添付一覧
○指定都市の事務処理の特例に関する件
(昭和三一年一〇月一八日)
(衛発第七一八号)
(神奈川・愛知・京都・大阪・兵庫各県知事・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸各市長あて厚生省公公衆衛生局長通達)
標記については、昭和三一年八月二四日自乙行発第二五号、厚生省発総第二七号、建設省発書第七二号、自治庁次長、厚生事務次官、建設事務次官連名通知(以下「三次官通知」という。)をもつて、改正の趣旨及び大綱が示達されたところであるが、このうち公衆衛生に関する事務の処理については、特に左記の点に留意し、事務の適正な執行に遺憾のないようにされたい。
記
第一 伝染病の予防に関する事務
一 伝染病予防法(以下この節において「法」という。)伝染病予防法施行令(以下この節において「令」という。)及び伝染病予防法施行規則(以下この節において「規則」という。)中従来府県又は府県知事その他の機関が行うこととされていた事務のうち、次に掲げるものは、今次の改正により、原則として、指定都市又は指定都市の市長その他の機関が行うこととなつたこと(地方自治法施行令第一七四条の三二第一項)。
(一) 指定都市の市長が行うこととなるもの
1 予防方法を施行する必要があると認める法定外伝染病の発生した場合に、法の適用に関する意見を附して厚生大臣に報告すること。(法第一条第四項)。
2 病原体保有者又はその保護者の請求に応じ病原体の有無に関する検査を行うこと(法第二条ノ三、規則第一三条)。
3 伝染病院、隔離病舎等の設備及び管理の方法を定めること(法第一七条第二項)。
4 船舶、汽車及び電車の検疫を施行すること(法第一八条、令第一○条、規則第三五条・第三六条・第九章)。
5 市街の全部若しくは一部の交通を遮断し、又は人民を隔離すること(法第一九条第一項第二号、規則第二九条第三項)。
6 集会等のため人民の群集することを制限し、又は禁止すること(法第一九条第一項第三号)。
7 汽車又は船舶に医師の雇入その他予防上必要な設備をさせること(法第一九条第一項第六号)。
8 上下水の新設、廃止等を命じ、又はその使用を停止すること(法第一九条第一項第七号)。
9 漁撈、遊泳等を制限し、又は停止すること(法第一九条第一項第八号)。
10 伝染病毒に汚染した建物に対し別段の処分を行う等の措置をとること(法第一九条ノ二、規則第四九条・第五○条)。
11 諸官庁等に伝染病が発生した場合にその首長の伝染病の予防に関する協議に応ずること(法第二○条)。
12 伝染病が流行するおそれがあると認める場合に厚生大臣に報告し、かつ、交通密接な地域の都道府県知事等に通知すること(令第一条)。
13 代用消毒薬品の検定に関する事務を行うこと(令第三条、代用消毒薬品検定規程)。
14 コレラ以外の伝染病の病原体保有者に対して法第七条、第八条等の規定を適用する必要の有無を認定すること(令第四条第一項ただし書)。
15 伝染病毒伝播の虞がないと認める場合に伝染病患者が一定の業務に従事することを許可すること(規則第三一条第二項)。
(二) 指定都市衛生吏員が行うこととなるもの
患家等の交通を遮断し、又は病毒感染の疑のある者を隔離所等に隔離すること(法第八条、規則第二九条)
(三) 指定都市検疫委員が行うこととなるもの
1 伝染病患者等に関する届出の受理等を行うこと(法第三条・第四条第一項)。
2 患家等の交通を遮断し、又は病毒感染の疑のある者を隔離所等に隔離すること(法第八条、規則第二九条)。
3 伝染病患者等の移送を認可すること(法第九条、令第五条、規則第三二条第一号)。
4 伝染病毒に汚染した物件等の使用、移転等を認可すること(法第一○条、規則第三二条第二号)。
5 死後二四時間内の伝染病患者の死体の埋葬を認可すること(法第一一条第二項、規則第三二条第三号)。
6 船舶、汽車及び電車の検疫を執行すること(法第一八条、規則第九章)。
(四) 指定都市が行うこととなるもの
防疫監吏及び防疫技師を設置すること(法第一八条ノ二)。
