添付一覧
○老人憩の家の設置運営について
(昭和四〇年四月五日)
(社老第八八号)
(各都道府県知事あて厚生省社会局長通知)
老人福祉を増進するための施設対策として、老人福祉法による老人福祉施設のほか、従来厚生年金保険積立金還元融資及び国民年金特別融資による「老人クラブ」の整備が行なわれてきたところであるが、最近におけるその需要の増嵩と重要性にかんがみ、今般これを「老人憩の家」として、その設置運営要綱を次のとおり定め、積極的な整備を図ることとしたので、貴都道府県においても管下市町村に対しその実施方につき指導されたい。
なお、この施設の整備については、今後、社会局において取り扱うよう年金局と協議ずみであるので了知のうえ遺憾なきを期されたい。
老人憩の家設置運営要綱
第一 老人憩の家の目的
老人憩の家は、市町村の地域において、老人に対し、教養の向上、レクリエーション等のための場を与え、もつて老人の心身の健康の増進を図ることを目的とする。
第二 設置及び運営主体
老人憩の家の設置主体及び運営主体は市町村とすること。ただし、必要があるときは、その運営を社会福祉法人又は都道府県知事が適当と認めたものに委託することができること。
第三 設置及び運営の基本方針
老人憩の家の設置及び運営については、その目的にかんがみ、老人の健全な憩の場を確保し、老人の心身の健康の増進が図られるよう特に留意するものとすること。
第四 設置基準
1 立地条件について
老人憩の家の建設地は、環境、老人の分布状況等の地理的条件等を考慮し、その社会的需要に応じた効率的な利用を確保できると認められる地であること。
2 構造設備について
(1) 老人憩の家の規模は、利用予定者数、事業内容等を考慮するものとし、その延面積は四九五平方メートルの範囲内であること。
(2) 構造設備の細部については、老人憩の家設計基準(別紙1)によるものとすること。
第五 運営基準
1 利用者について
老人憩の家の利用者は、原則として六〇歳以上の者とすること。
2 利用料について
原則として、利用料は無料とすること。
ただし、特別の設備を設け、これを利用させる場合等にあつては、その利用のために必要な実費を徴収して差し支えないこと。
3 管理について
(1) 老人憩の家の設置主体は、次の事項を明らかにした管理規程を定めなければならないこと。
ア 憩の家の名称
イ 利用手続
ウ 利用者の守るべき規律
エ その他
(2) 管理上必要な細目については、老人憩の家管理基準(別紙2)によるものとすること。
別紙1
老人憩の家設計基準
1 老人憩の家の建設規模は立地条件、利用予定者数等を十分考慮すること。
2 老人憩の家の構造は原則として平屋建とすること。ただし、敷地等の制約で止むを得ず二階建とする場合には、避難用スロープ等を完備すること。
3 老人憩の家の具体的設計に当つては、あらかじめ次の諸点について考慮すること。
(1) 敷地内における施設計画については、単に建物のみに限らず、庭園、周囲の造園計画、避難用空地等をも併せて考慮すること。
(2) 湯沸場及び浴室等を設ける場合にあつては、火気を用いる部分の周囲は、不燃性材料で被覆すること。
(3) 浴室は老人の利用を考慮し、浴槽の形態、洗い場の材料等についても充分配慮すること。
(4) 集会室の広さは利用人員一人当たり一・〇平方メートル(〇・三坪)程度を基準に定めること。
(5) 階段を設ける場合には、なるべく勾配をゆるやかにし、段の高さをあまり高くしないこと。
別紙2
老人憩の家管理基準
1 老人憩の家には必ず「老人憩の家」の表示をしなければならないこと。
2 老人憩の家及びこれに附帯する設備並びに備品類の維持管理については特に留意し、補修、改修又は補充の必要があるときは、すみやかに措置しなければならないこと。
3 老人憩の家においては、常に健全、かつ、明朗な雰囲気を保ち、秩序を維持するよう努めなければならないこと。
4 老人憩の家内における火災、盗難の防止には、万全を期さなければならないこと。
5 老人憩の家の特別の設備を利用させる場合の利用料については条例に規定しなければならないこと。
6 老人憩の家においては次の事項を憩の家に掲示し、利用者に周知させなければならないこと。
ア 利用手続。
イ 特別の設備を利用する場合の利用料。
ウ 利用時間等利用者の遵守すべきこと。