対して行うものとする。

④ 基準第四二条の二第一項第五号に規定する、訪問介護員等が同居家族の訪問介護に従事する時間の合計時間が当該訪問介護員等が訪問介護に従事する時間の合計時間のおおむね二分の一を超えないという要件は、同居家族の訪問介護が「身内の世話」ではなく、「訪問介護事業所の従業者による介護」として行われることを担保する趣旨で設けられたものであるが、こうした趣旨を踏まえつつ、当該市町村の訪問介護の基盤整備の状況など地域の実情に応じて、当該要件をある程度の幅をもって運用することは差し支えないものとする。

(5) 運営に関する基準

基準第四三条の規定により、基準第一五条、第二〇条第一項、第二五条、第二九条の二及び第三六条第三項を除き、指定訪問介護の運営に関する基準が基準該当訪問介護に準用されるものであるため、第三の3の(1)から(5)まで及び(7)から(26)まで((10)の①及び(18)を除く。)を参照されたい。この場合において、準用される基準第二〇条第二項の規定は、基準該当訪問介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(一〇〇分の九〇を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による訪問介護が複数の市町村において基準該当訪問介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。

第四 訪問入浴介護に関する基準

1 人員に関する基準

(1) 従業者の員数(基準第四五条)

指定訪問入浴介護事業所における訪問入浴介護従業者の員数については、最低限必要の数を定めたものであり、訪問入浴介護の提供量に応じて、基準第五十条第四号の規定に基づく体制に必要な員数を確保するものとする。

(2) 管理者(基準第四六条)

訪問介護の場合と同趣旨であるため、第三の1の(3)を参照されたい。

2 設備に関する基準(基準第四七条)

(1) 指定訪問入浴介護事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りをする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定訪問入浴介護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。

(2) 専用の事務室又は区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペース及び浴槽等の備品・設備等を保管するために必要なスペースを確保する必要がある。

(3) 専用の事務室又は区画については、指定訪問入浴介護に必要な浴槽(身体の不自由な者が入浴するのに適したもの)、車両(浴槽を運搬し又は入浴設備を備えたもの)等の設備及び備品等を確保する必要がある。特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮する必要がある。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問入浴介護の事業及び当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。

3 運営に関する基準

(1) 利用料の受領

① 基準第四八条第一項、第二項及び第四項は、指定訪問介護に係る第二〇条第一項、第二項及び第四項と同趣旨であるため、第三の3の(10)の①、②及び④を参照されたい。

② 基準第四八条第三項は、指定訪問入浴介護事業者は、指定訪問入浴介護の提供に関して、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定訪問入浴介護を行う場合の交通費、及び利用者の選定により提供される特別な浴槽水等に係る費用については、前二項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。

(2) 指定訪問入浴介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針

指定訪問入浴介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針については、基準第四九条及び五〇条の定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。

① 指定訪問入浴介護の提供に当たっては、利用者の心身の状況により、訪問時に全身入浴が困難な場合は、利用者の希望により、「清しき」又は「部分浴(洗髪、陰部、足部等)」を実施するなど、適切なサービス提供に努めること。

② 基準第五〇条第二号に定める「サービスの提供方法等」とは、入浴方法等の内容、作業手順、入浴後の留意点などを含むものであること。

③ 基準第五〇条第四号に定める「サービスの提供の責任者」については、入浴介護に関する知識や技術を有した者であって、衛生管理や入浴サービスの提供に当たって他の従業者に対し作業手順など適切な指導を行うとともに、利用者が安心してサービス提供を受けられるように配慮すること。また、同号に定める「主治の医師の意見の確認」については、利用者又は利用者の承諾を得て当該事業者が、利用者の主治医に確認することとし、併せて、次に確認すべき時期についても確認しておくこと。

④ 基準第五〇条第五号に定める「サービスの提供に用いる設備、器具その他の用品」の安全衛生については、特に次の点について留意すること。

イ 浴槽など利用者の身体に直に接触する設備・器具類は、利用者一人ごとに消毒した清潔なものを使用し、使用後に洗浄及び消毒を行うこと。また、保管に当たっても、清潔保持に留意すること。

ロ 皮膚に直に接するタオル等については、利用者一人ごとに取り替えるか個人専用のものを使用する等、安全清潔なものを使用すること。

ハ 消毒方法等についてマニュアルを作成するなど、当該従業者に周知させること。

(3) 緊急時等の対応

基準第五一条は、訪問入浴介護従業者が現に指定訪問入浴介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治医又はあらかじめ当該指定訪問入浴介護事業者が定めた協力医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。協力医療機関については、次の点に留意するものとする。

① 協力医療機関は、事業の通常の実施地域内にあることが望ましいものであること。

② 緊急時において円滑な協力を得るため、当該協力医療機関との間であらかじめ必要な事項を取り決めておくこと。

(4) 管理者の責務

基準第五二条は、指定訪問入浴介護事業所の管理者の責務を、指定訪問入浴介護事業所の従業者の管理及び指定訪問入浴介護の利用の申込みに係る調整、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、当該指定訪問入浴介護事業所の従業者に基準の第三章第四節の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。

(5) 運営規程

基準第五三条は、指定訪問入浴介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定訪問入浴介護の提供を確保するため、同条第一号から第八号までに掲げる事項を内容とする規定を定めることを指定訪問入浴介護事業所ごとに義務づけたものであるが、基準第五三条第六号の「サービスの利用に当たっての留意事項」とは、利用者が指定訪問入浴介護の提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(入浴前の食事の摂取に関すること等)を指すものであることに留意するものとする。

(6) 準用

基準第五四条の規定により、基準第八条から第一九条まで、第二一条、第二六条及び第三〇条から第三九条までの規定は、指定訪問入浴介護の事業について準用されるため、第三の3の(1)から(9)まで、(11)、(14)及び(18)から(25)までを参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。

① 基準第三一条中「設備及び備品等」とあるのは「指定訪問入浴介護に用いる浴槽その他の設備及び備品等」と読み替えられること。

② 準用される基準第三九条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。

イ 提供した個々の指定訪問入浴介護に係る記録

ロ 基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

4 基準該当訪問入浴介護に関する基準

(1) 従業者の員数(基準第五五条)

基準該当訪問入浴介護事業所の訪問入浴介護従業者の員数については、最低限必要な数を定めたものであり、訪問入浴介護の提供量に応じて、第五八条により準用する基準第五〇条第四号の規定に基づく体制に必要な員数を確保するものとする。

(2) 管理者(基準第五六条)

指定訪問入浴介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第四の1の(2)を参照されたい。ただし、管理者は常勤である必要はないことに留意するものとする。

(3) 設備及び備品等(基準第五七条)

