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○老人診療報酬点数表の一部改正に伴う実施上の留意事項について

(平成一二年三月一七日)

(老健第五〇号)

(各都道府県老人医療主管部(局)老人医療主管課(部長)あて厚生省老人保健課長通知)

標記については、本日、「老人保健法の規定による医療に要する費用の額の算定に関する基準の一部を改正する件」(平成一二年三月厚生省告示第七八号)が公布され、平成一二年四月一日から適用されることとなったところであるが、この実施に伴う留意事項は次のとおりとし、本通知で示す以外の留意事項については、健康保険の例によるものとするので、その取扱いに遺憾のないよう関係者に対し、徹底を図られたい。

なお、従前の「老人診療報酬点数表の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」(平成一〇年三月一六日老健第三七号)及び「老人慢性疾患外来総合診療料に係る重複算定の取扱い等について」(平成一〇年三月三一日老健第六九号)貴職あて当職通知は、平成一二年三月三一日限り廃止する。

第一 老人医科診療報酬点数表に関する事項

通則

(1) 一人の患者について医療に要する費用は、第一章老人基本診療料及び第二章老人特掲診療料又は第三章介護老人保険施設入所者に対する医療に係る診療料の規定に基づき算定された点数の総計に一〇円を乗じて得た額とする。

(2) 老人基本診療料は、簡単な検査(例えば、血圧測定検査等)の費用、簡単な処置の費用等(入院の場合には皮下、筋肉内及び静脈内注射の注射手技料)を含んでいる。

(3) 老人特掲診療料は、特に規定する場合を除き、当該医療技術に伴い必要不可欠な衛生材料等の費用を含んでいる。

(4) 老人基本診療料に係る施設基準、届出等の取り扱いについては、「基本診療料の施設基準等(平成一二年厚生省告示第六七号)」に基づくものとし、その具体的な取り扱いについては別途通知する。

(5) 老人特掲診療料に係る施設基準、届出等の取り扱いについては、「老人特掲診療料の施設基準等(平成一二年厚生省告示第七九号)」に基づくものとし、その具体的な取り扱いについては別途通知する。

一 一般的医療に係る老人基本診療料

Ⅰ 老人初・再診料

通則 健康保険の初・再診料の通則の例によるものとすること。

(1) 老人初診料

① 寝たきり老人在宅総合診療料を算定する保険医療機関と連携し、二四時間連携体制加算を算定すべき体制を形成している保険医療機関の医師(以下「連携医師」という。)が、二四時間連携体制加算の趣旨に基づき初診を行った場合は、老人初診料を算定すること。

ただし、電話による場合は、算定できないものであること。

② ①を除く老人初診料の算定方法については、健康保険の初診料の算定方法の例によるものとすること。

(2) 老人再診料

① 連携医師が二四時間連携体制加算の趣旨に基づき行った場合の老人再診料は、算定できることとすること。ただし、初診を伴わない場合は老人再診料は、算定できないものであること。

② 老人慢性疾患外来総合診療料を算定している月にあっては老人外来管理加算は算定できないこと。ただし、当該診療料を算定した月において三回以上の診療を行った場合にあっては、三回目の再診に限り、当分の間、なお従前の例によることができるものであること。

③ ①及び②を除く老人再診料の算定方法については、健康保険の再診料の算定方法の例によるものとすること。

(3) 老人外来診療料

老人外来診療料の算定方法については、健康保険の外来診療料の算定方法の例によるものとすること。

Ⅱ 老人入院料等

通則

一 定数超過入院に該当する保険医療機関、医療法に定める人員標準を著しく下回る保険医療機関の取り扱いについては、「厚生大臣の定める入院患者数の基準、医師等の員数の基準及び老人入院基本料等の算定方法(平成一二年三月厚生省告示第八〇号)」に基づくものとし、その具体的な取り扱いについては別途通知する。

二 健康保険の入院料等の通則の例によるものとすること。

(1) 入院基本料

① 老人一般病棟入院基本料

ア 特定患者とは、九〇日(平成一二年九月三〇日までの間は、一八〇日とする。以下同じ。)を超える期間、同一の保険医療機関(特別の関係にある保険医療機関を含む。)の一般病棟に入院している患者であって、当該九〇日を経過する日の属する月(九〇日経過後にあってはその後の各月とする。以下、左の表において単に「月」という。)に左の表の上欄に掲げる状態等にあって、中欄の診療報酬点数に係る療養のいずれかについて、下欄に定める期間等において実施している患者(以下「基本料算定患者」という。)以外のものをいう。

なお、上欄に掲げる状態等にある患者が、退院、転棟又は死亡により下欄に定める実施の期間等を満たさない場合においては、当該月の前月に基本料算定患者であった場合に限り、当該月においても同様に取り扱うこととすること。

状態等

診療報酬点数

実施の期間等

1 難病患者等入院診療加算を算定する患者

難病患者等入院診療加算

当該加算を算定している期間

2 重症者等療養環境特別加算を算定する患者

重症者等療養環境特別加算

当該加算を算定している期間

3 重度の肢体不自由者脊髄損傷等の重度障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者及び難病患者等(注一参照)

上欄の状態にある期間

4 悪性新生物に対する治療(重篤な副作用の恐れがあるもの等に限る。)を実施している状態(注二参照)

動脈注射

上欄治療により、集中的な入院加療を要する期間

抗悪性腫瘍剤動脈内持続注入

点滴注射

中心静脈注射

骨髄内注射

放射線治療(エックス線表在治療又は血液照射を除く。)

5 観血的動脈圧測定を実施している状態

観血的動脈圧測定

当該月において二日以上実施していること

6 老人理学療法料の一イ(1)(一)に規定する理学療法等の複雑なリハビリテーションを実施している状態(患者の入院の日から起算して一八〇日までの間に限る。)

老人理学療法料(Ⅰ)、(Ⅱ)又は(Ⅲ)のうち複雑なもの

週三回以上実施している週が、当該月において二週以上であること

老人作業療法料(Ⅰ)又は(Ⅱ)のうち複雑なもの

7 ドレーン法若しくは胸腔又は腹腔の洗浄を実施している状態(注三参照)

ドレーン法(ドレナージ)

当該月において二週以上実施していること

胸腔穿刺

腹腔穿刺

8 頻回に喀痰吸引を実施している状態(注三参照)

喀痰吸引

一日に八回以上(夜間を含め約三時間に一回程度)実施している日が、当該月において二〇日以上であること

気管支カテーテル薬注入法

9 人工呼吸器を使用している状態

間歇的陽圧吸入法

当該月において一週以上使用していること

人工呼吸

10 人工腎臓又は血漿交換療法を実施している状態

人工腎臓

各週二日以上実施していること当該月において二日以上実施していること

血漿交換療法

11 全身麻酔その他これに準ずる麻酔を用いる手術を実施し、当該疾病に係る治療を継続している状態(当該手術を実施した日から起算して三〇日までの間に限る。)

脊椎麻酔

開放点滴式全身麻酔

マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔

注一 3の上欄に掲げる状態等にある患者は具体的には以下のような状態等にあるものをいうものであること。

a 重度の肢体不自由者、脊髄損傷等の重度障害者及び重度の意識障害者

b 以下の疾患に罹患している患者

筋ジストロフィー、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病(ヤールの臨床的症度分類のステージ三以上でかつ生活機能症度Ⅱ度又はⅢ度のものに限る。)、シャイ・ドレーガー症候群、クロイツフェルト・ヤコブ病及び亜急性硬化性全脳炎

注二 4の「重篤な副作用の恐れがあるもの等」とは、以下のものであること。

a 肝障害、間質性肺炎、骨髄抑制、心筋障害等の生命予後に影響を与えうる臓器障害を有する腫瘍用薬による治療

b 放射線治療

c 末期の悪性新生物に対する治療

注三 7に係る胸腔穿刺又は腹腔穿刺を算定した場合は、当該胸腔穿刺又は腹腔穿刺に関し洗浄を行った旨を診療報酬明細書に記載すること。

また、8に係る喀痰吸引を算定した場合は、当該喀痰吸引を頻回に行った旨を診療報酬明細書に、その実施時刻及び実施者について診療録等に記載すること。

注四 基本診療料の施設基準等(平成一二年三月厚生省告示第六七号)別表第四に規定する「前各号までに掲げる状態に準ずる状態にある患者」は、定められていない。

イ 基本料算定患者が九〇日を超える期間一般病棟に入院している場合は、平均在院日数の算定の対象から除外するものであること。このため、基本料算定患者を入院させる保険医療機関においては、当該患者の人数等が明確に分かるような名簿を月ごとに作成し、適切に管理しておく必要があること。

ウ 特定患者が、包括病床群((3)①の老人一般病棟入院医療管理料に規定する包括病床群をいう。)の届出を行っていない病床に入院している場合については、老人特定入院基本料(九三七点)を算定すること。

なお、この場合、老人特定入院基本料に含まれる検査、投薬、注射及び別に厚生大臣が定める処置の費用とは、それぞれ次のものをいう。

a 検査の費用 老人医科診療報酬点数表 第二章第三部検査に係る費用

b 投薬の費用 老人医科診療報酬点数表 第二章第五部投薬に係る費用

c 注射の費用 老人医科診療報酬点数表 第二章第六部注射に係る費用

d 処置の費用 老人医科診療報酬点数表 第二章第九部処置のうち次のものに係る費用(当該処置に伴う薬剤料及び特定保険医療材料料を含む。)

創傷処置(熱傷処置を除く)、湿布処置、喀痰吸引、摘便、酸素吸入、酸素テント、皮膚科軟膏処置、膀胱洗浄、留置カテーテル設置、導尿(間歇的導尿を除く。)、膣洗浄、眼処置、耳処置、耳管処置、鼻処置、口腔、咽頭処置、喉頭処置、ネブライザー、超音波ネブライザー、消炎鎮痛処置及び鼻腔栄養

