添付一覧
○指定都市における社会福祉に関する事務処理の特例について
(昭和三一年一〇月一九日)
(社発第八六七号)
(五大府県知事及び五大市長あて厚生省社会局長通達)
地方自治法第二五二条の一九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)における行政事務の処理に関する特例については、すでに自治庁次長、厚生事務次官及び建設事務次官の連名をもつて、「指定都市の事務処理の特例に関する件」(昭和三一年八月二四日、自乙行発第二五号、厚生省発総第二七号、建設省発書第七二号)により通知されたところであるが、これに伴い、身体障害者福祉法施行規則の一部を改正する省令(昭和三一年厚生省令第三六号)及び生活保護法施行規則の一部を改正する省令(昭和三一年厚生省令第三七号)も公布施行され、また身体障害者福祉法施行規則第三条第一項の規定による医師の指定基準の一部を改正する告示(昭和三一年一○月厚生省告示第二八九号)生活保護法第五二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬の一部を改正する告示(昭和三一年一○月厚生省告示第二八八号)も一一月一日から適用されることとなつたが、社会局関係事務の運営及び事務引継にあたつては、法改正の趣旨を十分徹底せしめるとともに、その細目については、特に次の事項に留意し、円滑、かつ、適正な運用を期せられたい。
記
第一 民生委員に関する事項
一 指定都市における民生委員の定数は、一一月一日以後は、当該指定都市の市長が定めるものであること。
二 指定都市の区域に置かれる民生委員を委嘱する場合の厚生大臣への推薦は、一一月一日以後は、当該指定都市の市長が行うものであること。従つて、当該民生委員の委嘱の手続は、当該指定都市の市長に委任されるものであること。
三 指定都市の区域に置かれる民生委員に対する指揮監督は、一一月一日以後は、当該指定都市の市長が行うものであること。
四 民生委員の指導訓練について
1 指定都市の区域に置かれる民生委員に対する指導訓練は、一一月一日以後は、当該指定都市の市長が行うことになるが、指導訓練の如何は民生委員の活動の如何に重大な影響をもつものであるから、これが実施については特に意を用いられたいこと。
2 指定都市については、一一月一日以後は、民生委員の指導訓練に従事する吏員を設置しなければならないこととなつたので、これが人員の確保に努められたいこと。
五 指定都市については、一一月一日以後は、民生委員法第二六条に規定する民生委員に関する諸経費は、当該指定都市が負担することとなるので、これが経費の確保については特に配慮されたいこと。
第二 身体障害者の福祉に関する事項
一 身体障害者の福祉に関する事務の範囲について
地方自治法第二五二条の一九第一項第三号に掲げる身体障害者の福祉に関する事務とは、同法施行令第一七四条の二八に規定する如く、身体障害者福祉法(この節において以下「法」という。)及び身体障害者福祉法施行令(この節において以下「令」という。)の規定による事務を指すものであつて、戦傷病者戦没者遺族等援護法に規定する事務は含まれないこと。
二 指定都市又は指定都市の市長その他の機関が処理し又は行うこととなつた事務について
1 地方身体障害者福祉審議会について
指定都市は、地方身体障害者福祉審議会を置かなければならないこととなつたので、身体障害者手帳の交付との関係もあり、早急にこれを設置すること。設置の細部に関しては、「身体障害者福祉法に関する件」(昭和二五年四月一日厚生省発社第二八号厚生事務次官通知)中「第二地方身体障害者福祉審議会に関する事項」によられたいこと。また、同審議会の委員を任命したときは、同通知に示されているところに従つて、委員の職、氏名、年令等をすみやかに本職あてに報告されたいこと。
なお、同審議会には、審査部会を設けるとともに、年三回以上開くこととなつているので、活発に活動するよう努められたいこと。
2 居住地を有しないか、又は明らかでない身体障害者の援護について
