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○行政手続法の施行に伴う老人保健法上の申請に対する処分についての標準処理期間の策定について

(平成六年九月二九日)

(老企第二六一号)

(各都道府県・各指定都市老人保健福祉主管部(局)長あて厚生省老人保健福祉局企画課長通知)

行政手続法(平成五年法律第八八号。以下「手続法」という。)が平成六年一〇月一日から施行されることに伴い、市町村長が処分権者である申請に対する処分については、当該市町村長が標準処理期間を定めるように努めなければならないこととなるので、今後、各市町村において、老人保健法(昭和五七年法律第八〇号。以下「老健法」という。)に基づく申請に対する処分につき標準処理期間を策定するに当たっては、左記の指針を参考とされたく、通知する。

第一 この通知において、標準処理期間の策定に当たっての指針(以下「指針」という。)を示す老健法、老人保健法施行令(昭和五七年政令第二九三号。以下「令」という。)及び老人保健法施行規則(昭和五八年厚生省令第二号。以下「規則」という。)に基づく申請に対する処分は以下のとおりである。

1 障害認定(老健法第二五条第一項第二号)

2 一部負担金の減免の認定(老健法第二八条第三項)

3 医療費の支給の認定(老健法第三二条第一項)

4 基準収入額の適用の認定(令第四条第三項)

5 高額医療費の支給の認定(令第一四条)

6 特定疾病の認定(令第一四条第五項)

7 限度額適用・標準負担額の減額の認定(令第一六条第一項第一号ハ又はニ)

8 標準負担額差額の支給の認定(規則第二五条)

9 移送費の支給の認定(規則第四一条)

第二 標準処理期間を策定するに当たっての留意事項

1 標準処理期間について(手続法第六条)

(1) 標準処理期間とは、第一に掲げる処分に係る申請が行政庁に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間をいうこと。

(2) 「通常要すべき」とは、「当該許認可等を求める申請の態様が通常であり、かつ、行政側の処理体制も通常であることを前提とした上で必要となる」という意味であること。

したがって、標準処理期間は、適法な申請を処理することを前提として定めるものであり、形式上不備な申請を補正するために要する期間は含まれないこと。

なお、適法な申請を前提とした場合でも、例えば申請の処理の途中で、申請者が申請内容を変更するために必要とする期間などは標準処理期間に含まれないこと。

(3) 標準処理期間を定める主体は行政庁であることとされており(手続法第六条)、第一に掲げる処分については、市町村長であること。

この場合の定め方については各市町村の事務処理に関する規程によることとされたい。

標準処理期間の策定については、努力義務とされているが、その趣旨は、処分によって、申請の審査に当たり事実関係の認定に難易差があるなどその設定が困難な場合も想定されるためであり、2に掲げる指針を参考にしつつ、市町村の事務処理の実態を勘案しつつ適切に定められたいこと。

申請の内容によって処理期間に相当な差異がある場合には、標準処理期間の設定が困難であるが、このような場合においても、申請事案の過半が一定の期間に処理されるものであるときは、その期間を標準処理期間として定めればよいこと。この場合、当該期間は、合理的な範囲内であれば、一定の幅を持ったものであってもよいし、申請を類型化し、類型ごとに複数の標準処理期間を定めることも可能であること。

以上に鑑み、標準処理期間を定めることが困難である場合は、実際に標準処理期間が定められなくともやむを得ないものと考えられること。

(4) 標準処理期間を定めたときは、これを公にしておかなければならないこと。

なお「公にしておかなければならない」とは、申請をしようとする者あるいは申請者に対して秘密にしないとの趣旨である(対外的に積極的に周知することまで義務付けるものではない。)こと。

(5) 手続法第六条は、行政運営の適正化の観点から、申請の迅速な処理の確保を図るため、行政庁の行為規範を定めたものであり、標準処理期間は、あくまでも申請の処理に要する期間の「目安」に過ぎないものであること。