指定訪問入浴介護の場合と基本的に同趣旨であるため、第四の2を参照されたい。

(4) 運営に関する基準

基準第五八条の規定により、基準第八条から第一四条まで、第一六条から第一九条まで、第二一条、第二六条、第三〇条から第三五条まで、第三六条第一項及び第二項、第三七条から第三九条まで、第四四条並びに第四節(第四八条第一項及び第五四条を除く。)の規定は、基準該当訪問入浴介護の事業について準用されるものであるため、第三の3の(1)から(5)まで、(7)から(9)まで、(11)、(14)及び(18)から(25)まで並びに第四の3を参照されたい。この場合において、準用される基準第四八条第二項の規定は、基準該当訪問入浴介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(一〇〇分の九〇を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による訪問入浴介護が複数の市町村において基準該当訪問入浴介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。

第五 訪問看護に関する基準

1 人員に関する基準

(1) 看護婦等の員数(基準第六〇条)

① 指定訪問看護ステーションの場合(基準第六〇条第一項第一号)

イ 指定訪問看護ステーションにおける保健婦、保健士、看護婦、看護士、准看護婦又は准看護士(以下「看護職員」という。)の員数については、常勤換算方法で二・五人以上と定められたが、これについては、職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定められたものであり、各地域におけるサービス利用の状況や利用者数及び指定訪問看護の事業の業務量を考慮し、適切な員数の人員を確保するものとする。

ロ 勤務日及び勤務時間が不定期な看護婦等についての勤務延時間数の算定については、指定訪問介護の場合と同様である。

ハ 理学療法士及び作業療法士については、実情に応じた適当数を配置するものとする(配置しないことも可能である。)。

ニ 出張所等があるときは、常勤換算を行う際の事業所の看護職員の勤務延時間数とは、出張所等における勤務延時間数も含めるものとする。

② 指定訪問看護を担当する医療機関の場合(基準第六〇条第一項第二号)

指定訪問看護事業所ごとに、指定訪問看護の提供に当たる看護職員を適当数置かなければならない。

(2) 指定訪問看護ステーションの管理者(基準第六一条)

① 指定訪問看護ステーションの管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該指定訪問看護ステーションの管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該指定訪問看護ステーションの管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。

イ 当該指定訪問看護ステーションの看護職員としての職務に従事する場合

ロ 当該指定訪問看護ステーションが健康保険法による指定を受けた訪問看護ステーションである場合に、当該訪問看護ステーションの管理者又は看護職員としての職務に従事する場合

ハ 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該指定訪問看護ステーションの管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、併設される入所施設における看護業務(管理業務を含む。)との兼務は管理者の業務に支障があると考えられるが、施設における勤務時間が極めて限られている職員の場合には、例外的に認められる場合もありうる。)

② 指定訪問看護ステーションの管理者は、管理者としてふさわしいと認められる保健婦、保健士、看護婦又は看護士であって、保健婦助産婦看護婦法(昭和二三年法律第二〇三号)第一四条第三項の規定により保健婦、保健士、看護婦又は看護士の業務の停止を命ぜられ、業務停止の期間終了後二年を経過しない者に該当しないものである。

③ 管理者の長期間の傷病又は出張等の緊急やむを得ない理由がある場合には、老人の福祉の向上に関し相当の知識、経験及び熱意を有し、過去の経歴等を勘案して指定訪問看護ステーションの管理者としてふさわしいと都道府県知事に認められた者であれば、管理者として保健婦、保健士、看護婦及び看護士以外の者をあてることができるものとする。ただし、この場合においても、可能な限り速やかに常勤の保健婦、保健士、看護婦及び看護士の管理者が確保されるように努めなければならないものである。

④ 指定訪問看護ステーションの管理者は、医療機関における看護、訪問看護又は老人保健法第一九条の訪問指導の業務に従事した経験のある者である必要がある。さらに、管理者としての資質を確保するために関連機関が提供する研修等を受講していることが望ましい。

2 設備に関する基準

(1) 指定訪問看護ステーションの場合(基準第六二条第一項)

① 指定訪問看護ステーションには、運営に必要な面積を有する専用の事務室を設ける必要がある。ただし、当該指定訪問看護ステーションが健康保険法による指定を受けた訪問看護ステーションである場合には、両者を共用することは差し支えない。また、当該指定訪問看護ステーションが、他の事業の事業所を兼ねる場合には、必要な広さの専用の区画を有することで差し支えないものとする。なお、この場合に、区分されていなくても業務に支障がないときは、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものである。

② 事務室については、利用申込みの受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。

③ 指定訪問看護に必要な設備及び備品等を確保する必要がある。特に、感染症予防に必要な設備等に配慮する必要がある。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定訪問看護の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。

(2) 指定訪問看護を担当する医療機関の場合(基準第六二条第二項)

① 指定訪問看護を担当する病院又は診療所には、指定訪問看護の事業を行うために必要な専用の区画を設ける必要がある。なお、業務に支障がないときは、指定訪問看護の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものである。

② 指定訪問看護の事業に必要な設備及び備品等を確保する必要がある。ただし、設備及び備品等については、当該医療機関における診療用に備え付けられたものを使用することができるものである。

3 運営に関する基準

(1) サービス提供困難時の対応

指定訪問看護事業者が、指定訪問看護の提供を拒否する正当な理由としては、第三の3の(2)に示した理由のほか、利用申込者の病状等により、自ら適切な訪問看護の提供が困難と判断した場合が該当するが、これらの場合には、基準第六三条の規定により、指定訪問看護事業者は、主治医及び居宅介護支援事業者への連絡を行い、適当な他の指定訪問看護事業者等を紹介する等の必要な措置を速やかに講じなければならない。

(2) 健康手帳への記載

基準第六五条は、提供した指定訪問看護に関して、次のとおりその記録を利用者の健康手帳の医療の記録に係るページに記載しなければならないことを定めたものである。なお、健康手帳の医療に係るページの様式については、「健康手帳の医療の受給資格を証するページ及び医療の記録に係るページの様式」(昭和五七年一一月厚生省告示第一九二号)により定められているものである。

① 「医療機関等名称・所在地・電話」の欄には、指定訪問看護事業所の名称、所在地及び電話番号を記載すること。

② 「外来・入退院年月日」の欄には、利用開始及び終了年月日を記載すること。

(3) 利用料等の受領

① 基準第六六条第一項、第三項及び第四項については、第三の3の(10)の①、③及び④を参照されたいこと。

② 基準第六六条第二項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定訪問看護を提供した際にその利用者から支払を受ける利用料の額及び法定代理受領サービスである指定訪問看護に係る費用の額と、医療保険給付又は老人訪問看護療養費の対象となる健康保険法及び老人保健法上の指定訪問看護の費用の額の間に不合理な差異を設けてはならないこととしたものであること。

なお、そもそも介護保険給付、医療保険給付又は老人訪問看護療養費の給付対象となる訪問看護と明確に区分されるサービスについては、第三の3の(10)の②のなお書きを参照されたいこと。

(4) 指定訪問看護の基本取扱方針及び具体的取扱方針

基準第六七条及び第六八条にいう指定訪問看護の取扱方針において、特に留意すべきことは、次のとおりであること。

① 指定訪問看護は、利用者の心身の状態を踏まえ、妥当適切に行うとともにその生活の質の確保を図るよう、主治医との密接な連携のもとに訪問看護計画に沿って行うこととしたものであること。

