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○医療法等の一部を改正する法律等の施行について

(平成一三年二月二二日)

(医政発第一二五号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)

平成一二年一二月六日付で公布された「医療法等の一部を改正する法律」(平成一二年法律第一四一号。以下「改正法」という。)は、本年一月三一日付けで公布された「医療法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」(平成一三年政令第一五号)により本年三月一日から施行されることとなった。

これに伴い、「医療法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令」(平成一三年政令第一六号)、「医療法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令」(平成一三年政令第一七号。以下「経過措置政令」という。)、「医療法施行規則等の一部を改正する省令」(平成一三年厚生労働省令第八号。以下「改正省令」という。)、「医療法施行規則等の一部を改正する省令附則第一一条第二項、第一二条及び第一三条の規定に基づき厚生労働大臣の定める地域」(平成一三年厚生労働省告示第一八号。以下「地域指定告示」という。)、「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告することができる事項」(平成一三年厚生労働省告示第一九号。以下「新六九条告示」という。)、「医療法第七一条第一項第七号の規定に基づき、広告し得る事項を定める件の一部を改正する件」(平成一三年厚生労働省告示第二〇号。以下「改正七一条告示」という。)及び「医療法第三〇条の三第二項第三号に規定する基準病床数の算定に使用する数値等を定める件の一部を改正する件」(平成一三年厚生労働省告示第二二号。)が本年一月三一日付けで公布されたところである。

本改正の趣旨及び要点は下記のとおりであるので、了知されるとともに、管下政令指定都市、中核市、保健所設置市、関係団体等にその周知をお願いする。

第一 病床の種別に関する事項

一 患者の病態に相応しい医療を提供するため、「その他の病床」(療養型病床群を含む。以下同じ。)が「療養病床」と「一般病床」に区分され、医療法における病床の種別は、「精神病床」、「感染症病床」、「結核病床」及び「その他の病床」の四種から、「精神病床」、「感染症病床」、「結核病床」、「療養病床」及び「一般病床」の五種とされたこと。(新法第七条第二項)

また、第二のとおり、それぞれの病床の種別に応じた人員配置基準及び構造設備基準が新たに定められたこと。

二 改正法の施行後になされる病院の開設許可の申請については、新たな病床区分に基づき申請をする必要があり、原則として新たな人員配置基準、構造設備基準が適用されること。

三 「その他の病床」を有する病院の開設者は、平成一五年八月三一日までに、改正法附則第二条第一項の規定に基づき、個々の「その他の病床」を「療養病床」又は「一般病床」のいずれに移行させるのか届出を出さなければならないこと。

四 なお、「精神病床」、「結核病床」又は「感染症病床」のみを有している病院(「その他の病床」を有していない病院)については、届出を行う必要はないこと。

また、診療所の療養型病床群については、全て療養病床とみなされるので届出を行う必要はないこと。

第二 人員配置基準及び構造設備基準に関する事項

一 一般病床について

一般病床については、看護職員の人員配置基準が現行の入院患者四人に対して一人から入院患者三人に対して一人に引き上げられたこと。

また、構造設備基準について、患者一人当たりの病床面積及び病室に面する廊下の幅が引き上げられたこと。

(一) 人員配置基準(新省令第一九条)

① 医師の員数は、入院患者一六人に対し一人を標準とすること。

② 薬剤師の員数は、入院患者七〇人に対し一人を標準とすること。

③ 看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者三人に対し一人を標準とすること。

(二) 構造設備基準(新省令第一六条関係)

① 病室の床面積は、内法で患者一人につき六.四平方メートル以上とすること。

② 病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.八メートル以上、両側居室の場合二.一メートル以上とすること。

二 病院の療養病床について

病院の療養病床については、長期療養に相応しい療養環境を提供できるよう、これまでの病院の療養型病床群の基準と同じ人員配置基準、構造設備基準が定められたこと。

(一) 人員配置基準(新省令第一九条)

