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○社会福祉施設職員等退職手当共済法の一部改正に伴って個人等が経営する保育所に関して留意すべき事項について

(平成一二年一一月七日)

(児保第三六号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市児童福祉主管部(局)長あて厚生省児童家庭局保育課長通知)

先般成立した「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律(平成一二年法律第一一一号。以下「改正法」という。)」により、社会福祉施設職員等退職手当共済法(昭和三六年法律第一五五号。以下「退手法」という。)が別添のとおり改正され、平成一三年四月一日から施行される。

その改正への対応については、今般、主管の社会・援護局施設人材課より通知されたところである。(平成一二年一一月七日社援施第四五号通知)。この改正法には、平成一三年四月一日より、退手法に基づき社会福祉・医療事業団と退職手当共済契約を締結することのできる経営者は社会福祉法人のみとすることが盛り込まれている。即ち、平成一三年四月一日からは、個人などの社会福祉法人ではない経営者は退職手当共済に新規の加入ができないこととなるものである。

この改正が円滑に施行されるよう、留意すべき事項を下記のとおり取りまとめたので、管下の個人経営の保育所(以下「個人経営保育所」という。)等の関係施設に周知されたく通知する。

一 主体区分ごとの本改正との関係

(社会福祉法人)

本改正は、社会福祉法人が経営する保育所に影響を及ぼすものではない。

(社会福祉法人以外の法人)

本改正に伴って、保育所を経営する社会福祉法人以外の法人は、平成一三年四月一日以降新たに、社会福祉施設職員等退職手当共済(以下「共済」という。)に加入することはできないこととなる。

しかし、 平成一三年三月三一日までに共済に加入した法人については、平成一三年四月一日以降も共済への加入を継続でき、また、当該法人においては、従前から雇用されている者のみならず平成一三年四月一日以降新たに雇用された者も共済の対象となる(改正法附則第二三条)。

(個人)

本改正に伴って、保育所を経営する個人は、平成一三年四月一日以降新たに共済に加入することはできないこととなる。個人経営保育所については、平成一三年四月一日以降もいずれかの時点で設置者の交替が必ずあるが、この交替によって共済契約が終了した後、本改正に伴って、個人経営保育所としては共済に新規加入ができないこととなる。(即ち、個人経営保育所については、いわゆる代替わりなどがあると、共済が切れることとなる。)

なお、経営者の交替があるまでの間の共済への継続加入及び新規雇用の従業員の加入の取扱いについては、上の社会福祉法人以外の法人についてと同様である。

二 社会福祉法人以外の法人が経営する保育所について留意すべき事項

現在、共済に加入していない宗教法人、財団法人等の法人であって、共済への加入意志がある場合には、速やかに共済加入手続を執る必要がある。

三 個人経営保育所について留意すべき事項

個人経営保育所であって将来いわゆる代替わり等によって経営者が変わる場合においても実質的に共済に継続加入したい場合には、速やかに適切な措置を採る必要がある。この措置としては、①社会福祉法人化、②NPO法人等への法人化、③既存の社会福祉法人等への経営移管が考えられる。

(1) 社会福祉法人化

新たに社会福祉法人を設立して、従前の個人経営保育所を新たな社会福祉法人の経営の下とし、新たに社会福祉・医療事業団と共済契約を締結する方法である。なお、この措置を講ずる場合、当然ながら、保育所の用に供している土地建物は、法人の基本財産とすることとなる。

おって、この方法は、必ずしも平成一三年三月三一日までに完了する必要はなく、平成一三年四月一日以降であっても、現に保育所を経営している個人の交替までの間又は交替と同時に行われれば、共済は実質継続される(即ち、それまで個人経営保育所の経営者が締結していた契約に基づく共済期間と新たな社会福祉法人が締結する契約に基づく共済期間は通算される。)。ただし、社会福祉法人への切換えが遅れれば共済が切れてしまうなどの混乱も予想されるので、これを避けるためには、今から速やかに手続を開始することが望ましいことは言うまでもない。

(2) NPO法人等への法人化

平成一三年三月三一日までに新たにNPO法人等を設立し、従前の個人経営保育所をこの法人の経営の下とし、新たに社会福祉・医療事業団と共済契約を締結する方法である。

NPO法人の設立に関しては、認証申請して認証が得られるまで約四ケ月を要するのが通例であり、この方式を採る場合においては、直ちに、所轄庁(特定非営利活動促進法第九条に規定する経済企画庁長官又は都道府県知事)に認証申請する必要がある。この申請が遅れて認証が平成一三年四月一日以降となった場合には、共済に加入できなくなることに留意する必要がある。

(参考)

・NPO法人の設立においては、保育所の用に供する土地建物を法人所有とするまでの必要はなく、所有者からNPO法人に貸与する方式を採ることもできる。

・NPO法人の保育所経営事業については法人税が非課税であり、また、保育所を経営する事業については主体の如何を問わず固定資産税が非課税である。

・NPO法人については、社員制度が置かれ、定款の変更は社員総会で決まるなど社会福祉法人制度と異なる部分がある。

(3) 既存の社会福祉法人等への経営移管

個人経営保育所の経営を既存の社会福祉法人等の事業として位置付け、当該個人経営保育所の経営者が締結している共済契約を既存の社会福祉法人等が締結している同契約に編入する方法である。既存の社会福祉法人のほか、既に共済に加入している既存の宗教法人等であっても同様である。なお、この場合においては、(1)のように新たに社会福祉法人を設立する場合と異なり、既設の社会福祉法人が第一種社会福祉事業、保育所又は精神障害者社会復帰施設を経営していれば、保育所の用に供している土地建物を既存の社会福祉法人の基本財産とすることは必須の要件ではない(所有者から法人に貸与する方法も可能である。)。

おって、この方法は、必ずしも平成一三年三月三一日までに完了する必要はなく、平成一三年四月一日以降であっても、現に保育所を経営している個人の交替までの間又は交替と同時に行われれば、共済は実質継続される(即ち、それまで個人経営保育所の経営者が締結していた契約に基づく共済期間と、既存の社会福祉法人等が締結している同契約に編入後の共済期間は通算される。)。ただし、社会福祉法人等への経営移管が遅れれば共済が切れてしまうなどの混乱が予想されるので、これを避けるためには、今から速やかに手続を開始することが望ましいことは言うまでもない。

4 その他

個人経営保育所のうち、既に経営者の死亡等により実際には経営者が変更されているにも関わらず、未だ退手法上の経営者の名義変更を届け出ていないものがある場合は、(掛金を継続納付している場合であっても)退手法上の契約当事者は不在と言わざるを得ず、当該共済契約は解除により当然に終了すべきものである。したがって、このような場合には直ちに経営者変更の届出と併せ、現状の経営者が新たに共済契約を締結しない限り、当該保育所職員についての共済契約を継続できない。また、個人経営保育所である以上、共済に継続加入したい場合には、上記3のいずれかの方法を講ずる必要があることは当然である。