添付一覧
○老人福祉施設機能強化等モデル事業の実施について
(平成八年三月二八日)
(老計第六〇号)
(各都道府県老人福祉主管部(局)長あて厚生省老人保健福祉局老人福祉計画課長通知)
地域における高齢者福祉サービスの拠点である特別養護老人ホーム及びケアハウス等の老人福祉施設の一層の機能強化を図るため、「老人保健健康増進等事業」を活用し、これら施設の機能強化のための先駆的な事業や調査事業を実施することとし、別紙のとおり実施要綱を定め、平成八年度より適用することとしたので、管下市町村に対し周知徹底を図るとともに、本事業の円滑な実施について十分配意願いたい。
なお、平成七年一月一〇日老計第三号本職通知「老人福祉施設機能強化等モデル事業の実施について」は平成七年度限りで廃止する。
(別紙)
老人福祉施設機能強化等モデル事業実施要綱
一 趣旨
要援護老人が安らかな老後を送るための老人福祉施策を推進するには、地域における福祉サービスの拠点である特別養護老人ホーム及びケアハウス等老人福祉施設の一層の機能強化を図ることが必要である。ついては、「老人保健健康増進等事業」を活用し、これら施設の機能強化を図るための先駆的事業や調査事業を実施し、今後の老人福祉の推進に資することを目的とする。
二 モデル事業の種類
(1) 契約制特別養護老人ホーム運営事業
(2) ケアハウスにおけるホームヘルパー活用促進事業
(3) 特別養護老人ホーム機能回復訓練強化事業
(4) 特別養護老人ホーム入所者等に関する調査事業
(5) その他老人福祉施設の機能強化のための先駆的事業
三 実施方法
(1) 二の(1)、(2)及び(3)の事業については、別添一、二及び三の実施要領に基づき実施すること。
(2) 事業の実施に当たっては、実施主体の実情に応じ創意工夫をするなど、弾力的な実施に努めること。
四 報告
事業が完了したときは、別途指示するところにより報告すること。
なお、二か年継続事業については、毎事業年度毎に報告すること。
五 経費の負担(国庫補助)
事業に要する経費については、「老人保健事業推進費等補助金」(老人保健健康増進等事業分)により補助し、補助額は、一事業概ね二〇〇万円を上限とすることとしていること。
なお、これによりがたい場合は別途協議されたいこと。
別添一
契約制特別養護老人ホーム運営事業実施要領
一 目的
高齢者の多様なニーズに対応するため、措置入所とは別に契約による入所形態の特別養護老人ホームをモデル的に運営し、その実施上の問題点を把握し、今後のあり方の確立に資する。
二 実施主体
都道府県又は市町村とする。なお、特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人に委託することができる。
三 契約制特別養護老人ホームの性格
事業の性格は、特別養護老人ホームの附帯事業とする。
四 事業の実施期間
事業の実施期間は、原則として二か年とする。
五 実施施設
地域における中核施設として施設運営が安定かつ健全であることとし、在宅福祉サービスを積極的に実施している施設(モデル指定期間二年間)
六 指定地域
モデル事業としての多様性を持たせるため、実施区域は大都市、地方都市、郡部、農山村地域等の各地域で実施する。
七 既存特養との区分、整理等について
(1) 施設
ア 別棟の新設を基本とし、居室は個室又は夫婦部屋を原則とする。居室以外の設備については、措置による入所の者の処遇に支障がない場合には共用できるものとする。
イ 既存の建物の一部を使用して実施する場合は、措置入所部分に係る居室以外の居室を独自に有しているほか、共用部分については国庫補助基準面積以上に整備し、契約による入所者が使用しても、措置入所者の処遇に支障がないことを要件に実施できるものとする。
ウ 特別養護老人ホームの新設にあわせて契約部分を合築で設ける場合には、措置施設と契約部分は階を別にする等により明確に区分すること。
(2) 職員
措置入所部分と契約による入所部分の定員の合計数に見合う職員の配置を行うことを原則とする。
なお、直接処遇職員のうち、寮母については、契約制特養に配置する人員については次の基準を上回ること。
① 契約による入所者が一〇人以下の場合
入所者数を四で除した数(端数は、切り上げ)
② 契約による入所者が一〇人を越える場合