エ 浣腸、注腸、吸入等基本診療料に含まれるものとされている簡単な処置に際して薬剤又は特定保険医療材料を使用した場合の当該薬剤又は特定保険医療材料に係る費用は、老人特定入院基本料に含まれるものであること。

また、老人特定入院基本料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、老人特定入院基本料に含まれているものであるため別に算定できない。

オ その他老人一般病棟入院基本料の算定方法については、健康保険の一般病棟入院基本料の算定方法の例によるものとすること。

② 老人療養病棟入院基本料

ア 老人療養病棟入院基本料に含まれる検査、投薬、注射及び別に厚生大臣が定める処置の費用等の取扱いは、①ウのなお書き以下及び同エの例によること。この場合、「老人特定入院基本料」とあるのは、「老人療養病棟入院基本料」と、「c 注射の費用 老人医科診療報酬点数表第二章第六部注射に係る費用」とあるのは、「c 注射の費用 老人医科診療報酬点数表第二章第六部注射に係る費用(エリスロポエチン(人工腎臓又は腹膜潅流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)を除く。)」とそれぞれ読み替えるものとすること。

イ 患者が他の病棟から老人療養病棟入院基本料を算定する病棟に移動した日においては、当該患者について老人療養病棟入院基本料を算定する。当該移動の日に行った検査、投薬、注射及び厚生大臣が定める処置の費用は、老人療養病棟入院基本料に含まれ、他の病棟等において算定できない。

ウ その他老人療養病棟入院基本料の算定方法については、健康保険の療養病棟入院基本料の算定方法の例によるものとすること。

③ 老人結核病棟入院基本料

④ 老人精神病棟入院基本料

⑤ 老人特定機能病院入院基本料

⑥ 老人専門病院入院基本料

⑦ 老人障害者施設等入院基本料

③から⑦までの老人入院基本料の算定方法については、健康保険の入院基本料の算定方法の例によるものとすること。

⑧ 老人病棟老人入院基本料

ア 老人病棟老人入院基本料に含まれる検査、投薬、注射及び別に厚生大臣が定める処置の費用等の取扱いは、①ウのなお書き以下及び同エの例によること。この場合、「老人特定入院基本料」とあるのは、「老人病棟老人入院基本料」と、「c 注射の費用 老人医科診療報酬点数表第二章第六部注射に係る費用」とあるのは、「c 注射の費用 老人医科診療報酬点数表第二章第六部注射に係る費用(エリスロポエチン(人工腎臓又は腹膜潅流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)を除く。)」とそれぞれ読み替えるものとすること。

イ 患者が他の病棟から老人病棟老人入院基本料を算定する病棟に移動した日においては、当該患者について老人病棟老人入院基本料を算定する。当該移動の日に行った検査、投薬、注射及び厚生大臣が定める処置の費用は老人病棟老人入院基本料に含まれ、他の病棟等において算定できない。

ウ 老人病棟入院基本料を算定する病棟は、老人慢性疾患の患者を入院させる施設として特に認められたものであり、他の病棟への移動は医療上特に必要がある場合に限るものとし、単に検査のために短期間他の病棟に転棟すること等は認められないこと。

なお、必要があって他の病棟へ移動した場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書に詳細を記入すること。

⑨ 老人有床診療所入院基本料

老人有床診療所入院基本料の算定方法については、健康保険の有床診療所入院基本料の算定方法の例によるものとすること。

⑩ 老人有床診療所療養病床入院基本料

ア 老人有床診療所療養病床入院基本料に含まれる検査、投薬、注射及び別に厚生大臣が定める処置の費用等の取扱いは、①ウのなお書き以下及び同エの例によること。この場合、「老人有床老人特定入院基本料」とあるのは、「診療所療養病床入院基本料」と、「c 注射の費用 老人医科診療報酬点数表第二章第六部注射に係る費用」とあるのは、「c 注射の費用 老人医科診療報酬点数表第二章第六部注射に係る費用(エリスロポエチン(人工腎臓又は腹膜潅流を受けている患者のうち腎性貧血状態にあるものに対して投与された場合に限る。)を除く。)」とそれぞれ読み替えるものとすること。

イ その他老人有床診療所療養病床入院基本料の算定方法については、健康保険の有床診療所療養病床入院基本料の算定方法の例によるものとすること。

(2) 老人入院基本料加算

入院時医学管理加算等の算定方法については、健康保険の入院基本料加算の算定方法の例によるものとすること。

(3) 特定入院料

① 老人一般病棟入院医療管理料

ア 老人一般病棟入院医療管理料は、別に厚生大臣が定める基準に適合している保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した一般病棟の包括病床群(以下「包括病床群」という。)に入院している特定患者((1)①アに規定する特定患者をいう。)について算定するものであること。

イ 包括病床群に特定患者以外の患者が入院した場合は、老人一般病棟入院医療管理料を算定することとすること。

ウ 包括病床群に入院している特定患者の平均在院日数の算定からの除外については、当該患者の入院する保険医療機関(特別の関係にある保険医療機関を含む。)の一般病棟において一八〇日を超えて入院しているもので、かつ、入院期間のうち九〇日を超えて老人一般病棟入院医療管理料を算定しているものを対象とすること。

なお、平成一二年九月三〇日までの間は、二七〇日を超えて入院している患者について適用するものとすること。

また、平成一二年三月三一日時点において、改正前の老人診療報酬点数表の特定長期入院患者として老人長期入院医療管理料を算定している患者については、平成一二年六月三〇日までの間に限り、老人一般病棟入院管理料を算定する場合について除外できること。

エ 老人一般病棟入院医療管理料に含まれる検査、投薬、注射及び別に厚生大臣が定める処置の費用等の取扱いは、(1)①ウのなお書き以下及び同エの例によること。この場合において、「老人特定入院基本料」とあるのは、「老人一般病棟入院医療管理料」と読み替えるものとすること。

② 老人性痴呆疾患治療病棟入院料

ア 老人性痴呆疾患治療病棟入院料は、精神症状及び行動異常が特に著しい重度の痴呆患者にふさわしい急性期に重点をおいた集中的な老人性痴呆疾患治療病棟入院医療を行うため、老人性痴呆疾患治療病棟入院医療を行うのにふさわしい体制等が整備されているものとして、別に厚生大臣が定める基準に適合していると保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した病棟に入院している患者について算定するものとすること。

イ 老人入院基本料加算の地域加算、精神科措置入院診療加算及び本表第二章第八部精神科専門療法(医科点数表第二章第八部精神科専門療法に掲げるもののうち本表第二章第八部においてその例によることとされるものを含む。)に係る費用を除き、診療に係る費用は、老人性痴呆疾患治療病棟入院料に含まれるものであること。

ウ 患者が他の病棟から老人性痴呆疾患治療病棟入院料を算定する病棟に移動した日又は老人性痴呆疾患治療病棟入院料を算定する病棟から他の病棟に移動した日に行った診療に係る費用は、老人性痴呆疾患治療病棟入院料に含まれるものであること。

エ 老人性痴呆疾患治療病棟入院医療を行う病棟は重度痴呆患者を入院させる施設として特に認められたものであり、他の病棟への移動は医療上特に必要がある場合に限るものとし、単に検査のために短期間他の病棟に転棟すること等は認められないものであること。

なお、必要があって他の病棟へ移動した場合は、その医療上の必要性について診療報酬明細書に詳細に記載すること。

オ 老人性痴呆疾患治療病棟入院料を算定する日に使用するものとされた投薬に係る薬剤料は、老人性痴呆疾患治療病棟入院料に含まれているため、別に算定できないものであること。

カ 生活機能回復のための訓練及び指導の内容の要点及び実施に要した時間については、診療録等に記載すること。

③ 老人性痴呆疾患療養病棟入院料

ア 老人性痴呆疾患療養病棟入院料は、精神症状及び行動異常が著しい痴呆患者にふさわしい老人性痴呆疾患療養病棟入院医療を行うため、看護補助者の重点的な配置等老人性痴呆疾患療養病棟入院医療を行うのにふさわしい体制等が整備されているものとして、別に厚生大臣が定める基準に適合していると保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した病棟に入院している患者について算定するものであること。

イ 痴呆患者の作業療法の経験を有する看護婦が一人以上勤務する場合は、必ず作業療法士が週一回以上患者の作業療法について実際に患者の改善状況等の観察に基づき評価を行い、その評価については診療録等に記載するものとすること。

ウ ア、イ以外の老人性痴呆疾患療養病棟入院料の取扱いは、老人性痴呆疾患治療病棟入院料のイからカの例によること。この場合、「治療病棟」とあるのは「療養病棟」と、「重度痴呆患者」とあるのは「痴呆患者」と読み替えること。

④ 診療所老人医療管理料

ア 診療所老人医療管理料は、在宅療養計画を策定し、その計画に基づき、居宅において療養を行っている者(他の保険医療機関において現に在宅療養計画に基づく在宅療養を行っている者を含む。)の適切な在宅医療を確保するための診療を目的として入院させるものとして、別に厚生大臣が定める基準に適合していると保険医療機関である診療所が届出をし、都道府県知事が受理した当該診療所に入院している患者について算定するものであること。

イ 診療所老人医療管理料には、すべての診療に要する費用(老人入院基本料加算の地域加算を除く。)が含まれているものであり、入院の日から退院の日までの間においては、入院及び退院の時間が午前又は午後であるか否かにかかわらず、他の診療料の算定は行わないものであること。

ウ 同一日において入退院があった場合は、診療所老人医療管理料の算定は行わないものであること。

エ 診療所老人医療管理料を算定する患者が退院した後に再度入院を要する場合は、退院後一か月以上経過しない場合は、当該診療所老人医療管理料として六五九点を算定するものであること。