① 医師の員数は、入院患者四八人に対し一人を標準とすること。

② 薬剤師の員数は、入院患者一五〇人に対し一人を標準とすること。

③ 看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者六人に対し一人を標準とすること。

④ 看護補助者の員数は、入院患者六人に対し一人を標準とすること。

⑤ 理学療法士及び作業療法士の員数は、病院の実情に応じた適当数とすること。

(二) 構造設備基準(新省令第一六条及び第二一条)

① 病室の病床数は、四床以下とすること。

② 病室の床面積は、内法で患者一人につき六.四平方メートル以上とすること。

③ 病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.八メートル以上、両側居室の場合二.七メートル以上とすること。

④ 一以上の機能訓練室は、内法で四〇平方メートル以上の床面積を有し、必要な器械及び器具を備えなければならないこと。

⑤ 療養病床を有する病院が有しなければならない施設は、談話室、食堂及び浴室とすること。

⑥ 談話室は、療養病床の入院患者同士や入院患者とその家族が談話を楽しめる広さを有しなければならないこと。

⑦ 食堂は、療養病床の入院患者一人につき一平方メートル以上の広さを有しなければならないこと。

⑧ 浴室は、身体の不自由な者が入浴するのに適したものでなければならないこと。

三 診療所の療養病床について

診療所の療養病床については、長期療養に相応しい療養環境を確保できるよう、これまでの診療所の療養型病床群の基準と同じ人員配置基準、構造設備基準が定められたこと。

(一) 人員配置基準(新省令第二一条の二)

① 医師の員数は、一人を標準とすること。

② 看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者六人に対し一人を標準とすること。

③ 看護補助者の員数は、入院患者六人に対し一人を標準とすること。

④ 事務員その他の従業者の員数は、診療所の実情に応じた適当数とすること。

(二) 構造設備基準(新省令第一六条、第二一条の三及び第二一条の四)

① 病室の病床数は、四床以下とすること。

② 病室の床面積は、内法で患者一人につき六.四平方メートル以上とすること。

③ 病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.八メートル以上、両側居室の場合二.七メートル以上とすること。

④ 機能訓練室は、機能訓練を行うために十分な広さを有し、必要な器械及び器具を備えなければならないこと。

⑤ 療養病床を有する診療所が有しなければならない施設は、談話室、食堂及び浴室とすること。

⑥ 談話室は、療養病床の入院患者同士や入院患者とその家族が談話を楽しめる広さを有しなければならないこと。

⑦ 食堂は、療養病床の入院患者一人につき一平方メートル以上の広さを有しなければならないこと。

⑧ 浴室は、身体の不自由な者が入浴するのに適したものでなければならないこと。

四 精神病床について

精神病床については、大学附属病院及び内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻いんこう科を有する一〇〇床以上の病院の精神病床については、合併症を持つ患者に対する医療を提供する機能や、地域において単科の精神病院との連携による一体的な精神医療の提供が求められていることなども考慮して、一般病床と同じ基準が定められたこと。

他方、それ以外の病院の精神病床については、現在の精神医療に求められるニーズや整備しうる医療資源の量を踏まえ、医師については入院患者四八人に対して一人、看護職員については原則として入院患者四人に対して一人とされたこと。

また、構造設備基準については、精神障害者の人権を尊重する観点から、精神病室には「病院又は診療所の他の部分に対して危害防止のためのしゃ断その他必要な方法を講じること。」とされていた規定が削除されたこと。

ア 大学附属病院(特定機能病院及び精神病床のみを有する病院を除く。)並びに内科、外科、産婦人科、眼科及び耳鼻いんこう科を有する一〇〇床以上の病院の精神病床

(一) 人員配置基準(新省令第四三条の二関係)

① 医師の員数は、入院患者一六人に対し一人を標準とすること。

② 薬剤師の員数は、入院患者七〇人に対し一人を標準とすること。

③ 看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者三人に対し一人を標準とすること。

(二) 構造設備基準(新省令第四三条の二関係)

① 病室の床面積は、内法で患者一人につき六.四平方メートル以上とすること。

② 病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.八メートル以上、両側居室の場合二.一メートル以上とすること。

イ ア以外の病院の精神病床

(一) 人員配置基準(新省令第一九条関係)

