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○国民健康保険の診療報酬明細書点検調査事務処理要領について

(昭和五五年五月一〇日)

(保険発第四二号)

(各都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長あて厚生省保険局国民健康保険指導管理官通知)

昭和五十五年度における国民健康保険の保険者及び国民健康保険団体連合会の指導監査については、本年三月三十一日保発第二〇号により厚生省保険局長から都道府県知事あて通知され、また、その実施にあたつての具体的な留意事項については、同日保険発第二四号により小職から貴職あて通知したところであるが、同通知第一の1の(3)の③において別途通知することとしていた国民健康保険の「診療報酬明細書点検調査事務処理要領」を別添のとおり定めたので、これを指針として点検調査事務を励行するよう指導をお願いする。

別添

診療報酬明細書点検調査事務処理要領

国民健康保険における診療報酬明細書(以下「レセプト」という。)の点検調査を的確に行い、診療報酬支払いの適正化を図るため、事務処理要領を次のとおり定める。

第一 実施計画

レセプト点検調査事務を効率的に行うため、適切な実施計画を策定すること。この場合必要な予算措置等を講ずること。

第二 重点項目

レセプト点検調査の重点項目は、次のとおりとすること。

1 被保険者資格の点検

被保険者台帳等との照合により実施すること。

2 縦覧点検

レセプトの保管方式に応じて効率的に実施すること。

3 交通事故の把握

主として外科系の診療科名を標ぼうする療養取扱機関について行うものとすること。

なお、前記以外についても療養取扱機関、関係機関との連携を密にし、その把握に努めること。

4 診療報酬請求点数の点検

レセプトの請求点数を点検し、必要なものについては、検算を行うこと。

第三 レセプトの受付

国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)から診療報酬請求内訳書、診療報酬請求書等並びにレセプトの送付があつたときは、これらをそれぞれ照合すること。

なお、不符合のときは、連合会に連絡し必要な措置を講ずること。

第四 レセプトの分類

第三の処理が終了したときは、次によりレセプトを分類すること。

1 公費負担医療該当分

2 高額療養費該当分

3 第三者行為該当分

4 その他

第五 レセプトの配列

被保険者証の記号番号順に配列すること。

第六 レセプトの点検及び抽出

レセプトは、次により点検し抽出すること。

1 被保険者資格の点検

被保険者台帳等と照合し、次のものを抽出すること。

(1) 被保険者証の記号番号の記載のないもの。

(2) 被保険者証の記号番号の記載誤りのもの。

(3) 被保険者証の記号番号が他保険者(他市町村又は国民健康保険組合)のもの。

(4) 被保険者証の記号番号が他管掌(健康保険法等他法管掌)のもの。

(5) 生活保護法による保護を受けているもの。

(6) 被保険者資格喪失後において受診したもの。

(7) その他記載事項について疑いのあるもの。

2 給付発生原因の点検

関係資料等と照合し、次のいずれかに該当する疑いのあるレセプトを抽出すること。

(1) 給付制限にかかるもの

ア 法第六十条(自己の故意の犯罪行為等)

イ 法第六十一条(闘争、泥酔等)

ウ 法第六十二条(療養の指示に従わないとき)

エ 法第六十三条(命令に従わなかつたとき等)

(2) 法第六十四条(第三者行為)にかかるもの。

(3) 法第六十五条(不正利得の徴収)にかかるもの。

(4) その他(不当利得等)

3 調剤報酬明細書との突合抽出

調剤報酬明細書とレセプトを突合し、算定誤り等のものを抽出すること。

4 診療報酬請求点数の点検

(1) 診療報酬請求点数について「健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法」(昭和三十三年六月三十日厚生省告示第百七十七号)、「使用薬剤の購入価格(薬価基準)」(昭和五十二年十一月一日厚生省告示第二百六十三号)等との照合に努め、診療報酬の算定方法の誤り、点数の誤りのものを抽出すること。

(2) 検算(横計及び縦計)の結果、違算のものを抽出すること。

5 縦覧点検

同一被保険者のレセプトを概ね三か月以上まとめて点検し、請求の全部又は一部が重複しているもの等を抽出すること。

第七 点検抽出されたレセプトの調査

点検の結果抽出したレセプトについては、次により調査を行い、処理経過を明確にすること。

1 被保険者資格関係

第六の1により抽出したレセプトについては、必要なものについて所要の手続きにより、過誤調整扱いとするか又は被保険者等からの返還扱いとするかを明確にすること。

2 給付発生原因関係

第六の2により抽出したレセプトについては、被保険者等に照会のうえその事実関係を確認すること。

なお、第三者行為の疑いがあるものについては、被害の届出を確認のうえ損害賠償請求権の有無を明確にし、届出の無い場合は、世帯主等に照会のうえその実態(事故発生の状況、加害者の状況、示談の状況等)を把握すること。

3 請求内容関係

第六の3ないし5により抽出したレセプトについてはその内容を確認し、過誤調整として取扱うべきものか又は再審査請求をすべきものかを明確にすること。

第八 事後処理

第七の調査終了後の事故レセプトは、次により処理すること。

1 過誤調整を行うもの

(1) 事故が確認されたもので、その事由が療養取扱機関の責に帰すべきものについては、連合会に対しレセプトを添付して過誤調整を求めること。

(2) 過誤調整を求めるレセプトについては、必要に応じてその写を保管し、処理経過を明確にすること。

2 再審査請求を行うもの

(1) 再審査請求を行うことが適当と認められるものについては、連合会に対しレセプトを添付して再度の考案を求めること。

(2) 再度の考案を求めるレセプトについては、必要に応じてその写を保管し、処理経過を明確にすること。

3 被保険者等から返還させるもの。

不当、不正の事由が被保険者又は被保険者であつた者の責に帰すべきものについては、療養の給付費の返納(徴収)に関する事務を行うこと。

4 第三者行為等にかかる求償事務を行うもの。

(1) 交通事故の場合

昭和四十三年十月十二日保険発第一〇六号「健康保険及び国民健康保険の自動車損害賠償責任保険等に対する求償事務の取扱について」等により求償事務を行うこと。

(2) 公害健康被害補償制度の場合

昭和五十年十二月二十二日保険発第一一六号「国民健康保険法による給付と公害健康被害補償法による補償給付との調整について」により求償事務を行うこと。

(3) その他の場合

加害者等に対し、求償事務を行うこと。

第九 都道府県に対する連絡

点検調査の結果、特に療養取扱機関について調査確認を要すると思料される場合は、都道府県国民健康保険主管課に連絡すること。

第一〇 資料の整備活用

点検調査事務の結果によつて得た資料については、事業運営並びに被保険者教育等に活用できるよう整備すること。