添付一覧
○老人保健施設療養費の額の施行について
(平成八年三月八日)
(老健第七〇号)
(各都道府県知事あて厚生省老人保健福祉局長通達)
老人保健施設療養費の額(昭和六三年三月厚生省告示第八二号)については、平成八年三月八日厚生省告示第六四号により、その一部が改正され、本年四月一日から施行されることとなったところであり、改正の趣旨及びその概要については本日付け老健第六六号をもって本職から貴職あて通知したところであるが、その運用に当たっては、次の事項を踏まえ、貴管下関係団体への周知徹底方について格段の御配意を願いたく通知する。
なお、これに伴い、従前の「老人保健施設療養費の額の施行について」(平成六年八月五日老健第二二五号本職通知)は、平成八年三月三一日限り廃止する。
第一 通則に関する事項
一 老人保健施設の入所者に係る老人保健施設療養費の額の算定方法について
入所者基本施設療養費、痴呆性老人加算及び痴呆専門棟加算については、入所日数(入所期間のうち入所者基本施設療養費を算定すべき日数をいう。以下同じ。)が暦月の一月に満たない場合は、それぞれの所定額を三〇で除して得た額に当該月の入所日数を乗じて計算すること。
二 入所期間及び入所日数の計算について
(一) 入所者基本施設療養費の算定に係る入所期間の計算については、入所者基本施設療養費の算定の有無にかかわらず、入所した日から退所した日までの期間とすること。したがって、入所期間中に外泊した場合は、当該外泊日数は入所期間に含まれること。
(二) 当該月の入所日数については、例えば、三月一日に入所し、三月三一日に退所した場合は一月として計算すること。三月一日に入所し、三月一四日に退所した場合は、一四日として計算すること。これらの間に外泊した日がある場合は、当該外泊日数は入所日数から除くものであること。
三 病院又は診療所へ入院した場合の取扱いについて
(一) 入所者が病院又は診療所(併設保険医療機関を除く。)へ入院した場合には、退所したものとして取り扱いこと。例えば、次の例の場合は、入所期間及び入所日数は二六日(一四日+一二日)となるものであること。
3/1 3/14 3/20 3/31
│ │ │ │
│←―14日―→│ │←―12日―→│
│ │ │ │
├――――――┼――――――┼――――――┤
│ 入所期間 │ 入院期間 │ 入所期間 │
なお、併設保険医療機関へ入院した場合であっても退所したものとして取り扱うこととするが、入院日及び退院日の入所者基本施設療養費は算定できないこと。したがって、前記の例の場合は、入所期間は二六日、入所日数は二四日となること。
(二) 「併設保険医療機関」とは、「併設保険医療機関の取扱いについて」(平成一〇年三月一六日老健第四九号)に規定する老人保健施設と同一敷地内にある病院又は診療所その他これに準ずる病院又は診療所をいう。(以下同じ。)
第二 入所者基本施設療養費に関する事項
(一) 入所者基本施設療養費(Ⅰ)
① 入所者基本施設療養費(Ⅱ)の要件を満たさない老人保健施設においては、入所者に対する入所者基本施設療養費(Ⅰ)として一月につき、入所の日から起算して六月以内の期間については二六万八、二九〇円を、入所の日から起算して六月を超え一年以内の期間については二五万五、六三〇円を、入所の日から起算して一年を超える期間については二四万三、一五〇円を算定すること。
ただし、二又は三により痴呆性老人加算又は痴呆専門棟加算を算定すべき施設療養を行っている場合にあっては、当該入所者に係る前記の規定の取扱いについて、「六月」を「一年」に、「一年」を「二年」に読み替えて算定すること。
② 入所の日とは、当該老人保健施設に入所した日をいうものであるが、一旦退所し再び当該老人保健施設に入所した場合の入所の日の取扱い等については次によること。
ア 入所期間は暦月で計算する。例えば四月一五日に入所した場合は、一〇月一四日までが六月以内の入所期間となるものであること。
イ 月の中途において入所期間の区分が変更になった場合の入所者基本施設療養費の算定は、該当する入所期間区分ごとの額を三〇(二月にあっては入所日数が当該月の日数と同数の場合は当該月の日数)で除して得た数にそれぞれの入所日数を乗じて得た額の合算額とする。
