添付一覧
○地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十七条の規定の施行について
(昭和三一年一一月二九日)
(文初保第五〇二号・衛発第八二三号)
(各都道府県教育委員会・各都道府県知事・各保健所を設置する市の長あて文部省初等中等教育局長・厚生省公衆衛生局長通達)
地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三一年法律第一六二号。以下「法」という。)第五七条の規定に基く同法施行令(昭和三一年政令第二二一号。以下「令」という。)第四章の規定を実施するため、文部大臣と厚生大臣との協議により、別紙の協議決定事項(以下「細目」という。)が決定されました。
よつて、法第五七条の規定の施行については、下記の事項に留意の上、関係機関の相互の協力によつて学校における保健衛生ならびに地域社会における公衆衛生の向上に努められるようお願いします。
なお、都道府県の教育委員会においては、市町村の教育委員会に対し、この旨を通知するとともに、その徹底方について御配意ください。
記
第一 法第五七条の規定の趣旨
法第五七条の規定は、学校における児童、生徒または幼児(以下「児童生徒等」という。)および職員の保健ならびに環境衛生に関することが、地域社会における公衆衛生と密接な関係にあること等にかんがみ、関係機関の協力関係を定めたものである。
したがつて、本条の規定の運用に当つては、次の二点に留意すること。
一 教育委員会は、所管の学校における令第八条各号に掲げる事項については、保健所の協力を求めてこれを処理することを原則とし、保健所を設置する地方公共団体の長および保健所は、支障のない限り、その求めに応じて協力するものとすること。
二 保健所は、令第九条第一項および第三項各号に掲げる事項については、積極的に助言または援助を与えるものとし、教育委員会は、その助言または援助に基いて、学校管理上必要な措置を講ずるものとすること。また教育委員会は、保健所が、令第九条第二項の規定により学校における同条第一項各号に掲げる事項について行う調査については、学校管理上支障のない限り、これに協力するものとすること。
第二 教育委員会に対する保健所の協力
一 協力関係をもつ保健所
法第五七条第一項の規定により、教育委員会が協力を求める保健所は、次のとおりであること(保健所法施行令第二条第二項参照。)
(一) 令第八条第一号および第二号に掲げる事項については、当該学校の所在地をその所管区域内に含む保健所(この場合には、学校の分校は、本校とは別の一つの学校とみなしてもさしつかえない。)
(二) 令第八条第三号に掲げる事項については、学校が修学旅行、校外実習その他学校以外で教育を行う場所をその所管区域内に含む保健所
二 協力事項の範囲
(一) 法第五七条第一項の規定により、教育委員会が、保健所を設置する地方公共団体の長に対し、保健所の協力を求める事項は、令第八条および細目の一のとおりであること。
(二) 令第八条および細目の一については、次の点に留意すること。
1 令第八条第二号に基く細目の一の(一)の「エツクス線検査」は、学校身体検査規程による身体検査において必要とするエツクス線検査をいい、エツクス線による透視、撮影および結果の判定を範囲とすること。
2 令第八条第三号の「修学旅行、校外実習その他学校以外の場所で行う教育」の「その他」には、遠足、社会見学、夏季施設等学校が校舎等の本来の物的施設の所在場所を離れて行うすべての教育活動を含むものであること。
三 協力の実施手続
(一) 教育委員会が保健所の協力を求めるときの手続は、細目の二によること。
(二) 細目の二については、次の要領で運用すること。
1 学校において保健所の協力を必要とするときの学校の長から教育委員会に対する申出手続は、教育委員会において適宜規定すること(法第三三条第一項参照)。
2 保健所を設置する地方公共団体の長(その委任を受けた者を含む。(下記中(四)参照)。以下同じ。)に対する申入れは、文書をもつてすること。
(三) 保健所を設置する地方公共団体の長は、教育委員会の申入れを受けたときは、すみやかに、当該保健所長の意見を聞いて、支障の有無その他その協力に関し必要な事項を教育委員会に回答すること。
(四) 保健所を設置する地方公共団体の長に対する教育委員会の申入れについては、できる限り、現地保健所長において処理できるように、長において委任その他の措置を講ずること。
なお、上記の措置を講じたときは、関係教育委員会に対し、その旨を通知すること。
(五) 協力の手続は以上のとおりであるが、令第八条第三号に掲げる事項については、追つて別に通知するまでの間、次の通達の定めるところによること。
1 昭和三○年四月四日付文初中第一六五号「小学校、中学校および高等学校の修学旅行等について」文部省初等中等教育局長、大学学術局長通達(記の3の(7)の部分)
2 昭和三○年四月一六日付衛発第二四八号「修学旅行等集団旅行時に際して、飲食に起因して発生する食中毒等の危害事故の発生防止について」厚生省公衆衛生局長通達
第三 教育委員会に対する保健所の助言および援助
一 助言および援助を行う保健所
法第五七条第二項の規定により、教育委員会に対して助言または援助を与える保健所は、当該学校の所在地をその所管区域内に含む保健所であること(この場合には、学校の分校は、本校とは別の一つの学校とみなしてもさしつかえない。)。
二 助言事項の範囲およびその実施手続
(一) 法第五七条第二項の規定により、保健所が教育委員会に対し助言を与える事項は、令第九条第一項の規定のとおりであること。
(二) 教育委員会に対する助言は、文書をもつてすること。