居住地を有しないが、又は明らかでない身体障害者についての援護は、従来その者の現在地の府県知事が行つていたが、現在地が指定都市の区域内にある場合は、当該指定都市の市長が行うこととなつたので、その実施に遺漏なきを期せられたいこと。
3 身体障害者福祉司の設置について
指定都市は、その設置する福祉事務所に身体障害者福祉司を必ず置かなければならないこととなつたので、未だ置いていないところにあつては、早急にこれが設置を図るとともに、法第一○条の規定に従つて任用するようにすること。
4 身体障害者更生相談所の設置について
指定都市が身体障害者更生相談所を設置するかどうかは任意であるが、設置する場合には、「身体障害者更生相談所の設置及び運営について」(昭和二七年六月一九日社乙発第九九号本職通知)に従つて行い、必要な室数、設備と職員を備え、施設は独立のものとすること。
5 身体障害者手帳の交付について
(1) 手帳交付事務の円滑化について
指定都市に居住する身体障害者に対する手帳の交付は、一一月一日以後は、指定都市の市長が行うこととなつたので、一○月三一日以前に申請のあつたもので一一月一日以後に交付されると予想されるものについては、市長が交付するよう特に円滑に措置されたいこと。
(2) 身体障害者手帳交付台帳の整備について
指定都市の市長は、令第三条の規定により、身体障害者手帳交付台帳を備えて、新たに手帳を交付する身体障害者につき必要な事項を記載すること。また、指定都市に居住する身体障害者に対して従前府県知事の行つた手帳の交付は一一月一日以後は、市長が行つたものとみなされるので、これらの者について台帳の写の送付を受けて引き継ぎ、その整備を行うこと。
(3) 法第一五条第一項の規定による医師の指定について
府県知事の行つた法第一五条第一項の規定による医師の指定は、一一月一日以後は、指定都市の市長が指定したものとみなされるので、これに関し所要の引継を行うとともに、指定都市の市長は、新たに、法第一五条第一項の規定により医師を定めることができることとなつたが、指定医師については、現在一応充足していると考えられるので、なるべく新規の指定は見合わせるとともに、指定を要する場合は、指定医師の診断が高度の学識経験を必要とし、かつ、身体障害者の権利に重大な影響があるので、慎重に措置されたいこと。
(4) 障害程度の認定に疑のある場合の措置について
手帳の交付の申請があつた場合、その障害が法別表に掲げるものに該当しないと認めるときは、指定都市の市長は、指定都市に置かれる地方身体障害者福祉審議会に諮問することを要し(令第二条)、指定都市に置かれる地方身体障害者福祉審議会が調査審議を行い、なおその障害程度の認定について疑があるときは、指定都市の市長は厚生大臣に対し、その障害程度の認定を求めなければならない(身体障害者福祉法施行規則(この節において以下「規則」という。)第六条)ものであるので、障害程度の認定については、慎重に措置されたいこと。
6 更生医療の給付について
(1) 指定医療機関について
法第一九条の二第一項の規定による厚生大臣の指定を受けようとする医療機関の開設者(国を除く。)は、指定都市にあつては、申請書を、当該指定都市の市長を経由して厚生大臣に提出しなければならないこととなつたので、「身体障害者福祉法第一九条の二第一項の規定による医療機関の指定申請について」(昭和二九年七月二日社発第五○六号本職通知)及び「身体障害者福祉法第一九条の二第一項の規定による医療機関の指定について」(昭和三○年九月一四日社発第六八五号本職通知)によられたいこと。
なお、規則第一三条の六の規定による担当する医療の種類の変更の申請、規則第一三条の七の規定による届出及び規則第一三条の八の規定による指定辞退の申出についても、指定都市の市長を経由することとなつたので、円滑に処理されたいこと。
(2) 診療内容及び診療報酬の請求の審査並びに診療報酬の額の決定について