ただし、入所日数の合計が三〇日を超える場合は、変更後の入所期間区分の入所日数は変更後の入所期間区分の入所日数から一を減じた日数により算定するものとすること。例えば、一一月三〇日に入所した者(痴呆性老人加算又は痴呆専門棟加算を算定すべき施設療養を受けていない者の場合)の翌年五月に係る入所者基本施設療養費の算定方法を示すと次のようになるものである。
11/30入所 5/1 5/29 5/31
│ │ │ │
│ │←――――29日――――→│←―――2日―――→│
├・・・・・┼――――――――――――┼――――――――――┤
│ │ 6月以内の入所期間 │6月を超える入所期間│
6月以内の 268,290円÷30×29日 ┐
入所期間 =259,347円 │
│ 267,868円
6月を超え 255,630円÷30×(2-1)日 │
る入所期間 =8,521円 ┘
ウ 退所後三月以上の間、いずれの老人保健施設又は保険医療機関にも入所・入院することなく経過した後に再入所した場合は、当該再入所の日を入所期間の計算の起算日とすること。ただし、新たな症病等により保険医療機関において入院治療が行われた者が再入所する場合にあっては、前回入所中の心身の状況に比し当該再入所時の心身の状況に相当の変化があったときに限り、当該再入所の日を入所期間の起算日とすること。
ただし、痴呆性老人であって、当該痴呆に伴って著しい精神症状を呈する者若しくは当該痴呆に伴って著しい行動異常がある者(「「痴呆性老人の日常生活自立度判定基準」の活用について」(平成五年一〇月二六日老健第一三五号本職通知。以下「痴呆性老人自立度判定基準」という。)によるランクⅢ、Ⅳ又はMに該当する者をいう。以下「特定痴呆性老人」という。)で前回入所中に痴呆性老人加算若しくは痴呆専門棟加算を算定していた者又は特定痴呆性老人で「「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」の活用について」(平成三年一一月一八日老健第一〇一―二号厚生省大臣官房老人保健部長通知。以下「寝たきり度判定基準」という。)によるランクCに該当する者にあっては、当該入所者に係る上記の規定の取扱いについては、「退所後三月以上の間」を「退所後一月以上の間」と読み替えること。
なお、心身の状況の変化については、施設療養費明細書にその差異が明らかとなるよう具体的に記載すること。
エ ウの要件を満たさない再入所の場合は、前回入所に係る入所期間の計算の起算日をもって、当該再入所の入所起算日とすること。
また、前に入所した老人保健施設と異なる老人保健施設に新たに入所した場合にあっても、当該新たに入所した老人保健施設と前に入所した老人保健施設が特別の関係にある場合は、前に入所していた老人保健施設に再入所したものとして取り扱うこと。なお、「特別の関係」とは、開設者が同一の場合その他の「「特別の関係にある保険医療機関等」の取扱いについて」(平成一〇年三月一六日保険発第三二号、老健第四二号)に規定する関係をいうものであること。(以下同じ。)
オ 老人保健施設の在宅支援機能を評価する観点から、短期入所ケア加算の対象となる入所については、入所者基本施設療養費算定上の入所期間の計算に含めないものとすること。したがって、イの退所期間中に短期入所ケアが行われた場合であっても、再入所とはみなさないものとする。
なお、老人保健施設から家庭に復帰した者に対しては、その在宅療養の円滑な継続に向けて、退所後の主治医、市町村及び在宅介護支援センター等の関係機関との連携の下に、老人保健施設デイ・ケア、老人訪問看護、ホームヘルプサービス及び短期入所ケア等の各種サービスの有効活用が図られるよう、老人保健施設の趣旨に則り積極的支援に配慮する必要があること。
(二) 入所者基本施設療養費(Ⅱ)
