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○国民健康保険保険者及び国民健康保険団体連合会に対する指導監査の実施について

(昭和四四年五月一日)

(保発第一八号)

(各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)

国民健康保険の保険者及び国民健康保険団体連合会に対する指導監査については、日頃から特段のご配意を煩わしているところであるが、今般、指導監査要綱並びに特別指導監査要綱を、別紙のとおり定めたので、これにより、一層の指導監査の実効を図るよう指導監査にあたられたい。

国民健康保険指導監査要綱

目次

国民健康保険保険者及び国民健康保険団体連合会に対する指導監査要綱…

一般指導監査実施要領

国民健康保険保険者に対する特別指導監査要綱

特別指導監査実施要領

別紙〔1〕

国民健康保険保険者及び国民健康保険団体連合会に対する指導監査要綱

都道府県における国民健康保険の保険者及び国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)に対する国民健康保険業務全般にわたる指導監査(以下「一般指導監査」という。)は、次により実施すること。

1 一般指導監査の目的

一般指導監査は、都道府県知事が、国民健康保険法、地方自治法等による権限に基づき、国民健康保険事業の実施状況について実地に指導監査を行なうものであるから、指導監査にあたつては、単に監査的見地から事務の執行について適否を調査する等にとどまることなく、国民健康保険行政の適正かつ効率的な運営の方策について指導を行なうものとすること。

2 一般指導監査計画の樹立

(1) 一般指導監査の実施計画は、毎年度当初に樹立すること。

(2) 一般指導監査計画を樹立するに当たつては、前年度の指導監査結果の問題点及び最近における事務処理状況を事前には握するとともに、各種統計資料等によつて、対象保険者及び連合会の事業内容を十分検討し、これらを勘案して指導監査の重点事項を定めて効率的な指導監査を行ないうるよう計画すること。

3 一般指導監査の実施要領

一般指導監査の実施要領については、別添「一般指導監査実施要領」に準拠すること。

4 一般指導監査の実施回数

一般指導監査は各保険者及び連合会につき年一回実施すること。なお、財政再建を要する保険者等、特に必要があるものについては、一回にとどまることなく当初の計画以外にも随時、実施すること。

5 一般指導監査の事前準備

(1) 指導監査吏員は事前に指導監査事項について綿密な検討を加え指導監査の実効を期すること。

(2) 指導監査の実施にあたつては、指導監査の対象となる保険者又は連合会に対し、その期日、指導監査吏員の指名その他必要な事項を事前に通知すること。

(3) 指導監査の効果的実施を期するため、必要に応じあらかじめ必要資料の整備を行なわせること。

6 一般指導監査結果の措置

(1) 講評及び口頭指示

指導監査の終了後、理事者及び関係職員に対し講評及び必要な指示を行なうこと。

ただし、理事者又は幹部のみに講評及び指示を行なうことを適当とする事項については、それらの者のみに別に講評及び指示を行なうものとすること。

(2) 指導監査の復命

指導監査吏員は、帰庁後すみやかに監査結果についての監査復命書を作成し、都道府県知事に提出するものとする。

復命書には、事業状況についての指導監査吏員の意見及びこれに対する対象保険者等の見解、要望等を記載するものとすること。

(3) 指導監査結果の検討及び措置

指導監査の結果については、綿密に検討してその問題点を明らかにし、これをすみやかに解消するため、保険者及び連合会がとるべき措置を具体的に決定すること。

(4) 一般指導監査結果の指示及び確認

① 保険者及び連合会に対する指導監査結果の指示は、前項の検討に基づき指示すべき事項の内容及びこれに対する具体的な改善方法を文書をもつてすみやかに行なうこと。

② 指示事項に対する是正改善の状況は、期限を付して報告を求めるほか、必要に応じてその状況を確認するなどの措置をとること。

7 厚生省に対する報告

(1) 保険者及び連合会の指導監査状況報告書は、毎年度別紙様式1により各半期ごとに次により報告すること。

区分 提出期日

上半期分 十月二十日

下半期分 四月十日

(2) 保険者の監査の結果、国庫補助金の申請内容に不正不当の事実を発見したときは、直ちに別紙様式2により報告するとともに国庫補助金の実績報告書の訂正報告書、事故の内容、事由を明らかにしたてん末書を提出させ、これに都道府県の意見書を付して厚生大臣あて進達すること。

