添付一覧
○高齢者住宅整備資金貸付制度について
(昭和六二年五月二〇日)
(社老第六七号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通達)
高齢者の福祉を増進するための住対策として、従来から「老人居室整備資金貸付制度」が実施されてきたところであるが、今般、制度を「高齢者住宅整備資金貸付制度」と改正し、内容の拡充を図ることとしたので周知徹底されたい。又、この制度に要する資金としては、従来どおり年金積立金還元融資(特別地方債)が充当されるので、事業の実施に当たつては、別添「高齢者住宅整備資金貸付制度要綱」によるほか、次の事項に留意のうえ、その推進に遺憾のないようされたい。
なお、管下市町村に対しても、この趣旨の徹底方について配意願いたい。
おつて、本通知の施行に伴い昭和四七年五月二六日社老第五二号社会局長通知は廃止する。
1 実施主体
貸付業務は、都道府県又は市町村が実施主体として行うこと。
なお、都道府県と管下市町村がこの事業を実施する場合にあつては、重複貸付のないよう相互に調整を図ること。
2 貸付けの対象者
貸付けの対象者は、六〇歳以上の親族である高齢者と同居する者であるが、当該高齢者の年齢、身体状況、家族構成、家屋規模等から高齢者向けに居室等の整備が真に必要であると認められるものであること。
3 貸付額
貸付額の決定に当たつては、同居する高齢者の数、居室等の規模、構造、当該地方における建築費用の事情等を勘案のうえ、実情に即した適正な額とすること。
4 貸付資金
貸付資金は年金積立金還元融資(特別地方債)資金を充てるものであるが、融資資金に併わせて当該地方公共団体の資金を充当して差し支えないものであること。
5 貸付利率
貸付利率については、この制度の主旨にかんがみ、実施主体において利率の引下げ、減免措置等について配慮すること。
6 既存制度との調整
既に、この制度と類似の貸付事業を行つている都道府県又は市町村にあつては、この制度と既存制度との調整を図り、効果的運用に努めること。
7 関係部課の連絡調整
本制度の実施については、都道府県における関係部課が相互に連絡を密にし、その効果的運営に努めること。
(別添)
高齢者住宅整備資金貸付制度要綱
第一 目的
この制度は、六〇歳以上の高齢者と同居する世帯に対し、高齢者の居住環境を改善するため、高齢者の専用居室等を増改築または改造(維持補修費的なものは除く。以下同じ。)するために必要な経費の貸付を行うことにより、高齢者と家族の間の好ましい家族関係の維持に寄与することを目的とすること。
第二 貸付業務の実施主体
高齢者住宅整備資金(以下「資金」という。)の貸付けは、都道府県又は市町村が行うこと。
第三 貸付けを受けることができる者
貸付けの対象となる者は、当該都道府県又は市町村の区域内に居住し、六〇歳以上の親族である高齢者と同居する者で、高齢者向けに居室等を増改築または改造することを真に必要とし、自力で整備を行うことが困難な者とすること。
第四 貸付対象となる経費
貸付けの対象となる経費は、貸付を受けることができる者が所有し、かつ、居住する住宅(本人の親族が所有し、本人の居住する住宅を含む。)について、居室等を増改築又は改造するために必要な経費とすること。
第五 貸付金の限度額
貸付金の限度額は、実施主体が当該地方における実情に応じて定める適正な額とすること。
第六 貸付けの条件
貸付けの条件は、次のとおりとすること。
1 貸付金の利率 資金運用部資金の貸出利率の範囲内
2 貸付金の償還方法 元利均等による月賦、半年賦又は年賦償還のいずれかによる。
3 償還期限 資金交付の月の翌月から起算して一〇年以内
4 延滞金 延滞金額につき年一〇%
5 保証人 原則として同一市町村内に住所を有する連帯保証人二人
第七 工事の完成
資金の貸付決定通知を受けた者は、別に定める期間内に工事に着手し、又は完成させ、そのつど速やかに都道府県知事または市町村長に届け出なければならないものとすること。
第八 繰上償還及び貸付決定の取消し
資金の貸付決定通知又は資金交付を受けた者が、次の各号の一に該当する場合は、貸付決定の取消し又は貸付金の繰上償還をさせることができること。
1 虚偽の申請その他不正な手段により貸付けを受けたとき。
2 故意に貸付金の償還を怠つたとき。
3 貸付けの目的を達成する見込みがないと認められるとき。
第九 償還方法の特例
資金の貸付けを受けた者が、災害その他やむを得ない事情のため、貸付金の償還又は利子の支払いが著しく困難になつたと認められるときは、貸付金の償還又は利子の支払いについての条件を変更することができること。
第一〇 この制度の実施に関して必要な事項は、都道府県又は市町村が条例又は規則で定めるものとすること。