① 医師の員数は、入院患者四八人に対し一人を標準とすること。

② 薬剤師の員数は、入院患者一五〇人に対し一人を標準とすること。

③ 看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者四人に対し一人を標準とすること。

(二) 構造設備基準(新省令第一六条関係)

① 病室の床面積は、内法で患者一人につき六.四平方メートル以上とすること。

② 病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.八メートル以上、両側居室の場合二.七メートル以上とすること。

五 感染症病床について

感染症病床については、一類感染症、二類感染症及び新感染症の患者に対して一般病床と同程度の人員をもって対応する必要があること等を踏まえ、一般病床と同じ人員配置基準、構造設備基準が定められたこと。

(一) 人員配置基準(新省令第一九条関係)

① 医師の員数は、入院患者一六人に対し一人を標準とすること。

② 薬剤師の員数は、入院患者七〇人に対し一人を標準とすること。

③ 看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者三人に対し一人を標準とすること。

(二) 構造設備基準(新省令第一六条関係)

① 病室の床面積は、内法で患者一人につき六.四平方メートル以上とすること。

② 病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.八メートル以上、両側居室の場合二.一メートル以上とすること。

六 結核病床について

結核病床の人員配置基準については、今後の結核医療体制を充実するため、現在の結核特例を廃止するとともに、新たな基準については、結核病床の平均在院日数が一般病床と比べて極端に長いこと等を勘案して、現行と同じ基準が定められたこと。また、構造設備基準については、一般病床と同じ基準が定められたこと。

(一) 人員配置基準(新省令第一九条関係)

① 医師の員数は、入院患者一六人に対し一人を標準とすること。

② 薬剤師の員数は、入院患者七〇人に対し一人を標準とすること。

③ 看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者四人に対し一人を標準とすること。

(二) 構造設備基準(新省令第一六条関係)

① 病室の床面積は、内法で患者一人につき六.四平方メートル以上とすること。

② 病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.八メートル以上、両側居室の場合二.一メートル以上とすること。

七 その他の事項

外来患者に対する人員配置基準、栄養士の配置基準等については、従来の基準が引き続き適用されること。

第三 人員配置基準及び構造設備基準に係る経過措置に関する事項

一 その他の病床の経過措置

第一の三の届出をするまでの間、「その他の病床」については、従来の人員配置基準及び構造設備基準によることができること。(改正省令附則第二条、第九条、第一〇条、第一四条第一項、第一六条第一項)

二 一般病床の経過措置

第一の三の届出をした病院の一般病床については、第二の一にかかわらず、次の経過措置が適用されること。(改正省令附則第五条、第八条、第一一条第二項)

① 改正法施行の際、④に定めるへき地・離島地域の病院又は「その他の病床」が二〇〇床未満の病院については、平成一八年二月二八日までの間、看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者四人に対し一人を標準とすること。

② 既存の建物に係る病室の床面積は、内法で患者一人につき四.三平方メートル以上とすること。

③ 既存の建物に係る病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.二メートル以上、両側居室の場合一.六メートル以上とすること。

④ ①の経過措置の対象となるへき地・離島の対象地域とは、以下の地域とすること。(地域指定告示)

改正法施行の際、人口五万人未満の市町村であって次に掲げる地域をその区域内に有する市町村の区域

(一) 離島振興法(昭和二八年法律第七二号)第二条第一項の規定により離島振興対策実施地域として指定された離島の地域

(二) 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律(昭和三七年法律第八八号)第二条第一項に規定する辺地

(三) 山村振興法(昭和四〇年法律第六四号)第七条第一項の規定により振興山村として指定された山村

(四) 過疎地域自立促進特別措置法(平成一二年法律第一五号)第二条第一項に規定する過疎地域

三 病院の療養病床についての経過措置

第一の三の届出をした病院の療養病床については、第二の二にかかわらず、次の経過措置が適用されること。(新省令第四九条、改正省令附則第三条、第六条、第八条、第二一条、第二二条)