指定都市の市長は一一月一日以後は、指定医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を随時審査し、その結果に基き診療報酬の額を決定することができることとなつたが、決定に当つては、社会保険診療報酬支払基金法に定める審査委員会の意見を聞かなければならないので、指定都市の市長は、従来府県知事あてに通知されている関係通知を参照して従来の支払のみに関する契約を改訂し、審査に関しても契約を締結されたいこと。また、府県知事は、医療費審査の対象の範囲が変更したことに関して、社会保険診療報酬支払基金と覚書を交換されたいこと。
なお、この審査及び決定は、従来における府県知事と同様の立場において行うものであるから、指定都市の市長は、当該指定都市の市長の委託した身体障害者に係る医療については、指定医療機関の所在地とは関係なく実施することができるものであること。従つて、当該指定都市の区域内に所在する指定医療機関に委託された身体障害者であつても、当該指定都市の市長以外の援護の実施機関が委託した身体障害者については、当該指定都市の市長は審査及び決定の権限を有しないものであること。
また、一○月三一日以前に診療したものであつても、一一月一日以後において社会保険診療報酬支払基金事務所に提出された指定都市に係る診療報酬請求書については指定都市の市長が審査及び決定を行うものであること。
以上につき社会保険診療報酬支払基金事務所と連絡をとり遺憾のないように処置せられたいこと。
指定都市の市長は、「更生医療関係諸帳簿の整備について」(昭和二九年一○月二日社発第七八六号本職通知)に示したところに従つて、更生医療診療報酬審査決定簿及び指定医療機関指導監督簿を整備して、後述(3)の結果と併せて所要の事項を記入しておかれたいこと。
(3) 指定医療機関に対する報告の請求及び検査について
指定都市の市長は、一一月一日以後は、法第一九条の六の規定による指定医療機関に対する報告の請求及び検査を行うことができることとなつたので、当該医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は職員をして実地に診療録その他の帳簿書類を検査し、十分にその指揮監督を行われたいこと。
なお、この報告の請求及び検査は、従来の府県知事と同様の立場において行うものであるから当該指定都市の区域内に所在する指定医療機関について実施するとともに、その委託した身体障害者に係る医療については、都道府県又は他の指定都市の区域内に所在する指定医療機関についてもこれを実施すること。従つて、指定都市の区域内に所在する指定医療機関であつても、府県知事は、その委託した身体障害者に係る医療については、従来どおり当該指定医療機関に対する報告の請求及び検査を行うことができること。
7 法第二五条第一項又は第三項に規定する社会福祉法人について
法第二五条第一項又は第三項の規定による厚生大臣の規定を受けようとする社会福祉法人は、指定都市にあつては、規則第一八条第一項の規定による申請書を当該指定都市の市長を経由して厚生大臣に提出することとなり、また、規則第一八条第二項の規定による届出及び規則第一九条の規定による事業報告等についても、同様に指定都市の市長を経由することとなつたこと。
三 身体障害者更生援護施設及び養成施設について
指定都市が身体障害者更生援護施設又は養成施設を設置又は附置する場合は、従来府県知事の認可を要し、その認可の取消、施設の種類の変更、休止、廃止の認可等もすべて府県知事によつて行われていたのであるが、九月一日以後は、すべて厚生大臣が行うこととなり、また、これらの施設に対する職員の実地の監督(報告の徴収を除く。)も府県知事より厚生大臣に移るなど、施設に対する指導監督は厚生大臣が行うこととなつたこと。
従来、これらの施設の設置につき存した法第三七条の規定による府県の負担は、一一月一日以後はなくなり、その費用は、国が二分の一を負担し、他の二分の一は、指定都市の支弁となつたこと。
四 経費の交付手続について
1 身体障害者保護費国庫負担金の取扱について
