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○老人保健の居住地主義の特例について

(平成七年三月二八日)

(老企第九二号)

(各都道府県・各指定都市老人保健主管部(局)長あて厚生省老人保健福祉局企画課長通知)

平成六年六月二十九日に公布された健康保険法等の一部を改正する法律(平成六年法律第五十六号)により定められた国民健康保険の加入者に係る社会福祉施設入所者に対する居住地主義の特例は、平成七年四月一日から実施されるものであるが、本日、この特例に関し、健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(平成七年厚生省令第十七号)により老人保健法施行規則(昭和五十八年厚生省令第二号。以下「規則」という。)が改正されたことに伴い、その具体的取扱いを左記のとおり定めたので、貴管下市町村への周知徹底、指導等に遺憾のないようにされたい。

1 制度の趣旨及び概要

国民健康保険制度において、医療機関、介護保険施設等の所在する市町村の国民健康保険の財政負担が重くなるという問題を解消するため、病院、診療所若しくは介護保険施設又は社会福祉施設(以下「病院等」という。)への入院若しくは入所又は措置入所(以下「入院等」という。)により病院等の所在する場所に住所を移すことになった者であって、当該入院等をした際に現に他の市町村の区域内に住所を有していたと認められる者については、当該他の市町村が行う国民健康保険の被保険者とするなどの取扱いがなされることに伴い、老人保健制度においても、次のような特例が設けられたものであること。

(1) 他の市町村が行う国民健康保険の被保険者とされた七十五歳以上の加入者等(七十五歳以上の加入者(健康保険法等の一部を改正する法律(平成十四年法律第百二号)附則第九条の規定により七十五歳以上の者とみなされる者であって加入者であるものを含む。)及び六十五歳以上七十五歳未満の加入者(同条の規定により七十五歳以上の者とみなされる者であって加入者である者を除く。)であって、老人保健法施行令(昭和五十七年政令第二百九十三号)で定める障害の状態にあることにつき老人保健法(昭和五十七年法律第八十号。以下「法」という。)第二十五条第一項の規定による認定を受けているものをいう。以下同じ。)に対しては、当該他の市町村の長が、法第二十五条第七項の規定に基づき医療等を行うこととするものであること(以下「居住地特例」という。)。

(2) なお、(1)の他の市町村については、国民健康保険において、次のような取扱いが行われるものであるので留意されたい。

① 病院等への入院等により病院等の所在する場所に住所を移すことになった者であって、当該入院等がされた際に現に他の市町村の区域内に住所を有していたと認められる者については、当該他の市町村が行う国民健康保険の被保険者とする(国民健康保険法第一一六条の二第一項関係)。

② 二以上の病院等に継続して入院等をしている者であって当該施設の所在する場所のそれぞれに順次住所を移している場合については、二以上の病院等のうち最初の病院等に入院等をした際現に住所を有していたと認められる市町村(現入院病院等が所在する市町村以外の市町村)の国民健康保険の被保険者とする(国民健康保険法第一一六条の二第二項第一号関係)。

③ また、二以上の病院等に継続して入院等をしている者であって、病院等の所在する場所以外の場所から病院等の所在する場所に住所変更(以下「特定住所変更」という。)をしたことがある場合については、最後の特定住所変更をおこなったときに現に住所を有していた市町村の国民健康保険の被保険者とする(国民健康保険法第一一六条の二第二項第二号関係)。

(3) 法第二十五条第七項の規定の適用を受ける七十五歳以上の加入者等の行う医療費の支給申請等各種申請及び届出は、施設所在地の市町村(七十五歳以上の加入者等が入院等した病院等の所在する市町村をいう。以下同じ。)の長ではなく、従前居住地の市町村(当該規定の適用を受ける際現に居住地を有していた市町村をいう。以下同じ。)の長に対して行うものであること。

