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○国民健康保険法施行法による地方税法の一部改正等について
(昭和三四年二月一九日)
(保険発第二〇号)
(各都道府県民生部長あて厚生省保険局国民健康保険課長通知)
国民健康保険法施行法第五十八条の規定による地方税法の一部改正中国民健康保険税に関する部分は、昭和三十四年度分の国民健康保険税から適用されることとなつたが、これに関して自治庁税務局長から別紙1のとおり通達されるとともに、市町村国民健康保険税条例(準則)の一部改正についても同局長から別紙2のとおり通達されたので御了知のうえ、保険者の指導について遺憾のないよう配慮されたい。
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別紙1
国民健康保険法施行法による地方税法の一部改正について
(昭和三四年二月一八日 自丙市発第二号)
(東京都総務局長・各道府県総務部長あて 自治庁税務局長通知)
国民健康保険法施行法(昭和三十三年法律第百九十三号)が本年一月一日に施行されたが、同法により地方税法(以下「法」という。)の一部(国民健康保険税に関する部分)が別紙のとおり改正され、昭和三十四年度分の国民健康保険税から適用されることとなつた。
国民健康保険税に関する今回の改正は、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)において療養の給付及び療養費の支給に要する費用に対する国庫負担制度が新たに設けられたことに伴い、国民健康保険税の標準課税総額の算定割合について所要の改正を加えるとともに、国民健康保険税の運用の現状に照らして標準課税総額の算定方法を合理化し、また、徴収の方法について特例を設ける等の措置を講じたものであるが、その運営に当つては、左記事項に留意のうえ、管下市町村を宜しく御指導願いたい。
記
1 国民健康保険税の標準課税総額を当該年度の初日における療養の給付及び療養費の支給に要する費用の総額の見込額から療養の給付についての一部負担金の総額の見込額を控除した額の百分の九十に相当する額に改めたこと。(法七〇三の三・2)
改正前の標準課税総額は、療養の給付に要する費用の見込額の百分の七十に相当する額とされていたが、今回の国民健康保険法の改正により、療養の給付に要する費用に対する百分の二十の国庫負担金制度が制度的に確立されたので、これに伴つて標準課税総額の見積り方法を改め、負担の合理化を図つたものであること。
2 国民健康保険税の運営の現況にかんがみ標準課税総額及び納税義務者に対する課税額の算定方式について従来の方式のほか、新たに二つの方式を設け、市町村の選択を認めることにより、国民健康保険税の円滑かつ弾力的な運営に資することとしたこと。
(1) 標準課税総額の算定方式について従来の所得割総額、資産割総額、被保険者均等割総額及び世帯別平等割総額の合計額による方式のほかに、(イ) 所得割総額、被保険者均等割総額及び世帯別平等割総額の合計額による方式(標準課税総額に対する標準割合は、それぞれ百分の五十、百分の三十五及び百分の十五)並びに、(ロ) 所得割総額及び被保険者均等割総額の合計額による方式(標準課税総額に対する標準割合はそれぞれ百分の五十)の二方式を加え、市町村においては、その実情に応じてこれら三方式のうちいずれか一の方式を選択して課税総額を算定し、かつ、当該方式に応ずる納税義務者に対する課税額を定めることができるものとされたこと。(法七〇三の三・3・4)
なお、標準課税総額に対する所得割総額、資産割総額、被保険者均等割総額及び世帯別平等割総額の標準割合は、それぞれの方式において標準を定められたものであるから市町村の実情に応じて適宜変更を加えて適用することができるものであること。
(2) 所得割額の算定については、所得割総額を法第二百九十二条第四項ただし書の課税総所得金額にあん分して算定することが著しく困難である場合においては、当該市町村の条例の定めるところによつて市町村民税の所得割額にあん分して算定するほか、新たに法第二百九十二条第四号本文の課税総所得金額によつても算定することができるものとされたこと。(法七〇三の三・5)
3 国民健康保険事業の運用の実情にかんがみ、国民健康保険税の徴収に当つて、市町村民税の所得割額等が確定しないため、当該年度分の国民健康保険税額を確定することができない場合においては、前年度分の国民健康保険税額を基礎として徴収することができるものとし、もつて徴収の合理化を図つたこと。