様式1

様式2

別添

一般指導監査実施要領

国民健康保険の保険者及び国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)に対する指導監査は、次の事項について実施すること。

第一 保険者に関する事項

1 一般事項

(1) 必要なる条例の協議は、確実に行なわれているか。

(2) 月報、年報は、正確に作成されているか。

(3) 国民健康保険事業に必要な諸資料、諸統計は、整備分析されているか。

2 予算の適否

(1) 国庫支出金または都道府県支出金が過大に見積られていないか。

(2) 予算の収支を合わせるため、不安定な歳入を過大に計上していないか。

(3) 保険給付費、特に療養給付費が過少に見積られていないか。(予算編成方針にもとずく推計を行なつているか。)

(4) 国民健康保険事業として不当不要の経費が歳出予算に計上されていないか。(特に、分担金、交付金、交際費、諸謝金等について)

(5) 累積赤字がある保険者にあつては、財政再建のため予算措置が講ぜられているか。

(6) 保健施設に関する事業計画及びこれに要する経費の計上は適正か。(一般住民を対象とする事業の経費を国民健康保険特別会計で支弁していないか。また、している場合の財源の措置はどうか。)

3 予算執行の適否

(1) 国庫支出金の受入科目及び受入年度に誤りはないか。

(2) 過誤払金等の戻入又は返還の措置は適正か。

(3) 保険給付費の支払は適正か。(連合会への支払、現金給付の支払)

(4) 総務費の支出内容は適正か。(国民健康保険事業に関係のない旅費、需用費の支出はないか。)

(5) 歳入、歳出関係の帳票、証書類の整備は適正か。

4 赤字解消計画の適否

(1) 計画の基礎となる数値の推計は適正か。

(2) 実現可能な財政対策であるか。(予算に反映されているか。)

(3) 計画が確実に遂行されているか。

5 保険料税の適否

(1) 被保険者の所得のは握は適正か。

(2) 条例で所得申告義務を課している者の範囲は適正か。

(3) 医療費及び被保険者の所得水準からみて、賦課方式、賦課割合、料、税率は適正か。

(4) 法令及び条例にもとづく賦課が確実に行なわれているか。

(5) 収納率向上のための措置は、講じられているか。

(6) 滞納繰越分について不当な不納欠損処分が行なわれていないか。また、必要な保全の措置がなされているか。

(7) 賦課にあたり、不服申立ができる旨の教示が行なわれているか。

6 国庫補助金取扱いの適否

(1) 補助金算出の基礎となる世帯数、被保険者数、異動届件数等は適正か。

(2) 事務費負担金の対象費用に他会計で支弁すべき経費等補助対象外のものが含まれていないか。

(3) 療養給付費の過誤払等により、補助対象外となつたものの取扱い及び負担率の改正に伴う請求遅延分の整理は適正か。

(4) 調整交付金の算出の基礎となる所得及び対象費用額は適正か。(擬制世帯主の減額、事業専従者控除、給与所得控除等)

(5) 保険料・税減税世帯の所得のは握は適正か。(所得不明世帯の取扱い、事業専従者控除等)

7 適用事務処理の適否

(1) 被保険者の適用は、適正に行なわれているか。また、他社会保険との適用区分は適確に行なわれているか。

(2) 世帯の認定は、適確に行なわれているか。

(3) 被保険者証の交付、管理及び回収は厳正に行なわれているか。

(4) 被保険者証の検認又は更新は、適確に行なわれているか。

(5) 被保険者台帳(名簿)は、診療報酬請求明細書の点検調査ができやすく整理されているか。

(6) 住民基本台帳法の施行に伴う窓口の改善及び帳票の一本化により、関係課相互間の連絡及び事務処理が確実かつ円滑に行なわれているか。

8 保険給付事務処理の適否

(1) 現金給付(療養費、助産費等)の支給は適正か。

(2) 支給決定決議者と払渡し者の身分は区分されているか。

(3) 審査請求のできる旨の教示は行なわれているか。

(4) 第三者行為、給付制限に係る事故に対する取扱は適正か。

9 診療報酬請求明細書事務点検の適否

(1) 診療報酬請求金額の確認は適確に行なわれているか。

(2) 診療報酬請求明細書の事務点検は適確に行なわれているか。

(3) 診療報酬請求書を自己審査している保険者にあつては、審査内容は適正か。また、審査委員会の構成は適正か。

(4) 診療報酬請求明細書の事務点検の結果、不正不当のものが発見された場合は、適確に行なわれているか。

10 事務の執行に要する費用の適否

(1) 職員の配置、事務機構は適正か。(事務量に見合つた職員数、国民健康保険担当部(課)の連絡)

