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○住民基本台帳法等の施行に伴う留意事項について

(昭和四二年一〇月四日)

(保険発第一〇六号)

(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省保険局国民健康保険課長通知)

住民基本台帳法(以下「台帳法」という。)は、昭和四十二年七月二十五日法律第八十一号をもつて、住民基本台帳法施行令(以下「台帳法施行令」という。)は、昭和四十二年政令第二百九十二号をもつてそれぞれ公布され、選挙人名簿との関係に関する規定、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の改正規定中道府県民税及び市町村民税に関する部分並びに学校教育法施行令(昭和二十八年政令第三百四十号)の改正規定中学齢簿の編成及び作成に関する部分を除き、昭和四十二年十一月十日から施行されることとなつた。

台帳法及び台帳法施行令(以下「台帳法等」という。)の施行については、先に「住民基本台帳法等の施行について(通知)」(昭和四十二年九月二十五日自治振第一四七号自治事務次官通知)及び「住民基本台帳事務処理要領について」(昭和四十二年十月四日法務省民事甲第二六七一号、保発第三九号、自治振第一五〇号、庁保発第二二号及び四二食糧業第二六六八号(需給)法務省民事局長、厚生省保険局長、自治省行政局長、社会保険庁年金保険部長及び食糧庁長官連名通知)により通知されたところであるが、なお、国民健康保険制度の運用との関連において留意すべき事項は左記のとおりであるので、貴管下市町村の実情を十分に勘案のうえ、指導に遺憾なきを期せられたい。

目次

第一 国民健康保険法の一部改正について

(1) 国保法の届出について

(2) 国保組合に対する届出について

(3) 修学中の被保険者の特例について

第二 住民票の記載について

(1) 住民票の法定記載事項について

(2) 住民票の任意記載事項について

(3) 届出又は職権による記載について

(4) 記載に当たつて留意すべきことについて

第三 台帳法の規定による届出について

(1) 届出の種類について

(2) 届出に附記する事項について

(3) 転出証明書について

(4) 被保険者証の添付について

(5) 届出の審査について

第四 住所の認定等について

第五 台帳法の適用を受けない者の取扱いについて

第六 指定都市における特例について

第七 その他留意すべき事項

(1) 被保険者台帳について

(2) 関係組織間の連けいについて

第一 国民健康保険法の一部改正について

(1) 国民健康保険の被保険者(以下「被保険者」という。)が、その資格を証する一定事項を附記して台帳法の規定による届出をしたときは、その届出と同一の事由に基づく国民健康保険法(以下「法」という。)第九条第一項又は第三項の規定による届出があつたものとみなされることとされたこと。(台帳法附則第十四条による法第九条の改正)

なお、法第六条各号のいずれにも該当しなくなつたため被保険者の資格を取得し、若しくは同条各号のいずれかに該当するに至つたため被保険者の資格を喪失した者又は出生により被保険者の資格を取得し、若しくは死亡により被保険者の資格を喪失した者があるときに、その者の属する世帯主がなすべき届出等、台帳法の規定による届出と同一の事由に基づかない法第九条第一項又は第三項の規定による届出については、従前どおりであること。

(2) 国民健康保険組合の組合員が、組合に対してなすべき届出については従前どおりであること。(台帳法附則第十四条による法第二十二条の改正)

(3) 修学中の被保険者に関し、住所の特例を被保険者の特例とする旨の改正が行なわれたが、その者の被保険者の資格については従前どおりであること。(台帳法附則第十四条による法第百十六条の改正)

したがつて、この特例による被保険者の資格を有する者の住民票は、その者の保険者である市町村(特別区を含む。以下同じ。)には存しないこととなること。

第二 住民票の記載について

(1) 被保険者の資格に関する事項で住民票に記載しなければならない法定事項は、その資格を取得した年月日又はその資格を喪失した年月日であること。

なお、この記載事項は、昭和四十四年三月三十一日までの間で、市町村長が住民票を作成した旨の告示をするまでの間は記載を省略することができることとされているが、それまでの間においても、当該事項をできるだけ記載することが適当であること。(台帳法第七条第十号台帳法附則第四条第三項、台帳法施行令第三条)

(2) 被保険者の資格に関する法定記載事項のほか、その者に係る被保険者証の記号及び番号をも記載することが適当であること。

なお、被保険者でない者については、台帳法若しくは法の規定による届出があつた際に届出書に記載させ、又は聴取する等の方法により、現に加入している国民健康保険以外の医療保険制度の名称(法第百十六条の規定の適用を受けている者については、その旨及びその者の保険者である市町村名)等を記載することが望ましいこと。(台帳法施行令第二条)

(3) 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、被保険者がその資格に関する一定事項を附記して台帳法の規定による届出をした場合には、その届出の内容が事実であるかどうかを審査して、その資格を取得した年月日又はその資格を喪失した年月日を住民票に記載するほか、次の場合には、職権で当該事項を住民票に記載すること。

