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○老人保健法等の一部を改正する法律の施行について

(昭和六一年一二月二七日)

(健医老第一二九号)

(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省保健医療局老人保健部長通知)

老人保健法等の一部を改正する法律(昭和六一年法律第一○六号)の施行については、昭和六一年一二月二五日付け厚生省発健医第二八五号貴職あて厚生事務次官通知「老人保健法等の一部を改正する法律の施行について(依命通知)」により示されたところであるが、その実施に当たつては、同通知によるほか、次の事項に留意の上、遺憾のないよう配慮されたい。また、拠出金に関する事項については、別途通知する。

第一 一部負担の改正について

一 一部負担金の額については、昭和六二年一月一日から、外来の場合は一月八○○円に、入院の場合は期限を撤廃して一日四○○円に改めること。これにより、昭和六二年一月一日現在において、病院又は診療所に既に継続して二か月を超えて収容されている者についても入院時一部負担金の支払を要するものであること。

二 厚生大臣が定める疾病に係る医療を受けている者であつて市町村長の認定を受けたものが、当該疾病に係る医療を受けた場合において、その者が同一の月に同一の保険医療機関等に支払つた入院時一部負担金の額の合計額が政令で定める額に達するに至つたときは、その月のその後の期間については入院時一部負担金の支払を要しないものとされたこと。

この措置は、健康保険法等で規定されている特定疾病に係る高額療養費制度において、その支給の対象となる一部負担金の限度額が同一の月において一万円とされていることとのバランスを勘案して講ぜられるものであること。

なお、厚生大臣が定める疾病としては、昭和六一年一二月厚生省告示第二三三号で、①人口腎臓を実施している慢性腎不全、②血漿分画製剤を投与している先天性血液凝固第Ⅷ因子障害又は先天性血液凝固第Ⅸ因子障害(いわゆる血友病)が指定されたこと。また、政令で定める額は、老人保健法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(昭和六一年政令第三八五号)による改正後の老人保健法施行令で、一万円とされたこと。

市町村長の認定手続等については、別途通知するものであること。

三 医療を受ける者が、老齢福祉年金(その全額につき支給が停止されているものを除く。)の受給権を有し、かつ、その属する世帯の生計を主として維持する者が、①当該医療を受ける日の属する年度(その日の属する月が四月又は五月の場合にあつては、前年度)分の地方税法の規定による市町村民税が課されない者又は市町村の条例で定めるところにより当該市町村民税を免除された者である場合、又は、②当該医療を受ける日の属する月において、生活保護法に規定する要保護者であつて厚生省令で定めるものである場合、に該当することにつき市町村長の認定を受けたときには、入院時一部負担金は従来通り(二か月を限度として一日につき三○○円)であること。

なお、厚生省令で定めるものは、老人保健法施行規則等の一部を改正する省令(昭和六一年厚生省令第六二号)による改正後の老人保健法施行規則で、老人保健法第二八条第四項の規定により一部負担金を支払うとすれば、生活保護法の規定による保護を必要としない状態となる者とすることとされたこと。

昭和六二年一月一日以降において市町村長の認定を受けられないことについてやむを得ない事情がある場合には、老人保健法第三二条第四項の規定に基づく医療費を支給するものとすること。なお、同項の医療費の支給については、昭和六二年一月一日以降の日に係る一部負担金の支払額に対し適用して差し支えないこと。

おつて、市町村長の認定手続き及び医療費の支給手続きについては、別途通知するものであること。

第二 特定療養費の支給について

一 老人医療受給対象者が次に定める療養を受けたときは、市町村長は、特定療養費を支給するものとされたこと。この改正は、従来からの室料及び歯科材料の差額徴収並びに高度先進医療について、法令上明確に位置付け、適正なルールの下に実施することとしたものであること。

(一) 健康保険法に規定する特定承認保険医療機関又は国民健康保険法に規定する特定承認療養取扱機関(以下「特定承認保険医療機関等」という。)につき、療養をうけたとき。

(二) 保険医療機関等又は特定承認保険医療機関等につき、その者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生大臣が定める療養を受けたとき。この療養として、昭和六一年一二月厚生省告示第二三一号により療養を受ける者の選定に係る次に掲げる療養が定められたこと。

ア 特別の病室の提供

イ 前歯部の鋳造歯冠修復又は歯冠継続歯に使用する金合金又は白金加金の支給

二 特定療養費の額は、当該療養につき医療に要する費用の額の算定に関する基準を勘案して厚生大臣が定める基準により算定した費用の額から一部負担金相当額を控除した額とされたこと。

特定療養費に係る療養についての費用の額の算定については、老人保健法第三一条の二第一項に規定する療養についての費用の額の算定に関する基準(昭和六一年一二月厚生省告示第二三二号。以下「特定療養費の点数表」という。)により、老人保健法の規定による医療に要する費用の額の算定に関する基準(昭和五八年一月厚生省告示第一五号)の例によることとされたこと。なお、この場合において、前歯部の鋳造歯冠修復又は歯冠継続歯に金合金又は白金加金を使用したときは、歯科鋳造用金銀パラジウム合金を使用したものとみなすこととされたこと。

保険医療機関等及び特定承認保険医療機関等は、この療養に関し、現に当該療養に要する費用の範囲内において、特定療養費の点数表により算定した費用の額を超える金額について患者から支払を受けることができるものであること。

三 保険医療機関等及び特定承認保険医療機関等並びに保険医等は、厚生大臣が定める特定療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準に従い、特定療養費に係る療養を取り扱い、又は担当しなければならないものとされたこと。これに伴い、昭和六一年一二月厚生省告示第二三○号により、医療の取扱い及び担当に関する基準(昭和五八年一月厚生省告示第一四号)について所要の改正が行われ、本制度の対象となる療養を行おうとする保険医療機関等及び特定承認保険医療機関等は、次の事項を義務付けられたこと。

(一) 病院又は診療所の見やすい場所にその療養の内容及び費用に関する事項を掲示すること。

(二) 当該療養を行うに当たり、あらかじめ、患者に対しその内容及び費用に関して説明を行い、その同意を得なければならないこと。

(三) 前記の費用の支払を受ける場合は、特定療養費に係る一部負担金額とその他の費用の額とを区分して記載した領収証を交付すること。

四 特定療養費について、その支給すべき額の限度において、市町村長が老人医療受給対象者に代わり、保険医療機関等及び特定承認保険医療機関等に対し支払をなすことができるものとされたこと。

五 上記のほか、特定療養費に係る取扱いについては、健康保険の例によること。

六 昭和五九年九月二二日付け健医老第三五号当職通知「健康保険法等における特定療養費制度に対応した老人保健法における医療の取扱いについて」及び昭和六○年二月二五日付け健医老第一三号当職通知「特定承認保険医療機関等における老人保健法に基づく医療の取扱いについて」は、昭和六一年一二月三一日限り廃止すること。

第三 老人保健施設について

老人保健施設に関する規定は、公布の日から一年六月以内で政令で定める日から施行することとされており、施行までの間に老人保健施設の具体的な人員基準、施設基準、設備及び運営に関する基準並びに老人保健施設療養費の額を今後実施するモデル事業の結果等をもとに、老人保健審議会、中央社会保険医療協議会の意見を聴いた上で定めることとしていること。