添付一覧
○国民年金法に関する疑義回答について(その二十二)(抄)
(昭和三六年一〇月三〇日)
(年福発第一一三号)
(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局福祉年金課長通知)
最近における各都道府県よりの照会に対する標記回答について、別紙のとおり写しを送付するから御了知のうえ、事務処理上の参考とされたい。
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(別紙1)
○福祉年金所得状況について
(昭和三六年五月二三日)
(年第一七七六号)
(厚生省年金局福祉年金課長あて山口県労働民生部国民年金課長照会)
老齢福祉年金受給権者から左記のような照会をうけておりますが、このような事例については、租税特別措置法による課税の特例の手続きをすることによつて所得税が非課税となり、福祉年金の所得制限には該当しないとも思われますが、現在すでに手続きの期限は経過しており、課税されていますので、福祉年金の所得制限に該当すると考えられます。しかし、かりに手続きをしていたとした場合、非課税となることが判明したときは、所得制限をかけないで措置してさしつかえないかどうか、ご回示をお願いします。
なお、非課税となることの証明を市町村長にさせてよろしいかあわせてご回示をお願いします。
記
扶養義務者が昭和三十五年中に自作の所有田地の一部を市が公益企業会社の用地として選定しましたので、代替耕地を提供条件にしましたが、市会では否決されやむをえず譲渡しました。このため急に所得の増加となり、福祉年金の支給停止でいう五〇万円を超過し、所得税が賦課されました。
もともと、扶養義務者は農業生計者であるため、現在代替の耕地を探している状態にあります。
このようにして、一時的に生じた所得額が福祉年金の支給停止となる額を超過した場合、年金が支給停止される原因となるのかどうか。
(昭和三六年八月二二日 年福発第九七号)
(山口県労働民生部長あて 厚生省年金局福祉年金課長回答)
本年五月二十三日年第一、七七六号をもつて照会のあつた標記の件について、左記のとおり回答する。
記
照会事例における福祉年金受給権者の扶養義務者の所有する田地について行われた譲渡の内容が判然としないが、当該譲渡は、土地収用法等に基づくものではなく、通常の譲渡と認められるので、この譲渡によつて生ずる所得は当然に国民年金法第六十六条第五項に定める所得として取り扱うものであること。
また、照会事例における譲渡が、仮に租税特別措置法第三十一条の適用を受けるべき状態について行なわれたものであつても、これが課税の特例に関する規定の適用を受けず、又は受けることができなかつたため、当然譲渡による所得が現実に所得税の課税の対象とされた場合においては、当該譲渡による所得に係る所得税額は、国民年金法第六十六条第五項に規定する所得税額として取り扱うものであること。
なお、田地等の収用があつた場合に租税特別措置法第三十一条第一項又は第二項の適用を受けるか否かは、本人の選択によることとされ、同条第四項の規定により、本人がその手続を行なわなかつたときは、これらの規定の適用を受けることはできないものであり、したがつて、所得税法に規定する確定申告に係る更正又は決定の措置が認められる余地はないものであること。
おつて福祉年金の支給停止となる所得には、用地等の譲渡により一時的に生じた所得(所得税法第九条第一項第九号参照)も含まれるものであること。
(別紙6)
○福祉年金の支給を停止する所得について
(昭和三六年九月一五日)
(青国第一二九一号)
(厚生省年金局福祉年金課長あて青森県衛生民生労働部国民年金課長照会)
国民年金法第六十五条第四項に規定する所得は国民年金法施行令第六条に「前年の所得のうち所得税法その他の所得税に関する法令の規定による所得税についての非課税所得以外の所得として云々」と規定しておりまた昭和三十五年三月五日年福発第六八号福祉年金課長通知別紙写に国税庁の取扱が示されているところであるが、左記の場合も所得があるとして法第六十五条第四項により支給停止すべきであると解するがいささか疑義を生じたので何分御教示願いたく照会いたします。
記
受給権者が前年中において自己所有の財産を息子に贈与したが、これに対し所得税法第五条の二第一項により所得があつたものとみなし所得税が賦課されている。従つて福祉年金は法第六十五条第四項により全部支給停止されるが、この場合自己の財産を息子に贈与したもので現実には全く代償は受けておらず単に形式的に所得税法上の所得税が課せられているにすぎないものであるにもかかわらず、福祉年金を全部支給停止することになり、このような取扱いは酷に失するものと思考されるので、贈与に際してみなされた所得は国民年金法第六十五条第四項に定める所得額から除外することとできないか。
(昭和三六年九月二八日 年福発第一〇七号)
(青森県衛生民生労働部長あて 厚生省年金局福祉年金課長回答)
本年九月十五日青国第一、二九一号をもつて照会のあつた標記について、左記のとおり回答する。
記
本制度において、福祉年金に係る所得の把握は、所得税法等の税制度により行なうこととしている建前上、所得税法第五条の二の規定に基づき、贈与を譲渡とみなすことにより生じた所得についても、国民年金法第六十五条第四項に規定する所得として取り扱うこととなり、当該みなし譲渡による所得を同条同項に規定する所得から除くことはできないものであること。
所得税法第五条の二に規定する取扱いは、なんら代償を得なかつたにもかかわらず所得があつたとする結果となることにより、一見不合理な取扱いのようであるが、これは、次の理由に基づくものであつて、なんら不合理な取扱いとはいえないものであること。すなわち、仮に当該資産を相手方に直接贈与する方法によらず、一たん第三者に売却し、その代価を贈与する場合には、譲渡所得があるため課税の対象となるので、結果的には譲渡と贈与は異ならないこととなる。したがつて、両者の課税上の負担の均衡を図る意味において、税制上、特にかかる取扱いをする必要があつたこと。