② 指定訪問看護の提供については、目標達成の度合いやその効果等について評価を行うとともに、訪問看護計画の修正を行い改善を図る等に努めなければならないものであること。

③ 利用者の健康状態と経過、看護の目標や内容、具体的な方法その他療養上必要な事項について利用者及び家族に理解しやすいよう指導又は説明を行うこと。

④ 指定訪問看護の提供に当たっては、医学の進歩に沿った適切な看護技術をもって対応できるよう、新しい技術の習得等、研鑽を積むことを定めたものであること。

⑤ 医学の立場を堅持し、広く一般に認められていない看護等については行ってはならないこと。

(5) 主治医との関係(基準第六九条)

① 指定訪問看護事業所の管理者は、指示書に基づき指定訪問看護が行われるよう、主治医との連絡調整、指定訪問看護の提供を担当する看護婦等の監督等必要な管理を行わなければならないこと。なお、主治医とは、利用申込者の選定により加療している医師をいい、主治医以外の複数の医師から指示書の交付を受けることはできないものであること。

② 基準第六九条第二項は、指定訪問看護の利用対象者は、その主治医が指定訪問看護の必要性を認めたものに限られるものであることを踏まえ、指定訪問看護事業者は、指定訪問看護の提供の開始に際しては、利用者の主治医が発行する訪問看護指示の文書(以下「指示書」という。)の交付を受けなければならないこととしたものであること。

③ 指定訪問看護事業所の管理者は、主治医と連携を図り、適切な指定老人訪問看護を提供するため、定期的に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医に提出しなければならないこと。

④ 訪問看護の実施に当たっては、特に医療施設内の場合と異なり、看護婦等が単独で行うことに十分留意するとともに慎重な状況判断等が要求されることを踏まえ、主治医との密接かつ適切な連携を図ること。

⑤ 保険医療機関が指定訪問看護事業者である場合には、主治医の指示は診療録に記載されるもので差し支えないこと。また、訪問看護計画書及び訪問看護報告書についても看護記録等の診療記録に記載されるもので差し支えないこと。

(6) 訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成

① 基準第七〇条は、看護婦等(准看護婦及び准看護士を除く。)が利用者ごとに、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を作成することとしたものである。

② 看護婦等は、訪問看護計画書には、利用者の希望、主治医の指示及び看護目標、具体的なサービス内容等を記載する。なお、既に居宅サービス計画等が作成されている場合には、当該計画に沿って訪問看護の計画を立案する。

③ 看護婦等は、訪問看護計画書の目標・内容等について、利用者及びその家族に理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行う必要がある。

④ 看護婦等は、訪問看護計画書には、訪問を行った日、提供した看護内容、サービス提供結果等を記載する。なお、第七〇条に規定する報告書は、訪問の都度記載する記録とは異なり、主治医に定期的に提出するものをいう。

⑤ 管理者にあっては、訪問看護計画に沿った実施状況を把握し、計画書及び報告書に関し、助言、指導等必要な管理を行わなければならない。

⑥ 指定訪問看護事業者は、主治医との連携を図り、適切な指定訪問看護を提供するため、訪問看護計画書及び訪問看護報告書を定期的に主治医に提出しなければならない。

(7) 準用

基準第七四条の規定により、基準第八条、第九条、第一一条から第一三条まで、第一五条から第一九条まで、第二一条、第二六条、第三〇条から第三九条まで及び第五二条の規定は、指定訪問看護の事業について準用されるものであるため、第三の3の(1)、(2)、(4)から(9)まで、(11)、(14)及び(18)から(25)まで並びに第四の3の(4)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。

① 基準第十三条(心身の状況等の把握)中「心身の状況」とあるのは、「心身の状況、病歴」と読み替えられること。

② 準用される基準第三〇条については、指定訪問看護ステーションにおいては、原則として月ごとの勤務表を作成し、看護婦等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすること。指定訪問看護を担当する医療機関においては、指定訪問看護事業所ごとに、指定訪問看護に従事する看護婦等を明確にし、原則として月ごとの勤務表を作成し、それらの者の職務の内容、常勤・非常勤の別等を明確にすること。なお、指定訪問看護事業所の看護婦等については、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和六〇年法律第八八号。以下「労働者派遣法」という。)に規定する派遣労働者であってはならないものであること。

③ 準用される基準第三九条により整備すべき記録は、以下のとおりであること。

イ 指定訪問看護に関する記録

a 指示書、訪問看護計画書及び訪問看護報告書(指定訪問看護事業所が保険医療機関である場合は、診療録及び診療記録の保存でも差し支えない。)

b 記録書

ロ 準用される基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

第六 訪問リハビリテーションに関する基準

1 人員に関する基準(基準第七六条)

指定訪問リハビリテーション事業者は、指定訪問リハビリテーション事業所ごとに、指定訪問リハビリテーションの提供に当たる理学療法士又は作業療法士を適当数置かなければならない。

2 設備に関する基準

(1) 基準第七七条は、指定訪問リハビリテーション事業所については、

① 病院又は診療所であること。

② 指定訪問リハビリテーションの事業の運営を行うために必要な広さ(利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペース)を有する専用の区画を設けていること。なお、業務に支障がないときは、指定訪問リハビリテーションの事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとすること。

③ 指定訪問リハビリテーションの提供に必要な設備及び備品等を備えていること。

としたものである。

(2) 設備及び備品等については、当該病院又は診療所における診療用に備え付けられたものを使用することができるものである。

3 運営に関する基準

(1) 利用料等の受領

基準第七八条の規定は、指定訪問看護に係る基準第六六条の規定と基本的に同趣旨であるため、第五の3の(3)を参照されたいこと。

(2) 指定訪問リハビリテーションの基本取扱方針及び具体的取扱方針(基準第七九条及び第八〇条)

① 指定訪問リハビリテーションは、利用者の心身の状態、生活環境を踏まえて、妥当適切に行うとともにその生活の質の確保を図るよう、主治の医師との密接な連携のもとに訪問リハビリテーション計画に沿って行うこととしたものであること。

② 指定訪問リハビリテーションの提供については、目標達成の度合いやその効果等について評価を行うとともに、訪問リハビリテーション計画の修正を行い改善を図る等に努めなければならないものであること。

③ 指定訪問リハビリテーションの提供に当たっては、利用者の心身状態、リハビリテーションの内容やそれを提供する目的、具体的な方法、リハビリテーションに必要な環境の整備、療養上守るべき点及び療養上必要な目標等、療養上必要な事項について利用者及びその家族に理解しやすいよう指導又は説明を行うこと。

④ 指定訪問リハビリテーションの提供に当たっては、医学の進歩に沿った適切な技術をもって対応できるよう、新しい技術の習得等、研鑽を積むことを定めたものであること。

⑤ 指定訪問リハビリテーションを行った際には、速やかに、指定訪問リハビリテーションを実施した要介護者等の氏名、実施日時、実施した訪問リハビリテーションの要点及び担当者の氏名を記録すること。

