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○重複・頻回受診者に係る老人医療費の適正化対策の推進について

(平成一〇年六月二三日)

(老企第二三号・老健第一〇〇号)

(各都道府県老人保健主管部(局)長あて厚生省老人保健福祉局企画課・老人保健課長通知)

標記については、既に「老人医療費の適正化について」(昭和六〇年七月八日健医老計第一〇号、健医老老第二五号)により、老人医療費適正化対策を総合的に推進する一環として取組みをお願いするとともに、「老人保健法による老人医療事務の指導監査の実施について」(平成五年三月二二日老企第七一号)において、指導監査の重点事項としてお示しし、さらに「老人保健法による老人医療事務の指導監査の実施に当たっての留意事項について」(平成九年四月二日老指第八八号)において、老人医療事務指導監査の主眼事項及び着眼点としてもお示ししたところである。

しかしながら、今後の高齢化の進展を踏まえると、老人医療費が過大な負担とならないよう努める必要があることから、老人医療費の適正化対策をさらに講じていくこととしており(別添1参照)、重複・頻回受診者に係る老人医療費の適正化対策の実施は、大きな柱として極めて重要である。

そのため、左記のとおり重複・頻回受診者に対する訪問指導事業を行うことにより、対策の強化を図ることとしたので、老人医療主管課におかれては、老人保健事業担当課と十分連携を図りながら、その実施につき遺憾なきを期されるとともに、貴管下市町村、関係団体への周知、指導方よろしくお願いする。

なお、本通知については、保険局国民健康保険課とも協議済みであるので念のため申し添える。

1 重複・頻回受診者訪問指導事業に対する補助事業の創設

市町村において保健婦等を雇用し、重複・頻回受診者に健康管理や医療に対する意識を深めるなどの、必要な訪問指導を行う事業に対する補助事業を創設した。

この事業に関しては、例えば健康保険組合において、被保険者に対して保健婦等が訪問指導を行っている例がある(別添2参照)。また、市町村において、これまで重複・頻回受診者に対して保健指導を行っている事例を整理したものを別添3として示した。各市町村がこのような事例を参考として、独自の工夫を凝らしながら本事業に積極的に取り組み、老人医療費の適正化に努めることが重要であり、都道府県におかれては、各市町村の本事業の実施に対する指導、助言に努められたい。

また、国民健康保険においても、国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)において、市町村(国民健康保険担当課)を支援する観点から、本事業の実施に際して、保健婦等を自ら雇用することが困難な市町村に対し、国保連合会が保健婦を雇用し派遣する事業を行うこととしている。当然のことながら、同一人に対して、市町村保健婦、国保連合会保健婦が相互の連携もなく訪問指導を行うことを許容する意図はなく、国保連合会保健婦の派遣を受けた場合であっても、市町村の依頼に基づく支援事業であって、指導に係る派遣対象者の決定、派遣方法、指導記録等、訪問指導事業全般について、市町村が統一的に実施するものである。

さらに、市町村内部において、老人医療担当課、国民健康保険担当課が別々に訪問指導事業を実施するのではなく、事業実施の担当課を一本化することにより、責任体制の明確化、事業の効率化を図ることが不可欠である。

したがって、都道府県におかれては、本事業の実施に当たって、前記趣旨を踏まえ、国保連合会、市町村と十分連携を図るとともに、市町村においても、老人医療担当課と国民健康保険担当課と十分連携を図るよう指導されたい。

なお、本事業及び2(4)にいう診療報酬明細書(レセプト)共同電算処理推進事業の交付要綱等については、「老人医療給付費等の国庫負担(補助)について」(平成一〇年六月二三日厚生省発第九二号)、「老人医療費適正化対策事業実施要綱の一部改正について」(平成一〇年六月二三日老発第四三一号)、「老人医療費適正化対策事業の実施について」(平成一〇年六月二三日老企第二四号)で通知したとおりである。

2 重複・頻回受診者に対する訪問指導事業の実施に当たっての留意点

重複・頻回受診者に対する保健婦等による訪問指導事業の実施に当たっては、以下の点に留意すべきである。

(1) 訪問指導を行う保健婦等の確保については、都道府県看護職員確保センターとの連携や在宅保健婦等の管理組織を有する都道府県(別添4参照)においては、当該組織の助言も参考とされ、在宅保健婦等を非常勤職員等として委嘱する等在宅保健婦等の十分な活用を図ること。

