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○老人家庭奉仕員派遣事業運営の改正点及び実施手続等の留意事項について

(昭和五七年九月八日)

(社老第九九号)

(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局老人福祉課長通知)

標記については、「在宅老人福祉対策事業の実施及び推進について」の一部改正(昭和五七年九月八日社老第九八号)をもつて厚生省社会局長から通知されたところであるが、なお次の事項について留意のうえ、遺漏のないようご配慮を煩わしたい。

一 今回改正の趣旨

(一) 派遣回数、時間数の増

ねたきり老人等常時の介護を要する老人の同居者が、真に十分な介護に当たることができない家庭に対する派遣を重点とし、必要な派遣回数、時間数の増加を図ることとしたこと。

(二) 臨時的介護需要への対応

家庭奉仕員の勤務体制の弾力化を図り、利用者の臨時的な介護需要にも対応することとしたこと。

このことにより、介護人派遣事業との二本立ての運用は不必要になつたので、同事業は、家庭奉仕員派遣事業に統合することとしたこと。

(三) 派遣対象の拡大について

現行家庭奉仕員の派遣対象である低所得者の家庭(原則として、その世帯の生計中心者が所得税を課せられていないものをいう。)については、引き続き無料で派遣することとし、今回加えて、ねたきり老人等の介護サービスが、一般市場では容易に得られない実情等にかんがみ所得税課税世帯に対しても有料で派遣できるようにしたこと。

二 本制度の広報について

家庭奉仕員派遣事業が、広く利用され適正に運営されるためには広報活動が極めて重要である。本制度の目的及び利用方法等について「市政だより」等の定期的広報紙を利用することはもとより、地域住民が理解しやすいように工夫された、ちらし、パンフレツト等による広報活動を積極的に行うこと。

三 対象者の実態把握について

要派遣対象者の実態把握は、事業の実施及び推進のため極めて重要であるので、要派遣対象者数及び老人の身体状況並びに家庭の状況等をできるだけ正確に把握し、個人別台帳の整備を図ること。

なお、台帳の様式については次によること。

(一) ねたきり老人台帳は、「ねたきり老人対策の実施に伴う留意事項等について」(昭和四四年五月一七日社老第六三号)本職通知の様式例第一の一によること。

(二) ひとり暮らし老人台帳は、「ねたきり老人台帳」に準じること。

四 家庭奉仕員の派遣体制の整備について

派遣の申込状況及び三で調査した潜在的派遣需要量等を勘案して、家庭奉仕員の派遣体制の整備を行うこと。

なお、整備計画の策定に当たつては次の事項に十分留意すること。

(一) 家庭奉仕員の派遣は、原則として、一日四時間、一週六日間、一週当たり延一八時間を上限としてサービス量を調整し、これに対応できる派遣体制の整備を行うようにすること。

(二) 家庭奉仕員の活動実態(訪問家庭の分布、訪問、移動時間、休憩時間等)を十分考慮すること。

(三) 家庭奉仕員の訪問先及びサービス時間数等を明記した訪問日程表を作成すること。

(四) 臨時的な介護需要にも十分対応できるよう配慮すること。

(五) ひとり暮らし老人については、老人クラブ、婦人会、近隣の者等地域社会の理解と協力を得て、つねに老人の状態を確認できる体制を整えること。

五 事業の実施手続及び留意事項

(一) 派遣の決定について

ア 派遣単位について

家庭奉仕員の派遣単位は、一時間単位を原則とすること。

イ 派遣決定通知について

派遣決定通知の内容には、次の事項を必ず明記すること。

(ア) 派遣開始期日

(イ) 一週当たりの派遣回数

(ウ) 一回当たりの派遣時間数

(エ) サービス内容

(オ) 費用の負担区分

(二) 家庭奉仕員の業務等について

ア 家庭奉仕員が本来の職務に専念できるよう体制を整えること。また、一般事務等を行わせることのないよう配慮すること。

イ 家庭奉仕員を派遣するに当たつては、利用者に対して本制度の趣旨及びサービスの範囲について周知徹底を図るよう配慮すること。

ウ 家庭奉仕員は定められた時間数で、当該家庭に対してサービスの提供を行うこと。

なお、利用者から時間数の延長等の申出があつた場合は、すみやかに管理者(上司)の指示をうけること。

エ 家庭奉仕員は、老人の人格を尊重してその業務を行うとともに、当該老人の身上及び家庭に関して知り得た秘密を守らなければならないこと。

オ 家庭奉仕員に直接費用徴収事務を行わせてはならないこと。

(三) 非常勤の家庭奉仕員の取扱いについて

臨時的な介護需要にも対応できるよう日給のほか、新たに時間給の家庭奉仕員の設置ができるようにしたところであるが、これら非常勤の家庭奉仕員の取扱いについては次によること。

ア 採用又は登録時に本人の勤務条件、勤務日数、又は勤務時間数を明確にしておくこと。

イ 台帳等を備え、臨時的な介護需要に十分対処できる体制をとること。

ウ 時間給の家庭奉仕員に対する給与支払の対象時間数は、訪問先での業務時間数とする。ただし、管理者が指示又は業務報告のため市庁舎等への立寄りを命じた場合は、それに要した時間数を含めること。

エ 老人介護人派遣事業による介護人については、当分の間、家庭奉仕員とみなすこととするが、すみやかに採用時研修を受講させるように努めること。

オ 実施主体は、業務上の災害防止に努めるとととに、災害が生じた場合に備えて労災保険等への加入について配慮すること。

六 費用負担の決定について

(一) 局長通知五―(一)にいう「生計中心者」とは、利用者の属する世帯を事実上主宰し、生計維持の中軸となる者をいうこと。

(二) 利用者の費用負担額は、原則としてあらかじめ決定した時間数に基づき月単位で決定すること。

なお、利用者の申出により臨時にその時間数に変動があつた場合は、その時間数とする。

七 利用者負担金収納事務について

(一) 収納した金額は、業務の委託の有無にかかわらず市町村の歳入として計上すること。

(二) 利用者の費用負担については、その根拠を明確にしておくこと。

八 関係諸様式について

本事業にかかる派遣申出書等は、別紙様式例を参考として、それぞれ実施主体において創意工夫を加えて作成すること。

様式1

様式2

様式3

様式4

様式5

様式6

様式7