① 別に厚生大臣が定める施設基準に適合している場合であって、次の④を満たし⑤により都道府県知事に届け出た老人保健施設において、特定痴呆性老人である入所者又は寝たきり度判定基準によるランクB若しくはCに該当する状態(以下「寝たきりの状態」という。)にある入所者に対して当該基準による施設療養を行った場合に、入所者基本施設療養費(Ⅱ)として一月につき、入所の日から起算して六月以内の期間については二八万八、八四〇円を、入所の日から起算して六月を超え一年以内の期間については二七万四、四四〇円を、入所の日から起算して一年を超える期間については二六万四〇円を算定すること。また、当該老人保健施設が、特定痴呆性老人である入所者又は寝たきりの状態にある入所者以外の入所者に対し当該基準による施設療養を行った場合にあっては、一月につき、入所の日から起算して六月以内の期間については二六万九、一〇〇円を、入所の日から起算して六月を超え一年以内の期間については二五万六、四四〇円を、入所の日から起算して一年を超える期間については二四万三、九六〇円を算定すること。
ただし、二又は三により痴呆性老人加算又は痴呆専門棟加算を算定すべき施設療養を行っている場合にあっては、当該入所者に係る前記の規定の取扱いについて、「六月」を「一年」に、「一年」を「二年」に読み替えて算定すること。
② 「別に厚生大臣が定める施設基準」とは、「厚生大臣が定める老人保健施設療養費に係る老人保健施設の施設基準」(平成一〇年三月厚生省告示第八二号。以下「施設基準」という。)の第二号であること。
③ 入所の日の取扱いについては、(一)の②によること。
④ ①の看護・介護職員は、直接入所者等の処遇に当たる職員であるので、当該老人保健施設の職務に専ら従事する常勤職員でなければならないこと。ただし、業務の繁忙時に多数の職員を配置する等により業務の円滑化が図られる場合は、次の条件を満たす限り、その一部を非常勤職員を充てても差し支えないこと。
ア 常勤職員である看護・介護職員が必要数により算定される員数の七割程度確保されていること。
イ 常勤職員に代えて非常勤職員を充てる場合の勤務時間数が常勤職員を充てる場合の勤務時間数以上であること。
⑤ 入所者基本施設療養費(Ⅱ)を算定しようとする老人保健施設にあっては、別添「入所者基本施設療養費(Ⅱ)届出要領」に基づき、あらかじめ都道府県知事に届出をしなければならない。
二 痴呆性老人加算
(一) 施設基準の第三号に適合しているものとして別に定めるところにより都道府県知事に届け出た老人保健施設においては、寝たきりの状態にない痴呆性老人である入所者に対して、月額二万二、〇二〇円を加算すること。
(二) 「施設基準の第三号に適合しているものとして別に定めるところにより都道府県知事に届け出た老人保健施設」とは、「痴呆性老人入所者基本施設療養費加算の施設の届出について」(平成一〇年三月一六日老健第四六号老人保健課長通知)により届出を行い受理された老人保健施設であること。
三 痴呆専門棟加算
(一) 施設基準の第四号に適合しているものとして別に定めるところにより都道府県知事に届け出た老人保健施設においては、寝たきりの状態にない特定痴呆性老人である入所者に対して施設療養を行った場合に、月額三万八、二二〇円を加算すること。
(二) [施設基準の第四号に適合しているものとして別に定めるところにより都道府県知事に届け出た老人保健施設」とは、「痴呆専門棟入所者基本施設療養費加算の施設の届出について」(平成一〇年三月一六日老健第四七号老人保健課長通知)により届出を行い受理された老人保健施設であること。
四 短期入所ケア加算
(一) 入所の日から一四日以内に家庭に退所するものについては、短期入所ケア加算として、一日につき一、三〇〇円を加算すること。
(二) 短期入所ケア加算は、家庭において療養する寝たきり老人等を短期に入所させた場合、一月につき一四日以内に限り算定できるものとし、次の場合は算定できないものであること。
①退所して病院又は診療所へ入院する場合
②退所して特別養護老人ホーム等の社会福祉施設へ入所する場合
③死亡退所の場合
(三)短期入所ケア加算は、一月につき入所期間が一四日以内のものについて算定するものであるが、二月にまたがる場合にあっては、退所日の属する月にまとめて加算するものであること。例えば、次の場合は、四月分の請求額は入所者基本施設療養費四日分、五月分の請求額は入所者基本施設療養費一四日分+短期入所ケア加算一八日分となること。
4/1 4/27 5/1 5/8 5/20 5/25 5/31
│ │ │ │ │ │ │
│ │←4日→ │←―8日―→ │ │←―6日―→ │ │
├――┼――――┴――――――┼――┼――――――┼―――┤
│ │ 入所期間 │ │ 入所期間 │ │