入所者数と措置入所者数を合計した人数に対して、国庫補助基準上の特別養護老人ホームの配置基準の数を確保するための数
八 入所対象者
「特別養護老人ホームと一体の附帯施設」であることを踏まえ、特別養護老人ホームの入所者に準じて、各施設で判断するものとする。
九 サービスの内容
サービスの内容については、特段の規定は設けないが、特別養護老人ホーム本体で行われているサービス水準を下回ることのないようにすること。
一〇 利用料
(1) 利用料については、基本的には施設の判断によるものとするが、施設整備費、職員人件費等の運営経費等から妥当な利用料を算定し徴収するものとすること。
(2) 入居金については、利用料の支払い保全のため、一定額を預り金として求めることは差し支えないが、入居一時金として多額の徴収は行わないこと。
一一 会計経理等
(1) 運営費については、措置費会計とは別に契約会計を設けて別経理とする。
入浴、機能訓練、調理等共用するものがあれば、それに係る光熱水費等について一定割合(人員等)で措置費会計と按分する。
(2) 契約会計の剰余金については、本部会計に繰り入れることができる。
一二 補助対象経費
事業実施に必要となる消耗品費、印刷製本費等
一三 その他
モデル指定期間終了後は、モデル指定期間中の運営実績を勘案し、原則として引き続き当該法人の事業として実施できること。
別添二
ケアハウスにおけるホームヘルパー活用促進事業実施要領
一 目的
ケアハウスにおける入所者の虚弱化の進行に対しては、外部の在宅保健福祉サービスを導入し、在宅処遇としての位置づけを行うことが必要である。
このため、在宅福祉サービスの中核的なサービスであるホームヘルプサービス事業の積極的活用により、入所者が出来る限りケアハウスで生活を続けられるような支援体制の定着化を図ることを目的としたモデル事業を実施し、運用上の問題点を明らかにし、今後のケアハウスのサービス体制の整備に資する。
二 実施主体
実施主体は都道府県又は市町村とし、ケアハウスを運営する社会福祉法人等に委託して実施する。
三 事業の実施期間
事業の実施期間は、原則として二か年とする。
四 実施方法
(1) 実施主体である市町村は、この事業の実施を委託したケアハウスにホームヘルパーの設置を委託する。
(2) ケアハウスの施設長、ホームヘルパーはケアハウス入所者のニーズに応じ、必要なサービスの提供を行うものとする。
(3) 入所者の状況に応じて、デイサービス事業、ショートステイ事業についても積極的に活用する。
(4) ホームヘルパーは、ケアハウスの入所者に対するサービス提供のほか、ホームヘルプサービスを必要とする地域の老人の家庭も訪問するものとする。
五 補助対象経費
事業の実施に必要となる消耗品費、印刷製本費等
なお、ホームヘルパーの委託に要する経費は、「在宅福祉事業費補助金(ホームヘルプサービス事業)」で対応するものとする。
別添三
特別養護老人ホーム機能回復訓練強化事業実施要領
一 目的
特別養護老人ホームにおいて、機能回復訓練のための専門職員を配置し、入所者の個々の状況に応じた機能回復又は減退防止のため訓練等を実施し、その効果等について、調査研究を行う。
二 実施主体
実施主体は都道府県及び市町村とし、特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人に委託して実施する。
三 事業の実施期間
事業の実施期間は、原則として二か年とする。
四 事業内容
(1) 特別養護老人ホームにおいて、理学療法士又は作業療法士を週一回以上雇い上げ、入所者を対象として機能回復訓練を積極的に実施する。
(2) 理学療法士及び作業療法士は次の業務を行う。
・入所者の身体機能の評価による訓練の可能性の把握
・入所者の身体機能に応じた訓練プログラムの作成
・直接処遇職員に対する機能回復訓練の実施方法についての指導
・入所者機能回復の状況の評価
・評価結果に基づく訓練プログラムの見直し等
(3) 事業の実施に当たっては、理学療法士又は作業療法士が作成した訓練プログラムに基づき、機能回復訓練指導員等と連携して実施する。
五 事業内容の特例
四によるほか、特に入所者の機能回復または減退防止に資する事業についても、モデル事業の対象とする。
六 補助対象経費
・理学療法士又は作業療法士雇い上げ経費
・事業実施に必要となる消耗品費、印刷製本費等