イ 法第九条第一項又は第三項の規定による届出を受理したとき(被保険者がその資格に関する一定事項を附記して台帳法の規定による届出をしたときを除く。)その他被保険者の資格の取得又は喪失に関する事実を確認したとき。

ロ 法第九十一条第一項の規定による審査請求の裁決又は同項の処分についての訴訟の確定判決の内容が住民基本台帳の記録と異なるとき。(台帳法第八条、台帳法施行令第十一条及び第十二条)

前記のイにより、届出に基づかず被保険者の資格の取得又は喪失に関する事実の確認に基づきその資格を取得した年月日又はその資格を喪失した年月日を住民票に記載したときは、職権記載である旨及びその記載をした年月日を記入し、かつ、職権記載をした旨を当該被保険者の属する世帯の世帯主に通知することが適当であること。

なお、届出に基づかない職権記載は最後的な処置であるから、被保険者の資格の取得又は喪失に関する事実を確認したときは、まず、当該被保険者の属する世帯の世帯主に法第九条第一項又は第三項の規定による届出をするよう指導すべきであること。

(4) 被保険者の転出入に伴い、住民票にその資格を取得した年月日又はその資格を喪失した年月日を記載するに当たつては、次のことに留意すること。

イ 転出の場合 転出届を受理したときは、転出予定年月日を資格を喪失した年月日として記載すること。

なお、現実に転出した年月日が確認できたときは、当該記載を修正し、法第八条第一項に定めるところに従い、その日又はその翌日を資格を喪失した年月日として記載すべきであること。

ロ 転入の場合 住民となつた年月日を資格を取得した年月日として記載すること。

なお、転入届書に記載された「転入をした年月日」が転出証明書に記載された「転出の予定年月日」と連続していない場合において、転入に伴う旅行日の日数が当該転入に通常必要と考えられる日数である場合であつて、旅行日中に傷病等について保険給付をすることが必要であるときは、当該給付を行なうにつき支障が生じないように留意して住民となつた年月日及び被保険者の資格を取得した年月日を記載すること。

第三 台帳法の規定による届出について

(1) 台帳法の規定による届出には、次の種類の届出があること。

イ 転入届 転入(あらたに市町村の区域内に住所を定めることをいい、出生による場合を除く。以下同じ。)をした者が、転入をした日から十四日以内に市町村長に対してなすべき届出である。(台帳法第二十二条)

ロ 転居届 転居(市町村の区域内において住所を変更することをいう。以下同じ。)をした者が、転居をした日から十四日以内に市町村長に対してなすべき届出である。(台帳法第二十三条)

ハ 転出届 転出(市町村の区域外へ住所を移すことをいう。以下同じ。)をする者があらかじめ市町村長に対してなすべき届出である。(台帳法第二十四条)

ニ 世帯変更届 転入、転居、転出に基づく場合を除くほか、その属する世帯又はその世帯主に変更があつた者が、その変更があつた日から十四日以内に市町村長に対してなすべき届出である。なお、その世帯に属する者が一人になつた場合には、その者は世帯変更届をすることを要しない。(台帳法第二十五条、台帳法施行令第二十五条)

なお、台帳法の規定による届出の届出義務者は本人であるが、世帯主は本人に代わつてその届出をすることができ、本人が届出をすることができないときは、世帯主が本人に代わつてその届出をしなければならないものであること。(台帳法第二十六条)

(2) 被保険者が台帳法の規定による届出をするときは、次の事項を附記することとされていること。(台帳法第二十八条、台帳法施行令第二十七条)

イ 転入届

(イ) 被保険者の資格を取得した旨

(ロ) 職業

(ハ) その者が属することとなつた世帯にすでに被保険者の資格を取得している者がある場合には、その世帯に係る被保険者証の記号及び番号

ロ 転居届、転出届及び世帯変更届

被保険者証の記号及び番号

なお、前記ロでいう被保険者証の記号及び番号とは、転居届又は世帯変更届の場合には、その者が属していた世帯及びその者が属することとなった世帯に既に被保険者の資格を取得している者がある場合は、その世帯に係る被保険者証の記号及び番号であること。

(3) 転入届は、国外から転入した場合その他やむを得ない理由がある場合を除くほかは、転出証明書を添えてしなければならないが、転出証明書には、転出地において被保険者であつた者については、その旨記載されるものであること。

なお、転出証明書における被保険者である旨の記載は、昭和四十四年三月三十一日までの間で市町村長が住民票を作成した旨の告示をするまでの間は、記載を省略することができることとされているが、当該事項の記載は、転入地において被保険者の資格の認定をする際の重要資料となるので、その間においても、当該事項をできるだけ記載することが適当であること。(台帳法第二十二条第二項、台帳法施行令第二十三条第一項及び第二項、同令附則第六条)

(4) 被保険者が台帳法の規定による届出をするときは、その者に係る被保険者証を添えなければならないこと。(台帳法施行令第三十条)

その者に係る被保険者証とは、転居届又は世帯変更届の場合においては、その者が属していた世帯及びその者が属することとなつた世帯にすでに被保険者の資格を取得している者がある場合は、その世帯に係る被保険者証であること。