なお、短期入所ケア加算は、一日当たりの短期入所定員を超えて算定できないものであること。
五 施設療養費の減額の規定について
(一) 定員超過入所に該当する老人保健施設については次により取り扱うこと。
① この規定は、老人保健施設の入所定員を上回る入所者を入所させているいわゆる定員超過入所施設に対し、入所者基本施設療養費の減額措置を講ずることとしたものであるが、当該措置を講ずることにより定員超過の未然防止を図ろうとするものであり、もって老人保健施設における入所者の適正な施設療養を確保するために規定したものであること。
② この規定の対象となる定員超過入所とは、老人保健法の規定に基づき許可を受けた定員の数を超えて入所させているものであること。
③ ①の老人保健施設の入所者数の算定に当たっては、一月間(暦月)の平均入所者数を用いる。この場合、一月間の平均入所者数は当該月の全入所者数の入所日数の総和を当該月の日数で除して得た数とし、一未満の端数が生じたときは、その端数を切り捨てた数とする。なお、入所日数には、当該入所者が入所した日を含み、退所した日を含まないものとすること。
④ 前月において、②に該当することとなった老人保健施設の入所者基本施設療養費については、その翌月分から、当該老人保健施設の全入所者につき所定の額に一〇〇分の七〇を乗じて算定する。この場合において、その額に一円未満の端数があるときは、その端数全額を切り捨てた額とすること。
⑤ ②に該当する老人保健施設が②に該当しなくなった場合には、該当しなくなった月の翌月から④の算定によらず、所定の入所者基本施設療養費の算定を認めること。
⑥ 定員超過入所の把握については、実地指導及び基準省令第二八条に規定する老人保健施設報告等の活用を図ること。
⑦ 実地指導等で②に該当する老人保健施設であることが明らかとなった場合は、入所者基本施設療養費は④及び⑤により算定し、これを超える支払について返還を求めることとすること。
(二) 医師、看護・介護職員又は理学療法士若しくは作業療法士の員数が基準に満たない老人保健施設については、次により取り扱うこと。
① この規定は、基準省令及び基準通知に定める医師、看護・介護職員又は理学療法士若しくは作業療法士の員数が基準に満たない老人保健施設に対し、入所者基本施設療養費の減額措置を講ずることとしたものであるが、当該措置を講ずることにより職員の員数不足の未然防止を図ろうとしたものであり、もって老人保健施設における適正な施設療養を確保するために規定したものであること。
② ①の医師、看護・介護職員及び理学療法士又は作業療法士の員数の算定の基礎となる入所者数は、基準通知第四の八により算定された入所者数を用いること。
③前月において、①に該当することとなった老人保健施設の入所者基本施設療養費については、翌月分から当該老人保健施設の全入所者につき所定の額に一〇〇分の七〇を乗じて算定する。この場合において、その額に一円未満の端数があるときは、その端数金額を切り捨てた額とすること。
ただし、理学療法士又は作業療法士の員数が基準に満たない老人保健施設の入所者に係る入所者基本施設療養費の額については、平成一〇年一〇月一日からこの取扱いを適用するものとし、経過措置として平成一一年三月三一日までは所定の額に一〇〇分の九〇を乗じて得た額とし、平成一一年四月一日から平成一一年九月三〇日までは所定の額に一〇〇分の八〇を乗じて得た額とすること。
④ ①に該当する老人保健施設が①に該当しなくなった場合には、該当しなくなった月の翌月から③の規定によらず、所定の入所者基本施設療養費の算定を認めること。
⑤ 医師、看護・介護職員及び理学療法士又は作業療法士の員数の把握については、実地指導及び基準省令第二八条に規定する老人保健施設報告等の活用を図ること。
⑥ 実地指導等で①に該当する老人保健施設であることが明らかとなった場合は、入所者基本施設療養費は③及び④により算定し、これを超える支払について返還を求めることとすること。
(三) 老人保健施設が入所者を保険医療機関に通院させる際に老人保健施設の入所者である旨を示す文書を交付しなかった場合及び入所者のためにみだりに往診を求めたり又は通院させたときは、当該入所者に対する施設療養費を減額できる旨規定されているが、この具体的な減額方法は実施の状況を踏まえて、今後定めることとされていること。