① 既存の建物に係る病床が療養病床に移行する場合の廊下幅は、内法で、片側居室の場合一.二メートル以上、両側居室の場合一.六メートル以上とすること。

② 既存の建物に係る病床が療養病床に移行する場合の機能訓練室は、機能訓練を行うために十分な広さを有し、必要な器械及び器具を備えなければならないこと。

③ 改正法の施行の際現に存する療養型病床群については、療養病床に移行する場合、当分の間、医師の員数について従前の基準によることができること。

④ 療養病床の病床数の全病床に占める割合が百分の五十を超える病院の医師の員数について、当分の間、従前と同様の特例措置を設けること。

四 診療所の療養病床についての経過措置

診療所の療養病床については、第二の三にかかわらず、次の経過措置が適用されること。(改正省令附則第四条、第七条、第八条、第二一条、第二三条、第二四条)

① 看護婦、准看護婦及び看護補助者の員数は、当分の間、入院患者三人に対し一人を標準とすること。ただし、そのうちの一人については看護婦又は准看護婦とすること。

② 既存の建物に係る病床が療養病床に移行する場合の廊下幅は、内法で、片側居室の場合一.二メートル以上、両側居室の場合一.六メートル以上とすること。

③ 改正法の施行の際現に存する療養型病床群については、療養病床に移行する場合、当分の間、従前の基準によることができること。

五 第二の四のアに定める病院の精神病床についての経過措置

第二の四のアに定める病院の精神病床については、次の経過措置が適用されること。(改正省令附則第五条、第八条、第一〇条、第一一条)

① 平成一五年八月三一日までの間、看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者四人に対し一人を標準とすること。

② 既存の建物に係る病室の床面積は、内法で患者一人につき四.三平方メートル以上とすること。

③ 既存の建物に係る病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.二メートル以上、両側居室の場合一.六メートル以上とすること。

六 第二の四のイに定める病院の精神病床についての経過措置

第二の四のイに定める病院の精神病床については、次の経過措置が適用されること。(改正省令附則第五条、第八条、第一四条、第一五条)

① 改正法による改正前の医療法(以下「旧医療法」という。)第二一条第一項ただし書の規定による特例許可を受けている病院の精神病床については、平成一八年二月二八日までの間、人員配置基準は次のとおりとすること。

一) 医師の員数は、入院患者四八人に対し一人を標準とすること。

二) 薬剤師の員数は、入院患者一五〇人に対し一人を標準とすること。

三) 看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者六人に対し一人を標準とすること。

② 当分の間、看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者五人に対し一人以上とすることができること。この場合、看護補助者を、看護婦及び准看護婦と合わせた数が入院患者四人に一人の基準となるまでの員数を配置しなければならないこと。

③ 既存の建物に係る病室の床面積は、内法で患者一人につき四.三平方メートル以上とすること。

④ 既存の建物に係る病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.二メートル以上、両側居室の場合一.六メートル以上とすること。

七 感染症病床についての経過措置

感染症病床については、第二の五にかかわらず、次の経過措置が適用されること。(改正省令附則第五条、第八条、第九条、第一〇条、第一一条、第一二条、第一三条)

① 平成一五年八月三一日までの間(二の①に定める病院については、平成一八年二月二八日までの間)、看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者四人に対し一人を標準とすること。

② 既存の建物に係る病室の床面積は、内法で患者一人につき四.三平方メートル以上とすること。

③ 既存の建物に係る病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.二メートル以上、両側居室の場合一.六メートル以上とすること。

八 結核病床についての経過措置

結核病床については、第二の六にかかわらず、次の経過措置が適用されること。(改正省令附則第五条、第八条、第一六条、第一七条)

① 旧医療法第二一条第一項ただし書の規定による特例許可を受けている病院の結核病床については、平成一八年二月二八日までの間、人員配置基準は次のとおりとすること。

一) 医師の員数は、入院患者四〇人に対し一人を標準とすること。

二) 薬剤師の員数は、入院患者一五〇人に対し一人を標準とすること。

三) 看護婦及び准看護婦の員数は、入院患者六人に対し一人を標準とすること。

② 既存の建物に係る病室の床面積は、内法で患者一人につき四.三平方メートル以上とすること。

③ 既存の建物に係る病室に面する廊下の幅は、内法で、片側居室の場合一.二メートル以上、両側居室の場合一.六メートル以上とすること。

第四 第一の三の届出について

一 「その他の病床」から「療養病床」又は「一般病床」への移行に当たって届け出なければならない事項は、次のとおりとすること。ただし、①、③又は④のうち、変更がない事項の記載を省略することができることとすること。(改正省令附則第二八条関係)