法第三七条の二の規定による国庫負担金の取扱については、昭和三一年四月二日厚生省発社第九六号厚生事務次官依命通達によつて、その交付に係る事務の一部を都道府県知事に委任しているところであるが、指定都市に対する右の国庫負担金に関しては、右の委任を解除し、厚生大臣が交付に係る事務をすべて行うこととされる予定であること。従つて、指定都市の市長は、昭和三一年一一月一日以後における右の国庫負担金の交付の申請、状況報告、実績報告等をすべて厚生大臣に直接行うものであること。
なお、出納事務については、府県におかれている支出官及び歳入徴収官をして行わせるものであること。
2 身体障害者更生援護施設整備費国庫負担金の取扱について
指定都市の設置する身体障害者更生援護施設の施設整備費の国庫負担金の交付申請手続等については、「身体障害者福祉法による国庫負担金の取扱について」(昭和三一年六月二五日厚生省発社第一一三号厚生事務次官通知)の記の第三の都道府県知事の例によるものであること。
五 諸報告について
本省への報告については、指定都市の市長は、府県知事を通ずることなく、直接本省へ提出するものとすること。
なお、必要に応じて、報告の写を府県知事に提出するよう本省から指示することがあること。また、府県知事が指揮監督権の行使として独自の立場で報告を徴することは、もちろん妨げないこと。
六 以上一から五までに述べたほか、指定都市の市長による法の施行にあたつては、都道府県知事あての関係通知によられたいこと。
七 今回の事務移譲により、指定都市は、身体障害者福祉司の設置の義務を負うこととなつたのをはじめとして、指定都市に置かれる地方身体障害者福祉審議会の事務や身体障害者手帳の交付の事務等事務量からみて可成りの人員を要するものを新たに処理することとなつたので、所要人員の増員を図り、法の施行に遺憾なきを期せられたいこと。
第三 生活保護に関する事項
一 事務監査について
府県知事が、上級行政庁としての監督権の行使として、生活保護法(この項において以下「法」という。)第二三条の規定により指定都市の市長が行う事務を監査することについては、従来と変りがないが、指定都市制度の趣旨にかんがみ、今後は、府県知事の行う事務監査は指定都市本庁に重点を置き、指定都市の市長が福祉事務について行う事務監査と相俟つて、法の円滑な実施を図り適正にして統一的な保護を確保するよう努められたいこと。
右のように福祉事務所については、第一次的には指定都市の市長が事務監査を行うのであるが、次のような場合には、府県知事は福祉事務所について積極的に事務監査を行うべきであること。
(一) 市長の福祉事務所に対する指導監督の状況を確認しようとする場合
(二) 保護状況の推移に特異な傾向が認められる場合
(三) 不正事件が発生した場合
(四) その他監査の必要がある場合
しかしながら、経過的には、指定都市の事務監査の実施体制が必ずしも十分ではないので、府県知事が行つているのと同程度の事務監査を指定都市の市長が行うことができる程度にその実施体制が整備されるまでの間は、府県知事が、従来のとおり、指定都市の福祉事務所について事務監査を行うこと。
なお、本省の職員が指定都市について行う事務監査には、府県の職員は立ち会うものとされたいこと。
二 保護施設について
1 保護施設の設置の認可及び監督
社会福祉法人及び日本赤十字社の保護施設に関し、設置の認可、休止又は廃止の時期の認可、改善命令、及び管理規程の変更命令等であつて、その保護施設を主として利用する地域が指定都市であるものについての認可等は、一一月一日以後は、指定都市の市長がこれを行うものであること。府県の管轄する保護施設以外の保護施設に関し、運営の指導、管理者からの報告の徴収、立入検査並びに保護施設の長の行う指導の制限及び禁止等は、一一月一日以後は、指定都市の長がこれを行うものであること。
2 指定都市の保護施設の設置については、九月一日以後は、府県知事の認可を受けることを要しないものとなり、また、従来府県知事から受けていた改善命令等については、九月一日以後は、厚生大臣の命令を受けるものであること。
三 指定医療機関等について