(2) 他会計の事務を兼ねている者の給与費等の負担割合は適正か。

(3) 事務を改善合理化する余地はないか。

(4) 事務費加算金により取得した物品の管理は適正に行なわれているか。また、有効に使用されているか。

11 保健施設の運営状況等の適否

(1) 保健婦活動にかかるもの

(ア) 保健施設実施計画の策定にあたつては、保健婦等のみにゆだねることなく、保険者自らの保健施設実施計画として企画され、樹立されているか。

(イ) 保健婦活動計画の策定は、疾病統計等を用い、地域性を十分とり入れた計画が樹てられているか。

(ウ) 保健婦を一般事務に従事させていないか。また、一般公衆衛生業務に従事させている場合、このため国民健康保険の施設活動に支障を生じていないか。

(エ) 保健婦活動の結果のまとめ及び分析がされているか。また、その結果を保健施設実施計画に反映させているか。

(2) 直営診療施設にかかるもの

(ア) 直営診療施設の経営合理化の努力が払われているか。また、累積赤字を有する施設の赤字解消計画は適正にたてられているか。

(イ) 休廃止した施設の届出は、適確に行なわれているか。また、廃止した施設の廃止条件が守られているか。

第二 連合会に関する事項

1 審査事務の適否

(1) 点検内容が職員によつて片寄つていないか。また、片寄らないような措置が講ぜられているか。

(2) 事故内容を数量的には握しているか。また、支払基金における状況との比較において、問題はないか。

2 支払事務及び支払資金運用の適否

(1) 支払事務が特定の職員に限られ、内部けん制が行なわれ難いことになつていないか。

(2) 効率的な資金運用が行なわれているか。

(3) 現金の保管は適正に行なわれているか。

3 審査委員会の状況(診療内容の統計的は握、委員会の構成等)

4 内部自治監査の執行状況

(1) 定期的に実施しているか。

(2) 関係金融機関との連絡はどうか。(残高証明等)

別紙〔2〕

国民健康保険保険者に対する特別指導監査要綱

都道府県における国民健康保険の保険者に対する特別指導監査は、次により実施されたいこと。

1 特別指導監査の目的

特別指導監査は、都道府県知事が、最近における国民健康保険事業の現状にかんがみ、保険者が自らの事業状況を正確に分析は握するとともに、特に被保険者の資格の適確なは握並びに適正な保険給付を行なわせ、もつて健全な保険財政を確保させるため、これにかかる諸事務の実施について実地に指導を行なうものであること。

指導監督に当たつては、単に監査的見地から事務の執行について適否を調査する等にとどまることなく、適正な保険財政を確保するよう指導を行なうものであること。

2 特別指導監査計画の樹立

(1) 特別指導監査の実施計画は毎年度当初に樹立すること。

(2) 特別指導監査の実施計画を樹立するに当つては、対象保険者等の最近における医療給付費の動向、被保険者の適用等の状況及びこれらにかかる諸問題について事前に各種統計資料等によつて十分分析検討し、効率的な指導監査を行ないうるよう計画すること。

3 特別指導監査の実施要領

特別指導監査の実施要領については、別添「特別指導監査実施要領」に準拠すること。

4 特別指導監査の実施対象

特別指導監査は、被保険者の適用の状況又は保険給付の状況について問題を含むと認められる保険者について実施するものとし、一般指導監査に先立つて行なうこと。

5 特別指導監査の事前準備

(1) 指導監査吏員は、事前に特別指導監査事項について検討を加え、指導監査の実効を期すること。

(2) 指導監査の実施に当たつては、特別指導監査の対象となる保険者に対し、その期日、指導監査吏員の氏名その他必要な事項を事前に通知すること。

(3) 指導監査の効果的実施を期するため、必要に応じあらかじめ必要資料の整備を行なわせること。

6 特別指導監査結果の分析

(1) 講評及び口頭指示

特別指導監査の終了後、理事者及び関係職員に対し講評及び必要な指示を行なうこと。

ただし、理事者又は幹部のみに講評及び指示を行なうことを適当とする事項については、それらの者のみに別に講評及び指示を行なうものとすること。

(2) 指導監査の復命

指導監査吏員は、帰庁後すみやかに指導監査結果についての復命書を作成し、都道府県知事に提出するものとすること。復命書には事業状況についての指導監査吏員の意見及びこれに対する対象保険者の見解、要望等を記載するものとすること。