(3) 訪問リハビリテーション計画の作成(基準第八一条)

① 訪問リハビリテーション計画は、利用者ごとに、利用者の心身の状態、生活環境を踏まえて作成することとしたものである。利用者の希望、主治医の指示及び目標、具体的なリハビリテーション内容等を記載する。なお、既に居宅サービス計画等が作成されている場合には、当該計画に沿って訪問リハビリテーション計画を立案する。

② 訪問リハビリテーション計画の目標や内容等について、利用者及びその家族に理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行う。

(4) 準用

基準第八三条の規定により、基準第八条から第一三条まで、第一五条から第一九条まで、第二一条、第二六条、第三〇条から第三三条まで、第三五条から第三九条まで、第五二条、第六四条及び第六五条の規定は、指定訪問リハビリテーションの事業について準用されるものであるため、第三の3の(1)から(9)まで、(11)、(14)及び(18)から(25)まで、第四の3の(4)並びに第五の3の(2)を参照されたいこと、この場合において、次の点に留意するものとする。

① 基準第一三条中「心身の状況」とあるのは「心身の状況、病歴」と読み替えられること。

② 準用される基準第一三条については、指定訪問リハビリテーション事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、指定訪問リハビリテーションに従事する理学療法士及び作業療法士を明確にするとともに、それらの者の職務の内容、常勤・非常勤の別等を明確にすること。なお、指定訪問リハビリテーション事業所の理学療法士及び作業療法士については、労働者派遣法に規定する派遣労働者であってはならないものであること。

③ 準用される基準第三九条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。

イ 指定訪問リハビリテーションに関する記録

a 訪問リハビリテーション計画書

b 診療記録その他の個々の指定訪問リハビリテーションに係る記録

ロ 準用される基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

第七 居宅療養管理指導に関する基準

1 人員に関する基準(基準第八五条)

指定居宅療養管理指導事業所ごとに置くべき居宅療養管理指導従業者の員数は、次に掲げる指定居宅療養管理指導事業所の種類の区分に応じ、次に定めるとおりとしたものである。

(1) 病院又は診療所である指定居宅療養管理指導事業所

① 医師又は歯科医師

② 薬剤師、歯科衛生士(歯科衛生士が行う居宅療養管理指導に相当するものを行う保健婦、保健士、看護婦、看護士、准看護婦及び准看護士を含む。以下同じ。)又は管理栄養士

その提供する指定居宅療養管理指導の内容に応じた適当数

(2) 薬局である指定居宅療養管理指導事業所 薬剤師

2 設備に関する基準

(1) 基準第八六条は、指定居宅療養管理指導事業所については、

① 病院、診療所又は薬局であること。

② 指定居宅療養管理指導の事業の運営に必要な広さを有していること。

③ 指定居宅療養管理指導の提供に必要な設備及び備品等を備えていること。

としたものである。

(2) 設備及び備品等については、当該病院又は診療所における診療用に備え付けられたものを使用することができるものである。

3 運営に関する基準

(1) 利用料等の受領

① 基準第八七条第一項及び第四項の規定は、基準第二〇条第一項及び第四項の規定と同趣旨であるため、第三の3の(10)の①及び④を参照されたい。

② 基準第八七条第二項の規定は、基準第六六条第二項の規定と基本的に同趣旨であるため、第五の3の(3)の②を参照されたい。

③ 基準第八七条第三項は、指定居宅療養管理指導の提供に関して、前二項の利用料のほかに、指定居宅療養管理指導の提供に要する交通費(通常の事業の実施地域内の交通費を含む。)の額の支払を利用者から受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。

(2) 指定居宅療養管理指導の具体的取扱方針

指定居宅療養管理指導の具体的取扱方針については、基準第八九条の定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。

① 医師又は歯科医師の行う指定居宅療養管理指導は、訪問診療等により常に利用者の病状及び心身の状況を把握し、計画的な医学的管理又は歯科医学的管理を行っている要介護者等に対して行うものであること。

② 指定居宅療養管理指導事業者は、要介護者等にサービスを提供している事業者に対して、必要に応じて迅速に指導又は助言を行うために、日頃からサービスの提供事業者や提供状況を把握するように努めること。

③ 薬剤師、歯科衛生士及び管理栄養士は、指定居宅療養管理指導を行った際には、速やかに、指定居宅療養管理指導を実施した要介護者等の氏名、実施日時、実施した居宅療養管理指導の要点及び担当者の氏名を記録すること。

(3) 運営規程

基準第九〇条は、指定居宅療養管理指導の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定居宅療養管理指導の提供を確保するため、同条第一号から第五号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定居宅療養管理指導事業所ごとに義務づけたものであること。なお、第四号の「指定居宅療養管理指導の種類」としては、当該事業所により提供される指定居宅療養管理指導の提供者の職種(医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士)ごとの種類を規定するものであること。

(4) 準用

基準第九一条の規定により、基準第八条から第一三条まで、第一六条、第一八条、第一九条、第二一条、第二六条、第三〇条から第三三条まで、第三五条から第三九条まで、第五二条、第六四条及び第六五条の規定は、指定居宅療養管理指導の事業について準用されるものであるため、第三の3の(1)から(5)まで、(8)、(9)、(11)、(14)及び(18)から(25)まで、第四の3の(4)並びに第五の3の(2)を参照されたい。この場合において、次の点に留意するものとする。

① 基準第一三条中「心身の状況」とあるのは「心身の状況、病歴、服薬歴」と、第一八条中「初回訪問時及び利用者」とあるのは「利用者」と読み替えられること。

② 準用される基準第三〇条については、居宅療養管理指導従業者は、その職種によっては、労働者派遣法に規定する派遣労働者であってはならないものであること。

③ 準用される基準第三九条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。

イ 指定居宅療養管理指導に関する記録

a 事業所が病院又は診療所の場合

診療録その他の提供した個々の指定居宅療養管理指導に関する記録

b 事業所が薬局の場合

医師又は歯科医師が交付した処方せんその他の提供した個々の指定居宅療養管理指導に関する記録

ロ 準用される基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

第八 通所介護に関する基準

1 人員に関する基準

(1) 従業者の員数(基準第九三条)

① 指定通所介護の単位とは、同時に、一体的に提供される指定通所介護をいうものであることから、例えば、次のような場合は、二単位として扱われ、それぞれの単位ごとに必要な従業者を確保する必要がある。

イ 指定通所介護が同時に一定の距離を置いた二つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているといえない場合

ロ 午前と午後とで別の利用者に対して指定通所介護を提供する場合

ハ 一の事業所内で、痴呆を有する利用者のみを対象とする指定通所介護と、それ以外の指定通所介護を行っている場合

② 提供時間帯を通じて専ら当該指定通所介護の提供に当たる従業者を確保するとは、指定通所介護の単位ごとに生活相談員、看護職員、介護職員について、提供時間帯に当該職種の従業者が常に確保されるよう必要な配置を行うよう定めたものである(例えば、提供時間帯を通じて専従する生活相談員の場合、その員数は一人となるが、提供時間帯の二分の一ずつの時間専従する生活相談員の場合は、その員数としては二人が必要となる。)。