なお、入所者が入所期間中及び外泊期間中に保険医療機関において受診した場合の保険医療機関の保険請求については、老人保健施設の性格上特別の定めがされているため保険請求が認められないものがあるので、保険医療機関における保険請求の過誤の未然防止を図る観点から、健康手帳の「その他必要事項」欄には老人保健施設の入退所状況を必ず記載すること。
また、入所者が保険医療機関について受診する場合は、当該入所者等に対して保険医療機関に健康手帳及び老人保健施設が交付した入所者である旨の文書を必ず提示するよう周知徹底を図ること。
第三 外泊時施設療養費に関する事項
一 老人保健施設が入所者に対して家庭における外泊を認めた場合は、外泊時施設療養費として、一月において三日を限度として、一日につき四、四四〇円を算定すること。
二 老人保健施設は、入所者に対して家庭における外泊を認める場合においては、本人及びその家族等に対して外泊時における療養上の指導を行うものであること。
三 算定対象となる外泊日数と当該月の入所日数の合計が三〇日を超える場合には、超えた日数については、外泊時施設療養費は算定できないものであること。
第四 退所時施設療養費に関する事項
退所時施設療養費は、入所者が家庭において療養を継続するために必要な情報提供及び指導を評価するためのものであり、次の場合には算定できないものであること。
① 退所して病院又は診療所へ入院する場合
② 退所して特別養護老人ホーム等の社会福祉施設へ入所する場合
③ 死亡退所の場合
また、短期入所ケア加算の対象となる者については、退所時施設療養費は算定できないものであること。
一 退所時情報提供
(一) 基準省令第一三条第六項において、老人保健施設の入所者の退所に際して、退所後の担当医師に対する情報の提供に努めることとされていることにかんがみ、施設の医師が病院又は診療所に対し診療状況を示す文書を添えて退所する者の紹介を行った場合に、退所時情報提供として、退所する者一人につき一回に限り五、〇〇〇円を算定すること。
(二) 紹介に当たっては、事前に紹介先の保険医療機関と調整し、別紙様式一の文書に必要な事項を記載の上、患者又は紹介先の保険医療機関に交付しなければならないこと。また、退所者の紹介に当たっては、入所者の諸検査の結果、日常生活動作能力や心理状態などの心身機能の状態、薬歴、退所後の治療計画等を添付すること。
(三) 退所時情報提供は、退所後の担当医師の属する保険医療機関が併設保険医療機関である場合には算定できないこと。
(四) 退所時情報提供は、退所後の担当医師の属する保険医療機関が当該老人保健施設と特別の関係にある場合には算定できないこと。
二 退所時指導
(一) 入所者の退所時に、当該退所する者及びその家族等に対し、退所後の療養上の指導を行った場合に、退所時指導として退所する者一人につき一回に限り四、二〇〇円を算定すること。
(二) 退所時指導とは、次のようなものであること。
① 食事、入浴、健康管理等在宅療養に関する指導
② 退所する者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う体位変換、起座又は離床訓練、起立訓練、食事訓練、排泄訓練の指導
③ 家屋の改善の指導
④ 退所する者の介助方法の指導
(三) 退所時指導は、医師、看護婦、相談指導員、理学療法士又は作業療法士、栄養士等が協力して行うこと。
(四) 退所時指導は、退所する者及び家族等のいずれにも行うこと。
(五) 退所時指導を行った場合は、指導内容の要点を診療記録等に記載すること。
三 退所時共同指導
(一) 老人保健施設の入所者が、退所後において適切な在宅療養が確保されるよう、当該老人保健施設において、その退所前に、当該入所者の退所した後における主治医等と当該老人保健施設の医師とが共同で診療を行った場合に、退所時共同指導として、退所する者一人につき一回に限り一、四〇〇円算定すること。
(二) 当該老人保健施設において共同で診療に当たる主治医等とは、入所者の退所後その主治医となる診療所である保険医療機関の医師又は当該医師が老人訪問看護指示書を交付した老人訪問看護ステーションの保健婦(士)、看護婦(士)、准看護婦(士)、理学療法士又は作業療法士をいうものであること。