(2) 訪問実施に当たっては、対象者に係るプライバシーの保護に十分留意し、守秘義務の徹底を図ること。

(3) 重複受診者(同一傷病について同一診療科目の複数の医療機関に同一月内に受診する者(診療所からの紹介や検査のための重複受診は除く。))及び頻回受診者(同一傷病について同一月内に同一診療科目を多数回受診した者)のうち、指導が必要と思われる重複・頻回受診者の第一次的な選定については、国保連合会にレセプト共同電算処理を委託している市町村にあっては、国保連合会から提供される一覧表を活用することが便宜であること。

(4) レセプト共同電算処理を実施していない市町村に関しては、今後その解消を図る方針であり、そのための補助事業をレセプト共同電算処理推進事業として創設したところである。共同処理未実施の市町村に対しては、この事業を活用して国保連合会への委託を行うよう指導されたいこと。

また、レセプト共同電算処理により抽出を行うまでの間は、市町村自らにおいてレセプト点検を行い、重複受診者や頻回受診者を抽出すること。

抽出の目安としては、例えば重複受診者については、一か月当たりレセプト枚数を四枚以上保有する者、頻回受診者については、一か月当たりで一五回以上の受診を行っている者などが考えられること。もとより、地域の実情に応じて独自の基準を設定することも考えられること。

(5) 第一次的に抽出された者について、個人別にレセプトを整理し、訪問指導を行う保健婦等による対象者の受診内容の分析、及び老人保健事業担当課や老人福祉事業担当課等との連携調整を踏まえ、個別の訪問指導が必要と思われる者を選定すること。

(6) 特に、老人保健事業については、老人保健事業として行う訪問指導の対象者とも重複しうることから、十分に連携を図るとともに、必要に応じ保健事業に従事する保健婦等も、老人医療担当課等において雇用した保健婦等に対する指導、調整の任に当たるなど、有機的な連携体制の確立を図ること。

(7) 訪問指導に当たっては、対象者の状況について少なくとも三か月分のレセプトを閲覧したり、世帯状況や保健・福祉サービスの利用状況を把握し、記録を整理するなど、十分な事前準備を行うこと。

また、事前に電話で連絡した上、別添5に例示する通知を行うなど、訪問対象者に対し十分に当該事業の趣旨を周知の上、訪問すること。

(8) 訪問指導を行う保健婦等においては、対象者の了解を得た上、事前に主治医と連携し、必要に応じ、その指導助言を受けて訪問指導を行うとともに、その結果について適宜報告すること。

(9) 訪問指導に当たっては、対象者の状況を実地に把握した上で、必要な者に対して適切な受療がなされるための相談・援助を行うこととするが、特に、重複・頻回受診者がそのような受診を行う背景として、どのような健康上の問題があるのかなど、原因をよく踏まえた上で適切な指導に努めること。

(10) 指導の際には、

① 主治医とよく相談すること、

② 在宅福祉サービス等関連制度の活用方法、

③ 受診の際には必ず健康手帳を提示すべきこと

などを懇切丁寧に説明すること。

なお、具体的な指導に当たって、適正な受診を妨げないよう十分留意すること。

(11) 初回訪問した対象者については、指導効果を確認するため、レセプトによる受診状況の把握や、老人保健事業担当課及び老人福祉事業担当課との連携調整等により不要と認められる者を除いて、再度訪問して必要な指導を行うこと。

(12) 訪問指導を組織的に行うとともに、できる限り客観的、効果的な指導ができるよう、訪問指導の都度、指導内容等が確認できる訪問指導票(なお、指導票の項目を別添6に例示、別添3の事例参照。)を作成するなど、的確な実態の把握を踏まえた記録の整理、保存を行い、指導に活用すること。

(13) 老人医療主管課として当該記録を踏まえ、訪問指導による老人医療費の適正化効果を分析、評価すること。この点に関しては、医療費適正化効果についての検証の観点からの取組みとしても工夫されたいこと。

3 診療報酬上の重複受診に関する算定制限について

老人診療報酬の算定については、別添7に示すとおり、ある保険医療機関で受診した者が他の保険医療機関でも受診した場合、算定できない点数があることから、今回の適正化対策の実施に当たっても、当該患者の健康手帳を確認すること等により十分点検に努めること。

なお、老人慢性疾患外来総合診療料の重複算定が判明した場合は、当該患者の健康手帳を確認するとともに、「老人慢性疾患外来総合診療料の取扱いについて(通知)」(平成一〇年三月三一日老健第六九号)に基づき、患者に対して当該診療料の趣旨(別添8参照)の説明と適切な受診の指導を行うこと。また、指導により当該診療料を算定する一の保険医療機関が特定された場合、その結果を審査支払機関あて連絡すること。

別添1略

別添2略

別添3略

別添4略

別添5略

別添6略

別添7略

別添8略