(3) 指導監査結果の検討及び措置

指導監査の結果については、綿密に検討して、その問題点を明らかにし、これをすみやかに解消するため、保険者がとるべき措置を具体的に決定すること。

(4) 指導監査結果の指示及び確認

① 保険者に対する特別指導監査の結果の指示は、前項の検討に基づき、指示すべき事項の内容及びこれに対する具体的な改善方法を文書をもつてすみやかに行なうこと。

② 指示事項に対する是正改善の状況は、期限を付して報告を求めるほか、指示を文書で行なつた日から五か月後にその状況を実地に確認すること。

③ 都道府県知事は、前項の是正改善の状況を確認した場合に、これについて分析検討を加え、特別指導監査の効果を測定するほか、引きつづいて状況の確認を行なうこと。

7 厚生省に対する報告

(1) 都道府県知事は、毎年度この要綱4による特別指導監査の実施計画を四月末日までに別紙様式1により報告すること。

(2) 都道府県知事は、毎年度特別指導監査の結果について別紙様式2によつて、次により報告すること。

区分 提出期日

上半期分 十月二十日

下半期分 四月十日

(3) 都道府県知事は、特別指導監査の効果を測定し、その測定事項を別紙三により報告すること。

(4) 特別指導監査を行なつた際に国庫補助金の申請内容に不正不当の事項を発見したときは、直ちに一般指導監査実施要領8に定める報告を行なうこと。

様式1

様式2

様式3の1

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様式3の2

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画像9 (38KB)別ウィンドウが開きます

別添

特別指導監査実施要領

第一 方針

国民健康保険の保険者に対する特別指導監査は、次の事項を重点として実施すること。

1 適用の適否

(1) 被保険者の適用は適正か

(2) 被用者保険の被保険者又は被扶養者となるべき者の発見排除は適正か

(3) 世帯の認定(特に世帯分離の認定)は適正か

(4) 擬制世帯の認定は適正か

2 保険給付の適否

(1) 療養費の支給要件の確認は適正か

(2) 療養費の支給額の算定は適正か

(3) 一部負担金の割合の引き下げは事業運営上適正か

(4) 給付制限第三者行為に係る事故に対する取扱いは適正か

3 診療報酬請求明細書の事務点検の適否

(1) 実施計画は適正か

(2) 実施は適確に行なわれているか

(Ⅰ) 資格関係に係る実施は適確か

(Ⅱ) 縦覧点検  〃  〃

(Ⅲ) 検算  〃  〃

(Ⅳ) 給付制限・第三者行為  〃  〃

(3) 事故の疑のあるものの処理は適正か

(4) 事故の処理は適正か

(Ⅰ) 過誤請求は適正に行なわれているか

(Ⅱ) 再審査  〃  〃

(Ⅲ) 被保険者等に対する返還は  〃  〃

(5) 点検結果の活用(保健婦活動、被保険者指導等)は効果的に行なわれているか

(6) 報造は適確に行なわれているか

4 保険料の適否

(1) 擬制世帯に対する所得の把握、保険料賦課は適正か

5 諸統計等の整備等

(1) 医療費に係る諸統計の整備、活用は行なわれているか

(2) 擬制世帯に係る保険給付の状況は把握されているか

第二 特別指導監査の対象

1 被保険者一人当り医療費又は受診率が全国平均又は県平均に比べ著しく高いもの

2 被保険者一人当り医療費又は受診率が全国平均又は県平均に比べ増加傾向が著しく高いもの

3 診療報酬請求明細書の事務点検の実施状況又は事故発見状況が不十分であるもの

4 療養諸費に対する療養費の占める割合が全国平均又は県平均に比べ著しく高いもの

5 国民健康保険の総世帯に対する擬制世帯の占める割合が全国平均又は県平均に比べ著しく高いもの