オ 診療所老人医療管理料の算定に当たって主治医は、患者の病態から判断し二日を超えて継続して入院させる必要があるか日々把握するものであること。

カ 診療所老人医療管理料を算定した場合は、その旨診療録に記載するものであること。

(4) 老人短期滞在手術基本料

老人短期滞在手術基本料

老人短期滞在手術基本料の算定方法については、健康保険の短期滞在手術基本料の算定方法の例による。

二 一般的医療に係る老人特掲診療料

Ⅰ 指導管理等

(1) 老人慢性疾患外来総合診療料

① 老人慢性疾患外来総合診療料(以下「外来総合診療料」という。)は、別に厚生大臣が定める慢性疾患を主病とする患者(以下「老人慢性疾患患者」という。)に対し、計画的な医学管理の下に、適切な外来医療を提供する観点から設定されたものであり、これにより老人慢性疾患患者の心身の特性にふさわしい外来医療の提供を図るものであること。

② 老人慢性疾患外来総合診療料届出保険医療機関における外来総合診療料の算定については、原則として当該届出保険医療機関のすべての老人慢性疾患患者を対象とするものである。したがって、当該保険医療機関が、個々の老人慢性疾患患者について、外来総合診療料を算定するか否かを選択することはできないものであること。

ただし、当該患者の病状が急性増悪等の状態にある場合においては、その旨を診療報酬明細書に付記することにより、その間における月にあってはこの限りではないこと。

③ 外来総合診療料の算定に当たっては、初回の診療時において患者に対して当該診療料の趣旨を十分説明し、その同意を得ること。

④ 別に厚生大臣が定める施設基準に適合していると保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した保険医療機関が、老人慢性疾患患者に対して、老人初診料を算定すべき初診を行った日又は退院の日の属する月の翌々月以降に、外来療養計画に基づき、全身的な医学管理の下に栄養、安静、運動、日常生活、その他療養上必要な指導及び診療を行ったときに月二回を限度として算定すること。ただし、当該初診の日又は退院の日が月の一日である場合は翌月から算定すること。

⑤ 往診又は電話等による再診時に行われた指導及び診療は、外来総合診療料の算定の基礎となる指導及び診療とはならないこと。

⑥ 主病とは、当該患者の全身的な医学管理の中心となっている疾患をいうものであり、対診又は依頼により検査のみを行っている保険医療機関にあっては外来総合診療料は算定できないものであること。

また、二以上の診療科にわたり受診している場合においては、主病と認められる慢性疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定すること。

⑦ 外来総合診療料には、当該患者に対して行われた主病に係る生活指導並びに検査、投薬及び注射の費用(往診時に行われたものを含む。)は、すべて所定点数に含まれること。

⑧ 外来総合診療料は、当該患者に対して主病である慢性疾患の診療を行っている一保険医療機関が算定するものであること。

⑨ 当該患者が提示した健康手帳により他の保険医療機関が当該患者について外来総合診療料を算定していることの判別が困難である等やむを得ない事由により、当該患者に対して外来総合診療料を算定すべき医療として指導及び診療を行った場合にあっては、当該患者について他の保険医療機関が外来総合診療料を算定していることについて当該保険医療機関が知り得るまでの期間における当該指導及び診療に係る費用については、⑧は適用しないこと。

⑩ 策定する外来療養計画(特に、他の保健、医療又は福祉サービスとの連携の要点)を診療録に記載すること。

⑪ 老人慢性疾患外来総合診療は、同一の患者に対しては継続的に行うことが望ましいこと。

⑫ 当該点数算定の対象者が、保険医の専門外等の理由により他の保険医療機関を受診する場合には、診療の状況を示す文書を当該他の保険医療機関に交付する等十分な連携を図るとともに、当該他の保険医療機関名を診療録に記載すること。

⑬ 外来総合診療料を算定した場合は、当該患者の診療報酬明細書に外来総合診療料の対象となった傷病名を明示するとともに、当該患者の健康手帳の医療の記録に係るページに医療機関名、診療年月日を記載し、「その他必要事項」欄に「外来総合」と付記すること。

⑭ 同一月内において、院外処方せんを交付した老人慢性疾患外来総合診療と院外処方せんを交付しない老人慢性疾患外来総合診療とが行われた場合は、当該月の算定は、外来総合診療料のイで算定するものであること。

⑮ 外来総合診療料のイを算定する保険医療機関において投与期間が三〇日を超える薬剤を含む院外処方せんを交付した場合は、その投与期間に係る外来総合診療料の算定に当たっては、外来総合診療料のイで算定するものであること。

⑯ 外来総合診療料は、当該算定対象患者が自院に入院した場合にあっては、入院した日の属する月においては算定できない。

⑰ 本表第二章第二部在宅医療のうち往診料を除く各区分に掲げる費用の額(医科点数表第二章第二部在宅医療に掲げるもののうち本表第二章第二部の注においてその例によることとされるものを含む。)に係る費用を算定した患者については外来総合診療料は算定できないものであること。

⑱ 外来総合診療料の重複算定時の取扱い

外来総合診療料は、主病である慢性疾患の診療を行っている一保険医療機関が算定するが、前記の⑨に該当する場合は、一時的に複数の保険医療機関が外来総合診療料を算定することとなることから、当該事実が判明した場合の取扱いは、以下によること。

(1) 市町村又は保険者は、診療報酬明細書の点検等において外来総合診療料の重複算定が判明した場合、患者に対して外来総合診療料の趣旨を説明し適切な受診の指導を行うとともに、審査支払機関に対して当該患者及び重複算定となっている保険医療機関に関する情報を連絡する。

(2) 審査支払機関は、市町村又は保険者からの依頼等により重複算定となっている事実が判明した場合、次に掲げる方法により取り扱う。

① 保険医療機関に対して外来総合診療料の算定が重複している旨(当該患者名及び他の外来総合診療料算定保険医療機関名を含む。)を連絡し、別途の方針に基づき、今後いずれの保険医療機関において外来総合診療料を算定すべきかについて、患者の意思を踏まえて判断するよう審査委員会審査委員長(会長)名により依頼する。

なお、審査支払機関は、保険医療機関に連絡する場合、重複算定がやむを得ない理由によることを確認することとするが、それまでの間、診療報酬明細書は審査支払機関において保留しておくものとする。

② 「やむを得ない理由」とは、次に掲げる事由のため他の保険医療機関において既に外来総合診療料を算定していることを把握できない場合をいう。

ア 当該患者の健康手帳が更新された場合

イ 当該患者が健康手帳を紛失した場合

ウ 災害による緊急時等のため健康手帳の提示がなかった場合

(3) 審査支払機関から(2)の①の連絡があった時点以降については、事由にかかわらず、一保険医療機関のみが外来総合診療料を算定できるものであること。

(4) 外来総合診療料の重複算定が判明した場合の方針(別途の方針)

一 患者が外来総合診療料の算定について、いずれかの保険医療機関を選択した場合にあっては、当該選択された保険医療機関が外来総合診療料を算定する。

二 一以外の場合にあっては、中断なく外来総合診療料を算定していた保険医療機関であって、当該診療料の初回算定日の早い保険医療機関が老人慢性疾患外来総合診療料を算定する。

⑲ 外来総合診療料と老人慢性疾患生活指導料の重複算定の取扱い

他の保険医療機関において、外来総合診療料を算定している患者に対しては、当該保険医療機関の医師が他の保険医療機関の医師と連携して当該患者の栄養、安静、運動、日常生活その他療養上必要な指導を行った場合には、老人慢性疾患外来共同指導料を算定することとなっており、当該保険医療機関においては、老人慢性疾患生活指導料は算定できない。しかしながら、⑱の(2)の②と同様のやむを得ない理由により、当該患者が外来総合診療料を算定していることの判別が困難であり、老人慢性疾患生活指導料を算定した場合にあっては、当該患者について他の保険医療機関が外来総合診療料を算定していることを当該保険医療機関が知り得るまでの期間における老人慢性疾患生活指導料の算定については、その限りでない。

なお、当該外来総合診療料の算定前に老人慢性疾患生活指導料を算定したことが判別できなかった場合についても、同様の取扱いとする。

(2) 老人慢性疾患外来共同指導料

① 老人慢性疾患外来共同指導料は、他の保険医療機関において外来総合診療料を算定している患者に対して、当該保険医療機関の医師が外来総合診療料算定保険医療機関の医師と連携して当該患者の栄養、安静、運動、日常生活その他療養上必要な指導を行った場合に月二回を限度として算定すること。

② 老人慢性疾患外来共同指導料は、悪性新生物及び慢性疾患(「老人特掲診療料の施設基準等」平成一二年三月厚生省告示第七九号)(別表第一に掲げる慢性疾患に限る。)を有する患者について算定するものであること。

③ 老人慢性疾患外来共同指導料は、老人初診料を算定すべき初診を行った日又は退院の日の属する月の翌々月(当該初診の日又は退院の日が月の一日である場合は翌月)から算定すること。

ただし、初診の日から一月以上経過した日に行った指導はその属する月から算定する。

④ 老人慢性疾患外来共同指導料の算定に当たっては、初回の診療時において患者に対して当該指導料の趣旨を十分説明し、その同意を得ること。

⑤ 老人慢性疾患外来共同指導料を算定した場合は、その指導の要点を診療録に記載するとともに、指導の状況を示す文書を当該外来総合診療料届出保険医療機関に交付する等十分な連携を図ること。