① 医師、歯科医師、薬剤師、看護婦その他の従業者の定員

② 建物の構造概要及び平面図(各室の用途を示し、精神病室、感染症病室、結核病室又は療養病室に係る病室があるときは、これを明示すること。)

③ 病院については、医療法第二一条第一項第二号から第八号まで及び第一〇号に掲げる施設の有無及び構造設備の概要

④ 療養病床を有する病院については、医療法第二一条第一項第一一号に掲げる施設及び第二の二(二)の⑤に掲げる施設の構造設備の概要

⑤ 病床数及び病床の種別ごとの病床数並びに各病室の病床数

二 第一の三の届出に当たっては、病院の全ての「その他の病床」について、個々に「一般病床」、「療養病床」のいずれに移行するのか明らかにされる必要があるので留意されたい。

三 開設者が急遽死亡等した場合の新規開設者については、新たな病床区分に基づいた申請をする代わりに、従来の「その他の病床」を有するものとして開設許可の申請をすることができること。この場合、新規開設者は、平成一五年八月三一日までに第一の三の届出をしなければならないこと。(経過措置政令第一条、改正省令附則第二九条)

第五 医療計画に関する事項

一 用語の変更

「必要病床数」を「基準病床数」に改めたこと。

二 基準病床数の算定(新省令第三〇条の三〇及び別表第六、新算定告示)

医療法の病床の種別が変更されたこと等に伴い、それぞれの病床の種別に応じた基準病床数の算定方法及び基準病床数の算定に用いる数値等を以下のとおり改正したこと。

(一) 療養病床及び一般病床の基準病床数

イ 「その他の病床」が「療養病床」及び「一般病床」に区分されたことに伴い、新たに当該病床に係る基準病床数の算定式を定めたこと。当該算定式においては、①地域間格差の是正等に対応するよう、地方ブロック入院率(新算定告示別表第一)の他に、都道府県入院率(新算定告示別表第四)及び全国基準率(新算定告示別表第五)を設定、②平均在院日数の短縮化傾向に対応するよう平均在院日数推移率(新算定告示第一条の二)を設定、③地域の医療の実情を反映することができるよう都道府県知事の裁量による流入・流出加算を可能(新省令別表第六)にしたものであること。

ロ 療養病床及び一般病床の基準病床数は、新しい病床区分が定着するまでの間(平成一五年八月三一日以後の政令で定めるまでの間)は、次に掲げる算定方式により算定した数とし、新たな病床区分が定着した後は、一般病床、療養病床の病床の種別ごとに算定した数の合計数とすること。(新法第三〇条の三第四項及び改正法附則第七条第二項)

二次医療圏ごとに(イ)に掲げる式により療養病床及び一般病床の総数に関し算定した数。ただし、同一都道府県における当該数の合計は、二次医療圏ごとに(ロ)に掲げる式により算定した数の合計を超えないものとする。

また、当該都道府県の外に流出している入院患者数が当該都道府県に流入している入院患者数よりも大きい都道府県にあっては、その差を厚生労働大臣の定める病床利用率(以下「病床利用率」という。)で除して得た数に平均在院日数の推移を勘案して厚生労働大臣が定める率(以下「平均在院日数推移率」という。)をかけて得た数の三分の一を限度として都道府県知事が適当と認める数(以下「流出超過加算数」という。)を、当該合計数に加算することができる。

(イ)((ΣAB'+C'―D')/E)×F+G

(ロ)(ΣAB'/E)×F+G


この式において、A、B'、C'、D'、E、F及びGは、それぞれ次の値を表すものとする。

A 当該区域の性別及び年齢階級別人口

B' 次に掲げる場合に応じそれぞれに定める値

a 厚生労働大臣が定める当該都道府県の性別及び年齢階級別入院率(以下「都道府県率」という。)が厚生労働大臣が各都道府県の性別及び年齢階級別入院率の分布状況を勘案して定める性別及び年齢階級別入院率(以下「全国基準率」という。)以上の場合