③ なお、ここでいう利用者の数又は利用定員は、単位ごとの指定通所介護についての利用者の数又は利用定員をいうものであり、利用者の数は実人員、利用定員は、あらかじめ定めた利用者の数の上限をいうものである。従って、例えば、一日のうちの午前の提供時間帯に利用者一〇人に対して指定通所介護を提供し、午後の提供時間帯に別の利用者一〇人に対して指定通所介護を提供する場合であって、それぞれの指定通所介護の定員が一〇人である場合には、当該事業所の利用定員は一〇人、必要となる介護職員の員数は午前午後それぞれ一人ということとなり、人員算定上午前の利用者の数と午後の利用者の数が合算されるものではない。

④ 同一事業所で複数の単位の指定通所介護を同時に行う場合には、同時に行われる単位の数の常勤の従業者が必要となるものである(基準第九三条第五項・第六項関係)。

(2) 生活相談員(基準第九三条第一項第一号)

生活相談員については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成一一年三月三一日厚生省令第四六号)第五条第二項に定める生活相談員に準ずるものである。

(3) 機能訓練指導員(基準第九三条第四項)

機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。

(4) 管理者(基準第九四条)

訪問介護の場合と同趣旨であるため、第三の1の(3)を参照されたい。

2 設備に関する基準(基準第九五条)

(1) 事業所

事業所とは、指定通所介護を提供するための設備及び備品を備えた場所をいう。原則として一の建物につき、一の事業所とするが、利用者の利便のため、利用者に身近な社会資源(既存施設)を活用して、事業所の従業者が当該既存施設に出向いて指定通所介護を提供する場合については、これらを事業所の一部とみなして設備基準を適用するものである。

(2) 食堂及び機能訓練室

① 指定通所介護事業所の食堂及び機能訓練室(以下「指定通所介護の機能訓練室等」という。)については、三平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上とすることとされたが、指定通所介護が原則として同時に複数の利用者に対し介護を提供するものであることに鑑み、狭隘な部屋を多数設置することにより面積を確保すべきではないものである。ただし、指定通所介護の単位をさらにグループ分けして効果的な指定通所介護の提供が期待される場合はこの限りではない。

② 指定通所介護の機能訓練室等と、指定通所介護事業所と併設の関係にある医療機関や介護老人保健施設における指定通所リハビリテーションを行うためのスペースについては、以下の条件に適合するときは、これらが同一の部屋等であっても差し支えないものとする。

イ 当該部屋等において、指定通所介護の機能訓練室等と指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが明確に区分されていること。

ロ 指定通所介護の機能訓練室等として使用される区分が、指定通所介護の設備基準を満たし、かつ、指定通所リハビリテーションを行うためのスペースとして使用される区分が、指定通所リハビリテーションの設備基準を満たすこと。

3 運営に関する基準

(1) 利用料等の受領

① 基準第九六条第一項、第二項及び第四項の規定は、指定訪問介護に係る第二〇条第一項、第二項及び第四項の規定と同趣旨であるため、第三の3の(10)の①、②及び④を参照されたい。

② 基準第九六条第三項は、指定通所介護事業者は、指定通所介護の提供に関して、

イ 利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域に居住する利用者に対して行う送迎に要する費用

ロ 指定通所介護に通常要する時間を超える指定通所介護であって利用者の選定に係るものの提供に伴い必要となる費用の範囲内において、通常の指定通所介護に係る居宅介護サービス費用基準額又は居宅支援サービス費用基準額を超える費用

ハ 食材料費

ニ おむつ代

ホ 前各号に掲げるもののほか、通所介護の提供において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの

については、前二項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、ホの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。

(2) 指定通所介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針

指定通所介護の基本取扱方針及び具体的取扱方針については、基準第九七条及び第九八条の定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。

① 指定通所介護は、個々の利用者に応じて作成された通所介護計画に基づいて行われるものであるが、グループごとにサービス提供が行われることを妨げるものではないこと。

② 基準第九八条第二号で定める「サービスの提供方法等」とは、通所介護計画の目標及び内容や利用日の行事及び日課等も含むものであること。

③ 痴呆の状態にある要介護者等で、他の要介護者等と同じグループとして、指定通所介護を提供することが困難な場合には、必要に応じグループを分けて対応すること。

(3) 通所介護計画の作成

① 基準第九九条で定める通所介護計画については、介護の提供に係る計画等の作成に関し経験のある者や、介護の提供について豊富な知識及び経験を有する者にそのとりまとめを行わせるものとし、当該事業所に介護支援専門員の資格を有する者がいる場合は、その者に当該計画のとりまとめを行わせることが望ましい。

② 指定通所介護計画は、サービスの提供に関わる従業者が共同して個々の利用者ごとに作成するものである。

③ 指定通所介護計画の目標及び内容については、利用者又は家族に説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。

(4) 運営規程

基準第一〇〇条は、指定通所介護の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定通所介護の提供を確保するため、同条第一号から第一〇号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定通所介護事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。

① 指定通所介護の利用定員(第四号)

利用定員とは、当該指定通所介護事業所において同時に指定通所介護の提供を受けることができる利用者の数の上限をいうものであること(第一一七条第四号の「指定通所リハビリテーションの利用定員」についても同趣旨)。

② 指定通所介護の内容及び利用料その他の費用の額(第五号)

「指定通所介護の内容」については、入浴、食事の有無等のサービスの内容を指すものであること(第一一七条第五号の「指定通所リハビリテーションの内容」についても同趣旨)。

③ サービス利用に当たっての留意事項(第七号)

利用者が指定通所介護の提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(機能訓練室を利用する際の注意事項等)を指すものであること(第一一七条第七号についても同趣旨)。

④ 非常災害対策

(6)の非常災害に関する具体的計画を指すものであること(第一一七条第八号、第一三七条第八号、第一五三条第六号、第一六八条第六号及び第一八九条第八号についても同趣旨)。

(5) 勤務体制の確保等

基準第一〇一条は、利用者に対する適切な指定通所介護の提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。

① 指定通所介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、通所介護従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、専従の生活相談員、看護職員及び介護職員の配置、管理者との兼務関係等を明確にすること。

② 同条第二項は、原則として、当該指定通所介護事業所の従業者たる通所介護従業者によって指定通所介護を提供するべきであるが、調理、洗濯等の利用者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。

(6) 非常災害対策

基準第一〇三条は、指定通所介護事業者は、非常災害に際して必要な具体的計画の策定、避難、救出訓練の実施等の対策の万全を期さなければならないこととしたものである。なお「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則第三条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第八条の規定により防火管理者を置くこととされている指定通所介護事業所にあってはその者に行わせるものとする。また、防火管理者を置かなくてもよいこととされている指定通所介護事業所においても、防火管理について責任者を定め、その者に消防計画に準ずる計画の樹立等の業務を行わせるものとする。

(7) 衛生管理等

基準第一〇四条は、指定通所介護事業所の必要最低限の衛生管理等について規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。