⑥ 再診が電話等により行われた場合にあっては、老人慢性疾患外来共同指導料は算定できないこと。

⑦ 老人慢性疾患外来共同指導料算定対象患者が自院に入院した場合にあっては、入院した日の属する月においては算定できないこと。

(3) 老人慢性疾患生活指導料

① 老人慢性疾患生活指導料は、老人の心身の特性を考慮し、在宅療養の充実を図る見地から患者のほかその家族等についても指導の対象とするものであること。

② 老人慢性疾患生活指導料は、悪性新生物及び別に厚生大臣が定める慢性疾患を主病とする患者又はその家族等に対して指導を行った場合に算定できるものであること。

③ 外来総合診療料を算定すべき要件に該当する患者については、老人慢性疾患生活指導料は算定できないものであること。

④ ①、②及び③を除く老人慢性疾患生活指導料の算定方法については、健康保険の特定疾患療養指導料の算定方法によるものとすること。

(4) 老人在宅療養指導料

老人在宅療養指導料の算定方法については、健康保険の在宅療養指導料の算定方法の例によるものとすること。

(5) 寝たきり老人退院時共同指導料

① 寝たきり老人退院時共同指導料は、退院後に適切な在宅療養が確保されるよう患者の退院に先立って、病院の医師と退院後主治医となる診療所の医師が共同で指導を行った場合又は病院の医師(医師の指示を受けた看護婦等を含む。)と訪問看護ステーションの看護婦等が共同で指導を行った場合に算定するものであること。

② 寝たきり老人退院時共同指導料は、介護老人保健施設の入所者が退所後に適切な在宅療養が確保されるよう患者の退所に先立って、介護老人保健施設の医師と退所後主治医となる診療所の医師が共同で指導を行った場合に算定するものであること。

③ 寝たきり老人退院時共同指導料は、算定の基礎となる退院又は退所につき、指導を行った者及び患者又はその家族等の如何を問わず、一回に限り算定するものであること。

④ 寝たきり老人退院時共同指導料は、退院又は退所して家庭に復帰する患者が算定の対象となるものであること。したがって、退院後の復帰先が特別養護老人ホーム等医師又は看護婦等が配置されている施設である場合は、算定できないものであること。

⑤ 寝たきり老人退院時共同指導料は、退院日又は退所した日に算定するものであること。

⑥ 共同で行った指導の内容の要点を診療録に記録するものであること。

⑦ 特別の関係にある病院、診療所、介護老人保健施設又は老人訪問看護ステーションにおける算定は行わないものであること。

(6) 老人退院前訪問指導料

① 老人退院前訪問指導料は、入院している患者の退院に先立って患家を訪問し、患者の病状、患家の家屋構造、介護力等を考慮しながら、患者又はその家族等退院後患者の看護に当たる者に対して、退院後の療養上必要と考えられる指導を行った場合に算定するものであること。

② 老人退院前訪問指導料は、退院して家庭に復帰する患者が算定の対象となるものであること。

③ 退院後の復帰先が特別養護老人ホーム等医師又は看護婦等が配置されている施設である場合は、算定できないものであること。

④老人退院前訪問指導料は、診療所老人医療管理料のみを算定後に家庭に復帰した患者については算定できないものであること。

⑤ 医師の指示を受けて、保険医療機関の保健婦、看護婦、理学療法士、作業療法士等が訪問し指導を行った場合にも算定できるものであること。

⑥ 老人退院前訪問指導料は、一入院につき一回に限り退院日に算定するものであること。

ただし、入院後早期に退院に向けた訪問指導の必要があると認められる場合には一入院につき二回分を退院日に算定できること。この場合にあっては、一回目の訪問指導は入院後一四日以内に診療方針の決定に当たって行われるものであり、二回目の訪問指導は在宅療養に向けた最終調整を目的として行われるものであること。

⑦ 指導又は指示内容の要点を診療録等に記載すること。

⑧ 老人退院前訪問指導に当たっては、保険医療機関における看護業務等に支障をきたすことのないよう留意すること。

⑨ 保険医療機関は、老人退院前訪問指導の実施に当たっては、市町村の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配意すること。

⑩ 入院期間は、暦月で計算するものとすること。

(7) 痴呆患者在宅療養指導管理料

① 精神症状及び行動異常が著しい通院中の痴呆患者又はその家族等家庭で患者の看護に当たる者に対して、適切な療養の方法及び看護の方法、行動異常等の発生及び症状の悪化への対処方法等の指導を行った場合に同一暦月につき一回に限り算定するものであること。

② 指導内容の要点を診療録に記載すること。

③ 実態として主病に対する治療が当該保険医療機関で行われていない場合には、痴呆患者在宅療養指導管理料は算定できないものであること。

④ 主病とは、当該患者の全身的な医学的管理の中心となっている疾患をいうものであり、対診若しくは依頼により検査のみを行っている保険医療機関にあっては算定できないものであること。二以上の診療科にわたり受診した場合においては、主病と認められる疾患の治療に当たっている診療科においてのみ算定するものであること。

⑤ 再診が電話等により行われた場合にあっては、痴呆患者在宅療養指導管理料は算定できないものであること。

⑥外来総合診療料を算定している患者については、痴呆患者在宅療養指導管理料は算定できないものであること。

⑦ 痴呆患者在宅療養指導管理料を算定している患者については、健康保険のウイルス疾患指導料及び心臓ペースメーカー指導管理料は算定できないものであること。

(8) 老人薬剤情報提供料

① 老人薬剤情報提供料は、入院中以外の患者に対して、当該患者の健康手帳の所定欄に、処方した薬剤の名称(一般名又は商品名)、保険医療機関名及び処方年月日を記載するとともに、当該薬剤に係る名称、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書(薬袋等に記載されている場合も含む。)により提供した場合に一月に一回に限り所定点数を算定するものであること。ただし、処方内容に変更があった場合については、その都度算定できるものであること。

② 入院中以外の患者に対して、処方した薬剤の名称を当該患者の健康手帳に記載せず、当該薬剤に係る名称(一般名又は商品名)、用法、用量、効能、効果、副作用及び相互作用に関する主な情報を文書により提供した場合に一月に一回に限り注二に規定する所定点数を算定するものであること。ただし、処方内容に変更があった場合については、その都度算定できるものであること。

また、やむを得ない理由により、薬剤の名称に関する情報を提供できない場合は、薬剤の形状(色、剤形等)に関する情報を代わりに提供すること。

③ 効能、効果、副作用及び相互作用に関する情報については患者が理解しやすい表現であること。

④ 複数の診療科を標榜する保険医療機関において、同一日に二以上の診療科で処方された場合であっても、一回のみの算定とするものであること。

⑤ 薬剤の処方日数のみの変更の場合は、老人薬剤情報提供料は算定できないものであること。

同一薬剤であって投与目的(効能又は効果)が異なる場合には、当該情報を提供すれば当該老人薬剤情報提供料は算定できるものであること。また、類似する効能又は効果を有する薬剤への変更の場合にあっても老人薬剤情報提供料を算定できるものであること。

⑥ 老人薬剤情報提供料を算定した場合は、薬剤情報を提供した旨を診療録に記載すること。

⑦ 老人薬剤情報提供料は、処方に係るすべての薬剤についての情報を提供した場合に算定するものであること。

Ⅱ 在宅医療

① 保険医療機関が、往診料、寝たきり老人訪問診療料、寝たきり老人末期訪問診療料、在宅患者訪問看護・指導料、在宅訪問リハビリテーション指導管理料、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者訪問栄養食事指導料及び精神科訪問看護・指導料(以下「訪問診療料等」という。)のいずれか一つを算定した日については、他のものを算定できないこと。

また、特別の関係にある保険医療機関において一の保険医療機関が訪問診療料等のいずれかを算定した日については、他の保険医療機関は訪問診療料等を算定できないこと。

ただし、寝たきり老人訪問診療等を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではないこと。

② 保険医療機関と特別の関係又は併設の関係にある介護老人保健施設において行われる通所リハビリテーション(介護保険法第七条第一二項に規定する通所リハビリテーション)に係る通所リハビリテーション費(介護保険法第四一条第四項に規定する通所リハビリテーション費)を算定した日については、当該保険医療機関は訪問診療料等を算定できないこと。

ただし、当該通所リハビリテーションを行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではないこと。

③ 保険医療機関と特別の関係にあり、かつ、当該保険医療機関の医師が訪問看護指示書を交付した訪問看護ステーションにおいて、訪問看護療養費を算定した日又は介護保険の訪問看護費を算定した日については、当該保険医療機関は訪問診療料等を算定できないこと。

ただし、当該訪問看護を行った後、患者の病状の急変等により、往診を行った場合の往診料の算定については、この限りではないこと。

④ 特別の関係にある保険医療機関等の取扱いは、健康保険の入院基本料の例によるものとすること。

⑤ 有料老人ホームに入所している在宅寝たきり老人等に対して訪問診療料等を算定した場合は、当該患者が入所している有料老人ホームの名称、訪問診療を実施した日時を診療報酬明細書に付記すること。

(1) 寝たきり老人在宅総合診療料

① 寝たきり老人在宅総合診療料

ア 寝たきり老人在宅総合診療料は、今後急増すると予想される寝たきり老人等に対し、地域医師会等との連携の下に、適切な在宅医療を提供する観点から設定されたものであり、これにより在宅の寝たきり老人等に対する診療所のかかりつけ医師としての機能の確立を図るものであること。

イ 寝たきり老人在宅総合診療料の算定は、原則として寝たきり老人在宅総合診療料届出保険医療機関のすべての在宅寝たきり老人等(月二回以上訪問診療を必要とする患者に限る。以下同じ。)を対象とする。したがって、当該保険医療機関は、個々の在宅寝たきり老人等について、寝たきり老人在宅総合診療料を算定するか否かを選択することはできないこと。

ただし、当該患者の病状が急性増悪等の状態にある場合においては、その旨を診療報酬明細書に付記することにより、その間における月にあってはこの限りでないこと。なお、この場合二四時間連携体制加算及び在宅老人ターミナルケア加算の算定は行わないものであること。