二 法第二条第二項の規定による疑似症に対する法の適用は、原則として、従来どおり府県知事において行うものであるが、指定都市の区域内における伝染病予防上特に必要があるときは、府県知事が法を適用する措置をとらない場合においても、指定都市の市長においてその措置をとることができるものであること(地方自治法施行令第一七四条の三二第三項、規則第六条・第七条)。
三 一及び二に掲げる事務を行う場合には、従来当省より通知したところによるとともに、都道府県知事からの事務引継に際し、従来の経緯、事務の処理要領等について協議の上、今後の事務処理に遺憾なきを期せられたいこと。
四 指定都市の市長が行うこととなつた事務のうち、法第一八条の規定による船舶、汽車及び電車の検疫及び法第一九条の規定による市街の交通遮断、漁撈、遊泳等の禁止等の措置については、伝染病が指定都市の区域とその他の市町村の区域にわたりまん延し、又はまん延する虞のある場合においては、府県知事その他の機関が、指定都市の区域において従来どおりこれらの事務を行うことができるものであること。この場合においては、府県知事その他の機関は、あらかじめ、指定都市の市長その他の機関に対し、これらの事務を行う旨を通知することとなつたこと(地方自治法施行令第一七四条の三二第二項)。この規定の趣旨は、これらの事務についても原則として指定都市の市長その他の機関が行うべきものであるが、コレラのごとき検疫伝染病が発生している場合など府県知事が府県の区域の全般にわたつてこれが防あつを図ることが必要と認められる場合を考慮したものであること。
五 指定都市が伝染病の予防に関する事務を処理するに当つては、伝染病予防委員(以下「予防委員」という。)の設置(法第一五条第一項)、清潔方法及び消毒方法の施行(法第一六条)、ねずみ族、こん虫等の駆除(法第一六条ノ二第三項)伝染病院等の設置(法第一七条)及び家用水の供給(法第一七条ノ二)について、府県知事の指示その他の命令を要することなく、自らの判断に基いて積極的にそれらの措置を講ずることができることとしたこと。しかしながら、府県知事において、伝染病予防上特に必要があると認めるときは、これらの指示又は命令をすることができるものであること(地方自治法施行令第一七四条の三二第七項)。
六 指定都市の市長は、一及び二に掲げる事務を行つたとき、又は五前段に掲げる措置を講じたときは、直ちに、その旨を、府県知事に通知することとなつたこと(地方自治法施行令第一七四条の三二第八項)。この通知は、府県の区域内において行われた防疫措置について、府県知事が迅速かつ適確にこれを把握するために行われるものであるので、この趣旨に従つて、通知を行うようにされたいこと。
七 以上のごとく、指定都市の区域については、原則として、指定都市、又は指定都市の市長その他の機関において伝染病の予防に関する事務を行うこととなつたのであるが、伝染病の予防措置は、本来広域的処理を必要とするものであり、かつ、指定都市とその周辺の市町村は、交通事情その他住民の日常生活において特に密接な関係にあることにかんがみ、府県知事及び指定都市の市長は、伝染病の予防措置に関し特に連絡協調を緊密にする必要があるので、この点十分留意されたいこと。
八 指定都市又は指定都市の市長その他の機関において行う事務に要する費用を負担については、指定都市が従来どおり一般の市町村として支弁する費用(法第二一条の規定による支弁(法第一九条第二項に関する諸費を除く。))に対し、国庫は、直接、その支弁額の三分の一を負担することとし、指定都市が今次の改正により従来の府県知事その他の機関の事務を行うため支弁する費用(法第二二条の規定による支弁(法第二一条に規定するものを除く。)及び法第一九条第二項に関する支弁)に対し、国庫は、直接、その支弁額の二分の一を負担することとしたこと。従つて、これらの費用については、従来の府県の支弁は、原則として、行われなくなつたこと。