届出に添えられた被保険者証については、その回付を受けた国民健康保険担当部門において、届出の事由に応じ、被保険者証の記載の一部を消除若しくは修正し、又は新たな事項を記載したうえ、保険者印を押して交付し、あるいは被保険者証を回収しなければならないが、特に転出届の場合にあつては次により処理されたいこと。

イ 一の世帯に属する被保険者の全員が転出するときは、被保険者証を返還させ、転入通知書等により他の市町村に転入したことが判明するまでの間別途保管する。この場合において、現に療養継続中の被保険者等につき、転出届のあつた日以後転出予定年月日までの間に療養の給付をする必要があるときは、被保険者の申出に基づき、被保険者証の有効期限欄に転出予定年月日まで有効である旨記入し、保険者印を押して交付する。転出予定年月日経過後においてなお傷病等のため転出しない被保険者について療養の給付を行なう必要があるときは、被保険者の申出に基づき、被保険者証の有効期限を修正し、保険者印を押して交付する。

ロ 一の世帯に属する被保険者の一部が転出するときは、被保険者証のその者に関する記載部分に転出予定年月日まで有効である旨記入し、保険者印を押して交付する。転出予定年月日経過後においてなお転出しない被保険者について療養の給付を行なう必要がある場合における被保険者証の処理については、イに準じて行なう。

(5) 被保険者の資格に関する事項が附記された台帳法の規定による届出を受理するに当たつては、被保険者証及び転入届の場合にあつては転出証明書が添えられているかどうかの形式的な審査をすることはもちろん、届出の内容が事実であるかどうかについて、次の諸点に留意のうえ、審査しなければならないものであること。

イ 世帯員から届出があつたときは、世帯主の確認を求める等の方法により、被保険者の資格の異動に関する事実を確認することが適当であること。

ロ 転入届の場合においては、転入に伴う旅行日中の傷病等について必要な保険給付を行なうことに支障が生じないように特に留意して、転入をした年月日の審査をすること。

ハ 転入届に被保険者の資格に関する事項が附記されている場合に、添えられた転出証明書に転出地はおいて被保険者であつた旨の記載がないときは、その理由を聴取する等、その者が被保険者の資格を有する者であるかどうかについて特に慎重に審査すること。

ニ 届出に被保険者の資格に関する事項が附記されていないときには、その者が現に加入している医療保険制度の名称を記載させ、又は聴取する等の方法により、その者が被保険者でないことを確認することが適当であること。

ホ 届出に被保険者の資格に関する事項が附記された場合に、その者が属することとなつた世帯に既に被保険者の資格を取得している者がないときは、その者の所得の状況を聴取して、被保険者の資格を有する者であるかどうかを確認しなければならないこと。

以上による審査の結果、その届出が事実に反する疑いがあるときは、台帳法第三十四条第二項の規定により調査し、その事実を確認すること。

第四 住所の認定等について

住民の住所に関する法令の規定の解釈は、地方自治法第十条第一項に規定する住民の住所と異なる意義の住所を定めるものと解釈してはならないこととされたが、これによつて、従来の国民健康保険の被保険者の住所の認定が変ることはないものであること。(台帳法第四条)

また、国民健康保険における世帯及び世帯主の認定についても従来どおりであること。

第五 台帳法の適用を受けない者の取扱いについて

日本の国籍を有しない者及び戸籍法の適用を受けない者(天皇及び皇族)は、台帳法の適用を受けないこと。(台帳法第三十九条、台帳法施行令第三十三条)

したがつて、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法第一条の規定による永住許可を受けている者、その他条例で定める国の国籍を有する者等被保険者である外国人が法第九条第一項又は第三項の規定によつてする届出についてはすべて従来どおりであること。

なお、世帯主が外国人である世帯に属する日本人の住民票には、日本人の世帯員のうち世帯主にもつとも近い地位にある者の氏名が世帯主として記載され、実際の世帯主である外国人の氏名が備考として記入されることとなるが、被保険者証の世帯主欄には、実際の世帯主である外国人の氏名を記入するのであり、また保険料(税)の納付(税)義務者はその外国人であるので念のため申し添える。

第六 指定都市における特例について

地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市においては、その区ごとに住民基本台帳を作成し、その区の区長がその事務を処理することとされ、その市の住民が区相互間で住所を移動したときは、転出届及び転入届を行なうこととされたこと。(台帳法第三十八条、台帳法施行令第三十一条及び第三十二条)

なお、この場合における被保険者の資格関係事務の処理については、指定都市以外の場合における転出入の事務処理に準じて処理して差しつかえないこと。

第七 その他留意すべき事項

(1) 国民健康保険の事務を処理するため、従来から被保険者の資格に関する台帳を作成している場合にあつては、台帳法による住民票がこれに代替するものではないので、被保険者の資格の確認等の国民健康保険事務に支障が生じないよう十分配慮すること。

(2) 被保険者の資格に関する事項が附記された台帳法の規定による届出について適正な審査をし、住民基本台帳の正確性を確保するため、関係組織間において密接な連けいを図らなければならないこと。