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○老人福祉法の施行に伴う留意事項等について

(昭和三八年八月一日)

(社発第五二五号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)

老人福祉法(昭和三八年法律第一三三号)の施行に関しては、昭和三八年七月一五日付厚生省発社第二三五号事務次官通達「老人福祉法の施行について」その他の諸通達によつて示されたところであるが、なお、法施行に当たつて次の諸事項に留意され、遺憾のないよう御配慮を煩わしたい。

第一 老人ホームの設置認可等に係る協議及び報告について

養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの設置、廃止等については、当分の間、昭和三〇年五月二四日付社発第三九一号本職通達「生活保護法による保護施設に係る協議及び報告について」中養老施設に係る部分(記の一の(三)及び(四)並びに二の(二)の2から5まで(三)の2のロ及びハ並びに3から7まで、(四)の1のロ及び4、(五)並びに(六)を除く。)を準用すること。この場合においては、「施設の運営の方針」及び「職員の定数及び職務の内容」をもつて、「管理規程」又は「経理の方針」にかえることができるものであること。

なお、社会福祉法人の設置する養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの設置認可の協議については、当分の間、昭和三二年一月九日付社発第一二号本職通達「社会福祉法人の設立する保護施設設置認可の協議について」を準用すること。

第二 老人ホームの診療及び休養のための設置について

養護老人ホーム又は特別養護老人ホームの診療及び休養のための設備については、当分の間、昭和二九年一二月二一日付社発第一、〇一九号本職通達「養老施設、救護施設及び更生施設に設置する診療及び休養のための設備について」の規定中養老施設に係る部分を準用すること。

第三 老人ホームの実地監督について

老人ホームについては、おおむね一年に一回以上老人福祉法第一八条の規定に基づき当該職員をして実地監督を行なわせること。

なお、この場合においては、当分の間、昭和三〇年一〇月一四日付社発第七七三号本職通知「生活保護法による保護施設に対する指導監査について」の規定中養老施設に係る部分を準用すること。

第四 七〇歳以上の被措置者に係る措置費の特例について

七〇歳以上であるか又は国民年金法(昭和三四年法律第一四一号)別表に定める一級に該当する程度の廃疾の状態にある被措置者であつて、日本国民でないもの(老齢福祉年金又は障害福祉年金担当額以上の収入がある者を除く。)については、当分の間、昭和三八年八月一日付厚生省発社第二五三号事務次官通知「老人福祉法による老人保護措置費に対する国庫負担について」による「老人福祉法による養護老人ホーム及び特別養護老人ホームへの収容、養護委託並びに葬祭に関する措置費国庫負担金交付基準」の第一のただし書にいう厚生大臣の承認があつたものとして、当該被措置者の生活費に老齢福祉年金又は障害福祉年金相当額(収入がある者については、これらの福祉年金相当額から当該収入額を控除した額)の加算を行なうこと。なお、この加算を行なつた場合には、当該施設から加算の対象となつた者に対し加算額に相当する額を交付するよう指導されたいこと。

第五 養老施設入所者に対する経過措置について

老人福祉法附則第二条の規定により同法第一一条第一項第二号の措置を受けて収容されている者とみなされた者については、昭和三八年七月三一日付社発第五二一号本職通知「老人ホームへの収容等の措置の実施について」の第一〇の1にかかわらず、その者が六〇歳未満であつても、当該措置の廃止を要しないこと。

第六 生活保護法における老人ホーム入所者等の取扱いについて

老人福祉法附則第一三条の規定により生活保護法の養老施設は同法から削除され、老人福祉法附則第二条の規定により同法施行の際現に存する養老施設は同法により設置した養護老人ホームとみなされ、養老施設に収容されている者は同法第一一条第一項第二号の措置を受けて収容されている者とみなされることとなり、生活保護法による保護の基準(昭和三八年四月厚生省告示第一五八号)についても別添のとおり本年七月二四日厚生省告示第三三二号をもつてその一部が改正されたところであるが、これに伴い、生活保護法による本職通達を別記により改廃し、本年八月一日からそれぞれ適用することとしたので、次の事項に留意し、関係機関に周知徹底を図られたいこと。

1 保護の決定実施

(1) 基本原則

ア 老人福祉法による措置のうち、その内容が、生活保護法による保護と同一であるものについては、老人福祉法による措置が生活保護法による保護に優先するものであること。したがつて、要保護者について老人福祉法による措置が期待される場合はつとめてこれを受けるよう指導すること。また、老人福祉法による措置が実施された場合には、その限度において生活保護法による保護は要しないものであること。

