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○軽費老人ホームの設備及び運営について

(昭和四七年三月二九日)

(社老第二四号)

(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局老人福祉課長通知)

軽費老人ホームの設備及び運営については、先般、社会局長通知(昭和四七年二月二六日社老第一七号、以下「要綱」という。)をもって示されたところであるが、この要綱の運用に当っては、さらに次の事項に留意のうえ指導監督に万全を期されたい。

1 軽費老人ホーム(A型)について

今回の改正において、改正前の要綱に基づく、軽費老人ホームは軽費老人ホーム(A型)と名称が変更されているが、要綱は軽費老人ホーム(B型)との関連において若干の字句の修正にとどめ内容の変更は行なっていないものであること。

また、これが整備も従来どおり行なうものであること。

2 軽費老人ホーム(B型)について

(1) 設置主体

設置主体は、従前同様、地方公共団体又は社会福祉法人を原則としているが、社会福祉法人にあっては、当分の間、老人ホームの経営について良好な実績を有するものに限定するものであること。

また、施設設備の効率的運用、自炊を原則とする施設の性格等から、原則として既存の老人福祉施設への併設を進める方針であること。

(2) 利用者

この施設は、自炊を原則としており、自炊ができない程度の健康状態にある者は対象としないものであること。

したがって、利用者が、食事・寝起き等日常生活において他人の介助等を必要とする状態が長期化する場合にあっては、他の適当な施設への移しかえについて配意すること。

(3) 運営費

施設の運営に要する軽費は、利用者の負担する利用料によって賄われるものであり、これに対する国の助成は考慮しないものであること。

(4) 利用料

ア 利用料の限度額は、要綱別表Ⅲに示す算定方式に基づいて算定することとされているが、限度額は、利用者負担額の最高額を示すものであり、利用者の負担軽減のため地方公共団体等が減免措置を講ずることを妨げるものではないこと。

なお、利用料の決定に当たっては、当分の間、厚生省に協議されたいこと。

イ 利用者の負担とすることができる「特別なサービスに要する経費」とは利用者個人の使用に属するガス・水道・電気等光熱水費及び一時的疾病時における深夜介護に要する経費をいうものであること。

ウ 利用料の負担が困難な者については、生活保護法の適用も考慮されるので、その申請等について指導すること。

(5) 設備・構造

ア 構造は、他の老人ホームと同様、建築基準法に規定する耐火建築物又は準耐火建築物とされているが、必ず暖房設備を設置することとされたいこと。この場合の暖房設備とは、集中暖房設備をいうものであること。

イ 居室内の調理設備には、不燃性材料による被覆等火災の防止及びガスによる事故防止に十分配慮すること。

ウ 居室は、個室方式であるが、入所者の実態等を勘案し、一定数の夫婦部屋の設置も考慮すること。

また、居室部門に便所、浴室等の設備を付設することもできるが、要綱では、これらを必置設備とせず、設置者の随意としたこと。

なお、居室部門の面積とは、居室・調理設備・洗面所・台所・収納設備・ふみ込み等利用者個人の使用に属する設備に要する面積をいうものであること。

管理人居室とは、管理人のための宿舎を想定しているものであり、管理人が当該施設に居住することにより、とくに夜間における非常事態に備えようとするものであること。

したがって、宿直をおく施設にあっては、宿直室をもってこれに替えることができるものであること。

(6) 処遇

ア 利用者の食事については、自炊が原則とされており、一時的な疾病等でそれが不能な者には施設のサービスとして食事の供与を行なうよう配慮すること。

食事の供与は、施設内設備利用のみにとどまらず、他の社会福祉施設の設備、給食サービスセンター等を利用して行なうことも差支えないこと。

イ 入所時及び入所後における健康診断を実施することはもちろん、これらの診断結果を活用することにより利用者の健康の保持、疾病の予防に努めること。

また、あらかじめ、嘱託医及び協力病院を定めておき、緊急の場合は、必要な措置が行なえる体制をとるとともに、入院治療を必要とする利用者には、安んじて療養に専念できるよう各種医療保険、生活保護関連諸施策の活用に配慮すること。

ウ 収入の途絶等のため利用料の負担が困難となる者については、その者が安んじて生活が送れるよう出身家庭との調整、関連諸施策の活用についても配慮すること。

エ 利用者が就労、その他社会参加を希望する場合は積極的にその援助に努めるとともに、施設内に作業室園芸室等を設置することにより、日常生活に生きがいを持たせるよう努めること。

オ 管理人が施設内に居住しない場合は、夜間における非常事態に備えるため、宿直を行なう等、利用者の安全に留意すること。

3 ケアハウス

(1) 利用者

利用者は、入所時に心身の障害等により、原則として自炊ができない程度であるが、その余の日常生活の維持は可能である者(ホームヘルプサービス等の一在宅保健福祉サービス等を利用することによってその余の日常生活の維持が可能である者(特別養護老人ホーム入所対象ほど重度ではない者)を含む)が対象となるものであること。

