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○国民健康保険法第六十四条の疑義について

(昭和三五年一〇月二五日)

(保険発第一三〇号の二各都道府県民生部(局)長(静岡県を除く。)あて厚生省保険局国民健康保険課長通知)

標記について、静岡県民生労働部長から別紙1のとおり照会があり、これに対して別紙2のとおり回答したので了知されたい。

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(別紙1)

(昭和三五年九月一二日 国保第三七七号)

(厚生省保険局国民健康保険課長あて 静岡県民生労働部長照会)

国民健康保険法第六十四条に規定する「被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権」等につき疑義があるので、左記事項につき御教示願いたい。

1 被保険者と第三者との間の示談が成立し、被保険者の有する損害賠償請求権が消滅した場合、その消滅の効力は保険者がすでに取得している第三者に対する損害賠償請求権には及び得ないとされているが、第三者が善意無過失で、依然として被保険者に権利が存するものとして支払つた場合、次のいずれの取扱いとすべきであるか。

(1) 保険者は善意の第三者に対しては代位権を行使することが出来なく、被保険者が悪意の場合は法第六十五条により、不正利得としてその価格の限度において徴収し、善意の場合は民法第七百三条の不正利得として返還請求権を取得する。ただし、療養費用等の損害賠償が支払われていない場合(例えば、示談の内容において、保険者負担分については国保において負担する。)は、保険者はその給付の価格の限度においてなお損害賠償請求権を有する。

(2) 保険者は法第六十四条第一項の規定により損害賠償請求権を取得するものであるので、第三者の善意、悪意にかかわらず、損害賠償金支払の時点までに行つた保険給付の価格の限度で、なお第三者に対する損害賠償請求権を有する。

2 善意の第三者が、被保険者から損害賠償請求権の譲渡を受け、善意の債務者等に対する関係で対抗要件を備えた場合は、前記1のうちのいずれの取扱いとすべきであるか。

なお、前記1の(2)によるを是とした場合、善意の第三者の対抗要件との関係はどのように解釈されるか。

3 法第六十四条第二項の「同一の事由について損害賠償を受けたとき」とは、次のいずれの解釈を妥当とするか。

(1) 第三者が弁済(代物弁済を含む。)の行われたときと解釈される。

(2) 弁済のみでなく、第三者又は第三取得者との間で相殺(ただし、被保険者側から行つた場合のみ。)更改又は譲渡が行われた場合も含むものであること。

(3) (1)を妥当とすれば、相殺、更改及び譲渡の場合は保険者は、保険給付を行わねばならないと考えるが被保険者より不正利得として、前記1の(1)の取扱いを行つてよいか。

この場合、不正利得として徴収又は収納すべき額は如何に算出すべきであるか。

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(別紙2)

(昭和三五年一〇月二五日 保険発第一三〇号)

(静岡県民生労働部長あて 厚生省保健局国民健康保険課長回答)

昭和三十五年九月十二日国保第三二七号をもつて照会のあつた標記について左記のとおり回答する。

1 照会の記1については、貴見(2)によること。

2 照会の記2については、照会の記1の(2)によるものであり、保険者の取得した損害賠償請求権は、何人に対してもその取得を対抗できるものであり、別段の対抗要件を要しないものであること。

3 照会の記3については、原則として弁済に限るものであり、(3)については、できないものであること。