① 指定通所介護事業者は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じ保健所の助言、指導を求めるとともに、密接な連携を保つこと。

② 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。

(8) 準用

基準第一〇五条の規定により、基準第八条から第一七条まで、第一九条、第二一条、第二六条、第二七条、第三二条から第三九条まで及び第五二条は、指定通所介護の事業について準用されるものであるため、第三の3の(1)から(7)まで、(9)、(11)、(14)、(15)及び(20)から(25)並びに第四の3の(4)を参照されたい。この場合において、準用される基準第三九条により、整備すべき記録は以下のとおりである。

イ 指定通所介護に関する記録

a 通所介護計画書

b 提供した個々の指定通所介護に係る記録

ロ 準用される基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

4 基準該当通所介護に関する基準

(1) 従業者の員数及び管理者(基準第一〇六条及び第一〇七条)

常勤の従業者を置く必要がない点及び管理者が常勤である必要がない点を除けば、指定通所介護の基準と同様であり、第八の1を参照されたい。

(2) 設備に関する基準(基準第一〇八条)

指定通所介護の場合と異なり、機能訓練や食事のためのスペースが確保されればよく、そのスペースが「機能訓練室」「食堂」といえるものである必要はないが、この点を除けば、指定通所介護の基準と同様であり、第八の2を参照されたい。

(3) 運営に関する基準

基準第一〇九条の規定により、基準第八条から第一四条まで、第一六条、第一七条、第一九条、第二一条、第二六条、第二七条、第三二条から第三九条まで、第五二条、第九二条及び第七章第四節(第九六条第一項及び第一〇五条を除く。)の規定は、基準該当通所介護の事業について準用されるものであるため、第三の3の(1)から(5)まで、(7)、(9)、(11)、(14)、(15)及び(20)から(25)まで、第四の3の(4)並びに第八の3を参照されたいこと。この場合において、準用される基準第九六条第二項の規定は、基準該当通所介護事業者が利用者から受領する利用料について、当該サービスが結果的に保険給付の対象となる場合もならない場合も、特例居宅介護サービス費又は特例居宅支援サービス費を算定するための基準となる費用の額(一〇〇分の九〇を乗ずる前の額)との間に不合理な差額が生じることを禁ずることにより、結果的に保険給付の対象となるサービスの利用料と、保険給付の対象とならないサービスの利用料との間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けることを禁止する趣旨である。なお、当該事業所による通所介護が複数の市町村において基準該当通所介護と認められる場合には、利用者の住所地によって利用料が異なることは認められないものである。

第九 通所リハビリテーション

1 人員に関する基準

(1) 指定通所リハビリテーション事業所が病院又は診療所である場合(ただし(2)の診療所である場合を除く)(基準第一一一条第一項)

① 医師(第一号)

イ 専任の常勤医師が一人以上勤務していること。

ロ 利用者数は、専任の常勤医師一人に対し一日四〇人以内であること。

② 理学療法士若しくは作業療法士又は看護婦、看護士、准看護婦若しくは准看護士(以下「従事者」という。)(第二号)

イ 利用者数は、専従する従事者二人に対し一単位二〇人以内とし、一日二単位を限度とすること。

ロ 専従する従事者二人のうち一人については、作業療法士若しくは理学療法士又は経験を有する看護婦であること。

ハ ロの従事者が経験を有する看護婦である場合(要するに、理学療法士又は作業療法士が専従する従業者に含まれない場合)にあっては、一単位につき週一日以上作業療法士又は理学療法士が勤務していること。

ニ 経験を有する看護婦とは、老人保健法の規定による医療に要する費用の額の算定に関する基準(以下「老人診療報酬点数表」という。)に定める老人デイケア、重度痴呆患者デイケア、精神科デイケア、作業療法(老人作業療法を含む。)、理学療法(老人理学療法を含む。)に係る施設設備の届出を行った保険医療機関等において、それらに一年以上従事した者であること。

ホ 専従する従業者二人のうちロの従事者以外の者については、看護職員で差し支えないものであること。

③ 介護職員(第三号)

利用者の要介護状態等の実情を勘案して適当な数を配置すること。

(2) 指定通所リハビリテーション事業所が診療所である場合(基準第一一一条第二項)

① 医師(第一号)

イ 専任の医師が一人勤務していること。

ロ 患者数は、専任の医師一人に対し一日四〇人以内であること。

② 理学療法士若しくは作業療法士又は看護婦、看護士、准看護婦若しくは准看護士(以下「従事者」という。)(第二号)

イ 利用者数は、専従する従事者二人に対し一単位一〇人以内とし、一日二単位を限度とする。

ロ 専従する従事者二人のうち一人については、作業療法士若しくは理学療法士又は経験を有する看護婦であること。

ハ 経験を有する看護婦とは、老人診療報酬点数表に定める老人デイケア・重度痴呆患者デイケア、精神科デイケア、作業療法(老人作業療法を含む。)、理学療法(老人理学療法を含む。)に係る施設基準の届出を行った保険医療機関等において、それらに一年以上従事した者であること。

ニ 専従する従事者二人のうち前記②以外の者については、看護職員又は介護職員で差し支えないこと。

(3) 指定通所リハビリテーション事業所が介護老人保健施設である場合(基準第一一一条第三項)

介護老人保健施設が行う指定通所リハビリテーション事業における人員に関する基準については、基準上は、指定通所リハビリテーションに係る人員についてのみの規定としているが、介護老人保健施設の入所者に係る人員の員数の合計は、以下のとおりとなるものである。

① 医師(第一号)

イ 入所定員が一〇〇人に満たない介護老人保健施設で、常勤医師が一人以上配置されている場合にあっては、一人に加え、一〇〇から入所定員を除いた数に入所定員の三割を加えた数を超える利用者の数を二〇〇で除した数以上の医師が常勤又は非常勤で配置されていることが必要であること。例えば、入所定員八〇人の介護老人保健施設の場合で五四人の利用者がある場合は、介護老人保健施設の基準において必要な一人に、〔54-{(100-80)+80×3割}〕/200の計算による〇・〇五人分を加えた一・〇五人分が必要であること。

ロ イ以外の介護老人保健施設の場合にあっては、介護老人保健施設の基準において最低限配置することとされている医師の数に加え、入所定員の三割を超える利用者の数を二〇〇で除した数以上の医師が常勤又は非常勤で配置されていることが必要であること。例えば、入所定員一二〇人の介護老人保健施設で五六人の利用者がある場合は、介護老人保健施設の基準において必要な一・二人の医師に、(56-120×3割)/200の計算による〇・一人分を加えた一・三人分の配置が必要であること。

② 理学療法士又は作業療法士(第二号)

常勤換算方法で、利用者数に入所者数を加えた合計数を一〇〇で除して得た数以上の員数を配置するものである。

③ 看護職員又は介護職員(第三号)

