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○老人保健施設において施設療養を受ける初老期痴呆患者に係る療養費の取扱いについて
(平成三年一二月二〇日)
(保発第九一号・老健第一一六号)
(各都道府県知事あて厚生省保険局長・大臣官房老人保健福祉部長連名通知)
老人保健法等の一部を改正する法律(平成三年法律第八九号)により、初老期痴呆により痴呆の状態にある者(以下「初老期痴呆患者」という。)が、老人保健施設の利用対象者として新たに加えられ、これらの者が受ける施設療養について老人保健施設療養費に準じた療養費の支給が行われることとなり、平成四年一月一日をもって施行されることとなったが、これについては今後左記のとおり取り扱うこととしたので、関係者に対して周知徹底を図るとともに、遺憾のないよう御配慮願いたい。
記
1 今回新たに老人保健施設の利用対象者となった初老期痴呆患者とは、具体的にはアルツハイマー病及びピック病の患者がこれに該当するものであること。また、老人保健施設における初老期痴呆患者の取扱いは、入所者の適切な処遇を確保する観点から、厚生大臣が定める老人保健施設療養費に係る老人保健施設の施設基準(平成一〇年三月厚生省告示第八二号)の第三号に規定する痴呆性老人入所者基本施設療養費加算の施設基準及び第四号に規定する痴呆専門棟入所者基本施設療養費加算の施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た老人保健施設に限って認められるものであること。なお、老人保健施設における初老期痴呆患者の取扱いについては、おって老人保健福祉部より通知される予定である。
2 初老期痴呆患者が老人保健施設から受ける施設療養に係る療養費の額は、老人保健法第四六の二第四項の規定に基づき定められる老人保健施設療養費の額(昭和六三年三月一九日厚生省告示第八二号)を標準として保険者が定めることとされたこと。なお、標準となる療養費の算定基準については、別途保険局医療課長通知において示されるものであること。
3 今回の改正の趣旨が、初老期痴呆により家庭での介護が困難な痴呆の状態にある者についてその処遇にふさわしい老人保健施設の利用を認めることであることを踏まえ、また、老人保健施設における施設療養については老人保健法における諸規定及び老人保健施設の施設及び設備、人員並びに運営に関する基準(昭和六三年一月四日厚生省令第一号。以下「運営基準」という。)等を通じ運営の適正に係る規定が整備されていることにかんがみ、初老期痴呆患者に係る療養費の請求については以下に示す手続きにより受領委任の取り扱いを認めることとされたいこと。
4 受領委任形式を認める際の手続き
(1) 初老期痴呆患者に係る療養費の受取りについて、受領委任形式をとることを希望する老人保健施設は、あらかじめ文書をもって、都道府県知事にその旨を申し出、以下の事項を遵守する旨の契約を締結しなければならないものであること。
(ア) 老人保健施設は、関係法令及び通達を遵守し、初老期痴呆患者の心身の状況等に応じて適切な施設療養その他のサービスを提供すること。
(イ) 老人保健施設は、受領委任形式による療養費支給に係る施設療養を受けることを求められた場合には、その者の提示する被保険者証(健康保険継続療養証明書、日雇特例被保険者受給資格者票、日雇特例被保険者特別療養費受給票及び船員保険被扶養者証を含む。)によって療養費を受領する資格があることを確認しなければならないこと。
(ウ) 老人保健施設は、初老期痴呆患者に係る療養費について、前記2における算定基準により算定した額を保険者に請求するとともに、患者から運営基準第二五条に規定する利用料の支払いを受けるものであること。
(エ) 老人保健施設は、初老期痴呆患者が次の各号のいずれかに該当する場合には、遅滞なく意見を附してその旨を保険者に通知しなければならない。
(1 退所が可能と認められたとき。
(2 正当な理由なしに施設療養に関する指示に従わないとき。
(3 偽りその他不正の行為によって療養費の支給を受け、又は受けようとしたとき。
(オ) 老人保健施設は、療養費の支給に関し、都道府県知事が必要があると認めて指導又は監査を行い、帳簿及び書類を閲覧し、説明を求め、又は報告を徴する場合にはこれに応じなければならないこと。
(2) 都道府県知事は、(1)により契約を締結した老人保健施設については、政府管掌健康保険及び船員保険に関し、受領委任の取扱いを認めることができるものとすること。
(3) 都道府県知事は、健康保険組合、市町村(特別区を含む。)若しくは国民健康保険組合又は健康保険組合連合会若しくは国民健康保険団体連合会から(1)の申出の受理及び契約について委任を受けたときは、当該保険者に代わってこれらを行うものとすること。
(4) 都道府県知事は、(3)により契約を締結した老人保健施設に対して、当該保険者等に係る被保険者及び被扶養者に関する受領委任の取扱いを認めることができるものとすること。
(5) 都道府県知事は、(1)の契約の有効期間を三年間とすること。ただし、期間満了一か月前までに特段の意思表示がない場合は、有効期間満了の日の翌日において、さらに三年間順次更新したものとして取扱って差し支えないこと。
(6) 都道府県知事は、契約中の遵守事項に違反した老人保健施設については受領委任の取扱いを中止するものとし、以後二年を経過した後に再び(1)の申出があるまでの間は、受領委任の取扱いを認めないことができるものとすること。