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○民間事業者による在宅配食サービスのガイドラインについて

(平成八年五月一三日)

(老振第四六号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省老人保健福祉局長通知)

民間事業者により提供されるシルバーサービスについては、高齢者の福祉の向上とその健全な育成を図るため、厚生省としても、国及び地方自治体を通じての適切な指導と民間事業者による自主的な取組みとがあいまって良質なサービスが提供されるよう努めてきたところである。

民間事業者による在宅介護サービス及び在宅入浴サービス並びに福祉用具賃貸サービス及び福祉用具販売サービスについて行政指導を行う際のガイドラインについては、既に「民間事業者による在宅介護サービス及び在宅入浴サービスのガイドラインについて」(昭和六三年九月一六日老福第二七号・社更第一八七号厚生省大臣官房老人保健福祉部長・社会局長通知)及び「民間事業者による福祉用具賃貸サービス及び福祉用具販売サービスのガイドラインについて」(平成六年一〇月二一日社援更第二八四号・老福第八〇号厚生省社会・援護局長・老人保健福祉局長通知)をもってそれぞれ示しているところであるが、今般、高齢者向け在宅配食サービスを専門に提供する事業者が増加している状況にかんがみ、民間事業者による在宅配食サービスについてのガイドラインを別紙のとおり定めたので、前記の通知で示した基本的考え方に留意の上、衛生部局との連携を図りつつ、在宅配食サービス事業者及びシルバーサービス関係団体に対して適切な指導を行うとともに、貴管下市町村等への周知方取り計らわれたい。

なお、ガイドラインは、高齢者の福祉という観点からこの程度の要件を満たしてほしいという推奨の基準であり、在宅配食サービスを一律に規格化しようとするものではなく、民間事業者の積極的な創意工夫を期待するものであることに留意されたい。

また、ガイドラインは、一般飲食店等が高齢者向けに食事宅配サービスを行っている場合をも対象とするものではないことを、念のため申し添える。

〔別紙〕

在宅配食サービスガイドライン

1 基本的事項

(1) このガイドラインは、高齢者に対して治療食(医師の指示に基づき、療養に必要な栄養を提供するもの)を除く食事を提供するサービスを実施する事業者を対象とするものであること。

(2) 在宅配食サービスは、加齢に伴う心身の機能の低下等により、自ら食事を用意するのに支障のある特定多数の高齢者に対して、その特性に応じ、かつ、栄養のバランスのとれた調理済の食事を、安全かつ確実にその居宅へ提供することにより、高齢者の自立した生活を支援するものであること。

(3) 在宅配食サービスの実施に当たっては、食品衛生法(昭和二二年法律第二三三号)、栄養士法(昭和二二年法律第二四五号)、栄養改善法(昭和二七年法律第二四八号)、調理師法(昭和三三年法律第一四七号)等の公衆衛生に関する法令等を遵守すること。

(4) 事業者及びサービス従事者は、高齢者及びその家族のプライヴァシーの尊重に万全を期すものとし、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならないこと。

2 職員に関する事項

(1) 職員の配置

職員については、栄養士を配置するなど適切な配置を行うとともに、サービスの実施を指揮・監督する管理責任者並びに各事業所ごとに調理及び配食の各部門の責任者を配置すること。

なお、調理部門においては調理師を配置することが望ましいものであること。

(2) 職員の研修

職員に対しては、採用時及び採用後において、定期的に、高齢者の心身の特性、実施するサービスのあり方及び内容、並びに在宅配食に関する知識、技術、作業手順等について適切な研修を行うこと。

(3) 職員の衛生管理

① 職員の心身の健康に留意し、職員の疾病の早期発見及び健康状態の把握のために、採用時及び採用後において定期的に健康診断を行うこと。

② 職員の清潔の保持及び健康状態について常時チェックする体制を整えること。

3 設備・器具類の安全管理

サービスの実施に当たっては、常に衛生面に配慮された食事が提供されるよう、厨房設備等必要な設備・器具類を備えること。

4 サービス実施に関する事項

(1) 献立の作成

① 変化に富んだ献立内容となるよう努めるとともに、含まれるエネルギー量や栄養素等について配慮し、高齢者の心身の特性に配慮された献立とし、適切な表示の献立表を作成すること。

② 作成した献立表については、事前に提示すること。

(2) サービスの実施方法

① サービスの実施方法をマニュアルとして定め、サービス従事者に徹底すること。

② 前記のマニュアルには、次の事項を盛り込むこと。

ア サービスの利用者及び家族に対するサービス内容の説明

イ 調理、配食等の各部門別の業務分担、作業手順及び留意事項

ウ 事故の発生等の緊急時の対応

エ サービスの利用者に異常が認められた場合の対応

オ 実施したサービス内容等についての報告及び報告内容についての記録の保管

(3) 関係者等との連携

必要に応じて医師、管理栄養士、関係行政機関等とも連携が図れる体制を整えること。

(4) サービスの利用者及び家族の相談に幅広く対応し、公的サービスの紹介も含め、情報提供に努めること。

5 契約等に関する事項

(1) 契約の内容等

① サービスの開始前に、次の事項が記載された書面により契約を締結すること。また、その際、内容及び手順について事前に説明を行うこと。

ア サービスの実施主体名及び代表者名

イ 利用者氏名等

ウ サービス内容及び料金

エ サービス実施主体の免責事由

オ 契約事項の変更

② 利用者募集の際、誇大広告等により利用者に不当に期待を抱かせたり、それによって損害を与えることのないようにすること。

(2) 料金

料金は、サービス提供に要する費用に応じた適切な額とすること。

(3) 苦情処理、損害賠償

① 事業者は、安全な食事を提供するという観点から、利用者の苦情に対し、迅速かつ円滑な解決を図るため、窓口を設ける等利用者等の利便に配慮してその苦情処理に努めるものとすること。

② 事業者は、利用者に対するサービスの提供により、事業者の責に帰すべき事由に基づく事故が発生した場合は、利用者に対しての損害賠償を速やかに行うものとすること。

(4) 安定的なサービス提供の確保

事業者は、在宅配食サービスを確実に提供するという観点から、本サービスの全部又は一部の遂行が困難となった場合に備えて、利用者に対する食事の提供が滞ることのないよう必要な措置を講じること。