したがって、申請に対する処分が標準処理期間を経過してもなされないからといって、そのことのみで、直ちに当該行政庁が行政事件訴訟法(昭和三七年法律第一三九号)第三条第五項にいう「不作為の違法」に当たることにはならないものであること。

2 標準処理期間の策定に当たっての指針

標準処理期間は、市町村の事情等により異なるものであり、本指針はあくまでも目安であることに留意の上、各市町村において、実情を勘案した期間を適宜設定されたいこと。

特に、実際に本指針に掲げる期間よりも短い期間で処理されている場合には、その期間を標準処理期間として設定することが望ましいこと。

(1) 障害認定(老健法第二五条第一項第二号)及び特定疾病の認定(令第一四条第五項)について

障害認定の事務に要する期間については、「政令で定める程度の障害の状態にある」要件を、①国民年金の年金証書、身体障害者手帳又は障害年金証書等(以下「証書等」という。)によって確認できる場合と、②証書等により障害の程度を確認することができない場合とに類型化される。

①については、当該証書等により明らかになる場合が多いと思料されるので、原則として、一日から三日以内程度の適切な期間を定めることが望まれること。

②の場合は、医師の診断により個別に認定するという場合が多いものと思料されるので、各市町村における認定事務の実態を勘案しつつ三〇日前後の適切な期間を定めることが望まれること。

また、特定疾病の認定については、「厚生労働大臣が定める疾病」にかかっていることが医師の意見書等によって明らかになる場合が多いものと思料されるので、原則として一日から三日以内程度の適切な期間を定めることが望まれること。

(2) 一部負担金の減免の認定(老健法第二八条第三項)について

震災等の災害により財産について著しい損害を受けたとき等の一部負担金の減額又はその支払の免除については、認定が行われている事例が極めて少ないこと、及び、実際の認定の事務は、処分の性質上行政庁の責に属さない事情により処理に要する期間が変動することが予想されることから、標準処理期間を示すことが困難であるものと思料されるので、標準処理期間が定められなくともやむを得ないものと考えられること。

(3) 医療費の支給の認定(老健法第三二条第一項)について

原則として医療費の支給要件の確認に必要な期間等を勘案し、三〇日前後の適切な期間を定めることが望まれること。

なお、市町村における事務処理について、国民健康保険団体連合会に審査の事務を委託しているため、その連絡事務に一定の時間を要する等の理由により、より長い処理期間が必要となる事情がある場合においては、これらの事情を勘案し、例えば三か月前後の適切な期間を定めることが望まれること。

(4) 基準収入額の適用の認定(令第四条第三項)について

原則として、限度額適用・標準負担額の減額の認定と同様の標準処理期間が考えられるが、各市町村等の施行事務実態を勘案し、適切な時期に適宜標準処理期間を設定されたいこと。

(5) 高額医療費の支給の認定について(令第一四条)について

原則として高額医療費の支給額の決定に必要な期間等を勘案し、一日から三日以内程度の適切な時間を定めることが望まれること。

なお、市町村における事務処理について、国民健康保険団体連合会に高額医療費算定業務を委託しているため、その連絡事務に一定の時間を要する等の理由により、より長い処理期間が必要となる事情がある場合においては、これらの事情を勘案し、医療等が行われた月の翌々月末日以内の範囲において適切な期間を定めることが望まれること。

(6) 限度額適用・標準負担額の減額の認定(令第一六条第一項第一号ハ又はニ)について

低所得者に係る限度額適用・標準負担額の減額の認定については、限度額適用・標準負担額減額認定申請書の記載事項及び添付書類により、判断が容易である場合が多いものと思料されるので、一日から三日以内程度の適切な期間を定めることが望まれること。

(7) 標準負担額差額の支給の認定(規則第二五条)及び移送費の支給の認定(規則第四一条)

原則として、医療費の支給の認定と同様の標準処理期間が考えられるが、各市町村等の施行事務実態を勘案し、適切な時期に適宜標準処理期間を設定されたいこと。