2 居住地特例に係る手続

(1) 居住地特例の適用を受ける者の届出等

① 七十五歳以上の加入者等は、法第二十五条第七項の規定の適用を受けるに至ったとき、又は既に法第二五条第七項の規定の適用を受けて入院等をしている病院等から継続して他の病院等に入院等をすることによりそれぞれの病院等の所在する場所に順次居住地を変更(以下「継続居住地変更」という。)したときは、十四日以内に、健康手帳及び国民健康保険の被保険者証を提示して、その年月日、入所中の施設の名称及び健康手帳の医療受給者証の受給者番号を従前居住地の市町村の長に届け出なければならないものとしたこと(規則第八条の二第一項関係)。

② 七十五歳以上の加入者等は、法第二十五条第七項の規定の適用を受けなくなったときは、速やかに、健康手帳及び国民健康保険の被保険者証等を提示して、その年月日及び健康手帳の医療受給者証の受給者番号を従前居住地の市町村の長に届け出なければならないものとしたこと(規則第八条の二第二項関係)。

③ 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号。以下「国保法」という。)第百十六条の二の規定の適用を受けている者については、規則第一条第一項の規定に基づく申請及び規則第二条第一項の規定に基づく届出を、国保法第百十六条の二の規定の適用を受けた際現に住所を有していた市町村の長に対して行うものとしたこと(規則第一条及び第二条関係)。

(2) 居住地特例の適用に係る市町村の事務手続

① 従前居住地の市町村は、規則第八条の二第一項の規定に基づく届出、国保法第百十六条の二の規定の適用を受けている者に係る規則第一条第一項の規定に基づく申請又は規則第二条第一項の規定に基づく届出若しくは国民健康保険担当部局からの連絡があった場合、施設所在地の市町村にアからエまでの事項を連絡すること。

ア 法第二十五条第七項の規定の適用を受けるに至った年月日又は継続居住地変更をした年月日

イ 当該七十五歳以上の加入者等の氏名及び居住地

ウ 法第二十五条第七項の規定の適用を受ける際現に当該七十五歳以上の加入者等が有していた居住地

エ 入院又は入所中の施設の名称

なお、都道府県又は市町村の福祉担当部局が措置を行った場合、当該措置を行った部局から連絡を受けた国民健康保険担当部局は従前居住地の市町村の老人保健担当部局に連絡するよう、厚生省保険局国民健康保険課を通じて依頼済みであるので、念のため申し添える。

② 施設所在地の市町村は、法第二十五条第七項の規定の適用を受ける七十五歳以上の加入者等を確認した場合には従前居住地の市町村に①のア、イ及び工のうち確認することができた事項を連絡すること。

③ 法第二十五条第七項の規定の適用を確認した従前居住地の市町村は、健康手帳の医療受給者証の記載の修正を行うこと。

従前居住地の市町村が、健康手帳の医療受給者証を送付する場合においては、確実な方法によりこれを行うよう努めること。

④ 法第二十五条第七項の規定の適用を確認した従前居住地の市町村は、当該七十五歳以上の加入者等の医療受給者台帳(「老人医療事務取扱細則準則について」(昭和五十八年一月二十四日付け衛老第一一号厚生省公衆衛生局老人保健部長通知)様式第1号)を適宜整理すること。

⑤ 規則第八条の二第二項の規定に基づく届出又は国民健康保険担当部局からの連絡等により、七十五歳以上の加入者等が法第二十五条策七項の規定の適用を受けなくなったことを確認した従前居住地の市町村は、健康手帳の医療受給者証の消除を行い、医療受給者台帳を適宜整理するほか、その後その者に対して医療等を行うこととなる市町村に連絡を行うなど関係各部局との連絡調整に遺憾なきを期せられたいこと。

3 留意事項

(1) 市町村は居住地特例に関し、七十五歳以上の加入者等及び病院等に対しその周知徹底を図り、その協力が得られるよう努めること。

また、病院等に、1(2)に係る必要書類を備え置くよう努めること。

(2) 従前居住地の市町村と施設所在地の市町村とは、緊密な連絡をとるべきものであること。

(3) 施設所在地の市町村は、法第二十五条第七項の規定の適用を受ける七十五歳以上の加入者等に対して、医療等以外の保健事業のみを行い、医療等を行わないこと。