ただし、地方自治法施行令第一七四条の三二第二項の規定により、府県知事その他の機関が、指定都市の区域内において法第一八条(検疫)及び第一九条(市街の交通遮断等)の事務を行つた場合においては、これに要する費用は、従来どおり、府県において支弁し、国庫は、国庫に対し、その支弁額の二分の一を負担するものであり、また、地方自治法施行令第一七四条の三二第七項ただし書の規定により府県知事が伝染病予防上特に必要があると認めて、指定都市に対し、予防委員の設置、清潔方法及び消毒方法の施行等の措置をとることを指示し、又は命令した場合においては、従来どおり、これらの措置に関する指定都市の支弁に対し、府県はその支弁額の三分の二を支出し、国庫は府県に対し、その支出額の二分の一を負担するものであること(地方自治法施行令第一七四条の三二第四項から第六項まで。)。
なお、指定都市が、府県知事の指示を受けないで、法第一七条の規定により伝染病院を設置する等の措置をとつた場合の費用については、その措置につき、あらかじめ、厚生大臣の承認を受けたものに要した費用に限つて国庫負担を行うものであること。これは、単に新設の場合のみならず、増改築等の場合にも承認を受ける必要があるものであること(地方自治法施行令第一七四条の三二第六項)。
第二 寄生虫病の予防に関する事務
一 寄生虫病予防法(以下この節において「法」という。)中従来府県又は府県知事が行うこととされていた次の各号に掲げる事務は、今次の改正により、指定都市又は指定都市の市長が行うこととなつたこと(地方自治法施行令第一七四条の三三第一項)。
(一) ふん便その他寄生虫病伝播の媒介となるべき物件の処置について、寄生虫病の予防上必要な命令を発し、又は処分を行うこと(法第三条)。
(二) 法第三条の規定に基く命令又は処分によりふん便その他の物件の処置を行う者に対し、その費用の全部又は一部を補助すること(法第六条)。
二 指定都市が法第四条の規定により寄生虫病の予防及び治療に関する施設をなすに当つては、府県知事の指示を要することなく、自らの判断に基いて積極的にこれらの措置を講ずることができることとなつたこと(地方自治法施行令第一七四条の三三第三項)。
三 指定都市が法第六条の規定により支出した費用その他寄生虫病の予防及び治療のために支出した費用(法第四条の規定による寄生虫病の予防及び治療に関する施設に要する費用を除く。)に対しては、従来の府県が補助する規定は、指定都市に関しては適用されなくなつたこと。
第三 「トラホーム」の予防に関する事務
指定都市が「トラホーム」予防法第五条の規定により「トラホーム」の予防及び治療に関する施設をなすに当つては、従来の府県知事の指示を要することなく、自らの判断に基いて積極的にこれらの措置を講ずることができることとなつたこと(地方自治法施行令第一七四条の四二第二号)。
第四 結核の予防に関する事務
一 従来府県及び府県知事が行つていた従業禁止(結核予防法(以下この節において「法」という。)第二八条)、入所命令(法第二九条)従業禁止、命令入所患者に対する医療費の公費負担(法第三五条)並びに指定医療機関の指定及び指定の取消等(法第三六条)に関する事務は、今次の改正により指定都市又は指定都市の市長が行うこと(法第六九条、結核予防法施行令(以下この節において「令」という。)第九条の二、地方自治法施行令第一七四条の三七第一項)となり、これに伴い指定医療機関の告示(結核予防法施行規則(以下この節において「規則」という。)第二六条)及び指定医療機関に対する指導(規則第二八条)に関する事務は指定都市の市長が行うこと(規則第三二条)となつたので、府県と十分連絡のうえ当該事務の円滑な引継を受けるようされたいこと。なお従来禁止、入所命令に関する事務については結核予防法の施行に関する件(昭和二六年六月一二日厚生省発衛第八六号厚生事務次官依命通知)「記」第五により、医療費の公費負担に関する事務については同通知「記」第六、結核予防法第三四条及び第三五条の医療費の公費負担に関する件(昭和二七年六月一七日衛発第五二四号本職通知)「記」第八及び従業禁止及び命令入所患者の医療費負担能力の認定について(昭和二七年三月一七日発衛第五二号、厚生事務次官通知)により、指定医療機関の指定及び取消等に関する事務については前記第八六号通知「記」第六及び結核予防法第三六条第一項の規定による医療機関の指定について(昭和二六年八月一七日衛発第六四五号本職通知)により、それぞれ事務処理の遺憾なきを期せられたいこと。