ウ 寝たきり老人在宅総合診療料届出保険医療機関が、家庭において療養している寝たきり老人等に対して、在宅療養計画に基づき月二回以上訪問診療を行った場合に算定すること。

なお、算定要件である月二回以上の訪問診療には、患者又はその家族等からの求めによる往診(老人初診料を算定する日の往診を除く。)が行われた場合を含むこととし、当該往診にかかる費用は、往診及び再診の費用で算定するものであること。

エ 作成する在宅療養計画を診療録に記載すること。特に、他の保健、医療又は福祉サービスとの連携の要点を記載すること。

オ 当該点数の算定対象患者が診療科の異なる他の保険医療機関を受診する場合には、診療の状況を示す文書を当該保険医療機関に交付する等十分な連携を図るよう努めること。

カ 当該患者の健康手帳の医療の記録に係るページの「その他必要事項」欄に「在宅総合」と記載すること。

キ 当該点数算定月に外来受診した場合においても、老人慢性疾患生活指導料、寝たきり老人訪問指導管理料、検査料、投薬料については算定できないこと。

ク 寝たきり老人在宅総合診療料を算定している患者に対して、在宅酸素療法指導管理等の在宅療養指導管理(医科点数表第二章第二部第二節各区分の指導管理(在宅寝たきり患者処置指導管理を除く。)及び寝たきり老人処置指導管理をいう。)を行った場合、在宅療養指導管理の費用は別に算定できない。

この場合にあっては、在宅療養指導管理料の各区分の「注」に規定する加算はそれぞれ算定できる。

ケ 一つの患家に寝たきり老人在宅総合診療料の対象となる患者が二人以上いる場合の寝たきり老人在宅総合診療料は、それぞれの患者について算定すること。

コ 同一月内において院外処方せんを交付した訪問診療と院外処方せんを交付しない訪問診療とが行われた場合は、当該月の算定は寝たきり老人在宅総合診療料イで算定するものであること。

サ 寝たきり老人在宅総合診療料のイを算定する保険医療機関において投与期間が三〇日を超える薬剤を含む院外処方せんを交付した場合は、その投与期間にかかる寝たきり老人在宅総合診療料の算定に当たっては、寝たきり老人在宅総合診療料のイで算定するものであること。

シ 寝たきり老人在宅総合診療料は、当該患者に対して主として診療を行っている一人のかかりつけ医師が算定するものであること。

ス 在宅末期医療総合診療料を算定した日の属する月にあっては、寝たきり老人在宅総合診療料は算定できないものであること。

② 二四時間連携体制加算

ア 二四時間連携体制加算は、在宅寝たきり老人等が安心して在宅療養ができるよう、複数の保険医若しくは保険医療機関により二四時間診療ができる連携体制が整備されていること又は診療を自ら行わない時間帯において、寝たきり老人在宅総合診療料を算定する患者の同意を得て当該患者の療養に必要な情報を他の保険医療機関の保険医に提供すること等により他の保険医療機関の保険医が緊急連絡等に対して常時診療することができる連携体制が整備されていることを評価するものである。

イ 二四時間連携体制加算(Ⅰ)は、同一保険医療機関の複数の保険医による連携体制又はこれに準ずる体制がとられている場合に、二四時間連携体制加算(Ⅱ)は、緊急時に当該患者が入院できる病床を保有する保険医療機関との連携体制がとられている場合に、二四時間連携体制加算(Ⅲ)は、当該保険医療機関の属する地域の医師会その他これに準ずるものを基盤とした連携体制がとられている場合に算定するものであること。

ウ 二四時間連携体制加算を算定する保険医療機関にあっては、患者又はその家族等に連携医師の住所、氏名及び直接連絡がとれる連絡先電話番号等又は、連携保険医療機関の住所、名称及び調整担当者の氏名並びに直接連絡がとれる連絡先電話番号等を記載した文書が必ず交付されていること。

エ 二四時間連携体制加算を算定する保険医療機関にあっては、患者又はその家族等の同意を得て、寝たきり老人在宅総合診療料の算定対象となる在宅寝たきり老人等の療養に必要な情報を連携医師に対して予め文書をもって提供し、その写しを診療録に添付しておくこと。

また、その後必要に応じて在宅寝たきり老人等の療養に必要な情報は、当該連携医師に対し随時文書をもって提供し、その写しを診療録に添付しておくこと。

オ 二四時間連携体制加算(Ⅰ)を算定する場合は、連携医師が自己の診療所の医師である場合を除き、緊急時に対応し得るよう、できる限り患家に近隣の保険医をもって連携医師とすること。

カ 連携医師にあっては、主治医から提供された在宅寝たきり老人等の療養に必要な情報を文書で保管し、自ら当該患者を診療し診療録を作成した場合には、当該文書を診療録に添付しておくこと。

ただし、二四時間連携体制加算(Ⅲ)の連携体制であって、当該情報が地域医師会等において管理されている場合は、この限りではないこと。

キ 連携医師が二四時間連携体制の趣旨に基づき行う往診は、寝たきり老人在宅総合診療料を算定する主治医が行う訪問診療とはみなさないこと。

ク 二四時間連携体制加算は、一人の患者につき月一回に限り算定できるものであり、連携医師の数に応じて算定できるものではないこと。

③ 緊急時入院体制加算

ア 緊急時入院体制加算は、緊急時入院体制が整備されているとして、別に厚生大臣が定める基準に適合しているものとして、保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した診療所に限って算定するものであること。

イ 緊急時入院体制加算を算定する有床診療所が自己の空床を使用せずに他の保険医療機関に寝たきり老人在宅総合診療料を算定する患者を入院させた場合は、その入院中の期間にあっては当該加算は算定しない。

④ 在宅老人ターミナルケア加算

在宅老人ターミナルケア加算の算定に当たっては、在宅で死亡した患者について、死亡月の前月に寝たきり老人在宅総合診療料を算定している場合に算定する。

(2) 寝たきり老人訪問診療料

① 寝たきり老人訪問診療料の算定の対象となる患者は、常時寝たきりの状態又はこれに準ずる状態にあって家庭において療養を行っている者(末期の悪性腫瘍の患者を除く。)で、かつ、通院による療養が困難なものであること。したがって、医師又は看護婦若しくは准看護婦が配置されている施設に入所している患者については算定の対象としないものであること。

② 寝たきり老人訪問診療料は、患者の病状に基づいた訪問診療の計画が立てられており、かつ、実際に当該計画に基づいて患家を定期的に訪問し、診療を行った場合に算定するものであること。

また、寝たきり老人訪問診療料の算定は週三日を限度とするが、「老人特掲診療料の施設基準等」(平成一二年三月厚生省告示第七九号)別表第二に規定する疾病等の患者ついては、この限りではないこと。

③ 診療に基づき患者の病状の急性増悪、末期の悪性腫瘍以外の終末期等により一時的に週四回以上の頻回な訪問診療の必要を認め、当該患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定め、当該計画に基づいて患家を定期的に訪問し、診療を行った場合には、当該訪問診療の必要を認めた日、当該訪問診療を行った日及び当該訪問診療が必要な旨を診療報酬明細書に付記することにより、一月に一回に限り、当該診療を行った日から一四日以内については一四日を限度として算定するものであること。

④ 寝たきり老人訪問診療料は、一日につき一回に限り算定するが、老人初診料を算定した初診の日には算定できないものであること。

⑤ 患家における診療時間が一時間を超える場合の加算の取扱い、保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が一六キロメートルを超えた場合又は海路による訪問診療を行った場合であって特殊な事情があった場合の寝たきり老人訪問診療料の算定方法及び訪問診療に要した交通費の取扱いは、健康保険の往診料の算定方法の例によるものであること。

⑥ 訪問診療の計画及び診療内容の要点を診療録に記載すること。

⑦ 緊急の場合にあっては寝たきり老人訪問診療料は算定せず、再診及び往診の費用を算定するものであること。この場合において、寝たきり老人訪問指導管理料算定期間における緊急の場合の往診の費用の算定については、寝たきり老人訪問診療料は算定せず、往診及び再診の費用を算定するものであるが、その後、当該緊急往診を必要とした症状が治まったことを主治医が判断した以降の定期的訪問診療については、寝たきり老人訪問診療料の算定対象となるものであること。

⑧ 同一の患家で二人以上の患者を診療した場合は、二人目以降の患者については寝たきり老人訪問診療料又は往診料を算定せず、初診又は再診の費用を算定するものであること。この場合において、二人目以降のそれぞれの患者の診療に要した時間が一時間を超えた場合は、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載し、注三の加算の点数を算定するものであること。

⑨ 訪問診療は一患者に対し一保険医療機関の指導管理の下に行われるべきものであること。

⑩ 下表左欄に掲げる在宅療養指導管理料を算定している患者について、寝たきり老人訪問診療料を算定する日に併せて行った下表右欄に掲げる注射又は処置の費用は算定できないものであること。

在宅療養指導管理料

注射又は処置の費用

在宅自己腹膜潅流指導管理料

人工腎臓、連続携行式腹膜潅流

在宅酸素療法指導管理料

在宅人工呼吸指導管理料

酸素吸入、酸素テント、間歇的陽圧吸入法

在宅中心静脈栄養法指導管理料

中心静脈注射

在宅成分栄養経管栄養法指導管理料

鼻腔栄養

在宅自己導尿指導管理料

膀胱洗浄、老人留置カテーテル設置、老人導尿

在宅悪性腫瘍患者指導管理料

中心静脈注射

寝たきり老人処置指導管理料

創傷処置、ストーマ処置、皮膚科軟膏処置、膀胱洗浄、老人留置カテーテル設置、老人導尿、鼻腔栄養

⑪ 寝たきり老人訪問診療料(Ⅱ)は、寝たきり老人在宅総合診療料を算定している患者について算定するものであり、寝たきり老人在宅総合診療料を算定していない患者については、寝たきり老人訪問診療料(Ⅰ)を算定すること。

