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○国民年金法に関する疑義回答について(その十七)(抄)

(昭和三五年九月二二日)

(年福発第二四〇号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省年金局福祉省年金局福祉年金課長通知)

最近における各都道府県よりの照会に対する標記回答について、別紙のとおり写を送付するから御了知のうえ、事務処理上の参考とされたい。

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(別紙9)

○福祉年金の事務取扱に関する疑義について

(昭和三五年七月二八日)

(三五茨国発第四二一号)

(厚生省年金局福祉年金課長あて茨城県民生労働部国民年金課長照会)

標記に関し左記のような事例が生じ取扱に疑義がありますので、御指示方お願いいたします。

1 A女(明治二十六年生)は実兄(以下C男という。)との婚姻の際、法律上不可能のため、知人B女(昭和二十二年生)と戸籍をとりかえ、B女名義でC男との婚姻届を提出した。B女はその後D男と婚姻したが、婚姻届はA女名義で提出した。(そのため戸籍上はA女とD男、B女とC男が婚姻したことになつている。)

本制度の発足にともない、B女は昨年十一月一日から受給権があるため、A女とB女が話し合いの結果、A女が手続きをして年金を受領し全部B女に渡すということで裁定請求をし、現在までの年金額は約束どおりB女に渡されている。(別添事情聴取書参照)

このような事例が判明した場合、A女とB女の戸籍を訂正のうえB女から正しい関係書類を提出させ、これに基づき前裁定を取り消してあらたな裁定を行ない、A女に交付した証書(名義はB女)は返付させて、あらたな裁定にもとづく訂正を行なつたうえB女に交付するという取り扱いをしてよろしいか。

2 外国へ移住する者の失権届提出について

朝鮮人を夫とする娘を持つ父(老齢福祉年金受給中)が娘夫婦の北朝鮮への帰還に同行することになつたが、許可の通知がおそく、(決定は日赤本社で行なうが決定が保留されているような場合がある。)通知書を受取つてからでは失権届を提出してその月までの年金を受ける余裕のない場合、失権する日を予測にもとづいて記入した届書により失権の事務処理をしてよろしいか。

事情聴取書

坂巻●●(なか)水海道市内守谷町三四三九番地。国民年金証書記号番号茨い第二六、六五一号)の老齢福祉年金受給につき、左記のような事情がありますので、坂巻●●(なか)の長男平三よりその事情を聴取しました。

坂巻●●(なか)は、婚姻前の氏名は坂巻きくであつたが、近親婚をするため坂巻●●(なか)と戸籍を取り替え、坂巻●●(なか)になつた。

婚姻前の坂巻きく(即ち現在の坂巻●●(なか))は、明治二十六年九月二十日北相馬郡内守谷村二二番屋敷に、坂巻己え木公、同もよを父母として出生。現在は七〇歳未満。明治四十三年四月八日戸籍上の兄亀之助と婚姻することになつたが、もとよりその婚姻は近親婚で法律上、不可能のため、知人の坂巻●●(なか)(明治二十二年四月十五日、内守谷村四七番屋敷で、坂巻斉作、同や乃の二女として、出生。現在七〇歳以上)と交渉して、戸籍を取り替え、坂巻●●(なか)となつて、婚姻した。

一方、このため坂巻●●(なか)は、坂巻きくとなり、その後、大正元年十月二十二日北相馬郡小絹村大字筒戸一六番屋敷、小林勘太郎と婚姻し、小林きくとなり、現在に至つた。なお、坂巻●●(なか)の夫亀之助は昭和十八年七月二十日死亡、小林きくの夫勘太郎も六、七年前に死亡した。

ところで、昨年十一月より福祉年金が発足したため、坂巻、小林両家で相談の結果、戸籍上七〇歳以上で老齢福祉年金の受給権者である坂巻●●(なか)が年金を受領し、その受領した年金は、全部小林きくに渡すと言うことにして裁定請求した。しかるにその裁定請求の際、上の事情の申し立てがなくしかも戸籍抄本、住民票、謄本等、書類上の不備もなかつたので、当市の国民年金事務担当者は、そのまま受付け、書類を県に進達し、裁定が下された。坂巻家では初めの約束通り、小林きくに受領した年金を渡していた。

本年六月十八日の所得状況届の際、前の事情の申し立てがあつたので、改めて、本日、平三より、その事情の詳細を聴取し、ここに文書とした。

昭和三十五年七月十六日

水海道市長

前記の通り相違ありません

昭和三十五年七月十六日

水海道市内守谷町三四三九

坂 巻 平 三 (坂巻)

(昭和三五年九月一二日 年福発第二三六号)

(茨城県民生労働部長あて 厚生省年金局福祉年金課長回答)

本年七月二十一日三五茨国発第四二一号をもつて照会のあつた標記については、左記のとおり回答する。

なお、左記2については、郵政省当局と連絡協議済みであるので念のため申し添える。

1 照会事項の1については、本法上においても、身分関係は戸籍簿上に記載されている事実に即して判定すべきであるので、したがつて、照会事例のごとく、A女(事実上は七〇歳未満、戸籍上は七〇歳以上)がB女(事実上は七〇歳以上、戸籍上は七〇歳未満)の戸籍をもつている場合は、A女が戸籍上七〇歳以上であるので、A女が老齢福祉年金の受給権者として裁定せざるをえないが、照会事例のような事情が判明した限りにおいては、関係者に対して、すみやかに戸籍訂正の手続きをとらせ、訂正された戸籍に基づいて、B女を老齢福祉年金の受給権者として裁定するとともに、A女については、便宜上、失権の措置をとること。

なお、B女に対する国民年金証書の支払欄のうち、A女に支払済みである当該支払期月欄には「(支払不要)」の印を押すこと。

2 照会事項の2については、家族全員が外国に移住するために、福祉年金の受給権が失権する場合には、受給権者を含む住民登録法による外国移住届が市町村長に受理された日をもつて失権の日とみなし、国民年金証書の支払欄にはこれに基づいて所定の記入を行なうべきものであること。(本年二月二十日年福発第四七号各都道府県民生主管部(局)長あて小職通知「国民年金証書の記載要領について(追加分)」左記8参照)