… 全国基準率

b 都道府県率が全国基準率未満の場合

… 都道府県率と地方ブロック率の範囲内で都道府県知事が都道府県の区域を単位として定める値。ただし、当該値は、全国基準率を超えないものとする。

地方ブロック率:厚生労働大臣の定める当該区域の属する都道府県の区域を含む地方ブロック(厚生労働大臣が都道府県の区域を単位として全国の区域を区分して定めるものをいう。)の性別及び年齢階級別入院率

C' 0以上当該区域に所在する病院の入院患者のうち当該区域以外の区域に住所を有するものの数以下の範囲内で、当該区域の入院患者の状況等を勘案して都道府県知事が定める数

D' 0以上当該区域以外の区域に所在する病院の入院患者のうち当該区域に住所を有するものの数以下の範囲内で、当該区域の入院患者の状況等を勘案して都道府県知事が定める数

E 病床利用率

〇・八四

F 平均在院日数推移率

〇・九

G 〇以上流出超過加算数以下の範囲内で、当該区域の入院患者の状況等を勘案して都道府県知事が定める数

(二) 精神病床及び結核病床の基準病床数

精神病床及び結核病床の基準病床数は、現行の算定方式により算定した数とすること。

なお、実態等をふまえ、病床利用率については、精神病床について〇・九六を〇・九五に、結核病床について〇・九〇を〇・八九とし(新算定告示第一条)、地方ブロック入院率については、数値等の見直しを行ったこと。(新算定告示別表第二及び第三)

(三) 感染症病床の基準病床数

感染症病床の基準病床数を新たに定め、都道府県の区域ごとに感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成一〇年法律第一一四号)の規定に基づき厚生労働大臣の指定を受けている特定感染症指定医療機関の感染症病床並びに都道府県知事の指定を受けている第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関の感染症病床の数を合算した数を基準として都道府県知事が定めた数とすること。

第六 必置施設の緩和

一 病院が有しなければならないこととされている施設について、外部委託の進展等により一律の義務付けの必要性が薄れてきた施設について、①から④までのとおり緩和等を行うこと。

① これまで法律において設置の義務付けがなされていた消毒施設及び洗濯施設について、新たに厚生労働省令で設置を義務付けるとともに、繊維製品の滅菌の業務又は寝具類の洗濯の業務を委託する場合にあっては、当該業務に係る設備を設けないことができることとすること。(新省令第二一条)

② 臨床検査施設について、検体検査の業務を委託する場合にあっては、当該検査に係る施設を設けないことができることとするが、検体検査の業務を外部委託する場合であっても、休日・夜間や救急時の体制が確保されていること。なお、生理学的検査を行う場所は原則として病院又は診療所等医業の行なわれる場所に限定されるものであること。(新省令第二〇条第六号)

③ 給食施設について、調理業務又は洗浄業務を委託する場合にあっては、当該業務に係る施設を設けないことができることとすること。しかしながら、再加熱等の作業に必要な設備については設けなければならないこと。(新省令第二〇条第九号)

④ 給水施設、暖房施設及び汚物処理施設に関する規定については、医療環境の変化に伴い、厚生労働省令においてあえて規定する必要性が薄れてきたために削除するものであること。

二 療養病床を有する診療所が有しなければならないこととされている施設のうち、暖房施設について、規制を廃止すること。

三 なお、上記の委託の実施に当たって、病院、診療所等の業務委託に関する関連通知を遵守するとともに、医療の提供に支障をきたさないよう、その運用に遺憾なきを期されたい。

第七 適正な入院医療の確保

一 都道府県知事は、病院等の人員が医療法に定める基準に照らして著しく不十分であり、かつ、適正な医療の提供に著しい支障が生ずるおそれのある場合として厚生労働省令で定める場合に該当するときは、その開設者に対し、期限を定めて、人員の増員を命じ、又は期間を定めて、業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができること。(新法第二三条の二)