⑫ 在宅老人ターミナルケア加算の算定にあっては、寝たきり老人訪問診療料を一か月以上算定する患者が、在宅で死亡した場合に算定すること。

(3) 寝たきり老人末期訪問診療料

① 寝たきり老人末期訪問診療料は、末期の悪性腫瘍である在宅寝たきり老人等に対して、患者の病状に基づいた訪問診療の計画が立てられており、かつ、実際に当該計画に基づいて患家を定期的に訪問し診療を行った場合に算定するものであること。

② 寝たきり老人末期訪問診療料の算定は、一日に二回訪問しても一日分として算定するが、訪問回数の実績は当該訪問の回数によってカウントする。

また、同一日に重複して訪問し、四回目の訪問を行った日以降は寝たきり老人末期訪問診療料(Ⅰ)又は(Ⅱ)の(2)を一日につき算定する。

③ ①及び②以外の寝たきり老人末期訪問診療料の取り扱いは、寝たきり老人訪問診療料の④から⑫の例によること。この場合、「寝たきり老人訪問診療料」とあるのは「寝たきり老人末期訪問診療料」と、「注三の加算」とあるのは「注二の加算」と読み替えるものとする。

(4) 寝たきり老人訪問指導管理料

① 寝たきり老人訪問指導管理料は、在宅の寝たきり患者を対象として寝たきり老人訪問診療料又は寝たきり老人末期訪問診療料を算定すべき訪問診療を行い、かつ、当該訪問診療に際して療養上必要な指導管理を行った場合に算定するものであること。

なお、患者の家族等についても指導の対象に含まれるものであること。

② 一回目の寝たきり老人訪問指導管理料は、老人初診料を算定した初診の日又は退院の日からそれぞれ起算して一月を経過した日以降の日に算定するものであること。

③ 寝たきり老人訪問指導管理料は、同一暦月につき一回に限り算定するものであること。

④ 寝たきり老人訪問指導管理料は、患者の病状に基づいた訪問診療の計画が立てられており、かつ、実際にこの訪問診療の計画に基づいて療養上必要な指導が行われた場合に算定するものであること。

⑤ 訪問診療の計画及び指導内容の要点を診療録に記載すること。

⑥ 一月を経過した日が休日又は翌々月の一日となる場合における一回目の寝たきり老人訪問指導管理料の取扱いについては、健康保険の特定疾患療養指導料の算定方法の例によるものとすること。

⑦ 寝たきり老人訪問指導管理料を算定した患者の同一患家において、当該患者以外の二人目以降の患者が寝たきりの状態又はこれに準ずる状態にある場合であって、その者に対する診療が診療計画に基づく定期的な診療の一環であり、その訪問診療の計画及び診療内容の要点が診療録に記載されている場合にあっては、その旨を診療報酬明細書の摘要欄に記載した上、寝たきり老人訪問指導管理料を算定できるものであること。

⑧ 寝たきり老人訪問指導管理料を算定している患者については、健康保険のウイルス疾患指導料及び心臓ペースメーカー指導管理料を算定できないものであること。また、皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ)を算定すべき指導管理を行った場合においては、寝たきり老人訪問指導管理の費用は、当該点数に含まれ、別に算定できないものであること。

(5) 退院患者継続訪問指導料

① 退院患者継続訪問指導料は、退院して家庭に復帰した患者が算定の対象となるものであること。

② 退院患者継続訪問指導料は、特別養護老人ホーム等医師又は看護婦等が配置されている施設に入所している患者については、算定の対象としないものであること。

③ 退院患者継続訪問指導料は、算定の基礎となる退院につき、指導を行った者又は患者若しくはその家族等の如何を問わず二回を限度として算定するものであること。

④ 退院患者継続訪問指導料は、寝たきり老人訪問診療、寝たきり老人末期訪問診療又は往診を行った日については、算定できないものであること。

⑤ 医師は、保健婦、看護婦等に対して行った指示内容の要点を診療録に記載すること。

⑥ 保健婦、看護婦等は、医師の指示に基づき行った指導の内容の要点を記録にとどめておくこと。

⑦ 退院患者継続訪問指導の実施に当たっては、保険医療機関における看護業務等に支障をきたすことのないよう留意すること。

⑧ 保険医療機関は、退院患者継続訪問指導の実施に当たっては、市町村等の実施する訪問指導事業等関連事業との連携に十分配意すること。

⑨ 入院期間は、暦月で計算するものとすること。

(6) 寝たきり老人処置指導管理料

① 寝たきり老人処置指導管理料の対象となる患者は、常時寝たきりの状態又はこれに準ずる状態にあり家庭において療養を行っている者のうち、自ら又はその家族等患者の看護に当たる者が創傷処置等の処置を実施することが必要かつ適切であると認められるものであること。

② 寝たきり老人処置指導管理において使用した特定保険医療材料の費用は健康保険の例により算定するものであること。

③ 寝たきり老人処置指導管理料、在宅自己注射指導管理料、在宅自己腹膜潅流指導管理料、在宅血液透析指導管理料、在宅酸素療法指導管理料、在宅中心静脈栄養法指導管理料、在宅成分栄養経管栄養法指導管理料、在宅自己導尿指導管理料、在宅人工呼吸指導管理料、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料、在宅肺高血圧症患者指導管理料、在宅悪性腫瘍患者指導管理料及び在宅自己疼痛管理指導管理料については、同一の患者に対して二以上の指導管理を行っている場合は、特に規定する場合を除き、主たる指導管理の所定点数のみにより算定すること。ただし、各区分の注に規定する加算はそれぞれ算定できるものとすること。

④ その他寝たきり老人処置指導管理料の算定方法については、健康保険の在宅寝たきり患者処置指導管理料の算定方法の例によるものとすること。

Ⅲ 検査

(1) 老人検査料

① 老人検査料のイからハまでに掲げる検査を入院中の患者に対して行った場合は、これらの検査の費用は老人入院基本料に含まれているため別に算定できないものであること。

② 老人検査料のイからハまでに掲げる検査を入院中の患者以外の患者に対して行った場合は、それぞれの所定点数を算定するものであること。ただし、イ及びハに掲げる検査については、当該検査が当該保険医療機関内で行われなかった場合には算定できないものであること。

(2) 老人精神病棟等入院時基本検査料

老人精神病棟等入院患者に対して、老人精神病棟等入院時基本検査料の注一に掲げる検査を行った場合は、これらの検査の種類、項目数又は回数にかかわらず、老人精神病棟等入院時基本検査料として、一月に一回に限り所定点数を算定するものであること。

なお、これらの検査に係る老人検体検査判断料は、老人入院基本料に含まれているため別に算定できないものであること。

(3) 老人検体検査判断料

① 老人検査料のロ及びハに掲げる検査以外の検体検査を入院中の患者に対して行った場合は、当該検査の種類又は回数にかかわらず各々月一回に限り所定点数を算定するものであること。

ただし、同一月に同一区分の老人精神病棟等検体検査判断料を算定した場合については老人検体検査判断料は算定できないものであること。

② 入院中の患者以外の患者に対して検体検査を行った場合は、当該検査の種類又は回数にかかわらず各々月一回に限り所定点数を算定するものであること。

③ 同一月内に同一患者に対して、入院及び外来の両方で検体検査を行った場合又は入院中の患者に対して複数の診療科において検体検査を行った場合における同一区分の老人検体検査判断料については、入院若しくは外来又は診療科の別を問わず、月一回に限り所定点数を算定するものであること。

④ 尿中一般物質定性半定量検査については、老人検体検査判断料の算定はできないものであること。

⑤ ①から④を除く老人検体検査判断料については、健康保険の検体検査判断料の例によるものとすること。

(4) 老人精神病棟等検体検査判断料

① 老人精神病棟等入院患者に対して、次に掲げる検査以外の検体検査を行った場合は、当該検査の種類又は回数にかかわらず各々月一回に限り所定点数を算定できるものであること。ただし、同一月に同一区分の老人検体検査判断料を算定した場合は算定できないものであること。

ア 尿中特殊物質定性定量検査(蛋白定量及び糖定量に限る。)

イ 糞便検査(潜血反応検査に限る。)

ウ 血液形態・機能検査(赤血球沈降速度測定及び末梢血液一般検査に限る。)

なお、尿中一般物質定性半定量検査については、老人精神病棟等検体検査判断料の算定はできないものであること。

② 同一月内において同一患者に対して、複数の診療科において検体検査を行った場合における同一区分の老人精神病棟等検体検査判断料については、診療科の別を問わず月一回に限り所定点数を算定するものであること。

③ ①及び②を除く老人精神病棟等検体検査判断料については、健康保険の検体検査判断料の例によるものとする。

(5) 腫瘍マーカー検査料等

① 老人精神病棟等入院患者であって、入院期間が一年を超える者に対して行う腫瘍マーカー検査、超音波検査、脳波検査、精密眼底検査、屈折検査、調節検査及び矯正視力検査については、三月に一回を限度として算定するものであること。

② ①の場合にあっても、患者の症状等から必要な場合のみ行われるべきものであり、月に一回又は三月に一回といえども画一的に行うようなことがあってはならないこと。

③ ①の検査を算定した場合は、当該検査前における直近の同一種類の検査を行った年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

④ 急性増悪等特に必要があると認められる場合において、腫瘍マーカー検査等を繰り返し行った場合にあっては、診療報酬明細書に患者の症状等を詳細に記載すること。

⑤ ①から④以外について、腫瘍マーカー検査料の算定については、健康保険の生化学的検査(Ⅱ)の腫瘍マーカーの算定方法の例によるものとすること。

Ⅳ 画像診断

(1) コンピューター断層撮影診断料

① 単純CT撮影、特殊CT撮影、脳槽CT造影又は非放射性キセノン脳血流動態検査は、急性増悪等特に必要があると認められる場合を除き、入院期間が一年を超える老人精神病棟等入院患者に対して行った場合は、一月に一回に限り算定するものであること。