(1) 市町村は、国民健康保険税の所得割額の算定の基礎に用いる法第二百九十二条第四号の課税総所得金額又は市町村民税の所得割額が確定しないため当該年度分の国民健康保険税を確定することができない場合においては、その確定する日までの間において到来する納期において徴収すべき国民健康保険税に限り、国民健康保険税の納税義務者について、その者の前年度の国民健康保険税額を当該年度の納期の数で除して得た額の範囲内において、それぞれの納期に係る国民健康保険税を徴収することができることとされたこと。ただし、当該徴収することができる額の総額は、前年度の国民健康保険税額の二分の一に相当する額をこえることができないものであること。(法七〇六の二・1)
これは、国民健康保険税の所得割額の算定の基礎に用いられる課税総所得金額又は市町村民税の所得割額が年度当初に確定しないため、国民健康保険税を年度当初において賦課することができない反面、療養の給付及び療養費の支給は年度開始直後から行わねばならないことにかんがみ、国民健康保険財政の円滑な運営を図るため設けられた徴収の特例であること。
(2) 市町村は、右の方法によつて国民健康保険税を賦課した場合において、当該国民健康保険税額が当該年度分の国民健康保険税額に満たないこととなるときは、当該年度分の国民健康保険税が確定した日以後の納期においてその不足税額を徴収し、また、すでに徴収した国民健康保険税額が当該年度分の国民健康保険税額をこえることとなるときは、法第十七条の規定の例によつてその過納額を還付し、又は当該納税義務者の未納に係る地方団体の徴収金に充当しなければならないものであること。(法七〇六の二・2)
(3) なお、前年度の国民健康保険税額を基礎として国民健康保険税の賦課を受けた者は、当該年度分の国民健康保険税額が前年度の国民健康保険税額の二分の一に相当する額に満たないこととなると認められるときは、市町村が条例で定める期限までに、市町村長に対し、当該賦課に基いて徴収されることとなる国民健康保険税額の修正を申し出ることができるものであること。(法七〇六の三・1)
この場合において、当該申出について相当の理由があると認められるときは、市町村長は、当該年度分の国民健康保険税額の見積額を基礎として、(1)によつて徴収する国民健康保険税額を修正しなければならないものであること。(法七〇六の三・2)
(4) 徴収の特例の方法によつて徴収する国民健康保険税について滞納処分を行う場合においては、当該年度分の国民健康保険税額が確定する日までの間は、国税徴収法第二十四条の規定による公売はすることができないものであること。(法七二八・1ただし書)
(別紙)国民健康保険法施行法 抄(地方税法の一部改正に関する部分)略
別紙2
市町村国民健康保険税条例(準則)の一部を改正する条例(準則)について
(昭和三四年二月一八日 自丙市発第一号)
(東京都総務局長・各道府県総務部長あて 自治庁税務局長通知)
国民健康保険法施行法(昭和三十三年法律第百九十三号)第五十八条の規定による地方税法の一部改正に伴い、市町村国民健康保険税条例(準則)の一部を改正する条例(準則)(以下「改正条例準則」という。)を別紙のとおり送付するから、左記事項に留意のうえ、管下市町村を御指導願いたい。
記
1 納税義務者に対する課税額は、世帯主及びその世帯に属する国民健康保険の被保険者につき算定した。(1) 所得割額及び資産割額並びに被保険者均等割額及び世帯別平等割額の合算額、(2) 所得割額、被保険者均等割額及び世帯別平等割額の合算額、(3) 所得割額及び被保険者均等割額の合算額のいずれかによることができるものであるから、(2)又は(3)のいずれかを採用する場合においては、改正条例準則において示すところにより条例の規定を改める必要があること。
2 所得割額の算定に当つては、地方税法第二百九十二条第四号ただし書の課税総所得金額にあん分して算定することが著しく困難であると認める市町村においては、新たに同号本分の課税総所得金額を用いて算定することができることとなつたので、これによる場合においては、条例の規定を改める必要があること。
3 条例準則第一条第二項の世帯主に対して課する国民健康保険税の額の軽減の方法については、従前の方法によるほか新たに改正条例準則において示す方法によつて軽減することもできるものであるから、この場合においては条例の規定を改める必要があること。
別紙 略