① 厚生労働省令で定める場合とは、医師、歯科医師、看護婦その他の従業員の員数が、医療法上の員数の標準の二分の一以下である状態が二年を超えて継続している場合であって、都道府県医療審議会が都道府県知事が措置を採ることが適当であると認める場合であること。(新省令第二二条の四の二)

② 本規定の運用に当たっては、医師等の従業員の員数が、標準の二分の一以下である状態が二年を超えて継続している場合であっても、当該医療機関において適正な医療の提供に著しい支障が生じていないと認められる場合には、人員の増員命令等を行うことは適当ではないことに御留意願いたい。

二 開設許可を受けた病院等の休止について、原則として一年以内とし、病院等を休止したときは、一〇日以内に都道府県知事等に届け出なければならないこと。都道府県知事等は、これらの病院等が休止した後正当の理由がないのに、一年以上業務を再開しないときは、当該開設許可の取消等ができること。(新法第八条の二、第二九条第一項)

三 都道府県知事等は、病院等の業務が法令等に違反している疑いがあり、又はその運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるときは、当該病院等の開設者等に対し、診療録、助産録、帳簿書類その他の物件の提出を命ずることができることとしたほか、報告徴収等について所要の改正を行ったこと。(新法第二五条)

四 都道府県知事等は、病床数の増加等の許可を受けた後正当の理由がないのに、六月以上当該許可に係る業務を開始しないときは、当該許可を取り消すことができること。(新法第二九条第二項)

第八 広告規制の緩和に関する事項

一 カルテ等の診療情報の提供について、関係者の自主的な取り組みが進められていることから、医業等に関して広告できる事項として、「診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報を提供することができる旨」が規定されたこと。(新法第六九条第一項第九号)

二 また、医療に関する情報提供を求める国民のニーズにこたえ、患者の選択を通じた医療の質の向上を図るため、客観性がある情報や事実に関する情報を幅広く広告できるようにするという観点から、医業等に関して広告できる事項が追加されたこと。(新六九条告示)

(一) 新告示第五号に規定する事項については、新たに労災保険二次健診等給付病院及び労災保険二次健診等給付診療所が追加されたものであり、それぞれ当該医療機関である旨を広告し得るものであること。

(二) 新告示第一七号に規定する事項については、地方社会保険事務局長に対する各医療機関の届出内容に応じ、基本診療料の施設基準等(平成一二年三月厚生省告示第六七号)中の各号の基準に適合している旨(基準の類型を含む)、及びそれぞれの内容を客観的に説明する表現を表示して差し支えないものであること。

(三) 新告示第一八号に規定する事項については、地方社会保険事務局長に対する各医療機関の届出内容に応じ、特掲診療料の施設基準等(平成一二年三月厚生省告示第六八号)中の各号の基準に適合している旨(基準の類型を含む)、及びそれぞれの内容を客観的に説明する表現を表示して差し支えないものであること。

(四) 新告示第一九号に規定する事項については、都道府県知事に対する各医療機関の届出内容に応じ、老人特掲診療料の施設基準等(平成一二年三月厚生省告示第七九号)中の各号の基準に適合している旨(基準の類型を含む)、及びそれぞれの内容を客観的に説明する表現を表示して差し支えないものであること。

(五) 新告示第二一号に規定する事項については、病院、診療所が、介護保険法に基づく指定を受けている事業者である旨を広告し得るものであること。

(六) 新告示第二二号に規定する事項については、財団法人日本医療機能評価機構が行う審査を受けた結果、認定を受けた旨を広告し得るものであり、個別具体的な審査項目の結果は広告してはならないものであること。

(七) 新告示第二七号に規定する「訪問看護」については、病院・診療所のほか、民間事業者も参入可能であるが、病院・診療所は医療法の広告規制を受けるのに対し、他の民間事業者は虚偽又は誇大以外は広告できることとされており、広告できる事項に差が生じているため、介護保険に係る訪問看護については、民間事業者と同様の取り扱いとしても差し支えないものであること。

(八) 新告示第二八号に規定する「健康診査」とは、医師等が診断・治療を目的とした通常の診療とは別に、その有する医学的知識を用いて健康診査を行うことを意味するものであること。また、実施する健康診査の種類を併せて示しても差し支えないものであり、「乳幼児検診」、「胃がん検診」等、対象者や部位を付記することも差し支えないものであること。