法第四九条の規定による医療機関の指定、法第五○条第二項に規定する指導、法第五一条第二項の規定による指定の取消、法第五三条の規定による医療費の審査決定、法第五四条の規定による報告の徴収及び立入検査並びに法第五五条の規定による助産機関等に関する事務については、従来における府県知事と同様の立場において、指定都市の市長が行うこととされたこと。この場合において、特に注意すべき点は、次の諸点であること。
1 すでに府県知事の指定によつて指定医療機関となつているものに関する指定の取消及び指導についても、指定都市の市長が行うものであること。
2 診療内容及び診療報酬の請求の審査並びに診療報酬の額の決定に当つては、指定都市の市長は、専門的な技術吏員を設置するなど特に実施体制の整備に配意されたいこと。
3 診療報酬の額の決定に当つては、法第五三条第三項の規定により社会保険診療報酬支払基金の審査委員会又は政令で定める審査機関の意見を聴かなければならないが、現在は政令で定める審査機関はないので指定都市の市長は、社会保険診療報酬支払基金と右の意見聴取に関する契約を締結すること。この場合においては、指定都市の市長は、従来府県知事あてに通知されている関係通知を参照して従来の支払のみに関する契約を改訂して府県知事と同様の契約を締結されたいこと。
また府県知事は、医療費審査の対象の範囲が変更したことに関して、社会保険診療報酬支払基金と覚書を交換されたいこと。
4 指定都市の市長が保護の決定及び実施の責任を有する被保護者に係る医療に関する生活保護法施行規則第一七条第一項の規定による診療報酬請求書及び診療報酬請求明細書は、指定都市の市長が指定する医療費の審査機関に対して提出されることとなつたこと。
5 第五二条第二項の規定による診療方針及び診療報酬(昭和二五年厚生省告示第二一二号)の第三項又は第八項による協定についても、指定都市の市長が事務を行うものとすること。すでに府県知事が協定したものについては、指定都市の市長が協定したものとみなされるものであること。
6 法第五四条第一項の規定による報告の徴収及び立入検査は、厚生大臣が行うほか、原則として指定都市の市長が行うこととなつたが、特に必要がある場合には、上級監督庁として府県知事も行うことができるものであること。
四 医療扶助の実施について
医療扶助の実施についても、全面的に指定都市の市長が行うこととすることが今回の事務委譲の趣旨に沿うものと考えられるが、最近における医療扶助の動向及び指定都市の医療扶助実施体制の現状からみて、当分の間は、完全看護の承認、完全給食の承認、付添看護の承認及び結核性疾患の入退院の決定については、次により処理されたいこと。
1 完全看護の承認手続
(一) 承認申請書は、指定都市の市長に対し提出させること。
(二) 指定都市の市長は、右の申請に基き調査のうえ、承認の可否に関する意見を付して、府県知事に協議すること。
(三) 府県知事は、右の協議を受けたときは、慎重に検討を行つたうえ、承認の当否について指定都市の市長に通知すること。
(四) 指定都市の市長は、右の通知を受け、承認を決定したものについては、申請者及び医療費の審査機関に承認番号を付して通知すること。
2 完全給食の承認手続
完全看護の承認手続と同様であること。
3 付添看護の承認手続
(一) 指定都市の市長は、看護の承認に当つては、府県知事に対して事前に協議する必要はないが、承認の決定をしたときは、一週間以内に次に掲げる事項を府県知事に通知すること。
(1) 被保護者の氏名及び住所
(2) 傷病名
(3) 指定医療機関の名称及び所在地
(4) 看護人の氏名及び住所
(5) 承認期間
(二) 府県知事は、右の通知を受けたときは、看護の承認の重複の有無を調査し、重複があつた場合には、指定都市の市長と連絡して必要な措置を講ずること。
4 結核性疾患の入退院の決定手続
従来のとおりとすること。
五 費用について
1 居住地不明者等に係る保護費等の負担