二(一) 指定都市の行う事業の使用者又はその設置する学校若しくは施設の長が行う定期の健康診断、予防接種に要する費用(指定都市の事業の使用者が行う健康診断に要する費用を除く。)及び指定都市の市長が行う一般住民に対する定期の健康診断、予防接種に要する費用については、府県の補助は行われず、直接国庫から三分の一の額について補助が行われることとなつたので(法第六九条、令第九条の二、地方自治法施行令第一七四条の三七第二項、第三項)指定都市にあつては、従来に比し、これに要する費用負担が倍加することに鑑み十分な予算の計上を図られたいこと。
なお、当該費用に対する国庫の補助については、令第四条の規定が準用されるものであること(法第六九条、令第九条の二、地方自治法施行令第一七四条の三七第四項)。
(二) 指定都市の区域内に存する国、都道府県又は市町村以外の者の行う事業の使用者又はその設置する学校若しくは施設の長が行う定期の健康診断、予防接種に要する費用(事業の使用者が行う健康診断に要する費用を除く。)については、指定都市がその三分の二の額について補助を行い、当該補助額の二分の一の額が国庫が補助することとなつたので(法第六九条、令第九条の二、地方自治法施行令第一七四条の三七第三項)、指定都市にあつては、従来に比べ新たにこれに要する費用負担が増加することに鑑み、府県と十分な連絡のうえ、当該事務の円滑な引継を行うとともに、十分な予算の計上を図られたいこと。
三 指定都市の区域内において実施された法に基く健康診断、予防接種については、指定都市の市長に通報又は報告することとなり(法第六九条、令第九条の二、地方自治法施行令第一七四条の三七第三項)これに伴い通報又は報告の様式を一部改められたこと(規則様式第二)。
四 指定都市の市長が行う一般住民に対する定期の健康診断、予防接種については、その実施に際し、府県知事の行う指示は適用されないこととなつたのであるが(法第四条第三項、第一三条第三項、地方自治法施行令第一七四条の三七第五項)。
なお、公的医療機関等の医療機関の有する健康診断機能の効率的利用を図るために必要がある場合には府県知事と十分な連絡を図られたいこと。
第五 墓地埋葬等の規制に関する事務
従来府県知事が行つていた墓地埋葬等に関する法律第一○条の規定による墓地、納骨堂又は火葬場の経営の許可、墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設の変更、墓地、納骨堂若しくは火葬場の廃止の許可並びに同法第一九条の規定による許可の取消に関する事務は、今次の改正により、もつぱら指定都市の市長が行うこととなり(地方自治法施行令第一七四条の三五)これにともない墓地埋葬等に関する法律施行規則第五条の規定による許可の申請等は、指定都市の市長に対してなされるものとなつたこと。
なお、これらの事務を処理するに当つては、墓地埋葬等に関する法律の施行に関する件(昭和二三年九月一三日厚生省発衛第九号各都道府県知事宛厚生次官通知)及び墓地の新設に関する件(昭和二一年九月三日警発第八号各地方長官宛内務省警保局長、厚生省衛生局長通知)を参照のうえ、これが実施に遺憾なきを期せられたいこと。
第六 興行場、旅館及び公衆浴場の営業の規制に関する事務
一 従来府県知事が行つていた興行場法第二条、旅館業法第三条及び公衆浴場法第二条の規定による営業の許可、興行場法第六条及び第七条、旅館業法第八条及び第九条並びに公衆浴場法第七条の規定による営業許可の取消又は停止等に関する事務は、今次の改正により指定都市の区域内について、もつぱら指定都市の市長が行うこととなり(地方自治法施行令第一七四条の三六)これにともない、興行場法施行規則第一条、旅館業法施行規則第一条及び公衆浴場法施行規則第一条の規定による営業許可の申請並びに興行場法施行規則第二条、旅館業法施行規則第二条及び公衆浴場法施行規則第二条の規定による営業に関する届出は、指定都市の区域内については、一一月一日以降すべて指定都市の市長に対してなされるものとなつたこと。