(三) 退所時共同指導は、当該老人保健施設と診療所である保険医療機関又は老人訪問看護ステーションが特別の関係にある場合は、算定できないこと。
(四) 退所時共同指導を行った場合は、診療記録等に当該主治医等と共に退所時指導が行われた旨及びその指導内容の要点を記載すること。
四 退所時老人訪問看護指示
(一) 老人の適切な在宅療養を確保するため、指定老人訪問看護に関する指示を行うことを評価することとし、入所者の退所時に老人保健施設の医師が、診療に基づき、指定老人訪問看護事業者からの指定老人訪問看護の必要を認め、当該退所する者の同意を得て、当該退所する者の選定する老人訪問看護ステーションに対して、有効期間(二月以内)を記載した老人訪問看護指示書(別紙様式二)を交付した場合は、退所時老人訪問看護指示として、退所する者一人につき一回に限り三、〇〇〇円を算定すること。
なお、当該老人訪問看護指示書に有効期間の記載がない場合は、一月の指示があったものとみなすこと。
(二) 老人訪問看護指示書は、診療に基づき速やかに作成・交付すること。
(三) 老人訪問看護指示書は、特に退所する者の求めに応じて、退所する者又はその家族等を介して老人訪問看護ステーションに交付しても差し支えないこと。
(四) 交付した老人訪問看護指示書の写しを診療記録等に添付すること。
(五) 老人訪問看護の指示を行った老人保健施設は、老人訪問看護ステーションからの指定老人訪問看護の対象者についての相談等に懇切丁寧に応じること。
五 退所時在宅療養情報提供
(一) 退所時在宅療養情報提供は、市町村の保健・福祉サービスと老人保健施設との有機的連携強化を目的として設定されたものであり、これにより総合的・継続的な在宅療養の確立を図ろうとするものであること。
(二) 退所時在宅療養情報提供は、退所する者及びその家庭の状況について、老人保健施設の医師が当該退所する者の居住地を管轄する市町村(以下「市町村」という。)に情報提供することにより、健康教育、健康相談、機能訓練、訪問指導等の保健サービス、又は老人居宅介護等支援事業、日常生活用具給付事業、老人短期入所事業、老人デイサービス事業(入浴、給食、洗濯についてのサービス等を含む。)等の福祉サービスを市町村が有効に実施するために行うものであること。
退所時在宅療養情報提供を行う老人保健施設は、この趣旨を十分に踏まえ、市町村がこれらのサービスを円滑に実施するため必要な情報を提供すること。
(三) 退所時に退所時指導を算定したものについて、当該退所する者の同意を得て、退所の日から二週間以内に、別紙様式三を参考に作成した文書により、市町村に対して情報提供を行った場合に、退所時在宅療養情報提供として、退所者一人につき一回に限り一、五〇〇円を算定すること。
この場合、退所後家庭で療養を行う者が算定の対象であり、退所後他の老人保健施設、医療機関、特別養護老人ホーム等に入所・入院する者又は死亡退所の者は算定の対象とならないものであること。
(四) 交付した文書の写しを診療記録等に添付すること。
(五) 退所時在宅療養情報提供を算定する情報提供先の市町村からの問い合わせに対しては、懇切丁寧に応じるものであること。
(六) 市町村が開設主体の老人保健施設は、当該市町村に居住する寝たきり老人等については、退所時在宅療養情報提供は算定できないものであること。
第五 訪問時施設療養費に関する事項
訪問時施設療養費として、退所前訪問指導及び退所後訪問指導に係る施設療養費が設けられているが、これは入所者の退所に先立ち又は退所直後に、入所者又は退所者の家庭を訪問し、本人及びその家族等に対して行う、家庭において療養を継続するために必要な療養上の指導を行った場合に算定できるものであること。
一 退所前訪問指導は、入所期間が一四日を超えると見込まれる入所者の退所に先立って、入所者の家庭を訪問して退所後の療養上の指導を行った場合に、一回に限り退所時に四、六〇〇円を算定すること。ただし、入所後早期に退所に向けた訪問指導の必要があると認められる場合については、二回分を退所時に算定できること。この場合にあっては、一回目の訪問指導は入所後一四日以内に施設療養の取扱方針及び診療の方針の決定に当たって行われるものであり、二回目の訪問指導は在宅療養に向けた最終調整を目的として行われるものであること。