イ 専従の看護・介護職員は、指定通所リハビリテーションの提供時間帯以外の時間帯において介護老人保健施設の入所者に対するサービスの提供に当たることは、差し支えないものである。ただし、介護老人保健施設の看護・介護職員の常勤換算方法における勤務延時間数に、指定通所リハビリテーションに従事した勤務時間は含まれないものである。

ロ 専従の従事者の中に看護職員が含まれていない場合においても、専任の看護職員を少なくとも一名配置するものとする。ただし、当該専任の看護職員は、通所リハビリテーション業務に支障がない限り、入所者に対する業務と兼務しても差し支えない。

④ 支援相談員(第四号)

常勤換算方法で、利用者数に入所者数を加えた合計数を一〇〇で除して得た数以上の員数を配置するものである。

2 設備に関する基準

(1) 指定通所リハビリテーション事業を行う事業所ごとに備える設備については、専ら当該事業の用に供するものでなければならないこととされているが、病院、診療所、介護老人保健施設が互いに併設される場合(同一敷地内にある場合、又は公道をはさんで隣接している場合をいう。)であって、そのうちの複数の施設において、指定通所リハビリテーション事業を行う場合には、以下の条件に適合するときは、それぞれの指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが同一の部屋等であっても差し支えないものとする。

① 当該部屋等において、それぞれの指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが明確に区分されていること。

② それぞれの指定通所リハビリテーションを行うためのスペースが、次に掲げる面積要件(基準第一一二条各号)を満たしていること。

イ 病院又は診療所(基準第一一一条第二項の適用を受けるものを除く。)の場合 利用定員が一五人までは四五平方メートル以上、それ以上利用定員が一人増すごとに三平方メートルを加えた面積以上のものを有すること。

ロ 基準第一一一条第二項の適用を受ける診療所の場合 利用定員が一〇人までは三〇平方メートル以上、それ以上利用定員が一人増すごとに三平方メートル加えた面積以上のものを有すること。

ハ 介護老人保健施設の場合 当該部屋等の面積と利用者用に確保されている食堂の面積の合計が、三平方メートルに利用定員数を乗じて得た面積以上であるものを有すること。

(2) 指定通所リハビリテーションを行うためのスペースと、当該指定通所リハビリテーション事業所と併設の関係にある特別養護老人ホーム、社会福祉施設等における指定通所介護の機能訓練室等との関係については、第八の2の(2)の②を参照されたい。

3 運営に関する基準

(1) 通所リハビリテーションの具体的取扱方針及び通所リハビリテーション計画の作成

基準第一一四条及び第一一五条に定めるところによるほか、次の点に留意するものとする。

① 指定通所リハビリテーションは、個々の利用者に応じて作成された通所リハビリテーション計画に基づいて行われるものであるが、グループごとにサービス提供が行われることを妨げるものではないこと。

② 指定通所リハビリテーション計画は、医師の診察内容及び運動機能検査等の結果を基に、指定通所リハビリテーションの提供に関わる従業者が共同して個々の利用者ごとに作成するものであること。

③ 指定通所リハビリテーション計画の目標及び内容については、利用者又は家族に説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うこと。

④ 痴呆の状態にある要介護者等で、他の要介護者と同じグループとして、指定通所リハビリテーションを提供することが困難な場合には、必要に応じグループを分けて対応すること。

⑤ 指定通所リハビリテーションをより効果的に実施するため、支援相談員や医療ソーシャルワーカー等の協力を得て実施することが望ましいこと。

⑥ 主として痴呆等の精神障害を有する利用者を対象とした指定通所リハビリテーションにあっては、作業療法士等の従業者により、主として脳血管疾患等に起因する運動障害を有する利用者にあっては、理学療法士等の従業者により効果的に実施されるべきものであること。

(2) 管理者等の責務

基準第一一六条第一項は、指定通所リハビリテーション事業所の管理者は、医師、理学療法士、作業療法士又は専ら指定通所リハビリテーションの提供に当たる看護婦又は看護士のうちから選任した者に、必要な管理の代行をさせることができる旨を明記したものであること。この場合、組織図等により、指揮命令系統を明確にしておく必要がある。

(3) 衛生管理等

基準第一一八条第一項は、指定通所リハビリテーション事業所の必要最低限の衛生管理等を規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。

① 指定通所リハビリテーション事業者は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じ保健所の助言、指導を求めるとともに、密接な連携を保つこと。

② 医薬品の管理については、当該指定通所リハビリテーション事業所の実情に応じ、地域の薬局の薬剤師の協力を得て行うことも考えられること。

③ 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。

(4) 準用

基準第一一九条の規定により、基準第八条から第一三条まで、第一五条から第一七条まで、第一九条、第二一条、第二六条、第二七条、第三二条、第三三条、第三五条から第三九条まで、第六四条、第六五条、第九六条及び第一〇一条から第一〇三条までの規定は、指定通所リハビリテーションの事業について準用されるものであることから、第三の3の(1)から(7)まで、(9)、(11)、(14)、(15)及び(20)から(25)まで、第五の3の(2)並びに第八の3の(1)、(5)及び(6)を参照されたい。この場合において、特に次の点に留意するものとする。

① 基準第一三条中「心身の状況」とあるのは「心身の状況、病歴」と読み替えられることに留意されたいこと。

② 準用される基準第三九条により、整備すべき記録は以下のとおりであること。

イ 指定通所リハビリテーションに関する記録

a 通所リハビリテーション計画書

b 診療記録その他の提供した個々の指定通所リハビリテーションに係る記録

ロ 準用される基準第二六条に係る市町村への通知に係る記録

③ 準用される基準第六五条は、指定通所リハビリテーションの提供に当たっては、これまでどおり健康手帳の医療に関するページに、指定通所リハビリテーションの提供開始日及び指定通所リハビリテーション事業者の名称を記載することとしたものであること。ただし、特定疾病の患者等で健康手帳を有さない要介護者については、記載しなくてもよいこととなったこと。

④ 準用される基準第一〇一条第一項については、指定通所リハビリテーション事業所ごとに、通所リハビリテーション従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、専従の理学療法士、作業療法士、経験看護婦等、看護職員及び介護職員の配置、管理者との兼務関係等を勤務表上明確にし、人員に関する基準が満たされていることを明らかにする必要があること。

第一〇 短期入所生活介護

1 人員に関する基準(基準第一二一条及び第一二二条)

(1) 従業者の員数

① 基準第一二一条第二項の適用を受ける特別養護老人ホームとは、入所者に利用されていない居室又はベッドを利用して指定短期入所生活介護を行う特別養護老人ホームを意味するものである。

② 併設事業所については、

イ 基準第一二一条第四項の「特別養護老人ホーム等と一体的に運営が行われる」とは、併設本体施設の事業に支障が生じない場合で、かつ、夜間における介護体制を含めて指定短期入所生活介護を提供できる場合である。