ただし、この通知の改正前に入所している者については、なお、従前の例による。

(2) 利用契約

ア 施設長は、利用者の入所時に施設の利用に関する権利・義務・利用料等必要な事項について定める契約書を利用者と取り交わすこと。

なお、その際には、契約書及び施設の規則等について十分説明を行い、その納得を得た上で契約を交わすこと。

イ 利用を希望する者が、施設の状況等を知ることができるよう短期間体験入所できる途を設けるよう努めるものとすること。

(3) 利用料

ア 施設として行うサービス以外の利用者個人の使用に属する、ガス、水道、電気等光熱水費については、利用料として徴収しても差し支えないこと。

イ 管理費の取扱い

(ア) 管理費については、利用者の所得の低い場合や夫婦で利用する場合等利用者の実態に応じ、一定の範囲内で減額しても差し支えないものであること。

(イ) 管理費の設定

a 管理費の設定に当たっては、施設の建設年次の施設整備費(土地取得費を除く)から、国庫補助額、都道府県補助額、民間施設給与等改善費の管理費加算等のうち借入金返還予定額、都道府県等の借入金返還助成額等公的補助額を差し引いた設置者負担額の範囲内の額を入所者数に応じて配分した額(以下「管理費基礎額」という。)を基礎とするものであること。

b この管理費の設定は、上限を示したものであり、地域のニーズ等を勘案し、管理費の軽減を行うことは差し支えないこと。

c 当初からの入所者との均衡及び施設の老朽化に伴う修繕費、改築等に要する費用が必要となること等に鑑み、ケアハウスが開所し、一定期間経過した後入所する者についても、管理費基礎額の範囲内で管理費を設定して差し支えないこと。

(ウ) 入所者が一定の期間(二○年を標準とする。)未満の期間以内に退所した場合においては、一括方式で支払われた管理費または、併用方式による一括納入金を一定の期間(二○年を標準とする。)から経過期間を差し引いた期間に応じ、均等払いで、退所時に利用者に返還すること。

なお、ケアハウス単独経営の社会福祉法人など財政基盤が十分でないと判断される場合であって、かつ、着工時において相当数の入居者が確保されていない場合については、十分な入居者を確保し、安定的な経営が見込まれるまでの間について、入居金の返還債務について銀行保証等が付されていること。

(4) 契約の解除

ア 利用者の状態が(1)に定める条件に該当しなくなったと認められる場合又は(ア)から(キ)までのいずれかに該当する場合には、退所の要件となり、施設長は、契約を解除できるものとする。

(ア) 利用者の条件に関して虚偽の届け出を行って入所した場合。

(イ) 利用料を支払わない場合。

(ウ) 事務費の減額の申請に当たって虚偽の届け出を行った場合。

(エ) 施設長の承認を得ないで、施設の建物、付帯設備等の造作・模様替えを行い、かつ、原状回復をしない場合。

(オ) 特別養護老人ホーム入所対象者程度の状態にもかかわらず必要な介護等を受けることができない場合。

(カ) 金銭の管理、各種サービスの利用について自分(配偶者を含む。)で判断ができなくなった場合。

(キ) その他、共同生活の秩序を著しく乱し、他の利用者に迷惑をかける場合。

イ 施設長は、入所時に契約の解除となる条件について、十分説明を行うとともに契約を解除するに至った場合具体的に理由を明示するものとすること。

また、利用者、施設側双方の契約解除事項を契約書上掲げておくことが望ましいこと。

(5) 設備・構造

ア 浴室は、個人又は数人で入れる程度の規模のものとし、シャワー設備を設けること。

また、一部介助を要する利用者も入浴できる設備を設置することが望ましいこと。

イ 居室を二階以上に設ける場合は、昇降機を設けること。

ウ 階段を設ける場合は、両側に手すりを設けること。

エ 事務室、寮母室などの管理部門の各室については、独立して設けないことができること。

また、洗濯室についても、洗濯コーナーとして設けることができること。

オ 居室には、ブザー等緊急の連絡に必要な設備を設けること。

カ 暖房設備について整備することとし、冷房設備については、地域の気候に応じ整備することが望ましいこと。

(6) サービスの提供

ア 施設が提供するサービスの内容は、あらかじめ利用者に対し、詳細に説明を行うものとし、契約書上明示されていることが望ましいこと。

イ 緊急時の対応としては、災害時の避難誘導及び関係機関への通報並びに急病等により医療が必要になった場合の処置や対応を行うものであること。

(7) 事務費の減額の取扱い

ア 事務費の減額を希望する者は、入所時及び翌年度以降年一回利用者自身の収入等に関する挙証資料を添付し、施設長に対して申請を行うものとすること。

イ 施設長は、申請の内容等を審査の上、別に定めるところにより、減額後の事務費徴収月額を認定するものとする。

なお、申請に誤りがあった場合は、利用者への追加徴収を原則とすること。

ウ 施設長は、申請書及び挙証資料について、秘密の保持と、その管理について十分留意すること。

(8) 会計処理

管理費については、全部又は一部を本部会計へ繰り入れ、当該施設の建築時の法人負担分、施設の修繕費、改築費に充当するものとすること。

(9) 諸規定

備えるべき基本的な書式・規定は以下のとおりであること。

ア 入所案内書(施設の概要、提供するサービスの内容、利用料、利用要件等)

イ 入所申込書(添付資料として、住民票、所得を証明する書類、健康診断書等)

ウ 利用契約書

エ 管理規定

オ その他、社会福祉施設として備えるべき資料