なお、営業許可手数料の収納については、一○月三一日までは都道府県知事の定めるところにより従前どおり取り扱うものであること。
二 興行場法第三条第二項、旅館業法第四条第二項及び公衆浴場法第三条第二項の規定により、都道府県が制定した衛生措置の基準に対する附加基準の制定については、先に標記の三次官通知により通達されたとおり指定都市の区域における特殊事情から府県の定めた基準より更に強い制限を設けることが必要とされる場合に限り、指定都市は条例で制定できるものであり、従つて、例えば、温度透明度、濁度又はガス量等指定都市か否かによつて公衆衛生上の基準に差異の認められないものについては制定できないものであること。
なお、府県の定めた基準の規定中には府県知事の認定等に委ねているものがあるが、これらの規定は、指定都市の市長が許可処分を行う上から適当でないので、でき得る限りこの機会に従来の基準全般に亘り再検討を加えて客観的基準に改正する等の措置を講ずるよう府県知事に通知したが、基準事項の性格上、やむを得ず府県知事の認定に委ねなければならぬ事項については、個々の事例について府県知事に可否の認定を求めた上、許可処分を行うこと。
三 旅館業法第二条第二項、第三項及び第四項の規定による「ホテル」、「旅館」、「下宿」の定義となる施設基準は、指定都市の市長が定めることとなつたが、元来これらの施設基準は、当該都道府県と指定都市の間において差異を設けるべき性格のものではなく、また、これを急激に改めることは各種の混乱をもたらすおそれも考えられるので、事前に十分府県知事と連絡の上、府県知事の定めた基準の内容を踏襲するようにされたいこと。
四 旅館業法第五条第三号の規定による宿泊を拒否できる事由についての条例は、今後とも府県のみが制定できるものであること。
五 公衆浴場法第三条第二項の規定による配置の基準に関する条例は、今後とも府県のみが制定できるものであるが、距離制限等の基準の規定中府県知事の認定に委ねているものの取扱は、二と同様の配意をされたいこと。なお、公衆浴場の距離制限に関する運用については、十分都道府県知事と連携を図られたいこと。
六 公衆浴場法第四条の規定による入浴拒否についての例外許可は指定都市の市長が行うこととなつたこと。
七 以上のほか事務の処理にあたつては、特に次の通知を参照し、事務執行に遺憾なきを期せられたいこと。
(一) 旅館業法等施行に関する件(昭和二三年八月一三日衛発第一○号厚生次官通知)
(二) 公衆浴場法の一部改正について(昭和二五年五月二六日厚生省発衛一、○八九号厚生次官通知)
(三) 公衆浴場法等の営業関係法律中の「業として」の解釈について(昭和二四年一○月一七日衛発第一、○四八号厚生省公衆衛生局長通知)
(四) 営業三法の運営について(昭和二五年四月二六日衛発第三五八号厚生省公衆衛生局長通知)
第七 食品衛生に関する事務
一 指定都市の市長は、食品衛生法(以下この節において「法」という。)第二○条の規定により、府県知事が定めた施設の基準に規則をもつて指定都市の区域における必要な制限を附加する基準を定めることができることとなつたが、(地方自治法施行令第一七四条の三四第一項及び第三項)、この附加基準の制定に当つては、先に標記の三次官通知において指示されたとおり、事前に十分当該府県知事と協議のうえ、調整を図られたいこと。更に、この附加基準の制定後においても、その運用については十分に当該府県知事と協議して調整を図るようにされたいこと。