三 助言のための調査の実施等
(一) 令第九条第二項の規定により、保健所が、教育委員会に対し、同条第一項各号に掲げる事項について助言を与えるため、学校におけるその状況の調査を行うときの手続は、細目の三によること。
この調査の申入れは、文書をもつてすること。
(二) 令第九条第二項の規定は、細目の三のほか、次により運用すること。
1 教育委員会は、保健所の申入れを受けたときは、すみやかに、関係学校の校長の意見を聞いて、支障の有無その他その調査の実施に関し必要な事項を、文書をもつて回答すること。
2 教育委員会は、保健所が、その所管の学校において、この調査を行うときは、事務局の職員をこれに立ち合わせるものとすること。
3 保健所は、学校におけるこの調査を行つた場合において、その調査の結果をとりまとめたときは、当該資料を、教育委員会に提供すること。
四 援助事項の範囲およびその実施手続
(一) 法第五七条第二項の規定により、保健所が、教育委員会に対し、援助を与える事項は、令第九条第三項の規定のとおりであること。
(二) 令第九条第三項第二号の規定については、次により実施すること。
1 伝染病の発生に関する情報
保健所は、その所管区域内において、伝染病が発生し、または発生するおそれがあつて、学校において予防措置を講ずる必要があると認める場合は、関係学校を所管する教育委員会に対し、直ちに、次に掲げる事項に関する情報を通知すること。
(1) 病名(未定の場合には、疑われる病名)
(2) 患者または死者の発生地または発生地域およびその数
(3) 発生年月日
(4) 原因
(5) 学校において必要とする予防措置
2 中毒事故の発生に関する情報
保健所は、その所管区域内において、食中毒(食品、添加物、器具または容器包装に起因した中毒をいう。)が多発し、その中毒した患者もしくはその疑のある者またはその死者が児童生徒等または職員である場合は、関係学校を所管する教育委員会に対し、すみやかに、次に掲げる事項に関する情報を通知すること。
(1) 患者もしくはその疑のある者または死者の所在地
(2) 中毒の原因
(3) 発病年月日および時刻
(4) 診断または検案年月日および時刻
(5) その他参考事項
なお、この情報は、当該児童生徒等または職員がその所管区域外の学校の児童生徒等または職員である場合においても、当該関係教育委員会に対し、これを提出するものとすること。この場合には、その通知は、次のとおり関係機関を経由するようにすること。
(1) 都道府県教育委員会あての通知
中毒事故の発生した地域を管轄する都道府県衛生主管部局または地方自治法第二五二条の一九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の衛生主管部局
(2) 他の都道府県の都道府県教育委員会あての通知
中毒事故の発生した地域を管轄する都道府県衛生部局または指定都市衛生主管部局→他の都道府県衛生主管部局または指定都市主管衛生部局
(3) 他の都道府県の市町村教育委員会あての通知
中毒事故の発生した地域を管轄する都道府県衛生主管部局または指定都市衛生主管部局→他の都道府県衛生主管部局または指定都市衛生主管部局↓都道府県教育委員会学校保健主管部課
添付資料
1 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(第五七条抄録)略
2 同法施行令(第四章抄録)略
3 地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令第四章に規定する教育委員会と保健所との関係に関する協議決定事項
別紙
地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令第四
章の規定による教育委員会と保健所との関係に関する
協議決定事項
昭和三一年一一月一六日
文部大臣・厚生大臣裁定
(試験および検査の範囲)
一 地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令(昭和三一年政令第二二一号。以下「施行令」という。)第八条第二号に規定する試験または検査は、次のとおりとする。
(一) エツクス線検査
(二) 食品(食品衛生法(昭和二二年法律第二三三号。以下この号中「法」という。)第二条第一項に規定する「食品」をいう。)、添加物(法第二条第二項に規定する「添加物」をいう。)、器具(法第二条第三項に規定する「器具」をいう。)または容器包装(法第二条第四項に規定する「容器包装」をいう。)について、飲食に起因する衛生上の危害の試験または検査
(三) 空気について、有毒ガスの試験または検査
(四) 飲用水その他の用水の水質の試験または検査
(五) ふん便について、寄生虫卵または伝染性細菌の有無の検査
(協力の実施手続)
二 教育委員会は、施行令第八条各号に掲げる事項に関し関係保健所の協力を求めようとするときは、あらかじめ、保健所を設置する地方公共団体の長に対し、次の事項を具してその旨を申し入れること。
(一) 実施事項
(二) 実施学校の名称および位置
(三) 実施期日または期間
(四) 対象人員の数
(五) 保健所の協力を求める事項
(六) その他参考事項
(調査の実施手続)
三 保健所は、施行令第九条第二項の規定により同条第一項各号に掲げる事項に関する状況を調査しようとするときは、あらかじめ、当該学校を所管する教育委員会に対し、次の事項を具してその旨を申し入れること。
(一) 調査目的
(二) 調査実施学校の名称および位置
(三) 調査期日または期間
(四) 調査事項
(五) 調査方法および要領
(六) その他参考事項