居住地がないか又は明らかでない被保護者につき市町村が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費並びに宿所提供施設又は母子寮にある被保護者につきこれらの施設の所在する市町村が支弁した保護費、保護施設事務費及び委託事務費については、法第七三条第一号及び第二号の規定により、府県がその一○分の二を負担することになつているが、指定都市が行つた昭和三一年一一月一日以後の保護に要する経費の支弁については、右の府県の負担は行われないこととされたこと。
2 施設設備費の負担並びに社会福祉法人及び日本赤十字社の保護施設に対する補助
指定都市の市長の管轄する保護施設の保護施設設備費については、一一月一日以後府県はこれを負担し、又は補助しないものであること。従つて、今後は、指定都市は、その設置する保護施設の設備費については、その二分の一を負担し社会福祉法人又は日本赤十字社の保護施設については、その修理、改造等に要した費用の四分三以内を補助するものであること。
六 経費の交付手続について
1 生活保護費国庫負担金の取扱
法第七五条第一項第一号による国庫負担金の取扱については、昭和三一年四月二日厚生省発社第九一号厚生事務次官依命通達によつて、その交付に係る事務の一部を都道府県知事に委任しているところ(昭和三一年六月厚生省告示第一四八号を参照のこと。)であるが、指定都市に対する右の国庫負担金に関しては昭和三一年一○月一八日厚生省発社第一九四号厚生事務次官通達によつて、右の委任を解除し、厚生大臣が交付に係る事務をすべて行うこととされたいこと。従つて、指定都市の市長は、昭和三一年一一月一日以後における右の国庫負担金の交付の申請、状況報告、実績報告等をすべて厚生大臣に直接行うものであること。
なお、出納事務については、府県におかれている支出官及び歳入徴収官をして行わせるものであること。
2 生活保護施行事務費補助金の取扱
当分の間、従来のとおりとすること。
3 保護施設設備費国庫負担金の取扱
指定都市の市長は、その管轄する保護施設の設備費の国庫負担金又は補助金の交付申請手続等については、昭和三一年五月二一日厚生省発社第九五号厚生事務次官通知「生活保護法による国庫負担金の取扱について」の記の第三の二の(一)及び(二)の例によるものであること。
なお、出納事務については、六の1の生活保護費国庫負担金の取扱の例によること。
七 その他について
1 関係通知による都道府県知事の事務
一から六までのほか、一般的にはすべて指定都市の市長が事務を行うものとすること。
2 諸報告
本省への報告については、指定都市の市長は、府県知事を通すことなく、直接本省へ提出するものとすること。
なお、必要に応じて、報告の写を府県知事に提出するよう本省から指示することがあること。また、府県知事が、指揮監督の行使として独自の立場で報告を徴することは、もちろん妨げないこと。
第四 行旅病人及び行旅死亡人の取扱に関する事項
行旅病人及び行旅死亡人取扱法第五条の規定による引取及び費用負担並びに同法第一三条の規定による費用負担については、行旅病人死亡人等の引取及び費用弁償に関する件(明治三二年勅令第二七七号)の規定により、行旅病人若しくはその同伴者又は行旅死亡人の救護又は取扱を行つた地の道府県の事務とされているが、指定都市がこれらの者の救済又は取扱を行つた場合は、右の事務は指定都市が行うこととされたこと。
第五 公益質屋法に関する事項
指定都市の経営する公益質屋の貸付金額の限度及び貸付利率の限度については、九月一日以後は、公益質屋法第四条但書及び第五条第一項但書の規定による府県知事の認可を要しないものとされたが、その限度は、「公益質屋法第四条における但書の取扱いについて」(昭和二九年三月一○日社発第二○三号本職通知)及び「公益質屋利率引上の件」(昭和二二年九月二三日社乙第一一五号本職通知)によられたいこと。
第六 社会福祉事業法に関する事項
社会福祉事業を経営する指定都市については、社会福祉事業法第六六条及び第六七条の規定は、九月一日以後は、適用されないものであること。
なお、右のほか、指定都市に対する同法の適用については、従前の通りであること。