二(一)1 法第二一条の規定による営業の許可のうち、食品衛生法施行令(以下この節において「令」という。)第八条の規定により既に保健所を設置する市の市長に権限を委任されていた業種以外の業種の営業の許可が、今次の改正により、すべて指定都市の市長に移譲されたものであること(地方自治法施行令第一七四条の三四第一項、食品衛生法施行規則(以下この節において「規則」という。)第二六条の五)。従つて、指定市の区域にあつては、令第五条に規定する二○業種のすべての営業の許可の権限を市長が行うこととなつたものであること。
なお、営業許可手数料の収納については、一○月三一日までは府県知事の定めるところにより、従前どおり取扱うものであること。
2 右1に伴い、今回指定都市の市長の権限に移された許可営業の業種に関する当該許可の取消並びに営業の全部又は一部の禁止もすべて指定都市の市長に移譲されたものであること(地方自治法施行令第一七四条の三四第一項、規則第二六条の五)。
(二) 法第二一条の規定による営業の許可を受けようとする者であつて、その営業所の所在地が指定都市の区域内にある場合の申請書は、その営業所の所在地を管轄する保健所長を経て指定都市の市長に提出することとなつたこと(地方自治法施行令第一七四条の三四第一項、規則第二○条、規則第二六条の五)。規則第二一条に規定する申請事項の変更届もまた同様であること。
(三) 指定都市の市長が営業の許可に法第二一条第三項の規定により「二年を下らない有効期間その他の必要な条件を附けることができる」が、「二年を下らない有効期間その他の必要な条件」は許可の内容として個々の許可指令毎に実情に即して出さるべきものであつて、例えば、飲食店営業の許可期限は三年とするという如く、これを指定都市の規則その他をもつて一般的に規定することはできないものであること。
三(一)1 従来、法第一四条の規定により府県知事が行つていた令第一条第二項に規定する添加物の製品検査のうち、添加物の製造者の製造所の所在地が指定都市の区域内にある場合は、指定都市の市長が行うこととなつたこと(地方自治法施行令第一七四条の三四第一項、規則第二六条の五)。
2 1の場合の申請書(規則第一一条)は、その製造所の所在地を管轄する保健所長を経て指定都市の市長に提出することとなつたこと。
(二) 指定都市は、今回右の製品検査を行わせるために令第二条に規定する設備を有する検査施設を新たに設けなければならないこととなつたこと(法第一八条、地方自治法施行令第一七四条の三四第一項)。
従つて、一一月一日以後右の施設が設けられておらなかつたり、施設設備が不備である等のために事務に支障を来すことのないよう十分に配意されたいこと。
(三) 指定都市の市長が行つた製品検査に合格した製品には規則別記様式第一号による合格証を指定都市の市長が発行することとなつたこと(規則第一四条・第二六条の五)。
四(一) 法第二七条の規定により、中毒に関する届出を受けた指定都市の保健所長は、従来、令第七条の規定に基き、当該保健所を設置する市の市長を経由して府県知事に報告書(規則第二六条の二)を提出しなければならなかつたのであるが、今次の改正により指定都市の市長に報告書を提出すれば足りることとなつたこと。従つて、指定都市にあつては、令第七条第二項の適用はないものであること(地方自治法施行令第一七四条の三四第一項及び第二項)。
(二) (一)の報告書を受けた指定都市の市長は、令第七条第三項に基き規則第二六条の三に規定する報告書を府県知事を経由することなく、直接に厚生大臣に提出するものとなつたこと(地方自治法施行令第一七四条の三四第一項及び第二項)。
然しながら、(一)の報告書を受けた指定都市の市長は、でき得る限り、厚生大臣に提出した報告書の写を当該指定都市の区域を管轄する府県知事及び当該中毒に関係ある都道府県知事等に連絡されたいこと。
五 従来、府県知事若しくは保健所を設置する市の市長又は府県若しくは保健所を設置する市が処理していた次に掲げる事務は、指定都市の区域内についてはすべて市長又は市が処理することとなつたこと(地方自治法施行令第一七四条の三四)。
(一) 法第一七条(法第二九条第一項において準用する場合を含む。)に規定する臨検検査、収去等に関する事務
(二) 法第一九条に規定する食品衛生監視員の設置等に関する事務