ロ 医師、栄養士及び機能訓練指導員については、併設本体施設に配置されている場合であって当該施設の事業に支障を来さない場合は兼務させて差し支えない。

ハ 生活相談員、介護職員及び看護職員の員数については、併設されているのが特別養護老人ホームである場合には、特別養護老人ホームとして確保すべき員数と指定短期入所生活介護事業所として確保すべき員数の合計を、特別養護老人ホームの入所者と併設事業所の利用者の数とを合算した数について常勤換算方法により必要とされる従業者の数とするものである。例えば、入所者五〇人、利用者一〇人の場合の看護・介護職員の員数は、50÷3=17(端数切り上げ)と10÷3=4(端数切り上げ)の合計で二一人となるのではなく、(50+10)÷3=20人となる。

ニ また、併設されているのが特別養護老人ホームでない場合も、従業者の員数の計算上、特別養護老人ホームの場合と同様の端数の処理を行うことができるものとする。例えば、特定施設に併設されている場合で、特定施設入所者生活介護の利用者が一一〇人、短期入所生活介護の利用者が二〇人である場合の生活相談員の員数は、110+20=130人について計算するため、合計で二人ということとなる。

(2) 生活相談員(基準第一二一条第一項第二号)

生活相談員については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成一一年三月三一日厚生省令第四六号)第五条第二項に定める生活相談員に準ずるものとする。

(3) 機能訓練指導員(基準第一二一条第六項)

機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者とされたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する者とする。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事等を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。

(4) 栄養士

基準第一二一条第一項ただし書に規定する「他の社会福祉施設等の栄養士との連携を図ることにより当該指定短期入所生活介護事業所の効果的な運営を期待することができる場合であって、利用者の処遇に支障がないとき」とは、隣接の他の社会福祉施設や病院等の栄養士との兼務や地域の栄養指導員(栄養改善法第九条第一項に規定する栄養指導員をいう。)との連携を図ることにより、適切な栄養管理が行われている場合である。

(5) 管理者

指定短期入所生活介護事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。

① 当該指定短期入所生活介護事業所の短期入所生活介護従業者としての職務に従事する場合

② 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、併設される訪問系サービスの事業所のサービス提供を行う従業者との兼務は一般的には管理業務に支障があると考えられるが、訪問系サービス事業所における勤務時間が極めて限られている職員の場合には、例外的に認められる場合もありうる。)

(6) 経過措置(基準附則第二条)

平成一七年三月三一日までの間は、介護職員又は看護職員の員数を、常勤換算方法で、利用者の数が四・一又はその端数を増すごとに一人以上でよいものとされている。ただし、できるだけ早期に三:一へ移行できるよう努めるものとする。なお、平成一二年四月一日以降に新たに開始される事業所にあっては、既存の施設に対する経過措置として設けた趣旨にかんがみ、可能な限り、職員配置を三:一以上とすることが望ましい。

2 設備に関する基準(基準第一二三条及び第一二四条)

(1) 指定短期入所生活介護事業所の建物は、利用者が身体的、精神的に障害を有する者であることに鑑み、利用者の日常生活のために使用しない附属の建物を除き耐火建築物としなければならない。ただし、利用者の日常生活に充てられる居室、静養室、食堂、浴室及び機能訓練室を二階以上の階及び地階のいずれにも設けていない建物については、準耐火建築物とすることができる。

(2) 指定短期入所生活介護事業所の設備は、当該指定短期入所生活介護の運営上及びサービス提供上当然設けなければならないものであるが、同一敷地内に他の社会福祉施設が設置されている場合等であって、当該施設の設備を利用することにより指定短期入所生活介護事業所の効果的な運営が図られ、かつ、当該指定短期入所生活介護事業所の利用者及び当該施設の入所者のサービス提供に支障がない場合には、利用者が日常継続的に使用する設備以外の調理室等の設備について、その一部を設けないことができる。なお、指定短期入所生活介護事業者が利用する他の施設の当該設備については、本基準に適合するものでなければならない。

(3) 便所等面積又は数の定めのない設備については、それぞれの設備の持つ機能を十分に発揮し得る適当な広さ又は数を確保するよう配慮するものとする。

(4) 指定短期入所生活介護事業所における廊下の幅は、利用者の身体的、精神的特性及び非常災害時における迅速な避難、救出の確保を考慮して定められたものである。なお、「中廊下」とは、廊下の両側に居室、静養室等利用者の日常生活に直接使用する設備のある廊下をいう。

(5) 指定短期入所生活介護事業所に設置する傾斜路は、利用者の歩行及び輸送車、車椅子等の昇降並びに災害発生時の避難、救出に支障がないようその傾斜はゆるやかにし、表面は、粗面又はすべりにくい材料で仕上げるものとする。

(6) 調理室には、食器、調理器具等を消毒する設備、食器、食品等を清潔に保管する設備並びに防虫及び防鼠の設備を設けるものとする。

(7) 汚物処理室は、他の設備と区別された一定のスペースを有すれば足りるものである。

(8) 焼却路、浄化槽その他の汚物処理設備及び便槽を設ける場合には、居室、静養室、食堂及び調理室から相当の距離を隔てて設けるものとする。

(9) 経過措置(基準附則第三条)

この省令の施行の際現に存する老人短期入所事業を行っている施設又は老人短期入所施設(基本的な設備が完成されているものを含み、この省令の施行の後に増築され、又は全面的に改築された部分を除く。)については、設備基準のうち一の居室の定員に関する基準(四人以下)、利用者一人当たりの床面積に関する基準(一〇・六五平方メートル以上)、食堂及び機能訓練室の面積に関する基準(三平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上)並びに構造設備の基準(廊下の幅の基準、常夜灯の設置、傾斜路の設置等)を適用しないものである。

3 運営に関する基準

(1) 内容及び手続の説明及び同意

基準第一二五条における「サービスの内容及び利用期間等についての同意」については、書面によって確認することが望ましいものである。

(2) 指定短期入所生活介護の開始及び終了

基準第一二六条第二項は、利用者が指定短期入所生活介護の利用後においても、利用前と同様のサービスを受けられるよう、指定短期入所生活介護事業者は、居宅介護支援事業者その他保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携により、指定短期入所生活介護の提供の開始前から終了後に至るまで利用者が継続的に保健医療サービス又は福祉サービスを利用できるよう必要な援助に努めなければならないこととしたものである。

(3) 利用料等の受領

① 基準第一二七条第一項、第二項及び第四項の規定は、指定訪問介護に係る第二〇条第一項、第二項及び第四項の規定と同趣旨であるため、第三の3の(10)の①、②及び④を参照されたい。

② 基準第一二七条第三項は、指定短期入所生活介護事業者は、指定短期入所生活介護の提供に関して、

イ 厚生大臣の定める基準に基づき利用者が選定する特別な居室(国若しくは地方公共団体の負担若しくは補助又はこれらに準ずるものを受けて建築され、買収され、又は改造されたものを除く。)の提供を行ったことに伴い必要となる費用

ロ 送迎に要する費用(厚生大臣が別に定める場合を除く。)

ハ 食材料費

ニ 理美容代

ホ 前各号に掲げるもののほか、指定短期入所生活介護において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの

については、前二項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、保険給付の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の徴収は認めないこととしたものである。なお、ホの費用の具体的な範囲については、別に通知するところによるものである。