二 退所後訪問指導は、入所期間が一四日を超える入所者が退所した日から三〇日以内に退所者の家庭を訪問して、療養上の指導を行った場合に二回を上限として、一回につき三、六〇〇円を、それぞれ算定すること。
三 訪問時施設療養費は、次の場合には算定できないものであること。
(一) 退所して病院又は診療所へ入院する場合
(二) 退所して特別養護老人ホーム等の社会福祉施設へ入所する場合
(三) 死亡退所の場合
(四) 短期入所ケア加算の対象となる場合
四 退所前訪問指導及び退所後訪問指導は、医師、看護婦、相談指導員、理学療法士又は作業療法士、栄養士等が協力して行うこと。
五 退所前訪問指導及び退所後訪問指導は、入所者又は退所者及びその家族等のいずれにも行うこと。
六 退所前訪問指導及び退所後訪問指導を行った場合は、指導日及び指導内容の要点を診療録等に記載すること。
第六 緊急時施設療養費に関する事項
入所者の病状が著しく変化し、入院による治療が必要とされる場合には、速やかに協力病院等の病院へ入院させることが必要であるが、こうした場合であっても、老人保健施設において緊急その他やむを得ない事情により施設療養を行うときがあるので、緊急時施設療養費は、このような場合に行われる施設療養を評価するために設けられていること。
一 緊急時治療管理
(一) 緊急時治療管理は、入所者の病状が重篤になり、救命救急医療が必要となる入所者に対し、応急的な治療管理として投薬、注射、検査、処置等が行われた場合に、一日につき五、〇〇〇円を算定すること。
(二) 緊急時治療管理は、一回に連続する三日を限度とし、月一回に限り算定するものであるので、例えば、一月に一日を三回算定することは認められないものであること。
(三) また、緊急時治療管理と特定治療とは同時に算定することはできないこと。
(四) 緊急時治療管理の対象となる入所者は、次のとおりであること。
① 意識障害又は昏睡
② 急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪
③ 急性心不全(心筋梗塞を含む。)
④ ショック
⑤ 重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)
⑥ その他薬物中毒等で重篤なもの
二 特定治療
(一) 特定治療は、老人保健施設においてやむを得ない事情により行われるリハビリテーション、処置、手術、麻酔又は放射線治療について、老人医科診療報酬点数表により算定する点数に一〇円を乗じた額を算定すること。
(二) 算定できないものは、告示の別記に示されていること。
(三) 告示の別記(五)の具体的取扱いは、健康保険法の診療報酬点数表の取扱いの例によること。
第七 通所者施設療養費に関する事項
一 老人保健施設デイ・ケア施設療養費
(一) 通所者に対して老人保健施設デイ・ケアを六時間行った場合に、一日につき七、四五〇円を算定すること。
(二) 二の特別老人保健施設デイ・ケア施設療養費を算定した場合には、老人保健施設デイ・ケア施設療養費は算定できないこと。
二 特別老人保健施設デイ・ケア施設療養費
特定痴呆性老人である通所者又は寝たきりの状態にある通所者に対し、老人保健施設デイ・ケア(当該老人保健施設と通所者の居宅間の送迎を伴うものに限る。)を六時間行った場合に、一日につき九、九三〇円を算定すること。
三 施設基準の第五号に適合しているものとして別に定めるところにより都道府県知事に届け出た老人保健施設において、寝たきりの状態にない痴呆性老人である通所者に対して老人保健施設デイ・ケアを行った場合に、一又は二に掲げる額に一日につき七五〇円を加算できること。なお、「施設基準の第五号に適合しているものとして別に定めるところにより都道府県知事に届け出た老人保健施設」とは、「痴呆性老人に対する通所者施設療養費の加算に係る施設の届出について」(平成一〇年三月一六日老健第四八号老人保健課長通知。以下「通所者加算施設の届出」という。)により届出を行い受理された老人保健施設であること。
四 老人保健施設痴呆性老人ナイト・ケア施設療養費