ただし、「遺伝子検査」等、医学的・社会的に評価が定まっていないものについては、対象としないものであること。

(九) 新告示第二九号に規定する事項のうち、新たに追加された「保健指導」とは、主として予防的なものであって、医師等が診断・治療を目的とした通常の診療とは別に、その有する医学的知識を用いて相談者に対し健康の保持増進のための日常生活上の指導等を行うことを意味するものであり、「乳幼児保健指導」、「禁煙指導」等、対象者や指導対象を付記することも差し支えないものであること。

ただし、症状、疾患名、治療行為等について行われる指導や医学的・社会的に評価が定まっていないものについては、対象としないものであること。

(一〇) 新告示第三〇号に規定する事項については、対象となる予防接種の種別は、予防接種法(昭和二三年法律第六八号)において規定されているもの又は薬事法(昭和三五年法律第一四五号)において承認されているワクチンを使用した予防接種のみ広告の対象とするものであること。

(一一) 新告示第三二号に規定する事項については、当該治験薬の対象となる疾患名及び治験を実施する医療機関名等を広告しうるものであり、当該治験薬の名称、治験記号等を広告してはならないものであること。

(一二) 新告示第三三号に規定する事項については、費用の支払方法に関する事項は使用可能なクレジットカードの種類等を想定したものであること。また、費用の領収に関する事項として、費用の内訳の明細に関する事項を示すことも差し支えないこと。

(一三) 新告示第三五号に規定する事項については、当該医師又は歯科医師としての経歴を簡略に示すものとして、生年月日、出身校、学位、医籍登録年月日、勤務した医療機関(診療科、期間を含む)について、一連の履歴を総合的に記載したものを想定したものであること。

記載する事項は、社会的な評価を受けている客観的な事実であってその正否について容易に確認できるものであり、専門医・認定医資格の取得等は含まれないものであること。また、常時診療に従事する医師又は歯科医師のみについて、これらの項目を広告し得るものであること。

(一四) 新告示第三八号に規定する事項については、他の医療機関の医療機器を共同利用している医療機関において、共同利用を行っている旨を広告する場合は、利用できる医療機関名及び当該医療機器名を併記しなければならないものであること。また、一定の要件に基づき、他医療機関に対して、自院の医療機器を利用させている医療機関(地域医療支援病院、開放型病院(特掲診療料の施設基準等に基づく地方社会保険事務局長に対する届出が受理された医療機関))が、共同利用を行っている旨を広告する場合は、当該医療機器名を示すこと。

(一五) 新告示第四〇号に規定する事項については、手話、点字を含む、対応可能な言語を広告し得るものであること。また、対応できる時間帯、診療科等を併記することは差し支えないこと。

(一六) 新告示第四二号に規定する事項については、医療と介護における機能分担及び連携を促進する観点から、紹介することができる他の介護保険サービス事業者の施設の名称について、広告しても差し支えないものであること。

三 助産婦の業務等についても、利用者に対する情報提供を進めるため、今回新たに広告できる事項が追加等されたこと。なお、今回追加された新告示第三号、第一一号、第一二号については、それぞれ新第六九条告示において規定する第三五号、第三三号、第四〇号の取扱に準じることとする。(改正七一条告示)

第九 留意事項

一 地域の公的病院においては、医療機関の機能分担と連携の円滑な推進の観点から、地域の実情に応じて、救急医療、共同利用、紹介患者に対する医療提供など地域医療支援病院が行なわなければならないこととされている事項の実施についてできる限り積極的に取り組むとともに、例えば、当該地域において果たすべき役割について幅広く意見を聞く場を設けること。

二 平成一五年八月三一日までに第一の三の届出を行わない病院については、「その他の病床」のみを有している場合、開設の許可が取り消されたものとみなされ、「その他の病床以外の病床」を有している病院については、「その他の病床以外の病床」についてのみ開設の許可がなされたものと取り扱われることとなることから、管下病院が必ず病床区分の移行の届出をするよう十分な周知等をお願いしたい。