(三) 法第二八条に規定する死体の解剖に関する事務
六 以上のほか、食品衛生法の運用に関しては、特に次の通知を参照されたいこと。
年月日 |
発翰番号 |
通知先 |
発翰者 |
件名 |
23、8、5 |
厚生省発衛第六号 |
各都道府県知事 |
厚生事務次官 |
食品衛生法施行に関する件 |
23、9、13 |
衛発第一五七号 |
右同 |
厚生省公衆衛生局長 |
食品衛生法施行規則第二一条の解釈について |
23、9、13 |
衛発第一五八号 |
右同 |
右同 |
厚生大臣の行う製品検査に関する件 |
24、2、3 |
衛発第一二五号 |
右同 |
右同 |
食品衛生法第二○条、第二一条及び第三六条の規定による営業許可の運営について |
24、2、21 |
衛食第一五号 |
各都道府県衛生部長 |
厚生省食品衛生課長 |
人工甘味料、着色料等の製品検査の取扱に関する件 |
24、5、7 |
衛発第四七九号 |
各都道府県知事 |
厚生省公衆衛生局長 |
病院給食施設の基準設定について |
24、9、15 |
衛発第九三八号 |
右同 |
右同 |
稀釈又は混合着色料の製品検査について |
25、3、29 |
衛発第二五九号 |
右同 |
右同 |
食品衛生に関する普通地方公共団体の条例の制定について |
25、4、6 |
衛発第二八○号 |
右同 |
右同 |
食品衛生法施行規則の一部を改正する省令の施行について |
26、7、7 |
衛発第五二四号衛発 |
右同 |
右同厚生省公衆衛生局 |
学校、病院、工場等の集団給食施設に対する立入検査等について乳及び乳製品の成分規格に関する省令(昭和二六年一二月厚 |
27、1、18 |
第三六号 |
右同 |
長農林省畜産局長 |
生省令第五二号)第三条別表中市乳の保存方法の基準について |
27、3、7 |
衛発第一八六号 |
各都道府県知事 |
厚生省公衆衛生局長 |
昭和二三年七月厚生省告示第五四号の改正について |
27、5、7 |
衛食第六三号 |
各都道府県衛生局部長 |
厚生省食品衛生課長 |
稀釈タール色素の製品検査について |
28、4、14 |
衛発第二九六号 |
各都道府県知事 |
厚生省公衆衛生局長 |
食品衛生法施行規則及び告示の改正について |
28、9、17 |
衛発第七二六号 |
各都道府県知事政令市長 |
右同 |
地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う食品衛生法の一部改正及び食品衛生法施行令の制定について |
28、10、8 |
衛発第五二八号 |
右同 |
右同 |
食品衛生法施行規則の一部改正について |
28、11、24 |
衛食第一六○号の二 |
各都道府県衛生部長 |
厚生省食品衛生課長 |
タール色素製剤の製品検査及び合格証紙の取扱について |
29、11、30 |
衛環発第三一号 |
右同 |
厚生省環境衛生部長 |
食品衛生法の運営について |
29、12、27 |
衛発第九○五号 |
各都道府県知事 |
厚生省公衆衛生局長 |
食品衛生法施行令、同法施行規則等の一部改正について |
31、4、12 |
衛発第二二一号 |
右同 |
右同 |
製品検査の試料採取方法について |
第八 水道に関する事務
水道については、従来五大都市行政監督に関する法律により、指定都市については、水道条例第二一条ノ二の規定による基本計画に変更のない増改築は、都道府県知事の認可を要しないものとされていたが、今回更に従来知事の権限に保留されていた第八条の水質水量の検査及び改良命令並びに第九条の工事落成等の届出及び監査の規定も適用しないこととなつたこと。(地方自治法施行令第一七四条の四二第一号)しかしながら、水道事業の高度の公共性にかんがみて、水道の維持管理については、特に貴職において、当該部局はもちろん、広く関係機関の機能を十分活用して、万一にも事故発生等のないよう、特別の配慮を煩わしたいこと。なお、基本計画に変更のある増改築、簡易水道等右以外の事務については、従前と同様であるから念のため。