② ①にかかわらず、同一の部位につき行った単純CT撮影、特殊CT撮影、脳槽CT造影又は非放射性キセノン脳血流動態検査は、急性増悪等特に必要があると認められる場合を除き、入院期間が一年を超える老人精神病棟等入院患者に対して行った場合は、三月に一回に限り算定するものであること。

③ 老人精神病棟等入院患者に対して、コンピューター断層撮影を行った場合のコンピューター断層診断料は、その種類又は回数にかかわらず、一月に一回に限り算定するものであること。

なお、入院期間が一年を超える期間においては、同一の部位につき行ったコンピューター断層撮影(磁気共鳴コンピューター断層撮影を除く。)の種類又は回数にかかわらず、急性増悪等特に必要があると認められる場合を除き、三月に一回に限り算定するものであること。

④ ②又は③の画像診断を算定した場合は、当該画像診断前における直近の同一種類の画像診断を行った年月日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

⑤ 急性増悪等特に必要があると認められる場合において、入院期間が一年を超える期間において、三月に一回を超えて同一の部位につき画像診断に掲げる項目を算定した場合にあっては、診療報酬明細書に患者の症状等を詳細に記載すること。

⑥ ①から⑤以外のコンピューター断層撮影診断料の算定方法については、健康保険のコンピューター断層撮影診断料の算定方法の例によるものとすること。

(2) 点滴注射により造影剤注入を行った場合の手技料は、入院中の患者以外の患者について、一日分の注射量が五〇〇ml以上の場合には、老人注射料ハの(一)を算定し、一日分の注射量が五〇〇ml未満の場合には、老人注射料ハの(二)を算定するものであること。また、入院中の患者については、点滴注射料又は老人精神病棟等点滴注射料により算定するものであること。

Ⅴ 投薬

投薬料の算定は、医科点数表の例によること。

Ⅵ 注射

(1) 老人注射料

① 涙のう内薬液注入、鼓室内薬液注入、軟口蓋注射、口蓋ヒヤリー氏点の注射、局所・病巣内薬剤注入、皮内注射、子宮腟部注射、耳茸内注射、咽頭注射、腱鞘周囲注射及び血液注射に係る注射料については、老人注射料のイに準ずるものであること。

② 老人注射料は、入院中の患者以外の患者に対して行った場合に算定するものであること。

なお、点滴注射を行った場合においては、点滴に係る管理に要する費用及び点滴回路に係る費用は、所定点数に含まれるものとし、その他の取扱い(無菌製剤処理加算及び血漿成分製剤加算の算定方法を含む。)は、健康保険の点滴注射の例によること。

③ 在宅自己注射指導管理料又は在宅悪性腫瘍患者指導管理料を算定している患者に対して、寝たきり老人訪問診療料又は寝たきり老人末期訪問診療料を算定する訪問診療の日に併せて行った皮下、筋肉内注射、静脈内注射又は点滴注射の費用は、算定できないものであること。

④ 地方社会保険事務局長に健康保険の無菌製剤処理の届出をし、受理された保険医療機関については、無菌製剤処理の届出があったものとみなして差し支えないこと。

(2) 点滴注射料

① 入院中の患者に対し点滴注射を行った場合は、その回数にかかわらず、入院期間が一年以内の期間にあっては一日につき四〇点を、入院期間が一年を超える期間にあっては一日につき二九点を算定するものであること。

② 点滴に係る管理に要する費用は老人入院基本料に含まれるものであること。

③ その他の取扱い(無菌製剤処理加算及び血漿成分製剤加算の算定方法を含む。)は、健康保険の点滴注射の例によること。

④ 地方社会保険事務局長に健康保険の無菌製剤処理の届出をし、受理された保険医療機関については、無菌製剤処理の届出があったものとみなして差し支えないこと。

(3) 老人精神病棟等点滴注射料

① 老人精神病棟等入院患者に対して点滴注射を行った場合に、その回数にかかわらず、一日につき二九点を算定するものであること。

② 原疾患の急性増悪、合併症等により生命に危険が及んでいた場合には、診療報酬明細書に症状等を記載の上、点滴注射料のイに掲げる所定点数を算定すること。

③ その他の取扱い(無菌製剤処理加算及び血漿成分製剤加算の算定方法を含む。)は、健康保険の点滴注射の例によること。

④ 地方社会保険事務局長に健康保険の無菌製剤処理の届出をし、受理された保険医療機関については、無菌製剤処理の届出があったものとみなして差し支えないこと。

Ⅶ リハビリテーション

(1) 老人理学療法料

① 外来移行加算は、当該保険医療機関において老人早期理学療法料を算定した患者であって、入院中の患者以外の患者に対し、診療に基づきリハビリテーション計画を策定し、当該計画に基づき、老人理学療法料(Ⅰ)又は(Ⅱ)の「(1)」を算定した場合に、退院後二月に限り所定点数を算定するものであること。

② 同一日における老人理学療法と老人作業療法の併用は、老人理学療法料(Ⅰ)又は(Ⅱ)を行う施設においてのみ算定できるものであること。ただし、脳血管疾患の患者に対するものは次によるものとすること。

ア 発症後六月を超えた遷延性意識障害、重度高次脳機能障害、両側麻痺又は重度廃用症候群等の脳血管疾患の患者に対して、同一日に老人理学療法と老人作業療法を併せて行った場合には、発症後一年に限り、主たるものの所定点数に従たるものの所定点数の一〇〇分の三〇に相当する点数を加算すること。前述以外の脳血管疾患の患者に対して行った場合には主たるもののみとすること。

イ 脳血管疾患発症後一年を超えた患者に併施を行った場合は、主たるもののみで算定すること。

ウ ここでいう脳血管疾患とは、脳内出血、脳塞栓、脳血栓、くも膜下出血、脳動脈瘤破裂等をいい、症状の発現の緩徐な慢性脳循環不全症等はこれに該当しないものであること。

③ ①及び②以外の老人理学療法料の算定方法については、健康保険の理学療法の算定方法の例によるものとすること。

(2) 老人早期理学療法料

老人早期理学療法料の算定方法については、健康保険の早期理学療法の算定方法の例によるものとすること。

(3) 老人作業療法料

① 外来移行加算は、当該保険医療機関において老人早期理学療法料を算定した患者であって、入院中の患者以外の患者に対し、診療に基づきリハビリテーション計画を策定し、当該計画に基づき、老人作業療法料(Ⅰ)又は(Ⅱ)の「(1)」を算定した場合に、退院後二月に限り所定点数を算定するものであること。

② 同一日における老人作業療法と老人理学療法の併用は、老人理学療法の②の例によるものとすること。

③ ①及び②以外の老人作業療法料の算定方法については、健康保険の作業療法の算定方法の例によるものとすること。

(4) 老人リハビリテーション総合計画評価料

① 老人リハビリテーション総合計画評価料は、老人理学療法料(Ⅰ)又は老人作業療法料(Ⅰ)に規定する別に厚生大臣が定める施設基準に適合していると保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した保険医療機関において、注に掲げる月に限り一月につき一回のみ算定するものであること。ただし、老人リハビリテーション計画評価料を算定した場合は算定できない。

② 老人リハビリテーション総合計画評価料は、定期的な医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査の結果に基づき医師、看護婦、理学療法士、作業療法士等が共同してリハビリテーション総合実施計画を作成し、これに基づいて行った理学療法又は作業療法の効果、実施方法等について共同して評価を行った場合に算定するものであること。

③ 老人リハビリテーション総合計画評価料の最初の算定が入院中に行われた患者が退院した場合については引き続き入院中の患者であるものとみなして、また、最初の算定が入院中以外に行われた患者が入院した場合については引き続き入院中以外の患者であるものとみなして算定するものであること。

ただし、当該老人リハビリテーション総合計画評価料の最初の算定が入院中以外に行われた患者が入院した場合であって、再度患者の病態等の変化を考慮の上、医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査をもとに②に掲げる要件を満たすリハビリテーション総合実施計画の作成及び評価を行った場合は入院中の患者であるものとして算定するものであること。

④ 医師等の従事者は、共同してリハビリテーション総合実施計画書(別紙一)を作成し、その内容を患者に説明のうえ交付するとともに、その写しを診療録に添付すること。

(5) 老人リハビリテーション計画評価料

① 老人リハビリテーション計画評価料は、老人理学療法料(Ⅰ)、老人理学療法料(Ⅱ)若しくは老人理学療法料(Ⅲ)又は老人作業療法料(Ⅰ)若しくは老人作業療法料(Ⅱ)に規定する別に厚生大臣が定める施設基準に適合していると保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した保険医療機関において、注に掲げる月に限り一月につき一回のみ算定するものであること。

② 老人リハビリテーション計画評価料は、定期的な医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査の結果に基づき理学療法又は作業療法の実施計画を作成し、これに基づいて行った理学療法又は作業療法の効果、実施方法等について評価を行った場合に算定するものであること。

③ 老人リハビリテーション計画評価料の最初の算定が入院中に行われた患者が退院した場合については引き続き入院中の患者であるものとみなして、また、最初の算定が入院中以外に行われた患者が入院した場合については引き続き入院中以外の患者であるものとみなして算定するものであること。

ただし、当該老人リハビリテーション計画評価料の最初の算定が入院中以外に行われた患者が入院した場合であって、再度患者の病態等の変化を考慮の上、医師の診察及び運動機能検査又は作業能力検査をもとに理学療法又は作業療法の実施計画を作成し、これに基づき行った理学療法又は作業療法の効果及び実施方法等について評価を行った場合は入院中の患者であるものとして算定するものであること。