(一) 痴呆性老人加算又は痴呆専門棟加算を算定している老人保健施設において、寝たきりの状態にない痴呆性老人である通所者に対し、午後四時以降に老人保健施設ナイト・ケアを四時間行った場合に、一日につき七、五〇〇円を算定すること。
(二) 老人保健施設デイ・ケアの延長として、同一日に老人保健施設ナイト・ケアを行った場合は、老人保健施設デイ・ケア施設療養費と併せて算定できること。
五 特別老人保健施設痴呆性老人ナイト・ケア施設療養費
痴呆性老人加算又は痴呆専門棟加算を算定している老人保健施設において、寝たきりの状態にない特定痴呆性老人である通所者に対し、午後四時以降に老人保健施設ナイト・ケア(当該老人保健施設と通所者の居宅間の送迎を伴うものに限る。)による施設療養を四時間行った場合に、一日につき九、九八〇円を算定すること。
六 通所者施設療養費は、通所者一人につき週三日を限度として算定するものであること。
ただし、施設基準の第六号に適合するものとして別に定めるところにより都道府県知事に届け出た老人保健施設が、寝たきりの状態にない特定痴呆性老人である通所者について行う場合にあっては、この限りではないこと。なお、この場合にあっては、改訂長谷川式簡易知能評価スケールの合計得点を施設療養費明細書に記載すること。おって、「施設基準の第六号に適合するものとして別に定めるところにより都道府県知事に届け出た老人保健施設」とは、通所者加算施設の届出により届出を行い受理された老人保健施設であること。
七 特別老人保健施設デイ・ケアによる施設療養と特別老人保健施設ナイト・ケアによる施設療養を同一日に行った場合は、当該特別老人保健施設ナイト・ケアによる施設療養の費用については、老人保健施設痴呆性老人ナイト・ケア施設療養費の定めるところにより算定すること。
八 通所者一人につき一月分の通所者施設療養費の額が、入所者基本施設療養費(Ⅰ)を算定している老人保健施設にあっては二四万三、一五〇円、入所者基本施設療養費(Ⅱ)を算定している老人保健施設にあっては二六万四〇円を超える場合については、当該額を算定すること。
ただし、第二の五により施設療養費の減額規定が適用されている施設にあっては、「二四万三、一五〇円」は「一七万二〇五円」に、「二六万四〇円」は「一八万二、〇二八円」にそれぞれ読み替えて適用するものであること。
九 通所者施設療養費は、一日当たりの通所定員を超えて算定できないものであること。
一〇 他の老人保健施設において通所者施設療養費を算定している通所者又は保険医療機関において老人デイ・ケア料を算定している通所者については、通所者施設療養費を算定できないものであること。
また、老人保健施設と特別の関係にある保険医療機関において、寝たきり老人訪問リハビリテーション指導管理料を算定した月については、当該老人保健施設は通所者施設療養費を算定できないものであること。
なお、通所者施設療養費を算定した月にあっては、当該通所者の健康手帳の医療の記録に係るページに老人保健施設名及び当該月における初回の実施年月日を記載し、「その他必要事項」欄に「老健デイ」と付記すること。
一一 老人保健施設と特別の関係にある保険医療機関若しくは併設保険医療機関において、往診料、寝たきり老人訪問診療料、寝たきり老人末期訪問診療料、寝たきり老人訪問看護・指導料、寝たきり老人末期訪問看護・指導料、寝たきり老人訪問リハビリテーション指導管理料、寝たきり老人訪問薬剤管理指導料、寝たきり老人訪問栄養食事指導料及び精神科訪問看護・指導料のいずれかを算定した日又は老人保健施設と特別の関係にある老人訪問看護ステーションにおいて老人訪問看護療養費を算定した日については、当該老人保健施設は通所者施設療養費を算定できないこと。
ただし、当該施設療養を行った後、当該通所者の病状の急変等により、保険医療機関による往診が行われた場合については、この限りではないこと。
一二 通所者施設療養費を当該老人保健施設の入所定員の三割を超えて算定する場合には、平成一〇年一〇月一日から、基準省令第四条の規定により最低限配置することとされている医師の数に加え、入所定員の三割を超える通所者の数を二〇〇で除した数以上の医師が常勤又は非常勤で配置されていることが必要であること。
別紙様式1
別紙様式2
別紙様式3
(別添)
(様式1)
(様式2)
(様式3)