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○厚生大臣の所管に属する公益法人の設立許可審査等の基準について(依命通知)

(昭和四八年一一月一日)

(厚生省総第三一〇号)

(各内部部局の長・社会保険庁長官官房総務課長あて厚生大臣官房長通知)

厚生大臣の所管に属する公益法人の設立及び監督に関する規則(昭和四八年厚生省令第四七号)の施行に際し、「厚生大臣の所管に属する公益法人の設立許可審査等の基準」を別添のとおり定め、厚生大臣の所管に属する公益法人でその目的とする事業が二以上の都道府県にわたるものについて適用することとしたので、昭和四八年一一月一日以降の事務処理については、これにより遺憾なきを期せられたい。

なお、既に設立を許可されている公益法人については、同基準の第一設立許可審査基準が直接適用されるものではないが、今後は、その趣旨に沿つて指導するよう申し添える。

〔別添〕

厚生大臣の所管に属する公益法人の設立許可審査等の基準

第一 設立許可審査基準

公益法人の設立許可に当たつては、申請にかかる社団又は財団が少なくとも次の各項の趣旨に沿うものであることを確認しなければならない。

なお、共管法人の設立許可については、関係行政機関と十分連絡協議のうえ、行わなければならない。

一 目的について

(1) 目的とする事業が厚生省設置法(昭和二四年法律第一五一号)の規定に基づく厚生省の所掌事務の範囲に属するものであること。

(2) 公益法人は、民法(明治二九年法律第八九号)第三四条に規定する公益に関する社団又は財団であること。

公益法人は、積極的に公益(不特定多数の者の利益)の実現を目的とするものであること。従つて、次に例示するようなものであつてはならないこと。

ア 同窓会、同好会等構成員相互の親睦、連絡、意見交換等を主たる目的とするもの

イ 後援会等特定個人の精神的、経済的支援を目的とするもの

二 事業について

(1) 営利を実質的な目的としないものであること。

公益法人の事業(附随的に行う収益を目的とする事業を除く。)は、次の事項のすべてに適合していなければならない。

ア 当該法人の設立目的に照らし、適切な内容の事業であること。

イ 事業内容が、定款又は寄附行為上具体的に明確にされていること。

ウ 営利企業として行うのが適当と認められる性格、内容の事業を主とするものでないこと。

(2) 収益事業は、公益法人としてふさわしいものであること。

設立目的を達成するため、附随的に収益を目的とする事業を行う場合にあつては、当該事業は次の事項のすべてに適合していなければならない。

ア 本来の事業に比べて、その規模が過大でないこと。

イ 公益法人としての社会的信用を傷つけるような内容の事業でないこと。

ウ その他、本来の事業に支障を及ぼすおそれのないこと。

三 名称について

公益法人の名称は、法人の目的及び実態を適切に表現した社会通念上妥当なものであること。従つて、次のような名称は適当でないこと。

ア 国又は地方公共団体の機関等と誤認させるおそれのある名称

イ 既存の法人又はその附属機関と誤認させるおそれのある名称

ウ 当該法人の活動の範囲(地域、事業内容など)とかけはなれた名称

四 資産及び会計について

(1) 公益法人は、設立目的を達成するため、健全な事業活動を継続するに必要な確固とした財政的基礎を有していること。従つて、その資産及び会計については、少なくとも次の事項に適合していなければならないこと。

ア 財団法人にあつては、設立当初の寄附財産の運用によつて生ずる収入及び恒常的な賛助金等により、設立目的の達成に必要な事業活動が遂行できること。このため、その基本財産は原則として三〇〇〇万円以上であること。

イ 社団法人にあつては、会費及び財産の運用によつて生ずる収入等により、設立目的の達成に必要な事業活動が遂行できること。

ウ 価値の変動の激しい財産、客観的評価が困難な財産等価値の不安定な財産又は過大な負担付財産が、法人財産の相当部分を占めていないこと。

(2) 公益法人は、官庁内に事務所等を置き、官庁施設を無償で利用するものであつてはならないこと。

五 年間の収支予算について

社団法人、財団法人とも事業計画にそつて事業を適確に遂行するための年間収支予算が計上され、かつ、財源が確保されていること(必要に応じ、資料を提出させること)。従つて、次のような基準によることが望ましい。