④ 実施計画及びこれに基づいて行った理学療法又は作業療法の評価については、その内容を診療録に記載するものであること。

⑤ 実施計画の作成及び評価に当たっては、医師及び理学療法士、作業療法士等の従事者が相互に十分な連携をとって行うこととし、理学療法士又は作業療法士は医師の指導監督のもとにすべての患者の訓練の内容及びその評価についての要点を記録にとどめておくこと。

(6) 入院生活リハビリテーション管理指導料

① 入院生活リハビリテーション管理指導料は、療養病棟若しくは老人病棟(本表第一章第二部第一節に規定する老人療養病棟入院基本料及び老人病棟老人入院基本料の算定に係る老人特別入院基本料を算定すべき基準に適合するものとして届出を行った病棟は除く。)又は、老人有床診療所療養病床入院基本料を算定する診療所において、理学療法士又は作業療法士等が入院中の患者に対して、当該患者の看護若しくは介護を行う者と共同して、日常生活の自立に必要な起居、食事、整容、移動等の日常動作の訓練及び指導を行った場合に患者の入院の日から六月に限り、一週に一回に限り月四回を限度として算定するものであること。

なお、入院の日とは、当該入院生活リハビリテーション管理指導料の対象となる疾病についての入院の日をいうものであり、その取扱い並びに期間計算の方法は、老人入院基本料及び老人初診料の例によるものとすること。

② 入院生活リハビリテーション管理指導料は、医師若しくは医師の指示に基づき理学療法士又は作業療法士等が、入院中の患者の病棟において、入院生活リハビリテーション管理指導を週一回以上行った場合に算定するものであること。

③ 入院生活リハビリテーション管理指導料を算定すべき入院生活リハビリテーション管理指導を行った日においては、老人理学療法料、老人早期理学療法料及び老人作業療法料は算定できないものであること。

④ 入院生活リハビリテーション管理指導料を算定する場合にあっては、入院生活リハビリテーション管理指導を行った日時、実施者名及びその内容を診療録に記載するものであること。

(7) 入院生活リハビリテーション料

① 入院生活リハビリテーション料は、療養病棟、老人病棟又は老人有床診療所療養病床入院基本料を算定する診療所に入院している寝たきり老人等を対象とするものであること。

ただし、老人留置カテーテル設置料若しくは老人導尿料を算定している患者又は常時おむつを着用している患者については、対象とならないものであること。

② 入院生活リハビリテーション料は、看護職員及び看護補助者が充実した保険医療機関にあって入院中の患者の生活リハビリテーションを目的に当該医療機関の職員によって実施された場合に算定するものであること。

③ 入院生活リハビリテーション料を算定する患者については、入浴を実施した日時を看護記録簿等に記載するものであること。

Ⅷ 精神科専門療法

(1) 重度痴呆患者デイ・ケア料

① 精神症状及び行動異常が著しい痴呆患者の精神症状等の軽快及び生活機能の回復を目的とし、別に厚生大臣が定める施設基準に適合していると保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した保険医療機関において行った場合に算定する。

② 医師の診療に基づき、対象となる患者ごとにプログラムを作成し、このプログラムに従って行うものであって、定期的にその評価を行う等計画的な医学的管理に基づいて行うものであること。

③ 重度痴呆患者デイ・ケア料(Ⅱ)については、送迎中に当該保険医療機関の職員が機能訓練等を併せて行った場合に算定するものであること。なお、重度痴呆患者デイ・ケア料(Ⅱ)の届出施設において、送迎中の機能訓練を伴わない重度痴呆患者デイ・ケアを行った場合にあっては、重度痴呆患者デイ・ケア料(Ⅰ)の所定点数を算定するものであること。

④ 加算の対象となる食事の提供は、あくまでも治療の一環として行われるものであること。

⑤ 食事の提供に当たっては、当該保険医療機関において調理されるとともに、関係帳簿を整備すること。

⑥ 重度痴呆患者デイ・ケアの実施時刻については、診療録等に記載すること。

⑦ 重度痴呆患者デイ・ケア料の算定については、医科点数表第二章特掲診療料の第八部精神科専門療法の通則が適用されるものであること。

(2) 重度痴呆患者入院治療料

① 精神病棟において、精神症状及び行動異常が特に著しい痴呆患者を別に厚生大臣が定める基準に適合していると保険医療機関が届出をし、都道府県知事が受理した病棟に入院させ、当該患者の精神症状等の軽快及び生活機能の回復を目的として行う看護並びに生活機能回復のための訓練及び指導を行った場合に算定するものであること。

なお、②に該当しない患者又は当該入院治療によって一定程度の精神症状の軽快及び生活機能の回復が得られた患者については、重度痴呆患者入院治療料は算定できないものであること。

② 重度痴呆患者入院治療料の対象となるのは、痴呆に伴って幻覚、妄想、夜間せん妄、徘徊、弄便、異食等の症状が著しく、その看護が著しく困難な患者であること。

③ 看護並びに生活機能回復のための訓練及び指導の実施に当たっては、医師の診療に基づき心理検査の結果等を踏まえて、対象患者ごとに治療計画を作成し集中的に行うとともに、定期的にその評価を行う等計画的な医学的管理に基づいて行うこと。

生活機能回復のための訓練及び指導は、医師の指導監督のもとで、作業療法士、看護婦、精神保健福祉士等の従事者により実施されるものであること。

④ 生活機能回復のための訓練及び指導は、生活機能訓練室等において患者一人当たり一日四時間、週五回の実施を標準とするものであること。

⑤ 生活機能回復のための訓練及び指導の内容の要点及び実施時刻については、診療録等に記載するものであること。

(3) 痴呆性老人入院精神療法料

① 痴呆性老人入院精神療法とは、回想法又はR・O・法(リアリティー・オリエンテーション法)を用いて痴呆患者の情動の安定、残存認知機能の発掘と活用、覚醒性の向上等を図ることにより、痴呆疾患の症状の発現及び進行に係わる要因を除去する治療法をいう。

② 痴呆性老人入院精神療法とは、精神科医師の診療に基づき対象となる患者ごとに治療計画を作成し、この治療計画に従って行うものであって、定期的にその評価を行う等の計画的な医学的管理に基づいて実施しているものであること。

③ 精神科を担当する一人の医師及び一人の臨床心理技術者等の従事者により構成される少なくとも合計二人の従事者が行った場合に限り算定するものであること。なお、この場合、精神科を担当する医師が、必ず一人以上従事していること。

④ 一回に概ね一〇人以内の患者を対象として、一時間を標準として実施するものであること。

⑤ 実施に要した内容、要点及び時刻について診療録等に記載するものであること。

Ⅸ 処置

(1) 老人処置料

① 老人処置料の算定に係るじょく瘡処置とは、臥床に伴うじょく瘡性潰瘍又は圧迫性潰瘍に対する処置(医科点数表第二章第九部処置において、入院中の患者について算定することとされている範囲のものに限る。)をいうものであること。

② じょく瘡処置の回数及び部位数にかかわらず一日につき一回に限り算定するものであること。

③ 一年を超える入院の場合にあって創傷処置又は皮膚科軟膏処置の費用を算定する場合は、その対象傷病名を診療報酬明細書に明記すること。

(2) 老人精神病棟等処置料

① 老人精神病棟等入院患者であって入院期間が一年を超える患者に対して、老人精神病棟等処置料の注一に掲げる処置(当該処置に係るじょく瘡処置を含み、熱傷に対するものを除く。)を行った場合は、その種類又は回数にかかわらず、老人精神病棟等処置料として、一日につき一回に限り所定点数を算定するものであること。

なお、入院期間が一年を超える入院中の患者に対して行ったじょく瘡処置が、老人精神病棟等処置料の注一に掲げるもの以外の創傷処置又は皮膚科軟膏処置である場合は、老人処置料の所定点数により算定するものであること。

② 老人精神病棟等入院患者であって入院期間が一年を超える患者に対して、ドレーン法を行った場合は、その種類又は回数にかかわらず老人病棟等処置料として、一日につき所定点数を算定するものであること。

③ 老人精神病棟等入院患者であって入院期間が一年を超える患者に対して行った術後創傷処置の算定は、創傷処置に準じて取り扱うものであること。

(3) 老人留置カテーテル設置料

老人留置カテーテル設置料の算定方法については、健康保険の留置カテーテル設置の算定方法の例によるものとすること。

(4) 老人導尿料

老人導尿料の算定方法については、健康保険の導尿の算定方法の例によるものとすること。

Ⅹ 手術

手術料の算定は、医科点数表の例によること。

 麻酔

麻酔料の算定は、医科点数表の例によること。

 放射線治療

放射線治療料の算定は、医科点数表の例によること。

三 介護老人保健施設入所者に対する医療に係る診療料

介護老人保健施設には常勤医師が配置されているので、比較的病状が安定している者に対する医療については介護老人保健施設の医師が対応できることから、介護老人保健施設の入所者である患者(以下「施設入所者」という。)が、往診又は通院により受ける医療に係る診療料については、施設入所者以外の患者に対する算定方法とは別の算定方法を設けたものであり、施設入所者に対しては老人医科点数表の第一章一般的医療に係る老人基本診療料又は第二章一般的医療に係る老人特掲診療料は適用せず、第三章介護老人保健施設入所者に対する医療に係る診療料に規定するところによるものであること。

Ⅰ 併設保険医療機関の医療に関する事項

併設保険医療機関とは、「併設保険医療機関の取扱いについて」(平成一〇年三月一六日老健第四九号)に規定する保険医療機関をいうこと。

(1) 施設入所者自己腹膜潅流薬剤料

① 施設入所者自己腹膜潅流薬剤料は、施設入所者が、自己連続携行式腹膜潅流を行っている場合に、その薬剤の費用を算定するものであること。

② 在宅自己腹膜潅流指導管理料の算定はできないものであること。