イ したがつて、老人福祉法第一一条第一項又は第二項の規定により現に養護老人ホーム若しくは特別養護老人ホームに収容され、又は養護受託者にその養護を委託されている者(以下「入所者等」という。)については同法に基づく援護が行なわれるので、生活保護法による保護は医療扶助を除き原則として適用の必要はないこと。

(2) 最低生活費の認定

ア 入所者等については老人福祉法により必要な援護が行なわれるので、基準生活費、身体障害者加算、老齢加算、被服費等の支給は、生活保護法による保護としては認められないこと。

イ 入所者等が、医療扶助を受け病院又は療養所に入院又は入所した場合には一般の場合と同様に、入院患者日用品費等の最低生活費を認定すること。

ウ 入所者等が入院外による医療扶助を受ける場合には、身体障害者加算及び老齢加算の認定については一般の場合と同様とし、それ以外の最低生活費は認定しないものとすること。

(3) 収入の認定

入所者等の収入は一般の場合と同様すべて収入認定することを原則とするが、施設が給与する金銭(第四により施設が給与するものを除く。)は収入として認定しないこと。

(4) 保護の決定

ア 入所者等に収入がある場合は、まず生活保護法による最低生活費に充当し、保護の要否及び程度を定めること。

イ 入所者等から医療扶助のための保護の申請があつたときは、本年四月一日付社発第二四六号本職通知「生活保護法による保護の実施要領について」第九の2の(2)に定める短期傷病に関する要否判定の特例により取り扱う必要のある場合があるから留意すること。

(5) 訪問調査等

入所者等から保護の開始の申請があつた場合は、一般の新規申請を受理した場合と同様に、すみやかに実地調査を行なうこと。ただし、施設長から収容前の居住地、出身世帯員及び扶養義務者の住所氏名、収入及び資産の状況等を記載した副申書の提出があつたときは、実地調査を省略して差しつかえないこと。

2 医療扶助

入所者等の医療については、従前における養老施設の被収容者の場合と同様であつて、真に施設において措置できないと認められる場合に限り、医療扶助を適用するものであること。

3 経過措置

(1) 養老施設収容者の移し替え

生活保護法により養老施設に収容されている者については、老人福祉法による措置がとられたものとみなされるので、次の要領により保護の変更又は廃止の決定を行なうこと。

なお、昭和三八年四月一日付社発第二四六号本職通達第九(保護の決定)の2の(5)のアにより被保護者とみなされている者については、被保護者に準じて取り扱うこと。

ア 移し替えにおいて、生活保護法による保護の実施責任と老人福祉法による措置の実施責任は一致するものであること。すなわち、従前の保護の実施機関である都道府県知事又は市町村長が老人福祉法による措置の実施機関となること。

イ 医療を必要としない者については、昭和三八年七月三一日限りをもつて保護を廃止すること。

ウ 医療を必要とする者については、次によること。

(ア) 昭和三八年八月の医療費見込み額が同月の収入充当額以下である者については、昭和三八年七月三一日限りをもつて保護を廃止すること。

(イ) 昭和三八年八月の医療費見込み額が同月の収入充当額をこえる者については、昭和三八年八月一日をもつて保護の変更決定を行ない、同日以降は医療扶助のみを行なうこととすること。この際、収入充当額と1の(2)により算定した最低生活費との差額を医療費の本人支払額として決定すること。

(ウ) 昭和三八年八月の収入充当額がない者については、昭和三八年八月一日をもつて保護の変更決定を行ない、同日以降は医療扶助のみを行なうこと。

(エ) イ及びウの区分のために必要な医療の要否については、施設及び医療機関と密接な連絡をとること。

(2) 費用

移し替え前に係る保護費及び保護施設事務費の支弁、負担、返還及び返還の免除並びに費用の徴収に関しては、移し替え後も従前どおりであること。

4 外国人の取扱い

(1) 生活保護法による保護に準じて養老施設に収容されている困窮外国人については、老人福祉法第一一条第一項第二号の措置がとられたものとみなし、生活保護法による被保護者の取扱いに準じて老人福祉法の措置へ移し替える手続きをとること。この場合、保護の実施責任と措置の実施責任とは一致するものであること。すなわち、保護の実施機関である都道府県知事又は市町村長が措置の実施機関となること。

(2) 老人福祉法施行後新たに同法の措置の対象となる外国人については、同法の措置の実施機関が居住地又は現在地により定まるのに対し、生活保護の実施責任は外国人登録上の居住地により定まるので、保護の実施責任と措置の実施責任とが一致しない場合が生ずること。

別記 略