ア 収入の見積りは正確であること。

イ 支出予算は、事業計画を十分に遂行できる内容を有するものであること。

ウ 収入支出の額について、積算の基礎を明らかにすること。

エ 平年度において事業費以外の一般管理費の額が原則として総支出額の五〇%未満であること。

オ 予期しえない支出に備えるため予備費を設けること。

カ 具体的な事業計画についての収支予算は、過去に任意団体としての収支の実績がある場合には、それとの関連が妥当であること。また、公益事業に対する収支の規模が適切で確実に実施される見通しがあること。

キ 補助金、寄附金又は金融機関等からの借入金によつて運営資金をまかなう計画のある法人にあつては、資金計画又は償還計画が十分確立されていること。従つて、借入金は、財団法人における基本財産の果実、社団法人における会費、収入等確実な収入と均衡がとれていること。

六 機関について

公益法人の機関(理事、監事、評議員等)は、当該法人の健全、かつ、継続的な管理運営を可能とするようなものでなければならないこと。従つて、その機関は少なくとも次の事項に適合していること。

ア 理事の数は、当該法人の実態からみて多すぎないこと。

イ 理事、監事等の任期はあまり長期でないこと。

ウ 理事、監事、評議員等の構成は、法人の適切な運営が確保されるものであること。例えば、理事及び評議員の総数の過半数が同一親族で占められることは、適切なものでないこと。

エ 当省現職者が理事又は監事に就任していないこと。

オ 社団法人の総会又は財団法人の理事会は、社員又は理事の多数の意思が適切に反映されるように、会議の成立要件及び議決要件が定められていること。

七 残余財産の処分について

残余財産の処分が公益に反しないものであること。

定款又は寄附行為の規定に、解散に伴う残余財産の帰属者をあらかじめ指定し、又はその指定方法を定めているときは、その規定が公益に反しないものであること(財産の帰属者は特定個人あるいは営利法人であつてはならず、当該法人と類似の目的をもつ公益団体であることが望ましい。)。

定款又は寄附行為の規定に、解散に伴う残余財産の帰属者を定めていないときは、その残余財産の帰属その他の処分方法について厚生大臣の許可を受ける旨を規定していること。

第二 定款及び寄附行為の変更認可審査基準

一 定款又は寄附行為の変更認可は、法人の公益事業遂行上、真にやむをえないと認められる場合に限る。

二 定款又は寄附行為の変更が「第一 設立許可審査基準」の各項の趣旨に反することとなるような場合は、これを認可してはならないこと。

三 共管法人の定款又は寄附行為の変更認可及び他省庁所管法人が新たに厚生省所管の事業を行うための定款又は寄附行為の変更認可については、関係行政機関と十分連絡協議のうえ、行うこと。

第三 監督基準

一 厚生大臣の所管に属する公益法人の設立及び監督に関する規則(昭和四八年厚生省令第四七号)に規定する報告及び届出を励行させること。

二 業務および財産の状況について定期的に検査を実施すること。

検査は業務(事業、経理及び庶務)の状況及び財産の管理状況について行い、法人が設立許可の条件に適合したものであるかどうかを確認すること。

三 法人の運営については、報告、届出、検査等に基づき必要に応じて改善事項を指示するなど、適切な指導を行うとともに、特に必要と認められる場合にあつては、民法第六七条第二項の規定に基づき所要の命令を行いその適正を確保すること。

四 民法第七一条の規定に基づく法人の許可の取消は、他の方法により法人監督の目的を達することができない場合に認められるものであるので、おおむね次により行うようその取扱いに慎重を期すこと。

ア 法人がその運営の適正を欠き、あるいは長期にわたり事業を行つていないため民法第七一条に規定する許可の取消事由に該当すると認められるときは、その改善を指導し又は命じ、これにより是正されない場合には適当な期間を指定し解散を勧奨すること。

イ 当該勧奨を受けた法人が自ら解散しない場合にあつては、当該法人に対し文書をもつて民法第七一条に規定する許可の取消事由に該当する旨及びその理由を通知し、当該法人の理事に付聴聞を行つた上、その許可を取り消し、その旨を文書により通知すること。

ウ 当該法人の理事がいないとき又は所在が不明であるときは、ア、イによることなく法人の許可を取り消すことは差し支えないものであるが、その場合にあつては、当該取消処分の要旨を官報により公告すること。

なお、この場合、取消処分は当該公告の日から二〇日を経過した時にその効力を生ずるものとされているので、留意すること。

五 共管法人の監督については、関係行政機関と十分連絡協議のうえ、行うこと。